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Beat Up

2024

対全明大 ワセダ、痛恨の一敗…


 失意のノーサイドから1時間。ファンクションで全明大・黒崎監督はキッパリと言い切った。「12月、国立で明治は復活します!」。んっ?、12月…、国立…、これは『早明戦』での勝利宣言? 力強いその言葉は、敗戦後に聞くにはあまりに刺激的なものだった。昨年の慶應に引き続き、今度は明治にキッカケを与えてしまったか―
 紫紺がほくそ笑むのも無理はない。この日はラグビー=スクラムという典型的な試合。ファーストからバッタリと崩れ落ちると、その後も気がめいるほど防戦一方。駆け引きの勝負はともかく、後ろを含めた超ヘビー級の重さはどうすることもできず、開始から僅か15分、きっれ~にスクラムトライを奪われた。まるで教科書に出てきそうなほどの美しさ。ラグビー=スクラム、スクラム=明治? 「スクラム、きつかったです。BKは全然ボール持ってないですから。全部8が持っていって~というのは試合を組み立てていく上では厳しいですよね…」(No8松本允)。加えて、CTB山口大輔(相当うまかったです)を中心とするBKの仕掛けにも手を焼き、この時点で相当な覚悟を要された。
 ここはひとつ、軽快にボールを動かして…。ならばと、こちらもお家芸の展開を試みたものの、あろうことか今度は自分たちからミスを連発。もうひとつの生命線・ラインアウトもまったく合わず(先週のケガ人続出でメンバーが替わった影響?)、アタックの時間はほとんどなかった。セットからの有効な仕掛けは皆無、ブレイクダウンでも後手を踏み、いざ継続したかと思えばイージーミス…。おまけにペナルティからのタッチがインゴールを割っては(0-7だった前半30分のミスは痛すぎ…)、トライなど取れるはずもなかった。
 それでも後半10分には、いやらしさ200%松本允のインターセプトで7-14。その後も幾度となくゴール前に迫り、同点どころか、一気にひっくり返すチャンスさえあった。しかし…、「敵陣に入ったところでうまく仕留めることができず、最終的には切れてしまった」(キャプテン・辻高志)と言ったように、この勝負どころをセットの乱れから逃した時点でジ・エンド。それまで耐え抜いていたのがウソかのように、残り10分は完全に気持ちが切れた。その後は明治お約束の…
 14-31。覇権奪回第一弾の思惑はもろくも崩れ去った(優勝は協会預かり)。紫紺を前にひれ伏す赤黒を久々に見た。現役メンバーの底上げが急務であることも痛いほど分かった。ワセダとしては堪らない? 「これが明治のラグビーじゃ!」と言わんばかりの迫力ある『前へ』の姿は、ついに来るかと感じさせた。
 今年もなかなかに厳しい道のりが待っているのか。現役よ、この言葉を忘れるな。「12月、国立で明治は復活します!」。この日は高い授業料。勝つためにワセダは何をしなければならないか。現役のみなさん、分かってますよね―


<敗戦にガッカリも成果を口にする今駒監督>
「今日は納得できる試合ではなかった。セットプレー、スクラム、ラインアウトの精度が落ちて、ゲームを作っていく上で厳しい展開になってしまった。ボールを動かしていくイメージだったけれど、明治のよさを殺すことができなかったという感じ。ただ、試合のデキはおいといて、今回のオール早慶明は、明治もいいメンバーできてくれて、ワセダのデキは悪かったけれど、この時期にしては真剣勝負ができたと思う。難しいのはこの時期のフィットネスと、チームとしての合わせ。そこをしっかりやらないと満足するゲームはできないなと。そこは次への課題。今回は例年と比べてかなりのメンバーが集ってくれた。この形を来年以降も継続していきたいし、選手たちもそれぞれのチームに帰って活躍すること、活躍してまたオールに出るんだという気持ちでいて欲しい。自分も広く見ていこうと思っているし、OBも常に見られているという気持ちで。今回はこういう結果で終わってしまったけど、ワセダの最強チームがオールワセダだという第一歩は踏み出せたと思う」


<痛恨の敗戦に責任を感じる全早大主将・辻高志>
「残念ですね…。自分も大事なところでディフェンスミスしてしまって、非常に申し訳なく思ってます。今日は明治の接点が強くて、いいプレーができなかったけれど、個人的にはおもしろい早明戦でした。僕の中では早明戦といえば、タックル。明治があれだけガンガン来てディフェンス、ディフェンス。自分としては堪らない展開、好きな展開でした。ディフェンスはがんばってはいたんですけど、敵陣に入ったところでうまく仕留めることができなくて、最終的には切れてしまった。最後はチームとして切れてしまったという感じです。桜井はすごくがんばってましたよ。あのプレッシャーのなか、あれだけ捌けたら十分。今年のワセダを引っ張らないといけない奴だから、落ち込むことなくがんばって欲しい。今年はいいメンバーが揃ったのに、勝つことができず責任を感じてます…。また来年の目標ができました。しっかりと体を作って、リベンジしたい。今年でOBが集る雰囲気はできたと思うので、あとはいかにこの時期にフィットさせるか。社会人としては難しいところだけど、そこをしっかりとやっていきたい」


<現役ラストマッチ 赤黒で最後の勇姿を見せた高森雅和>
「今日で引退です。トップリーグが発足して、社員であっても労働時間は著しく制約される。その状態のまま10年続けるのは会社員としてはどうかという思いがずっとあって、プロ契約を選択した。そのときから4年ぐらい思い切りラグビーやって、残りの人生は違うことをしようと。だから引退は昨日今日で考えたことでなく、前々から考えていたことです。そんなところで、今年いい出会い、いいサポートがあって、やりたい仕事が見つかったので、思い切ってそっちをやってみようと思いました(4月からはあの広告代理店にお勤めです)。今まではラグビーのきついところで100%やったので、今度は仕事で100%きついところで。このプロとしてラグビーをしていた4年分を取り戻すためにもがんばります。今日は縁あって最後の試合を赤黒でプレーすることができて本当に嬉しかったです。プレーは不満足でしたけど(笑)。やっぱりあの状況で存在感を見せるのは難しいです。常に劣勢でしたから。ただ、そんななかで辻さん、小泉さんという尊敬する先輩たちとプレーできて本当によかったなと。ずっとオールに出てくれというメールが来ないかなって思ってました(笑)。今駒さんからメールが来たときは本当に嬉しかったです。あっ、これで引退試合にできると。会社には2月の終りには退社することを伝えていたので、そこからずっと走ってきました(笑)。試合に関しては…、みんな一生懸命やったんですけど…、ちょっとの差だったと思います。本当にちょっとしたところの差。スクラム、ラインアウトが劣勢だとどうしても苦しくなる。プレッシャーを受けると3列としては何もできなくなりますから。でも、ラインアウトはもっと取ってあげないといけなかったし、競りにいかないといけなかったし、今日は自分を含めたOBの責任ですね。現役の試合は決勝は見てましたけど、まさか負けるなんて思ってなかったので、ショックでした。ただ、OBからああだこうだ言われなくても、分かっているというか、本人たちは命懸けでやってるんですから、言うことはありません。もちろん昨日の練習のように、例えばスクラムの組み方だったり、アドバイスをしたりはしますけど、ああだこうだはないです。自分が学生の頃を思ってもそうだし、今の学生だって命懸けでやっていたわけですから。影ながら応援するだけです。名もない高校からワセダに来て、まさか試合に出られるようになるとは思っていなかったし、神戸でやれるとも思ってもいなかった。いい縁があってここでラグビーができたことに本当に感謝です。一生懸命やったし、悔いはない。次はラグビー選手がビジネスの世界でも通用することを証明できるようにがんばります。大悟が花束を持ってきてくれたときはビックリしました(笑)」


<現役への溢れる愛情! 2試合通して存在感を見せ付けた松本允>

「残念です…。セットプレー、スクラムもラインアウトも安定しなくて。スクラム、きつかったです。僕が下手だったというのもありますけど…。8は無理ですね…。今日はFWに尽きます。BKは全然ボール持ってないですし。全部8が持っていって~というのは試合を組み立てていく上では厳しい。自分も全然走れてなくて、ちょっとひどかったですね…。来年以降も機会があればオールには参加したいと思ってます。リベンジです。早慶戦、早明戦は自分にとっても特別ですから。今日は隆道来てましたね。あいつ早慶のときも「俺がいたらもっと~」って言ってました。なら8で出てくれって感じです(笑)。自分も来年からトップリーガーなのでがんばります。今体を大きくしてるんですけど(93キロ)、走れなくなってます。現役にですか?、自分は偉そうなことは言えません…。前回(九電戦)反響がすごかったですから。松本偉くなったねぇ~って(笑)。現役にはとにかくがんばって欲しいです。現役からは常に刺激をもらいますし、自分も与えられるようにがんばります」

<3月25日と言えば…、『東条組』ホロ苦卒業式 卒業証書は…>


全早大出場メンバー
1伊藤、2種本(入替→71分安福)、3市村(入替→40分横谷、入替→70分岩下)、4小泉(入替→62分小塩)、5桑江、6高森、7笠原、8松本

9辻(入替→58分櫻井)、10武川(入替→66分久木元)、11池上、12菊池、13平野(入替→40分勝田)、14菅野、15高橋

得点
トライ:松本、池上 ゴール:武川1、高橋1