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2024

春季大会/明治大学戦展望記

東京・秩父宮ラグビー場で熱戦を繰り広げた日から4ヵ月が経ち、ついに春季大会が開幕する。

昨季、全国大学選手権準々決勝に臨んだ早大は、15-20で惜しくも明大に屈した。その悔しさを心に刻み、今季は主将にフランカー相良昌彦(社4=東京・早実)が就任し、副将にはロック鏡鈴之介(法4=東京・早大学院)、SO吉村紘(スポ4=東福岡)が任命された。

監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)が続投し、スローガンは『Tough Choice』に設定。「ひとりひとりが『1/1000のこだわり』を持って取り組む」、この点に重きを置いて新体制が発足した。

春季大会の初戦となる明大戦。まずは要となるFW、ポジションチェンジも含め目が離せない。

川﨑太雅(スポ3=東福岡)が2番から1番にコンバートされ初めての公式戦に。昨年ハードワークでチームの勝利に大きく貢献した佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)はフッカーでの起用となる。3番の亀山昇太郎(スポ2=茨城・茗溪学園)は雄大な体格に磨きをかけ、スクラム勝負に挑む。

ロックは昨季もリザーブからの出場でインパクトを残した前田知暉(社4=大阪・東海大仰星)と、怪我を克服し戻ってきた副将の鏡が組む。痛いプレーから逃げず、ブレイクダウンで仕事をしてくれるはずだ。

フランカーは攻守に体を張る村田陣悟(スポ3=京都成章)と鋭いタックルで相手に刺さりまくる植野智也(法4=東京・早稲田実業)が務め、相良主将はNO8として最後尾からチームをまとめる。

今季は昨年を上回る強度でフィジカル強化に注力してきた。ラグビーの原点であるぶつかり合いの部分で明大FWに真っ向勝負を挑む。また、セットプレーの精度も勝敗を分けるポイントとなるだろう。

物怖じしないプレーでチームを率いる相良主将

一方のBKでは、抜群の戦術眼でゲームメイクを担う吉村副将が試合終盤にゲームをコントロールしてくれるだろう。吉村と同じく下級生から試合に出場、屈強な体格を生かした突進力を見せるCTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)、持ち前の俊足でトライを量産してきたWTB槇瑛人(スポ4=東京・國學院久我山)も最高学年となり、チームに勢いと落ち着きを与えてくれるはずだ。

また、多彩な攻撃を仕掛けるSO伊藤大祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)や攻守にわたって巧みなラインコントロールを見せるCTB岡﨑颯馬(スポ3=長崎北陽台)、素早いパス回しで展開ラグビーの中核を担うSH宮尾昌典(スポ2=京都成章)などBKには昨季の経験者が多く残る。

委員としてもチームを支え今試合ではFBで出場する平田楓太(スポ4=福岡・東筑)や、WTBとして初赤黒のチャンスを得た西浦剛臣(社学2=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)のプレーにも注目したい。

ルーキーを含め多彩な選手がそろうBKの熾烈なポジション争いは見応えあり。明大戦メンバーは早大が誇るアタックのみならず、ひとつのプレーにこだわることでミスを減らし、強固なディフェンスも披露できるか。

昨シーズン終盤スタメンに定着し活躍を見せた伊藤

『Tough Choice』。厳しい選択をし、何事にも妥協しない。今季の早大ラグビー蹴球部のあり様だ。

「ひとつひとつのプレーにこだわって、お互いに要求し合えるようなチームにしたい」、大田尾監督も相良主将も口をそろえて話す。

大田尾監督が「多くの選手にチャンスを与えたい」と春シーズンの方針を示す中、ひとりひとりがどこまでこだわり、実力を発揮できるか。大幅なポジション変更に、白熱したポジション争い。注目は全員に向けられる。

対するは安定感を見せる頑強なFW、局面を打開するタレントBKを擁する明大。両校のプライドがぶつかる本試合は、タフなゲーム展開が予想されるだろう。しかし伊藤が「借りを返して良いスタートを切りたい」と意気込みを見せるように、ここまで積み上げてきた練習の成果を発揮し宿敵・明大を迎え撃つ。

春季大会での一戦一戦の勝利、その先に見据える秋、そして日本一の座へ。悔しい思いはもう十分。今こそ再起に燃えるチーム相良が一歩を踏み出すときだ。

文=谷口花 写真=内海日和・塩塚梨子(早稲田スポーツ新聞会)