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2024

慶大戦観戦記

対慶大戦・観戦記

 強いワセダが帰ってきた!全勝で駆け抜けた対抗戦時を思わせるラグビーでライバル・慶大を圧倒。実に12ぶりとなる大学日本一へついに王手を懸けた。
 「頭と心に激しさを持って戦え!」(清宮監督)。この日のコンセプトは実に明快。今シーズン掲げる5つのキーワード(高速、継続、精確、独自性、激しさ)のなかで一番重視してきた『激しさ』で相手を上回ること唯ひとつだった。前に出て繰り出す強烈なタックル、ゴール前での粘り、ディフェンスをもろともしない突進、密集でのしつこさ。まさにコンセプト通りの『激しい』プレ―を随所に見せ、相手を完全に凌駕した。
 そして何と言っても最大の勝因は、常にプレッシャーを懸け続け、相手に思うような攻撃を許さなかったスクラム。特に前半25分(この時点では双方とも得点なし)にターンオーバーした自陣でのスクラムは清宮監督が「あれが今日のすべてだった」と言うほど価値のあるものだった。スクラムが安定すれば当然ながらアタックの威力も増大。FW、BK一体となった自慢の『高速』アタックで相手を振り回す爽快な光景は観衆を魅了した。迫力十分のアタックから生まれたトライは5つ。ディフェンスでも相手を僅か1トライに抑え、手負いの虎を完膚なきまでに叩きのめした。
 

 決勝戦の相手は今シーズン常に目標にし、しつこいほど追い続けて来た関東学院大。ようやく大学最強の名を欲しいままにしている王者と同じ土俵で勝負する処までたどり着いた。2度に渡る慶大撃破、早明戦での劇的な逆転勝利…。数々のドラマを演じて来た左京組がついに迎えるエンディング。1月12日、国立競技場、そこには最高の結末が待っている。

<清宮采配ズバリ的中>
 「今日は采配がズバリだったな」。試合後、清宮監督は会心の笑みを浮かべた。2回戦の大体大戦後、清宮監督は副将・安藤敬介(プロップ)を外して替わりに大江菊臣(3年)を起用するという決断を下した。その狙いは「大江のスクラムの強さとチームに緊張感を持たせる」こと、さらには「走力のある安藤を後半から入れて相手を掻き回す」ということだった。スタメン出場の大江は期待通りにスクラムで相手を圧倒。前半34分には相手3人を交わしての60m独走トライという超ビッグプレーまで見せた。後半10分過ぎから出場した安藤もこれまた期待通りにその走力を如何なく発揮。豪快な縦突進からのトライを挙げるなど、大江に負けない働きを見せた。
 「1番でも16番でもやることは一緒」(大江)、「スタメンを外れていろいろ考えることもあったけれど、役目は分かっている」(安藤)。前日の決意表明通りのふたりの最高のパフォーマンスに清宮監督も大満足。全部員の前で「お前らふたりは最高だよ!」と青春ドラマばりのセリフを吐いた。この一言でチームのボルテージは最高潮。1番と16番。最高のプロップふたりが決勝でも暴れます!

<清宮監督試合後のコメント>
「今日は『激しさ』の上に自信を持ってプレーしていてよかった。精神的にすごく成長したと思う。ディフェンスは前に出ていて穴がなかったし、声も出して激しくやってくれた。今日が今シーズン1番の内容。前の2試合のことは、それ以上のものを練習でやってきたという自信があったからからまったく気にしていなかった。チームを立ち上げた時から1番強い関東を目標にしてきた。強いのは分かっているけれど、今シーズン最高のパフォーマンスができると思う」

<左京主将>
「今日は死に者狂いで来る相手に対して受けずに、真っ向から勝負しようと思っていた。意思統一もできていて思い通りにできた。勝因はアタックもディフェンスも激しくできたこと。今日はいい内容だったと思う。決勝で関東とやるというのはスタートからの目標だった。今までやってきたことの精度を上げて集大成にする。思いきりやるだけ。春に比べてかなり高いレベルまで来たと思う。手応えはある。もちろん勝ちます」

<開幕戦の東大戦以来、久々の復帰ながら攻守に大活躍のフランカー上村康太(3年)>
「めちゃくちゃ楽しかった。ケガしている間、みんな頼もしかったけれど、絶対に復帰してやると思っていたし、負けない自信もあった。久々の試合で連携の細かいところで不安はあったけれど、1番大事なのは『激しさ』だから別に気にならなかった。今日は自分のやりたいことはできたけれど、フランカーとして走るということができなかった。これから後藤コーチと鍛えます。治療してくれた先生や、リハビリをしてくれたトレナ―の人への感謝の気持ちは忘れないようにしたい。勝って恩返しします。今日は最高でした」

<試合を大きく動かす2つのトライ。圧倒的な存在感を示したCTB山下大悟(3年)>
「今日は前よりは自信を持って臨めた。相手のあることだけど、コンディションがよかったのでやれると思っていた。西辻さんがいるのはやっぱり大きい。全然楽になった。相手のディフェンスは出てくると思ったけど、単発だった。僕のディフェンスは全然ダメでした。自分のなかでは上がってきていたんですけど(笑)。次に向けていい反省です。ケガして外から見るのも勉強になった。修正するところが見えて、みんなに伝えることができた。今日は気持ちも入っていてディフェンスがよかった。上村のタックルですよ。関東にはあくまでチャレンジャー。ここを目標にしていたので、そこにいけたことを素直に喜びたい。思いきりいくことが大切だけど、特攻隊みたいにいくのではなくて、自分たちの強いところをだしていきたい」

<冷静なゲームメイクで勝利に導いたSO大田尾竜彦(2年)>
「慶応は思ったようなディフェンスではなかった。この間と意識は違っていたけれど、システムは変わっていなかった。向こうのアタックを受けた時、怖いと感じなかった。15分で勝ったと思った。アタックは大悟さんのおかげ。次はそううまくはいかないと思う。今日はディフェンス。ゲイン切られてもしっかり戻っていたし、攻められながら1つしか取られなかった。声も出ていた。決勝は気持ちで負けたくない。強気のゲームメイクをしたい。安定した力が出せるようになってきたと思う。今日はすごく楽しかった」

<ついに戦列に復帰したFB西辻勤(4年)>
「今日はゲームにフィットする前に交代してしまった。ケガしている間は申し訳ないというのが1番。強くなっていくワセダの力になれていないことが恥ずかしかったし、悔しかった。今日は何にもできなかった悔しさを次にぶつけたい。決勝はベストコンディションでいけば問題ない。最高のプレーを見せられるようにがんばる」