「リセットしてもう一度やり直そう」（清宮監督）。失意の大学選手権から一ヶ月。この上ない脱力感、相次ぐケガ、重く圧し掛かる試験期間…。数多の壁を乗り越えて、ついに『大田尾組』が臨戦態勢を整えた。
「試験も終わったし、もうやるだけって感じです」（副将・川上力也）。十分過ぎる頭の体操を終えた『大田尾組』は、この日、日本選手権へ向けた最終調整・コンタクトスーツなし、ガチガチのアタック＆ディフェンスを敢行。激しいタックルに、飛び交う怒号。しばし静寂の時を迎えていた聖地・上井草は、試合さながらの熱気に包まれた。
相変わらずの安定感を見せたＦＷはもちろん（この日もＮＯ８佐々木隆道の動きは秀逸！）、最大の注目は土壇場でついに実現した『４年生バックスリー』（正木健介、吉永将宏、山田智久）。「メンバーは学年ではなく、プレーの優劣で決まるもの。彼等にはその実力があるということ」と、副将・川上も期待を寄せる様に、ここ一番の好プレーでチームを牽引。「やっぱり社会人には、おじさんパワーですよ」（吉永）。「もう若いチームだなんて言わせない」（正木）。豊富な経験と４年の『意地』が、ワセダの命運を握っていると言っても過言ではない。
試合から遠ざかっていることもあり、細かいミス、ＢＫラインのセットなど、修正点こそあるものの、「いい準備ができた」と副将・川上はキッパリ。シーズン当初からの目標は、社会人を倒しての『日本選手権ベスト４』。『大田尾組』のエンディングはまだずっと先にある…。＜早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡＞
＜日本選手権でのベストゲームを誓う副将・川上力也＞
「大学選手権が終わってからは試験期間を挟んで難しい面もあったけれど、今は試験も終わって、もうやるだけだという雰囲気になってきた。まずはコカコーラに勝ってその上のトップリーグに挑戦したい。大学選手権が終わってから４年生の間で、後輩に自分たちの持っているものを残していこうという話をした。下のチームに居るメンバーは、自分たちが先輩たちから伝えられてきたものを伝えて、シニアのメンバーは最後まで、赤黒を着るために諦めないでがんばろうと。社会人相手だからといってやることは変わらないけれど、接点の強さ、個々の強さはこれまでよりも上だと思うので、そこのところでどれだけやれるかだと思う。個人でも、組織でも相手を上回るようなワセダらしい試合がしたい。早明戦から決勝まで毎週試合が続いた時期に比べたら、今の方が激しい練習ができているし、過去２年と比べたら時間もあったので、いい準備ができた。大学選手権ではああいう結果になってしまったけれど、『大田尾組』の『意地』というか、ワセダは他の大学とは違うんだというところをお見せしたいと思いますので、ファンのみなさんには是非スタンドに応援に来て頂きたいです。個人的には最後だからといって気負わずに、自分らしいプレーができればと思います」
＜『おじさんパワー』で活躍を誓う４年生バックスリー＞
―今のチーム状態は
山田：いい感じで来ていると思いますよ
吉永：何人かケガした選手もいるけれど、今日のアタック＆ディフェンスもいいプレーがあったし、だいぶいい感じになってきた
―日本選手権に向けて４年生ではどんな話を
吉永：４年間培ってきたもので、下の学年に残せるものはすべて残そうという話をした。４年で引っ張っていこうと
山田：それは立場とかチームとか関係なく、それぞれができることをしようと。スピリットの部分が大きいですけど
正木：まだ『大田尾組』は終わってないですから。下のチームの奴はポジ練を中心に下級生を指導して、上のチームにいる奴は練習からの態度や気持ちで示すように
―ようやく４年生３人でのバックスリーが実現したけど
吉永：やっぱり楽しいですよ。息もそこそこあっていますし（笑）
山田：そうですね、楽しいです。仲も悪くないですし（笑）。ケガ人が出て得たチャンスですけど、自分としては今が一番キレている時なので、いいプレーができると思います
正木：コミュニケーションはよく取れていますね。お互い分かり合える部分があるというか、気を使うこともないですから。チームワークのよさで勝負です
吉永：（内藤）慎平と小吹（和也）にないとこを生かせればと。１対１でのテクニックとか
山田：３人それぞれ特徴がありますからね。スピードの吉永、強さの正木。自分はキレで勝負。それぞれのいいところ出して、足りない部分を補い合っていきたいなと
―社会人相手にどんな戦いを
吉永：ワセダらしく相手を揺さぶって、僕たちバックスリーを生かして欲しい。関東戦はタテ、タテ中心でいったけれど、最後はＢＫで仕留めたいです
山田：目には目を社会人には社会人をという感じです。僕たち３人はみんな２３歳（それぞれ１浪を経て入学）。半社会人ですから（笑）
正木：そうですね、もう若いチームだなんて言わせないです
―最後にそれぞれの意気込みを
吉永：もちろん少しでも多く試合をしたいという気持ちはあるけれど、ワセダであと何試合できるか分からない。集大成として４年間のすべてを出すので、たくさんの方に応援に来てほしいです
山田：試合に出ることができたら、自分にとっては今シーズン初の赤黒となるので、それを大切にというか、重みを噛み締めつつ、持ち味を最大限に発揮したいと思いますので、応援よろしくお願いします
正木：世間では来年のワセダはどうだとか言われているみたいですけど、僕たちはまだまだこのチームでラグビーをしたいと思っているし、あわよくば『荒ぶる』を歌いたいとも考えている。まだまだ『大田尾組』は終わらせない。負けたら最後なので、１試合１試合悔いのないように全力で戦います
