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2024

対関東学院大 『東条組』はこれで終わってしまったのか―


 「夏秋、もう死ぬ気でやっていくしかない。俺が1番体張るからみんなついてきてくれ」―。夕刻の秩父宮、失意の円陣で発せられた東条雄介魂の叫び。3-20。あの大切な大切な、すべてが決まると意気込んだ『春関東』での惨敗。2006年6月25日、果たしてそれは『東条組』終焉のときを意味するのだろうか…。
 とにかくこの日は、相手キックオフからのファーストコンタクトがすべてだった。殺気すら覚える関東の激しさ、揺ぎ無き意志の前にNO8豊田将万がまさかの脳震盪。『諸岡組』、そしてレジェンド『佐々木組』が築き上げてきた対関東の鉄則 : 「局地戦で怯んだら負け」。あの関東FWの勝利を確信したかのような活気。大切な試合の入り、しかもファーストプレーでのグラツキは、紛れもなく「敗北」への第一歩だった。「ラグビーの原点、格闘する、ファイトの部分で負けてしまっていた…」(主将・東条雄介)。
 そしてこの「鉄則」破りがもっとも差となって現れたのが、ワセダの生命線、かつ最大の強みであったはずのブレイクダウン。立てず、剥がせず、押し返せず…。あってはならない完全敗北。ここぞの試合では必ず接点を制圧してきた『激しさ』、『拘り』、他にはない『意識の高さ』は完全に影を潜めた(はたまた失われた?)。
 さらにこの試合深刻だったのは、昨シーズン眩いばかりだった「個の輝き」、「溢れる個性」が激しく失われてしまったこと。あれほど末恐ろしさを感じさせた豊田将万のしなやかなラン。フィールドを我が物にし、首脳陣までワクワクさせてくれたHB団のキラメキ。ひとりふたりは当たり前のように外しトライを演出した五郎丸歩の爆発力。CTB陣の胸のすくような仕掛け。ついでに言ってしまえば、精神安定剤ともなっていたあのセットの磐石さ(この日はまともで意図のあるアタックは片手で数える程度…)。見る者を虜にした、それらの輝きは一体どこへ…。「型がなければ、個性も生きない。型があって初めて個性が生きる。そして人による差別化が出てくる」―。清宮前監督はそのすべてを終えた2月の末、そう話したことがあるが、この日のワセダには「個性」はもちろん、その『型』と言えるものすら感じることができなかった(途中からは無秩序とも言える状態に…)。ブレイクダウンの復活は言わずもがな、確固たる『型』、セオリーの再構築が、今のワセダには求められている。
 「これで決まる。そういう試合…」。あれだけ大事だと言い続けた『春関東』で喫してしまった、ワセダらしさの欠片もない、悲しき敗戦。ジンクス、過去の歴史はともかく、今間違いなく言えるのは、今年のワセダはこのままだと宿敵・関東学院には勝てないということ。2006-07・『東条組』はこれで終わってしまうのか。はたまたかつてないドラマを演じるのか。もう後がない、再戦の場は8月20日菅平―


<ブレイクダウンの差を痛感 ジンクス超えを誓う中竹監督>

「Aチーム今季2度目の黒星になってしまったけれど、基本同じパターン。ワセダのリズムが作れないとき、前に行こうとしてもうまくいかずに焦ってしまう。相手のゆったりしたペースに乗ってしまったのが敗因。特に前半は何もしていない。ラグビーをすることができなかった。休憩か何か分からないブレイクがいくつもあって、上げていきたいところで上げていけなかった。リズムを作ろう作ろうと思っていたけれど、だんだんと時間がなくなっていって、ちょっとずつ崩れていってしまった。相手の意識が高いところを攻めてしまっていた。関東のあのブレイクダウンを支配、超えていくことができないとワセダは機能しない。HB団がどうこうというよりも今日はそこ。春に勝った方がそのまま冬も勝つというジンクスを感じていて、学生たちはショックだったと思うけれど、私自身はそれを変えたいと思っている。既にいくつか負けてしまったけれど、苦しみながら、本気でやって取り返す。ブレイクダウンは相手のプレッシャーが強いとみんな倒れてしまう。相手の方が多く着ているわけでもないのに、プレッシャーを感じて寝てボールを出そうとしてしまう。今年は接点でボールを動かそうという練習をしているけれど、自分から寝てしまうとそれができなくなる。関東のブレイクダウンも寝るスレスレできているし。関東のプレッシャーが強かったけれど、ワセダはもっと立ってプレーしなくてはいけなかった。夏までにブレイクダウンの強化と激しさ、個の力をもっと極めないといけない」


<今こそ真価が問われるとき 早くも試練のときを迎えた主将・東条雄介>
「今の段階では関東より力が下ということです。1番大切なところ、ボールへの働きかけ、ブレイクダウン、これまで取り組んできたところで負けてしまっていた。組み立てとか、どういうプレーを選択するのかといったところはこれからやるところだけど、ラグビーの原点、格闘する、ファイトの部分で負けていた。関東はそこのところをものすごく意識していた。ワセダの生命線でもあり、課題でもあったブレイクダウンで負けていたし、イーブンボールへの働きかけも関東の方が上だった。1対1のドライブ、2人目の反応、そこで圧倒できるようにならないと関東には勝てない。今日はそこの部分で相手を乗せてしまった。FWで来るだろう来るだろうと思ってはいたけれど、自分たちがまだ甘かったということです…。ブレイクダウンで押されてしまってフォローが遅くなったり、とにかく2人目のところで関東に負けてしまっていた。ワセダがやらなくてはいけないところなのに…。シンビン(開始早々の5分にハイタックルでCTB須藤が一発シンビン)もあったけれど、焦ったということもなかったし、入りのところは勝敗とは関係ない。今日は疲れたとかそんなんではなく、試合が終わったら負けていたという感じ。ただ相手のペースに付き合って、最後に取られて負けた。取るべきところで取れなかったし、自分も含めて絶対にしてはいけないところでミス、ペナルティーを犯してしまった。それで常に流れが向こうにいってしまった。もう一回強くてデカイ相手に対して、激しさ、反応、ワセダの伝統、これまで培ってきたもの、自分たちが取り入れるべき新しいものをやって、経験を積んでいかないといけない。自分はとにかく先頭に立って体を張ってやっていきます。誰もがついていこうと思えるキャプテンになります」


<不甲斐ないプレーの連続に試合後猛省のSO曽我部佳憲>
「関東の方が直向きで強かった。今日はワセダとして何もできませんでした。須藤がいきなりのシンビン、谷口も退場といつもは起きないことが起きて、これは我慢の試合だと思ったんですけど…。プレーが途切れ途切れで乗っていけない面もあったけれど、ブレイクダウンのところで負けてしまっていた。関東はそこが強かった。向こうは試合中ずっと弱ぇ弱ぇって言ってましたから。HB団も全然で申し訳なかったです…。夏に向けてはもう初心に帰ってやるだけ。それができればいい結果がついてくると信じています」


<こちらもいいところゼロでガックリと肩を落とすSH矢富勇毅>
「一言で言えば、ワセダは関東にすべての面で圧倒されていた。特にブレイクダウン。チームとしてどうこうより、個の強さで負けていた。自分も含めて、慶應戦の負けから成長できていなかったということです。トライは僕のパスミスです…」


※夏合宿(8月8日~8月27日)の試合予定は現在のところ調整中です。春シーズン終了後、決まり次第お知らせ致します。なお、現在決定しておりますAチームの試合は、8月20日の対関東学院大戦(同日にBCD戦も実施)、8月26日の対慶大戦(招待試合。於:サニアパーク、13:30KO)の2試合です。