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WASEDA FIRST

2023

対東海大戦・観戦記


 まるで「気の抜けたビール」。ぬるい、苦い、そしてマズイ…。「いいゲームをして次に繋げたかった…」(ゲームキャプテン・東野憲照)。2003年ラストゲーム。来るべき『決戦』に向け、誰もが納得、スッキリと1年を締めくくりたいところであったが、残ったのはその後味の悪さだけ。課題は山積み、何ともホロ苦い年越しとなってしまった。
 「こちらが指示したことをやらなかった…」(清宮監督)。フランカー松本允(2年)の嗅覚、WTB首藤甲子郎(1年)のハンドオフ一閃で何とか得点を積み上げたものの、この日のワセダは低調なアタックに終始。主導権を自ら放棄、テンポを落とすキックに積み重なる判断ミス。ハンドリングエラーもこれに加わり、ワセダは本来の形を失った。
 特に深刻なのは「全然ダメだった」(WTB吉永将宏)と肩を落としたBK陣。「もっとワセダのBKとしての誇りを持て」。主将・大田尾竜彦が檄を飛ばすも、最後まで修正されず、FWで崩すのみ。『ヨコのワセダ』、『BKのワセダ』…。燦然と輝いてきた称号も、この日ばかりは色褪せた。
 そして、この試合の「ぬるさ」を象徴したのが「人と人はぶつかっているけれど、止められなかった」(清宮監督)と言うタックルの脆弱さ。「ラグビーの逃げてはいけないところで体を張れなかった」(東野)…、「誰もがしなくてはいけない当たり前のことができていない」(吉永)…。タックルなくして勝利なし。勝ちへの必要最低条件、ラグビーにおいてもっとも重要、かつ、ベーシックな要素だけに早急な改善が望まれる。
 「大田尾には期待している」(清宮監督)。緩いプレーのオンパレード。早明戦後の3試合、足元の覚束ない試合を繰り返したものの、年明け1月2日には大黒柱・大田尾竜彦が遂に復帰。「とにかくひとつひとつのプレーをしっかりとやっていく」…。今必要なのは一本の芯、迸るリーダーシップ。2003年ワセダの顔、希代のスキッパー・大田尾竜彦が眠れるワセダを目覚めさす…<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>

<法大戦での修正を誓う清宮監督>
「今日はヘタなゲームプランを見せてしまった。FWにあれだけ力の差があって、BKの能力も勝っていたら、もっと簡単に崩してトライというのが普通。先週お会いした時に(東海大)木村監督が、法大戦のような試合は絶対にしないと話していた様に、東海大はこの間よりも意識が統一されていた。今日は一概にワセダのデキが悪かったというだけの試合ではないとも思う。SOを替えたのはこちらが言ったことをやらなかったから。指導していないわけではないし、もし指示してなくてあのようなプレーをしていたのならば怒ることはしない。ただ、SOを替えてもあまり変わらなかった。ワセダのアタックはリーダーが戻ってこないと機能しないと改めて感じた。法大戦には大田尾を出場させる。初めから万全の状態になるまで使わないと決めていた。次の試合は大田尾に期待している。CTBの矢富はアタックでこういうプレーをするだろうと想定していた部分を見ていたけれども、そんなによくなかった。元々SHで伸ばしていこうと思っている選手だし、今回のCTBも急場凌ぎの面もある。替わりに入った池上はよかった。どんなプレーをするか分かっている選手を使うか、可能性に懸けるのかという話。チームづくりはうまくいっていないということはないけど、見ての通り順調とは言えない。アタックはやろうとしていることをやっていないから、それをやるだけだし、ディフェンスは人と人は当たっているけど、止められていないので、メンバーを替えるなりして止められるようにする。こういう状況で何とかするのが監督の仕事ですから」

<主将、副将に代わりゲームキャプテンを務めた東野憲照>
「ラグビーで決して逃げてはいけないところで体を張れなかった。芯の強さを出すことができなくてみんな反省している。ゲームキャプテンとして全体を見て、引っ張っていかなくてはいけなかったけれど、最前線にいるとどうしても見えない部分もあって難しかった。体を張れていないのは気持ちはもちろん、技術的な面もある。情けないというか、チームに危機感がない。練習で出ていたミスがそのまま試合で出てしまった。ディフェンスではタックルできていないし、絶対に倒すんだという気持ちが足りなかった。ゲームキャプテンとしていいゲームをして次に繋げたかったんですけど…。ディフェンス時のよくなったと思えるFWのコールとか、いいところもあったけれど、このままではマズイ。とにかく明日の練習から意識を変えてやっていかないとやられる。今日でみんな危機感を持ったと思う」


<苦心のゲームが続くSH後藤翔太>
「とにかくひとつひとつのプレーに精確さがない。本当に情けない。ひとつひとつしっかりやろうとは思っていたんですけど…。まずは目の前のボールをしっかり確保しないと次はない。ひとつひとつのポイントに対して気持ちを入れて、精度を高めていかないと。ディフェンスはタックルを外されすぎ。相手の前に出る意識が強かったとしても、そんなことは関係なくやらなくてはダメ。法政戦に向けてはとにかく厳しさを持ってやっていくしかない」

<ケガから久々の復帰 WTBとして出場した内藤慎平>
「今日は時間も短くて、物足りなかった。練習の時グラウンドで珍しく清宮さんに話し掛けられ、WTBでいくぞと言われていたので、今日もスッと入っていくことができた。ずっとやってきたのでFBでいきたい気持ちもあるけれど、WTBをやることに対して特に抵抗感はない。どちらでも行けと言われたところで行くだけ。ケガしている間は本当に歯痒かった。次の法政戦はワセダにとって大きな意味を持つ試合だと思うし、いい試合をするために上級生としてチームをもっともっと引っ張らないといけないと感じている。とにかくいい状態で試合に臨みたい」


<スクラムサイドを突きまくったNO8佐々木隆道>
「見ての通り、今日の試合は悪かった。フェイズを重ねてのトライというのではなく、一発でいこうとしてしまった。BKのブレイクダウンの弱さとか、タックルの弱さとか悪かったところは色々あるけれど、ディフェンスはよくなってきていると思う。課題はアタック。一発で取りにいくのではなく、もっと単純なプレーをしなくてはいけないと思う。次は竜彦さんも帰ってくるし、ひとつひとつ激しくやっていきたい。泣いても笑ってもあと3つですから」

<孤軍奮闘のWTB吉永将宏>
「ワセダの代表として赤黒を着て、秩父宮のグラウンドに立って戦っているのにこんな試合をしてしまってみんなには申し訳なく思っている。タックルにいくとかブレイクダウンに入るとかは誰もがやらなくてはいけない基本のことなのに、小手先でいこうとしてしまった。こんなプレーをした自分たちに憤りを感じるし、みんなには本当に申し訳ない。スタンドで見ている4年生はみんな悔しい思いをしているはずなのに、責任を持って戦えなかったことを反省しなくてはいけない。負けたらもう先がないんだという意識がなかったと思う。チームが若いとかそんなことは関係ない。赤黒を着て試合に出る以上、責任を持ってプレーしなくてはいけない。その意識が足りない。BKは全然ダメ。今日もFWでやっているだけ。受けてしまって正面で倒すという当たり前のことができていない。竜彦がいないとこんなにダメなのかとイライラしたし、必死にまとめようとしたけれど、責任という部分はとにかくひとりひとりがやるしかない。キレるくらいうるさく言って練習から変えないとダメ。とにかく練習から厳しく」

<最強の後輩誕生? 旭鷲山が熱烈声援!>
 この日、4月より人間科学部通信過程への入学が決まっている大相撲・旭鷲山がラグビー部を訪問。「どうしてもラグビーを見てみたい」。ワセダ大好き、私生活からエンジをこよなく愛する(この日は前から部屋に置いていたという応援フラッグを持参、まわしはもちろん、普段着るTシャツもエンジだとか…)旭鷲山の強い希望により夢の対面が実現した。
 マフラーのプレゼントに終始笑顔の旭鷲山も、ラグビーと相撲の共通項に話が及ぶとマジモード。「いつでも大島部屋にきてください」(旭鷲山)。「是非行かせてもらいます」(清宮監督)。相撲パワーでワセダはさらに強くなる?