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対明大 ワセダ力

2010/12/06


 12月の第一日曜、『早明戦』。強い明治の復活とともに、『ワセダ』も戦いの舞台に帰ってきた。プライド、狂気、仲間、覚悟etc そして何よりワセダ愛。己のすべてを懸け戦う赤黒戦士たちからは、背負っているものの大きさ、尊さが感じられた。俺たちはワセダ。「今日はワセダというものをすごく感じていました。ずっと思ってきたことですけど…、自分はワセダで本当によかったなって。今日はもう、早稲田大学への想いです」(主将・有田隆平)―
 明治という最高の相手を前にして、まず見せた大きな変化が、『ワセダ』としての自覚を持つこと。『ワセダ』として戦うことの意義を知ること。10年ぶりの屈辱を味わった早慶戦後、ポジション練習という名の下に、全部員を集め誇るべき校歌を練習。早慶戦とは、早明戦とは、アカクロとは、ワセダとは…。日本中、世界中の校友が見つめている。その意味を理解した上で、魂込めて3番まで歌えるようになるまで一心不乱に猛特訓。そして、今日の晴れ舞台。ワセダを代表する22人が、スタンドの全部員が、監督が、コーチが、校友とともに心の底から校歌を絶唱。「あのときの雰囲気、グッとくるものがありました」(主将・有田隆平)。あとはもう、この1年間やってきたこと、自分たちの正しさを証明するだけだった。
 ワセダへの想いを胸に紫紺と対峙した男たちは、『前へ』に対し、一歩も引くことなく真っ向勝負。執拗なスクラム選択には、上田・伊藤・垣永(素晴らしき成長!)が、先輩たちの重みを感じながら渾身のプッシュ。ビタ止まり→FWゴリゴリに移行してきたところを「待ってました!」とばかりに、フランカー中村拓樹、山下昂大が狂気のタックル。自分たちのミスもあり、長時間ゴール前に釘づけにされても、赤黒を身にまとう男たちにとって、これは最高のシチュエーションだった。湧きおこる大メイジコール。どこか漂う往年の雰囲気。誰しもが思った。これぞまさに『早明戦』! この苦境を跳ね返して勝つことが、ワセダのアイデンティティ。
 開始から20分、耐えに耐え、おぜん立ては整った。この時点で自信は確信に変わった。ここでチームの先頭に立ち、「勝負を決めた」のが、2010ワセダの象徴・有田隆平、山中亮平の両巨頭。このふたりのキレッぷりこそが、ワセダにもたらされたもうひとつの大きな変化。きっかけは早慶戦4日後の夜、上井草で開かれた決起集会で監督・コーチと思いの丈をぶつけ合った後、期せずして実現した我らが永遠のボス・清宮克幸、『レジェンド』佐々木隆道との緊急会合(…と、いう名の説教?)。誰よりもワセダを知る男たちからの愛情溢れる檄は、ふたりの心に痛いほど突き刺さった。「プレーが小さいよ。お前たちふたりで試合を決めるんだ。縛られるな。もっと自分たちのチームだという意識を持て」。「自信を持ってプレーすればいい。ここからはチームスピリットの戦い。後悔しないように。4年間ワセダでやってきたことを出せば納得できるし、それができたら君たちは絶対に勝てるから」。シーズンベスト、これぞ赤黒のキャプテンというべき存在感で紫紺のカベをブチ抜いた有田隆平。「俺が決める」の強い意志でフィールドを支配した山中亮平。前半33分、有田がリミッターを外したように前に出て、山中が自ら仕掛けて奪ったトライは、文字どおりに勝負を決めた。「もう自分が行こう。自分が行かなきゃ負けるって。余りにもズバズバ言われて、落ち込みそうでしたけど…(笑)、ふたりからの言葉が効きました。あれがよかったです」(主将・有田隆平)。
 背負っているものを感じ、リーダーが殻を破り、チームがひとつになったワセダは、校歌斉唱の勢いを絶やすことなく、最後までオールアウト。FWは拘りで相手を上回り、アタックでもタテタテタテ。BKもその奮闘に応え、この日はゴールラインを突破、ディフェンスでは要所でビッグヒット。対抗戦1位どうこうではなく、とにかくワセダとして『早明戦』に勝つ、明治に勝つ。最高の舞台・満員の国立で、赤黒はその責務を全うした。
 早稲田大学への想いを胸に懸命に戦った結果、本当に多くの人が心からの笑顔をくれた。逆にその想いにこちらが勇気づけられた。ワセダとして、赤黒を着て、多くの人たちの想いとともに、自分を表現できる幸せを実感。「プライド、1:1、すごくよかったと思います。今日はみんなで準備してきたことが出せました」(主将・有田隆平)。これぞワセダ力。そのパワーを永遠に―

<ワセダ愛を胸に自分を出し切った主将・有田隆平>
「全員が体を張ったいいゲームでした。部員全員でいい準備ができて、明治をターゲットにしてやってきたことが出せました。ただ、最後のトライだったり、課題はまだまだあるので、負けられないこれからの試合に向けて、修正していきたいと思います。前半からゴールラインを背負う場面がありましたけど、焦りはありませんでした。これを止められたら逆にチャンスだと。明治はFWで来てくれましたし、ワセダとしてもFWで勝つと言っていたので。早い時間にああいった勝負ができてよかったと思います。再三のスクラム選択に関しては…、明治ももちろん強かったですけど、意地ですね、もう。意地で跳ね返した。意地で組みました。今日はFWというより、全員で勝ったというイメージです。ラグビーはFWだけではないですから。(準決勝での早明再戦について問われ)それまでに負けないようにします。(明大主将・杉本との対決について。辻監督が別の質問に答えている間、時間が経ち…)すいません、質問何でしたでしょうか?(笑)。杉本とは…、チームは勝ちましたけど、何回か飛ばされましたし、次はしっかりと戦いたいです。<以上、記者会見> 今日は本当に『ワセダ』というものを感じながら戦いました。負けられないという思いが全員にあったと思います。自身のプレーについては…、まぁよかったんですかね。あれだけみんなが僕のプレーをおぜん立てしてくれたら、行くしかない、行かなきゃ負けるって。清宮さん、隆道さんに言われたことが効きました。自分が行くんだと。お会いしている時間はすごく怖かったですけど(笑)、よかったです。余りにもズバズバ言われて、落ち込みそうでしたけど…(笑)。今日はチームとしても、1:1、プライド、すごくよかったと思います。特に前5はすごくがんばってくれました。今日の勝利が持つ意味は…、逆にこの状況で、ここで気持の入ったプレーができなければ、この先はないので、やっと早慶戦の負けから元に戻ったくらいだと思います。勝負はこれからです。これまでもずっと思っていましたが、改めてワセダでよかったと実感しました。今日はもう、早稲田大学への想いです。選手権では、もう1点差でもいいから勝つ試合。今日はペナルティが多かったので、その点を修正して、しっかりと戦っていきます」

<自分が決めるの強い意志で勝利を呼び込んだ副将・山中亮平>
「とにかく勝ててよかったです。今日は気持ちです。僕自身も、チームも、そこで勝ったと思います。先日清宮さんに、もっと仕掛けろ、自分で勝負を決めろと言われたこともありましたし、自分自身考え過ぎのところがありました。自分の強みを考えたときに、それはガンガンいくことだと。今日はしっかりとプレーできたと思います。ずっと僕が決める気満々でプレーしたのが、チームのトライに繋がったと思うので、よかったです。早慶戦の反省も生かすことができました。あとは何と言っても、ゴール前のディフェンス。そこで我慢できたことは、すごくよかったと思います。アタックに関しては、練習していたことの結果です。今日は応援してくださる方もすごく多くて感じるものがありましたし、早稲田大学の代表としてピッチに立つんだという思いでした。その思いをしっかりと試合にぶつけられたと思います。今日は色々なところで手ごたえを感じられた試合。これでチームもまた変わっていけると思います」

<意識の高さで最後尾からチームを締めたFB井口剛志>
「勝った喜びよりも、2トライを取られた悔しさがあります…。その2つとも、自分がモールのなかにいたり、前線にいるところで行かれてしまってのトライ。そこでもし自分がディフェンスに行っていたら止められたんじゃないかって。長井さんに教えてもらっていることを出せたとは思いますけど、まだ満足できるレベルではないです。今日はみんな気持が入ってました。特にゴール前のディフェンス。ワセダのディフェンスが明治のトライシーンを何度も潰してましたから。アタックは、全員が積極的に行ったのがよかったと思います。今日の勝利でチームはまた変わっていけると思いますし、このチームはもっともっといけるんじゃないかと感じました。ただ、ここがゴールラインではないですし、これからです」

<先輩の想いも背負い一本芯の通ったところを見せたSH西橋勇人>
「早明戦は伝統ある試合ということで、すごい緊張感で今日を迎えました。あとは、春自分が出て明治に負けていたので、借りを返す舞台は整ったって。試合前に思っていたようなプレーができたと思います。とにかく縮こまらず、思い切りプレーしようと考えてました。今日はやっぱりFWです。全員が必死になってディフェンスをして、体を張っていない人間はひとりもいませんでした。自分はそれをしっかりコントロールしなくてはいけないと。その点では、いつも以上にバックスリーともコミュニケーションを取れましたし、心は熱く、頭は冷静にプレーできていたと思います。アタックに関しては、ひとりひとりが強いプレーをして、いいリリースをしていた結果です。あとはもう少し僕が捌けていればよかったんですけど…。今日改めて感じたのは、このジャージーを着たくても着られない人がスタンドにたくさんいて、何度もその人たちに助けられたということです。その度に、もっと自分はがんばらなくてはいけないと思わされました。パスにしろ、タックルにしろ、自分はまだまだ足りないので、選手権に向けてしっかりと準備します」

<同期からの言葉で大きな壁を乗り越えたフッカー伊藤平一郎>
「嬉しいです。明治、ずっと強いと思ってましたから。今日はとにかく負けられないって。前半インゴールを背負った場面は、逆にあれでよかったんだと思います。最初のスクラムでいけると感じましたし、スクラム選択されても怖くない。2,3本組んで大丈夫だって。今日はヒットの早さ、そして前3人だけでなく、8人全体でまとまっていたのがよかったです。気持もすごく入っていましたし。試合展開的には、明治がFWでゴリゴリきたところを止めたからこそ、ワセダにリズムが来たと思います。明治はFWで来るのは分かってましたから。フロント3人にとっては、今日の体験が自信にはなると思います。自分のラインアウトは相変わらずの課題ですが…。選手権に向けては、相手がどんなに強くてもプレッシャーを懸けられるスクラムを作っていきたいです。そのためには、個人個人の更なるスキルアップ。そこに懸かってくると思います。早慶戦では緊張しすぎてやばかったんですけど…、今日は同期からの言葉が心に沁みて、あれだけの大観衆の前で緊張せずに、大きなカベを乗り越えることができました。感謝です」

<スクラムで成長の跡をこれでもかと見せたプロップ垣永真之介>
「今はホッとしています。早明戦は、やっぱりプライドの戦いでした。懸けるものが大きい、違うなって。スクラムに関しては…、全然です。明治はすごく強かったですし、きつかったです。自分自身も勝ってないですし、もうスクラムトライが怖すぎて…。ディフェンスもゴールを背負ったところで、やられている部分があったので、まだまだです。もっともっと高めていけると思います。今日のようなFW戦を戦えたのは、自分にとっても、チームにとっても、いい経験。これを生かして、次に繋げていけるようがんばります。今日は絶対に負けられない戦いだと、懸ける想いがありました。早慶戦からの一週間、二週間で気持が高ぶって、今日はワセダというものをすごく感じました。ここからは負けたら終わりで、厳しい戦いが待っているので、気を引き締めてがんばります。今日は明治への声援がすごくて、ビビりました…(笑)」

<ワセダを体現した学生たちを心から称える辻監督>
「本日はありがとうございました。早明戦はワセダのタックルで勝とうと言ってきたなか、80分体を張ってくれた選手たちに感謝していますし、こういったゲームをしてくれた明治さんにも感謝しています。明治はディフェンスがいいチームなので、ワセダとしては簡単に取れないと思ってました。慶應戦では、簡単に外に回してやられたので、今日またそれをやったら、同じことになるよと。なので、真っ向勝負に行けと。その真っ向勝負があった結果、今日は外が空いたんだと思います。選手たちを送り出すときには、もう自由にやってこいと言いました。なので、ハイパントについても特に指示はしていませんし、あれは学生たちが自分たちで考えてやってくれたことです。もちろん、ハイパントはワセダの大きな武器ですし、普段から練習はしていますが。(選手権準決勝での早明再戦について問われ)明治さんは3位なんですか?! もちろん、この国立という舞台でまた早明戦を戦いたいという気持ちはありますし、今度は超満員のなかで。今日は個人的な感情(=吉田監督、細谷コーチ)というのは特になくて、体を張ってくれた学生たちにとにかく感謝です。今日はみんなワセダのプライドをしっかりと見せてくれた。あのタックル。早慶戦からチームが変われたというより、学生たちが自分たちの力で変わってくれた。すごくよかったと思います」

<全員で校歌を絶唱!>

 

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