『佐々木組』いよいよ確変? 10月30日、この日は第「88」代主将・佐々木隆道「22」度目のバースデー。ワセダを勝たせるために生まれてきた男生誕の素晴らしき日に、対抗戦「33」連勝(ワセダの記録は2引き分けを挟んでの60連勝。引き分けを挟まない連勝記録26は昨年来大幅に更新中!)を成し遂げた。『88・22・33』…。「ものすごいゾロ目ですね(笑)」(主将・佐々木隆道)。何たる巡りあわせ。これはこの先の吉兆か―
キャプテンの誕生日に祝砲連発!と、いきたかったところも、この日はフェーズをまったくと言っていいほど重ねてこない相手に対し、敵陣のセットプレーが皆無に近い状態。「前半は恐らく2,3本。そこがロースコアになった要因だし、選手もいい勉強になったと思う」(清宮監督)と言った様に、ワセダ得意の形になかなか持ち込むができなかった。理想はやはり、敵陣セット→準備されたアタック→1発、もしくは継続してのトライ。執拗にキックで揺さぶりをかけてくる相手に対し、どう対応するのか。バックスリーのキック処理、清宮監督の言うエリアマネジメント。これから待ち受ける終盤戦では、これまで以上の繊細さが求められる。
それでも自陣からの巧みな仕掛け、『音速の翼』、前の試合で一皮、この日で二皮剥けた『菅野エクスプレス』の決定力で必要十分のトライは奪った。ゲームの主導権もしっかりと手元にあった。ロースコアの要因のひとつは、敵陣マイボールセットがほとんど…。しかし、それよりも何よりも、この日本当の課題は、立ってプレーできない1対1の脆弱さ。あっちでバタバタ、こっちでバタバタ。「1発で倒されすぎだ。もっと立ってプレーしろ」(清宮監督)。激しく、強く、1歩でも前へ。選手権連覇、打倒トップリーグへの原点を忘れたことこそが、何より大きな問題だった。これにはハッピーバースデー・佐々木隆道も浮かぬ顔。「キック勝負どうこうよりも、FWの強さがなくて全然ダメだった…」。
エリアマネジメント、立ってプレーする意識、ここぞでのミス。従来あったものから、新たなものまで。この日もいくつかの課題が顔を覗かせたものの、育てながら「勝つ」という命題はしっかりと達成。「もうここまで来たら立ち止まることはできない。僕の代での情けない試合は、もうあの東芝戦だけで十分です」(主将・佐々木隆道)…。「これからもやることは変わらない」(副将・青木佑輔)…。「88・22・33」。次戦はついに帝京との全勝対決。『佐々木組』頂点への道のりは、いよいよ本番に突入する―
<帝京との全勝対決へ更なる激しさを求める清宮監督>
「今日はよくも悪くも曽我部がゲームを作っていたという試合。ケガから復帰して初めての80分。今日は敢えて80分行かせた。トップパフォーマンスを出す条件がいくつかある中で、足りないものが見えたのが今日の収穫。試合の点数をつけるとしたらまさに64点(笑)。前半はエリアマネジメントというか、ゲームコントロールの問題もあって、敵陣でのセットプレーが少なかった。恐らく2,3回。フィールドの選手たちはそんなに考えてプレーしていなかっただろうけど、そこが前半ロースコアだった要因のひとつ。後半の入りはロングキックで敵陣に入ったところから始まってトライ。選手たちもいい勉強になったと思う。(明大スポーツ記者の「1週間何か特別な練習はしてきましたか?」との問いに)ワセダはいつも特別な練習をしています(笑)。曽我部に関しては、やっぱり指導者として疲労が出たところでの再受傷というのが1番危惧するところ。そういったこともあってこれまでは半分の出場だったけれど、そろそろいけるだろうと思って80分使った。それにSOのリザーブを入れてしまうと、他のポジションに支障が出るというのもあるし。曽我部は今日もインターセプトされたけれど、トッププレーヤーならばインターセプトされるのはシーズンに1回であるべき。原因は何か。コース取りか、精神的なところか、ランナーの問題か、映像を見てしっかりと確認して、修正していきたい。パススピードでスペースを支配することがトップリーグに勝つためには必要だと思っている。自分から見ると、9番、10番のパスは他のチームにはないワセダのアドバンテージになると思うので、そこを生かしつつ、逆にそこをマークされるときつくなるので、ウラのプレーもしっかりと用意していきたい。今後もコンタクトスピード、アタックでもディフェンスでもコンタクトエリアでの激しいプレーを求めてやっていく。今日も1人のタックルで簡単にボールキャリアが倒れてしまっていた。そこが連続攻撃できずに、チャンスが少なかった要因。ケガ人は内橋がそろそろ復帰だし、佐藤(晴紀)もそう。今村は早慶戦ギリギリくらいかな」
<22歳の誕生日を見事勝利で飾った主将・佐々木隆道>
「今日は自分たちのやろうとしていたプレーが半分くらいしかできなかった。これからの試合ではひとりひとりの強さをもっと出していかないと、こういう点差にはならない。帝京戦までの一週間でそこをしっかりと修正していきたい。今日はメンバーが替わっていたけれど、コミュニケーションの問題はまったくなかった。練習中からいつも以上にしゃべるようにしていたので。今日64-17という結果に終わったのはひとりひとりの弱さが原因。やろうとしていたことも徹底しきれなかった。BKはBKで行きたがっていたし、FWはFWでって感じで。ただ後半途中からはよかったと思う。今日は相手が常にキックキックという感じだったので、敵陣でのセットプレーが少なかった。キック勝負で負けていたとは思わないし、僕としてはそこは気にしていなくて、それ以外の組み立てに問題があったのかなと。とにかくFWの強さがなくて全然ダメでした…。まぁ今日は曽我部くんで。まさにまあまあという感じ。でも先週よりはよかったと思います。インターセプトで取られた後に円陣を組んだのは、やることを徹底させようと思ったから。こう攻めようとか、ここ攻めようとか。いつも言っているように、もうここまで来たら立ち止まることはできない。誰が出るとか関係なく、大差、圧倒していくだけ。僕の代で情けない試合はさせません。もうあの東芝戦だけで十分です」
<生命線・ブレイクダウンでの不出来を悔やむ副将・青木佑輔>
「今日は接点での2人目が遅かった。2人目が遅れて、クリーンアウトができずに、テンポのいい球が出せないことが多かった。そこでリズムがでなかった。ひとりひとりの立っている強さも足りなかったし、そこに尽きるという感じ。セットに関しては、ラインアウトはよかったけれど、スクラムはまだ崩しきれていない。色々な組み方をしているというのもあるけれど、もっと一気に崩せるようにならないといけないです。今日はケガ人でメンバーが替わったところもあったし、内容的にはほんとまあまあという感じ。課題も出たけれど、それを練習から克服していけば、次はいい試合ができると思う。これから強い相手になってくるけれど、やることは変わらない。練習からやっていくだけです。今日はペナルティーが多くて、イライラしてしまいました…」
<まさに独壇場 復帰後初のフル出場に手応え十分のSO曽我部佳憲>
「今日は前半の最後はきつくて、山岡さんにも切れるなと注意されたんですけど、そこ以外は大丈夫で、80分普通にプレーできました。途中でいつもの悪い癖が出てしまいましたけど、隆道さんに喝を入れられて、ここで凹んでしまったらダメだと思って、うまく切り替えられました。今日はチームどうこうよりも、BKに3年生の名前がたくさんあったのが、とにかく嬉しかったです。どこ見ても3年がいる。それが自分にとって1番大きかったです。今週は練習でめちゃめちゃなところもあったけれど、本音で話し合ったことで、よくなったと思います。ゲームコントロールに関しては、まだ自分にそこまでの余裕はないです。チャンスでいかに精度を上げるか。今日はFWもBKも自分の想像していたよりもできたし、まあまあという感じです。ただ、自分としてはインターセプトされたとき、追いかけなかったことにめちゃくちゃ悔いが残る。あそこは申し訳なかったです…。まだまだこの10番の座も安心できないですし、ちょっとでも気を抜いたらすぐにいかれてしまうような状況。だから毎日気合いを入れてしっかりとやっていかないといけません。ここからが本当の勝負。先を見てはいけないですけど、1年生のときに出られなかった早明戦にも出たいですから。これからは80分いけそうです」
<久々のAスタメンで随所に光るプレーを見せたCTB谷口拓郎>
「今日は前半の最初は自分の強みで勝負できていたけれど、課題である人数の合ったところで前に出ることができなかった。ディフェンスが内に寄っていたので、そこは曽我部とコミュニケーションを取ってうまく攻められたとは思う。チームとしては、BKフェーズでCTBがしっかりとコールを出して、常にいいアタックをしようと意識していたけれど、何のコールもなくボールがきてしまうことが何度かあった。その点で、BKから仕掛けるというところはまだまだだなと。ディフェンスに関しても、敵の攻撃が近場近場で守りやすかったのに、ダブルタックルで絡むべきところを逃してしまっていた。後半は清宮さんからも地域とひとりひとりの強さを言われて、しっかりとできたけれど、そこももっと自分たちから変えられなくてはいけない。CTBとしては、曽我部、矢富にもっと声を掛けていい仕掛けができるように。そこは自分から引っ張っていける三角さんを見習って。これから対抗戦も終盤、個人的にも課題を1日も早く克服していかなくてはいけないです。Aにも残りたいですし、CTBみんなで切磋琢磨して自信をつけていきたいです」
<不完全燃焼 自らの不甲斐なさにガックリと肩を落とす後藤彰友>
「今日は最悪、全然ダメでした…。休んでやって、休んでやってというのがずっと続いて、今日も自分の思っていたようなプレーが全然できなかった。とにかくボールキャリアのときの強さ。自分の好きな形でボールをもらうことができなかった。隆道さん、青木さんといった前に出られる人は今日も出ていたけれど、自分なんかはディフェンスに簡単に倒されてしまって、前に出ることができなかった。最悪です…。今日はセットでもフィールドでもモールが多かった。もっとBKに出して継続していきたかったところもあるけど、拘ってやっていくこともいいことなので、そこは難しいなと。昨年はリザーブ止まり。とにかく今年は試合に出ないと意味がない。今年こそです。内橋さんも戻ってくるので勝負。あがきます」