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Beat Up

2024

全明大戦観戦記


 「ワセダはこういうラグビーをするんだという意思統一が自然とできて、いいアタックができた」(ゲームキャプテン・辻高志)。前週の低調なパフォーマンスはどこへやら、この日は赤黒の伝統工芸が炸裂。絶対に負けてはいけない宿敵を前に、その力を見せつけた。
 紫紺の伝説・吉田義人引退試合。その異様な熱気に呑まれたのか、余りにも気前よく2トライを献上。開始早々、メイジ相手には致命的とも思える12点のリードを奪われた。
 しかし、「アップはここまで」と言わんばかりに、ここから怒涛の『高速』アタックを開始。フッカー阿部一樹のピンポイントスロー(神戸の高森さん曰く、トップリーグでもこれほどのスローイングをするフッカーはいないとか)、ロック高森雅和、NO8佐藤喬輔の豪快かつ、切れ味抜群のラインブレイク、フランカー川上力也のULTIMATEスイープ…。あの頃の『清宮ワセダ』を彷彿とさせる見事な連係で、次々にインゴールを陥れた。
 計9トライでメイジを制圧、この胸のすくようなトライショーでキラリと光ったのがCTB山本祐司。「CTBとしてのあのスキルとディフェンスでの判断力は素晴らしいね」と清宮監督も大絶賛。これぞワセダのCTB(外に開きながら相手を抜いた後半12分のトライは芸術です)。受け継がれる伝統工芸をまざまざと見せつけ、現役へ最高の手本を示してみせた。
 そして即席チームでは崩壊しがちなディフェンスでも、川上、辻の激しすぎるスーパータックルの競演(とにかく凄い…)、CTB艶島悠介のビッグヒットで相手をシャットアウト。最後は凡人には成し得ない独創的な閃き(スーパープレー?)で、味方をも欺き続けた『社長』こと山崎弘樹(世界のトヨタ自動車にお勤めです)がライン際を疾走し、文字通り宿敵に引導を渡した。
 OBの力を結集して掴み取った全早慶明戦3連覇(ワセダ史上初です)は、覇権奪回を目指す『諸岡組』にとってこの上ない最高のプレゼント。OBのみなさん、素敵な試合をありがとうございました。赤黒のプライドに懸けて今年は勝ちます!

<Mrオールワセダ・辻高志>
「今日は気合入りました。昨日ホテルに泊まったんですけど、夜に部屋でアップのTシャツを着てみたときに、おーワセダだって思いましたね(笑)。途中ディフェンスが甘くなったけれど、全体としてはよかったと思います。始めのうちはアタックの方向で戸惑った面もあったけれど、途中からは球が出て、どんどん声も出るようになった。そういった形になれば自然とワセダのアタックができる。ワセダはこういう攻めをするんだというのを、みんな分かっているので。OBもいい面をたくさん持っているから、やっぱり現役も一緒に入って欲しかった。よく分からないですけど、今シーズンのワセダはサインをこなすという意識が強すぎる感じがした。もっとシンプルに前に出ることを考えてもいいかなって。今日のワセダも特別なことはなくて、前に出てるだけですから。(2002年の英国遠征で一緒にプレーした)翔太は自分のことももちろん大事だけど、チームの中心になるだろうから周りもしっかりと見て、引っ張っていって欲しいです。日本選手権で後輩と戦うのは嫌なものですけど、やっぱりやりたいという気持ちもありますね(笑)。今年は楽しみです。まぁ負けないですけど(笑)。オールはきついけどやっぱり楽しい。今日はみんなとラグビーを楽しめました」


<ゲームブレーカーぶりを如何なく発揮したお祭り男・山崎弘樹社長>
「今日はお客さんがたくさん入ってくれて燃えました。ワセダは日本で1番人気のあるチームで、それなりのプレーをしないとお客さんに喜んでくれないですから。赤黒でプレーできるのはやっぱり嬉しかった。できれば現役ともやりたかったけど、それはしょうがないですね。学生には大好きなラグビーを一生懸命やってもっともっとうまくなって欲しい。トヨタはお客さんが入ってくれないけど、学生は人気があってうらやましいですよ。トヨタも他のチームももっとがんばらないとダメですね…。ワセダの試合は見ているし、やっぱり気になります。竜彦や力也、自分が4年の時の1年生ががんばっている姿を見ると嬉しくなりますよ。力也とかはすごく成長したと思いますし。今日もあのタックルに勇気付けられました。先日セブンズの代表合宿で今村とプレーしたんですけど、いいですね。スピードもあるし、体もあるし。色々な経験を積んでラグビーを知ればもっとよくなると思う。ワセダは常に挑戦、進化し続けるラグビーなので、ファンの方にはそれを見続けて欲しいです。必ず結果も出るので、一緒にワセダラグビーを盛り上げていきましょう!」


<獅子奮迅の突進でメイジFWを圧倒した『山下組』・高森雅和>
「どんどん球が出てきて、しかも動くので今日はやりやすかったです。やっぱりワセダのスタイルは自分に合いますね。スタンドで見ている後輩たちが社会人のプレーを学んでくれればと思ったんですけど、フィットネスがなくてダメでした…。今日はワセダの精神力の強さを感じました。最初に2本取られても浮き足立たないし、辛いところで逃げないということを改めて学びましたね。これは神戸にも持ち帰りたいなと。このチームで練習はほとんどしていなかったけれど、いつもやっていることを思い切り出すだけだった。ワセダは戦い方が統一されているし、力強く前に出れれば今日みたいにうまくいけるので。今日は勝ててよかったです。メイジの藤さん(神戸製鋼)は実はロッカーが隣で、色々面倒見てもらったり、アドバイスしてもらったりしていたので、最後に一緒にできてよかったです。今日は藤さんの引退試合だから来たというところもありましたし。後輩の試合はラインアウトうまいなぁと思って見てました(笑)。関東との試合とかを見ると、停滞した時が課題なのかなという感じです。ただやっていることは間違っていないと思うので、がんばって欲しいです。久々の赤黒はやっぱりいいですね。僕は神戸でもワセダ狂って言われてますから(笑)。おい、『荒ぶる』って呼ばれたりして(神戸でのあだ名は『荒ぶる』だそうです)。今でも試合前の夜には『荒ぶる』Tシャツ着て寝て、お守り、お清めも欠かさないですし。今でもワセダを大事にしています」

<引退セレモニーでかつての盟友に花束を渡す今泉清>

<吉田義人選手お疲れ様でした>