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2024

招待試合/慶應義塾大学戦観戦記

快晴が広がり、夏を感じさせる暑さの栃木・佐野市運動公園陸上競技場。この地で、国体開催記念となる春の早慶戦が行われた。前半はSH宮尾昌典(スポ2=京都成章)の先制トライから始まり、スコアは19-7と拮抗した展開となった。しかし後半はWTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)のハットトリックなどの活躍もあり、徐々に慶大を突き放す。最終スコアは38-21で今年最初の早慶戦を制した。

「前半の入りはよかった」とNO8相良昌彦主将(社4=東京・早実)が話すように、前半は早大ペースで試合が始まった。試合開始直後から敵陣でボールを保持し、何度も得点機会をうかがう。

試合が動いたのは6分。相手のラインオフサイドで得た敵陣5メートルでのラインアウトからモールを組んだ早大。押し込むことができず崩れたものの、そこからフッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が切り込み、持ち前のフィジカルでゲインする。佐藤が作ったラックから宮尾が速攻で右に持ち出し、相手の隙を突いて先制点を挙げた。

しかし14分、慶大にトライを許し、その後はフェーズを重ねるものの攻撃が実らず。さらにはキックがダイレクトタッチになるなど、フラストレーションの溜まる時間が続く。しかし、そんな流れを変えたのは再び宮尾のトライだった。

25分、自陣10メートルライン付近でボールをもらったフランカー村田陣悟(スポ3=京都成章)が内側に走ってきた相良にパス。ボールを受けた相良がディフェンスラインをうまく抜けゲインし、左から走り込んだ宮尾にパスが回りそのままインゴールへ。追加点を挙げ、ペースは再び早大に。

36分にもCTB吉村紘(スポ4=東福岡)のキックパスから槇が得点を挙げるなど、要所で点数を加算し19-7で前半を折り返した。

相手ディフェンスを振り切るSH宮尾。先制トライを挙げた

後半も前半の勢いのままに攻め込む早大。開始早々の攻撃はインゴール直前で反則を犯し取り切れなかったが、5分、相手のパス回しをCTB野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)がインターセプトしトライ。

12分に自陣22メートルライン内で何度も反則を犯してしまいトライを奪われたが、それ以降は相手のアタックをシャットアウトし、得点を許さない。反対に、19分、34分ともに槇が大外での数的有利な展開をうまく活用し、ハットトリックとなる活躍を見せた。

試合終了間際に失点し理想の終わり方とはならなかったが、38-21と危なげのない勝利を飾った。早大は春シーズン2勝目となった。

持ち前のフィジカルで何度もゲインするフッカー佐藤

今試合は接点での勝負が強い慶大を相手に、「セカンドマンレース」というテーマで試合に臨んだ早大。テーマ通りに、大外にボールを運んだシーンでもボールを失うことなく次のフェーズへと継続できていた部分は収穫だ。しかし、早いパス回しや個人技による慶大の突破にディフェンスラインがそろわず、綻びが生じたシーンも見られた。次戦は帝京大戦。この春シーズン一番のヤマ場であり、今までの成果を試すにはこの上ない相手だ。フィットネスの部分の修正やセットプレーに安定をもたらし、帝京大に念願の勝利を収められるか。今後の秋シーズンの布石にもなる次戦に向けて、もう一段階成長した早大に期待だ。

文=森田健介 写真=谷口花、芳田彩歌(早稲田スポーツ新聞会)