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2024
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対釜石シーウェイブス ザ・ファーストゲーム

 『豊田組』、イーハトーブへの第一歩― 2008年5月18日、ところは宮澤賢治の愛した岩手県は盛岡市。美しき自然と温かな人々に囲まれて、新生ワセダはその航海をスタートさせた。ゆっくりと…、とてもとても穏やかに…。
 超ドキドキ、何とも言えぬ気持ちで迎えた第一戦は、まぁ毎年のよくある形。理想と現実のギャップ…。トレーニングと実戦との感覚のズレ…。開始から随所に所信表明は見せるものの、誰しもの胸にあった「圧倒」「会心のロケットスタート」からは程遠かった。強烈な風下の前半は敵陣に入れば一発でスコアすれど、ほとんどの時間自陣に釘付けでひたすら我慢。クラシックオールブラックス・SOアラティニには手も出ない(ウラ取られてオフロードの嵐)。ビデオで見たのと全然別のチームじゃん…。「そんなに簡単にできたら苦労することはないんですけど、今日はやろうとしたことができず、みんな迷いながらプレーしているのが分かりました」(副将・瀧澤直)。「受けて受けて、練習でメインにやってきたことができなかった。モールでFWにプレッシャーが掛かって、SOが内に、ピラー2くらいの位置にきて、出るに出られない。それでも前に出るディフェンスがしたかったんですけど…、難しかったです」(副将・長尾岳人)。
 前半を終えて14-19。どこかで爆発するだろうけど、もしこのままズルズルいってしまったら…。そんなことが頭をよぎりかけたとき、フィールドの空気を一変させたのが、気合いの坊主・SO山中亮平が見せたスーパーロングキック。5分、自陣ゴール前5mのペナルティから左足を振りぬくと、ボールは見たことないような弾道で、遥か彼方のコーナーフラッグへ向け一直線。どんだけ~! 敵陣5m地点にボールが落ちた瞬間、赤黒ジャージーに火が付いた。
 そこから2つのラインアウトミスを挟んだ3分後にはモールを押し込んでまずは同点。15分、滑らかな継続から最後はフッカー有田隆平の力業(もうひとりの坊主も抜群でした!)。19分、ターンオーバーからの切り返し。28分、小峰徹也のラインアウトスチールからWTB早田健二のビッグゲイン…。テンポこそ上がりきらなかったものの、怒とうのトライラッシュには08ワセダのエッセンスがギッシリと詰まっていた。
 そしてそして圧巻だったのは、スコア直後(28分)のキックオフレシーブから見せたノーホイッスルトライ。SO山中亮平のキックダミー → FB中濱寛造のハンドオフ3人落とし → 敵陣10mで山中にリターン → 相手の背中を通して最後は小峰。まさに『Dynamic Challenge』! 3人のセンスが見事に調和したスーパートライはこの日のハイライト、かつ、東京―盛岡間片道新幹線代くらいの価値はあった。流れを変えた前述のミラクルキックといい、ここぞの仕掛けといい、山中亮平は元日の書初めの如く「日進月歩」。これからがますます楽しみ。しばらくチームを離れてしまう(25日夜ホテル集合のため、U20組が試合に出られるのは24日まで)ことは残念だけど…、来週からは桜のジャージーで思い切り世界のホンモノたちと勝負して来い!
 …と、ここでゲームが終っていれば、もう少し気持ちよく東京に帰れたはずも、人の出入りが激しくなった残り5分で立て続けに失点し、テンションもダダ下がり…。最後の5分に限った話ではなく、試合を通してディフェンスセットがままならず、タックルを外されてしまった点は、大きな大きな課題となった。「終始圧倒することができなかった。ひとつひとつのタックル、ボールキャリアの強さを欠いて、どこか相手に余裕があったと思います。脅威を与えることができなかった。ワセダが一番大事にしているところで圧倒できなかったのは大きいです…」(主将・豊田将万)。「練習からセットを意識してやってきて、今日のテーマもディフェンスセットだったにも関わらず、唯一やってきたそこができなかった。まずブレイクダウンで受けているところがあった。いいタックルはあっても、そこから楽に球を出されてしまった。あとは純粋なフィットネス不足。まず人を立たせることから始めないといけないです。そこができないとタックルだの、アップだの言ってられないですから…」(副将・瀧澤直)。
 試合後、選手たちからは次々と反省の弁が出てきたものの、よく考えてみたらまだまだ初戦。いきなりすべてがうまくいくはずもなく、『荒ぶる』を獲った年でも会心のゲームをした記憶はほとんどなし(『佐々木組』も『権丈組』も…)。「最初から全部が全部できていたらつまらないじゃない(笑)。これからやることたくさんあるなぁと楽しみ。向いている方向はしっかりひとつになっているしね」(中竹監督)。この時期、こんなにも明確に課題を認識できたのは、なかなかに大きなこと。今すぐにとはいかないかもしれないが、ここさえできればの道筋はしっかり見えたぞ。さぁ『豊田組』、みんなで作ろう!『荒ぶる』ためのイーハトーブを!


<チームのコンセンサスに今後への手応えを感じる中竹監督>
「今日のマッチスローガンは『Dynamic Challenge』で、ミスもあったけど、みんなよくチャレンジしたねと言えるような試合にしたかった。その点では非常に残念…。もちろんまったくダメだったわけではないけど、全体で言うとできていなかった。まだまだチャレンジする土台を作らないといけないんだなと。ディフェンスしかやっていないのに、あれだけ取られてしまうのは取り組みがまだまだということ。タックルに入れていなかったのは大きな課題。今の時点では、正直アタックは評価の対象になっていないし、こんなにたくさん点数が取れるとは思っていなかった。ボールキャリアがすぐに倒れてしまっていたのは反省点。この春はディフェンス、個々のタックル、ボールキャリア、スイープの4つを言っているけど、それらがダメだったのは残念だった。けど、最初から全部が全部できていたらつまらない(笑)。これからやることたくさんあるなぁと楽しみ。それに今日よかったと思うのは、俺ができなかったと考えていたことと、学生のみんなが同じ反省を持っていたこと。まったく同じ感覚で、もっとこうできたという話ができたし、向いている方向はしっかりひとつになっているなと。あとは修正していくだけと思えば、すごく楽しみ。試合後学生たちが笑って満足してたらどうしようと思ったけど(笑)。みんなも口にしていたディフェンスセットに関しては、まず動き出しが遅すぎるし、そこにいても何も仕事をしない状態が長すぎる。もうここは鍛錬あるのみです。そのためのフィットネス、ひとりひとりの責任感。まだまだひとつの仕事で終ってしまっている。今日の試合で春の計画が変わるということはない。昨年の高麗大戦と同じような感じかな。今日はみんな考えてプレーしていたことは評価できるし、チャレンジしきれない部分はあったけど、次は期待してます。これは『荒ぶる』を取るための第一歩。このチームがこんなになったんだと、想像できない様なチームを作っていきます」

<スタンド観戦にイライラ? 初勝利に胸を撫で下ろす主将・豊田将万>
「今日は初戦でしたけど、正直フラストレーションの溜まる試合でした…。終始圧倒することができなかった。相手にプレッシャーを80分間与え続けることができなかった。ひとつひとつのタックル、ボールキャリアの強さを欠いて、どこか相手に余裕があったと思います。脅威を与えることができなかった。ワセダが一番大事にしているところで圧倒できなかったのは大きいです。今はディフェンス、ブレイクダウンの練習しかしていないんですけど、まだまだ全然。まず今日出た課題を改善できるようにやっていかないとダメですね。まぁ、でも課題も多く残る試合ではありましたけど、勝負には勝つという最低ラインは守ったのでよかったです。テーマであった『Dynamic Challenge』については、風上に立った後半は積極的にボールを動かしにいけましたけど、もっともっとチャレンジするシチュエーションを作っていきたい。今日はまだまだ少なかったですから。80分通して勝ちに拘る気持ちが今日は全員足りなかったと思います。次は絶対に負けてはいけない相手。今日みたいな試合にはならないように、全員で向かっていきます」


<至らなさは重々承知 今後へ向けしっかり頭を整理する副将・瀧澤直>
「今日はチームを任されたんですけど、いい形とは言えなかったです。練習からセットを意識してやってきて、今日のテーマもディフェンスセットだったにも関わらず、唯一やってきたそこができなかった。『Dynamic Challenge』の面でも、堅く堅くいってしまって反省ばかりです。そこでチャレンジして、ディフェンスはしっかりセットして、点はそんなに取れなくても取られずにロースコア。そんな展開にしたかったんですけど、そうはいきませんでした。セットできなかった理由は、まずブレイクダウンで受けているところがあったこと。いいタックルはありましたけど、そこから楽に球を出されてしまった。あとは純粋なフィットネス不足。まず人を立たせることから始めないといけないです。まぁ、そんなに簡単にできたら苦労することはないんですけど、今日はやろうとしたことができず、みんな迷いながらプレーしているのが分かりました。スクラムに関しては、いい感じで組めていたと思います。キックオフターンオーバーもよかった。ラインアウトはマイボール90%、相手ボール50%という目標を立てて、実際相手ボールもしっかり競りにいけてたんですけど、マイボールでのミス、大事なところ、いい流れのところで失ってしまって、そこはFWの責任です。これからに向けて色々とやらなくてはいけないと思いますけど、やっぱり今年もディフェンスを芯にしたチームにしていきたいと思っているので、まずはディフェンスセットからやっていきます。そこができないとタックルだの、アップだの言ってられないですから。Aチームの試合は『荒ぶる』まで数えるほどしかない。そのなかで、今日のような試合をしていてはいけない。次の慶應戦では今日のことを踏まえて、決勝に近づいたといういい試合をしたいです」


<存在感抜群!この日も攻守に効きまくった副将・長尾岳人>
「今日はファーストゲームということでどうなるのか不安な気持ちもありました。とはいえ、やることはシンプルだし、大丈夫だろうと思ってたんですけど、前半は自陣釘付けで受けて受けて、練習でメインにやってきたことができませんでした。モールでFWにプレッシャーが掛かって、SOが内にピラー2くらいの位置にきて、出るに出られない。それでも前に出るディフェンスがしたかったんですけど…、難しかったです。相手のSOにプレッシャーを掛けよう掛けよう言ってはいたんですけど、内を切られて裏にでられる場面が多かったのかなと。ピラー1,2,3、内側の圧力、チームとしてちょっと甘かったと思います。僕自身に関しても、ノットリリースを取られたり、一発で倒されてしまったり、反省だらけです…。個々の力が強い相手にはショートステップでズラさないといけないのに正直に行き過ぎました。テーマであった『Dynamic Challenge』については、点差がついたなかでは思いきりよく色々できますけど、もっとイーブンの状態からでもいけるようにならないといけないです。点差がついたなかやるのは誰でもできますから。今日もFWのモールに頼ってしまったり、それは試合展開としてはいいのかもしれないですけど、『Dynamic Challenge』という点では反省です。あれだけディフェンスをやっているのに今日これだけしかできないということは、さらに練習あるのみ。そこが伸びシロだと考えて、次こそはいいゲームをします」


<『Dynamic Challenger』第一号!今年はやります!小峰徹也>
「一言で言うと…、キツかったです。テーマとしていた『Dynamic Challenge』、ディフェンスからの切り返しが全然できず、課題が残りました。個人としても、自分が抜かれてのトライもあったり、タックルしないといけないなと…。チームとしては、ディフェンスで前に出て止めようと言ってたんですけど、前半は自陣で釘付け。相手の接点が強かったこともあって、タックルが決まってもボールは取れず、ペナルティも取られ、最後まで修正できませんでした。いいタックルをしても、ジャッカルに行ったらペナルティ。ラック、モールに入りすぎて寄ったところをいかれてしまったり、ブレイクダウンの弱さが出てしまいました。ディフェンスセットが一番の課題。それさえできれば何の問題もないようなところでいかれる。まずは動き出し。それはそもそもの部分、すべての始まりです。もしこのままAチームにいれたら、来週は自分にとって初めてAでやる早慶戦。高校時代の同期もいるんで、ぶっ倒します。それには今日みたいな試合ではダメ。ワセダの脅威を見せることができれば、圧倒できると思います。とにかく慶應には勝ちます」

<鍛錬あるのみ!ディフェンス面の反省を口にするフランカー上田一貴>
「今日は課題が残りました…。本当にたくさんあって、これからもっともっと練習していかないといけないなと。やることはたくさんある。初戦を終えた今そう感じられたことは、いい意味でよかったかもしれません。1番の課題はディフェンスのセット。ディフェンスをメインに練習してきたのにセットがバラバラ。前に出るディフェンスをしたかったのにそれができず、出たとしてもみんながバラバラなのでギャップを抜かれる。セットを強く意識して試合に臨んだにも関わらず、それができなかったです。要因は動き出しの遅さと、ひとつのモール、ラックに掛ける人数が多くて生きている選手が少なかったこと。もっと見極めが必要です。ダメだと思ったら出てきて次に備えないといけないのに、ただグダグダしているだけでしたから。タックルに関しても、みんな上に上にいって一発で倒せてなかった。相手がうまくいなしてきたというのもあるんですけど、まず下に入って上にダブルでいくということができなかったです。行ったとしても入る前に繋がれてしまってました。次に向けての反省点はまずディフェンス。僕たちもディフェンスのチーム。次はターンオーバーからトライを取ります」

<釜石でも愛されるWTB菅野朋幸、好青年すぎる…>