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2024

対東芝府中 史上最強『佐々木組』涙のノーサイド


 「やっぱり『佐々木組』の最後にふさわしいのは、笑顔、勝利だったんですけどね…」(主将・佐々木隆道)。ワセダ史上もっとも熱く、もっとも屈強な男たちも、溢れる涙を抑えることはできなかった。日本選手権準決勝・早大0―43東芝府中、ぐうの音も出ないほどの完敗…。曇よりとした空に響き渡った悲しきノーサイドの笛は、『佐々木組』、そして清宮ワセダの終わりを告げた。
 誇り高き歴史の中でも、ここ10年、20年経験したことのないような未知との遭遇。それはワセダを更なる高みへと引き上げたばかりでなく、より深い、より大きな意味を併せ持っていた。「俺たちはトヨタに勝ってラグビーの歴史を変えたんだ。でもここで負けてしまったらそれでお終い。明日勝つことで、歴史だけじゃなく今を変えることができるんだ。日本の今を、そして未来を変えてやろうぜ。ワセダのラグビーをもっと多くの人に見せてやろう。この先にはもっともっとすごいものが待ってるぜ。それができるお前たちは幸せなんだ…」(清宮監督)。早大ラグビー蹴球部ミッション:ラグビーを通じて世の中に夢と希望を与える―
 「俺が勝たしたる。俺を信じてくれ!」。史上最高のスキッパー・佐々木隆道の一言で幕を開けた壮大なる夢へのチャレンジ。しかし、そこに待ち受けていたのは、これまで体感したことのない分厚く硬い『カベ』だった。「トヨタに勝ったことで大きな壁を乗り越えられたと思ったけど、その先にはもっと高い壁があった。東芝は本当に強い。でもこれを体験できたのは、すごいことだと思います…」(SH矢富勇毅)。前半は俺たちのアイデンティティ・超魂でモールを止めた。BKも意を決したシャローで前へと出た。後半も確かにゲームは生きていた。それでも…、接点の強さ、痛いプレー、勤勉さ(大きくて強いチームがあれだけ意識の高いでプレーをされたら、それは参りましたという感じです…)は如何ともしがたく、時間の経過とともに『佐々木組』144人の夢は遠のいていった。あのとき胸に入っていれば…、あのプレーを選択してたら…。「非常に悔やまれる。でもそこは相手が素晴らしかった。素直に王者を称えたい」(清宮監督)…。
 日本を変えてやろう、もっとすごいものを見よう。それはワセダだからこそできること。試合前、144人で誓い合ったそんな想いは、国内最強の狼たちにようって物の見事に打ち砕かれた。しかし、「『佐々木組』は今日で終わりだけど、ここからが新たなスタート。4年はそれぞれの道で、3年以下は日本一になれるチームに。僕たちはこんなんで終わるような人間の集まりではありません…」。試合後、これまでと少しも変わらない、いやそれ以上に鋭くまっすぐな目で語った佐々木隆道のこの言葉がすべて。『佐々木組』も、そしてワセダも、終わりではなくこれが始まり。「この5年間負けから色々なことを学んできた。それがワセダの歴史でもある」(清宮監督)、「『佐々木組』のできなかったことを来年また後輩たちが成し遂げる。その歯車がワセダの伝統。これからもそういった形は続いていくと思います」(ロック・内橋徹)。史上もっとも熱く、もっとも泣けた2005-06シーズンは終わりを告げても、ワセダ挑戦の歴史は、その歩みを止めることはない。
 「俺についてこい。俺がお前たちを優勝させてやる」―。すべてが始まったあの言葉から丸5年。ワセダは誇るべき伝統の上に新たな力を加え、劇的な変化を遂げた。対抗戦5年連続全勝優勝、対NZU単独チーム初勝利、悲願のオックスフォード越え、3度の日本一、打倒・トップリーグ…。枯れるほど流した血と汗と涙に、たくさんの笑顔。この5年間の歩みは、いつも夢と希望に満ちていた。
 ミッション:ラグビーを通じて世の中に夢と希望を与える―。後世にまで語り継がれるであろう監督・清宮克幸と、その集大成を最高の形で結実させたスキッパー・佐々木隆道。一生忘れることのないふたりの最後には、東伏見にも刻まれたこの言葉を…。『 Farewells 』、ありがとう、そしていつまでも心の中に―


<最高の5年間 その戦いを終えうっすらと涙を浮かべる清宮監督>
「今日は日本で一番強いチームに対して学生最強のワセダが挑んだという試合。我慢できたところ、できなかったところ、見てのとおりです。素直に王者を称えたい。もちろん、学生たちはよくやった。今日の負けは『佐々木組』の最後にふさわしいものだったと思う。今年のチームも昨年のチームも、この5年間は負けから色々なことを学んできた。それがワセダの歴史でもある。今日の負けがチームの糧になるし、この負けがあるからまた次がんばれる。今日のこの負けがあるから次もある。そういう負けです。そして東芝の薫田さんにはこの場を借りてお礼を言わないといけません。10月の試合でもワセダに必要な負けを授けてくれました。あのときから成長できたか?、それは愚問だと思います。ワセダはあれから全く違うチームになりました。今日もスコアを競っていけば、前半のあのがんばりを続けられたのでしょうけど…。でもあの試合からワセダは間違いなく成長しました。この5年間、毎年毎年前の年を乗り越えようという素晴らしい学生たちでした。私の仕事がどうこうではなくて、毎年与えられた課題、今年で言えば東芝戦、その前だったら関東戦、常にそういうモチベーションを持って強くなってきた。今日はいくつかのミスは相手の圧力によるものだったけれど、最後ゴール前でスクラムを選択していたあたりは、精度が悪かった。なぜそのサインをやるのか、なぜそれで抜けるのか、非常に悔やまれる…。スクラムは計算の範囲内で組めていたけれども、相手のフランカーがついていないのに出してしまったり、そのときそのときの判断、右に行くのか、左に行くのかの判断がうまくできなかった。しかし、そこは相手が素晴らしかったと思います。この5年間、本当にありがとうございました。ファンの皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです」


<史上最高のスキッパー そのすべてを成し終えた主将・佐々木隆道>
「今日で『佐々木組』は終わりましたけど、ここが本当のスタートだと思っています。後輩たちはこの悔しさをバネに絶対に強くなります。そして僕たち4年生にとってもこれがスタートライン。絶対に強くなります。僕たちはこんなところで終わる人間の集まりではありません。この悔しさをバネに絶対上に這い上がってみせます。今日は悔しいですが、自分たちにとって大切なゲームだったと思います。疲れとかは関係ありません。東芝はコンタクトがトヨタよりも強かったです。特に外国人選手は。後半は点差が開いていたので、PGを狙ってもと思いトライを取りにいきました。ラインアウトは…、メインジャンパーがいなくなったこともありますし、相手の高さにやられました。あとはサインを出すところも悪かったです。スクラムはよくできたと思います。スクラムトライを狙ったことを見ても分かるように、押せる自信がありました。いやぁ、悔しいです。今日は東芝が強かった。後半はトライを取るしかないと思ってたんですけど…、やっぱりミスが痛かった。今日は悔しさの方が強いです。清宮さんは最後にふさわしい負けだったと言いましたが、やっぱり『佐々木組』の最後にふさわしいのは勝利、笑顔でした。でも今日で、また上に這い上がってやろうという気が今まで以上に沸いてきました。今までは訳分からず悔しがっていたんですけど、今はすごく明確です。来年からは何回もやれるし、トップリーグで暴れてみせます。それでワセダと対戦します。結果?、ボコボコですよ(笑)。試合後の円陣では、ここで終わりじゃない、俺たちはここから進んでいくんだという話をしました。4年はそれぞれの道でテッペンを目指すし、3年以下はまたこういう試合をして、日本一を勝ち取れるチームになれと。そしてラグビーを続ける奴等は、がんばっていたら絶対にまた同じチームでやれるから。また一緒のジャージーでやろうって。『佐々木組』として何を伝えられたかは、後輩たちが来年見せてくれると思います。今は形として見えないですけど、来年以降それを形で示すことで、正しかったと証明できる。トップリーグ王者になっているであろう僕のチームと、ワセダとでいい試合ができれば。来年のこの舞台です。ただ、ワセダというものを伝えられたという確信はあります。来年のチームがめちゃくちゃになっていたら、それは僕たちの責任です。まぁそんなことは絶対にないですけどね(笑)」


<隆道への溢れる感謝 4年間最前線でチームを支え続けた青木佑輔>
「本当にとても素晴らしい4年間でした。今日は本気で勝ちに行ったワセダに対して東芝も本気できてくれて、あれだけ取られて、日本で一番強いチームの力を見たというか、来年以降につなげられるような試合だったと思います。ノーサイドの瞬間はあぁ終わっちゃったなって…。隆道とはお疲れ様、来年やってやろうぜって話をしました。ラグビーを続けていく以上、このレベルを絶対に倒します。『佐々木組』として後輩たちには、ワセダらしさというものを試合を通して伝えられたのではないかと思います。自分たちのプレーを見て、後輩たちが何かを感じてくれていたらいいなって。スクラムトライを狙いにいったのは、あれは僕たちの拘りです。いけると思ったんですけど、最後のところでうまくいきませんでした…。それと試合を通しては、ラインアウトが悔やまれます…。後輩たちには、今日取れなかったスクラムトライを、この舞台で取って欲しい。隆道に対する言葉、想いは、ここでは秘密にしておきます(笑)。清宮さんに対する感謝の言葉も秘密です(笑)」


<劇的な成長で『佐々木組』の快進撃を支えたプロップ・前田航平>
「もう終わってしまったんだなって…。今日は試合をしていてもすごく楽しかったですし、後半も点を取れる、いけると思ってました。悔しいです…。スクラムはよかったと思います。スクラムトライも狙いにいきましたし。あの場面は自分がもう少し待っていれば、ハタケもきていけたんですけど…。冷静さが足りなかったというか、とにかく押してやろうって。でも冷静さがあったらあそこまで押せなかったんだと思います(笑)。スクラムトライは取れませんでしたけど、トヨタと組んで東芝とやって、ちょっとやれば上のレベルでもやれるんじゃないかという手応えはつかみました。プロップとしてはスクラムへの拘りを後輩たちに残せたと思います。トヨタ戦も今日の試合も、スクラムを安定させられたことでタイトな試合ができた。隆道も青木もジャガーも、低く激しいタックルで相手を倒しまくって、後輩たちにしっかりとワセダを伝えられたはずです。昨年までの3年間は、この最後の1年のための下積みだったと今は思えます。最後の年に赤黒を着て、選手権獲って、トヨタにも勝って、本当に最高でした。ポジ練で小山さんにいじめられようが、後藤さんに蹴られようが、それがすべて報われた気分です。後輩たちには、ただ漠然と練習するんじゃなくて、いつまでにそれを達成するんだという明確な目標を持って取り組んでいって欲しいです。こいつらならやれると思います」


<5年間の集大成 すべてを成し終え晴れやかな表情を見せる内橋徹>
「もう完敗です。素直に東芝が強かった。ラグビー人生最後の試合の相手があんなに強いチームでよかったです。トライを取るチャンスはあったんですけど、そこで取りきれず…。それでは勝てないです。ラインアウトに関しては、本当に悔やまれる(体をガンガン当てられ…)。豊田がいなくなったのはたしかに痛かったけど、たとえいたとしても苦しかったと思う。モールもどこを止めていいのか分からないというくらい強かった。昨年は終わった瞬間、またすぐラグビーがしたいと思ったけれど、今年は出し尽くした感でいっぱいです。負けて悔しいですけど、モヤモヤした気持ちもまったくなくスッキリしました。後輩たちには言葉でどうというよりも、見てどう感じてくれたか。自分は体を張ってやれることはすべてやった。それを見て後輩たちが何を感じてくれているかです。スクラムトライ、したかったです。あそこはチャンスでしたし、いったと思ったんですけど…。でもあれがワセダFWの拘りです。僕は5年間純粋な清宮チルドレン、清宮さんには本当にありがとうと言いたいです。『諸岡組』の奴等にも胸を張って会いにいけます。『諸岡組』のできなかったことを『佐々木組』がやって、『佐々木組』のできなかったことを来年また後輩たちが成し遂げる。その歯車がワセダの伝統。これからもそういった形は続いていくと思います」


<最高のワセダフランカー すべてを出し切り涙に暮れる松本允>

「今はまだ何も考えられない状態です…。やっぱり純粋にこれだけの差があったんだなって。本当に悔しいです…。ノーサイドの笛がなった瞬間は、これで本当にワセダでのラグビーが終わってしまうんだなって。本当に寂しかったです…。トヨタ戦、そして今日の東芝戦から後輩たちが何を感じてくれるか分からないけれど、僕らが先輩たちから教わってきた『ワセダ』というものは、少しは伝えることができたと思います。僕のプレーから何かを感じてくれたのであれば、後輩たちにはそれを大事にしていって欲しいです。最後はこのグラウンドで、このジャージーで試合をすることはもうないんだなって、本当に色々な思いが駆け巡りました。この4年間は今までの人生の中で最高の時間でした。清宮さんには本当に迷惑も掛けましたし、今日勝って恩返し、思いに応えたかったんですけど…。清宮さんにはひとりの人間として成長させてもらいました。言葉で言い表せないくらい感謝の気持ちでいっぱいです」


<決意の涙 この悔しさから来シーズンへの飛躍を誓うSH矢富勇毅>

「まだ『佐々木組』が終わってしまったんだという実感がないというか…、今日は自分が不甲斐なかったです…。4年生を本当に勝たせてあげたかったなって。今日はここを攻める、そこで球が出ていればというところでミスが出てしまって、いつものプレーができなかった。それがすごく悔やまれるし、そこで流れが変わってしまった。ただ、東芝はブレイクダウンのところでものすごい圧力があったし、本当に強いチームでした。試合後、隆道さんには来年だぞ、やってくれって言われました。『佐々木組』からもらった1番のものは気持ちです。それは何に対してでも。ワセダのラグビーをやる上での気持ちをすごくもらいましたし、言葉では言い表せない大事なものをもらいました。今シーズンここまでこれたのも『佐々木組』であればこそです。本当にいい財産をもらいました。3年生としては今日のここが新たなスタート。さらに大きな壁があった。トヨタに勝ったことで大きな壁を越えたと思いましたけど、その先にはまたさらに大きな壁があった。でもこれを体験できたのはすごいこと。今日からが新チームの新たなスタートです。この悔しさをバネに、個人的にも通用しなかったところをまた明日からやっていきたい」


<『佐々木組』への溢れる感謝、更なる飛躍を口にするFB五郎丸歩>
「ターゲットであった打倒・トップリーグも達成することができましたし、もちろん今日の試合は悔しいですけど、来年以降につながる1年だったと思います。『佐々木組』にはひとつひとつのプレーに対する拘り、常に下から見ていく気持ち。どんなに強くても足元をしっかり見てやっていくという、僕たちにはない本当にいいものをもらいました。今日は接点で負けてしまってつながれたのがすべて。ディフェンスはきつかったです…。毎年いい選手も入ってくるし、すごいプレーをできる人もたくさんいますけど、今年のチームが見せてくれた拘ったプレー、小さなプレーを来年以降もしっかりやっていかなくてはいけないです。しっかりと拘りを持って。来年はこれを越えられるように。周りから前の年と同じと言われるのは悔しいですから。隆道さんには本当にお疲れ様と言いたいです。こんなに個性の強い集団を嫌な顔ひとつせずまとめてくれて、ここまでこれたのも隆道さんがいてくれたから。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

<『佐々木組』最後の挨拶 一年間熱きご声援ありがとうございました>