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2024
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対明大 ワセダとして、赤黒を背負う意味…


 やりゃできんじゃん!それ最初からやっとけよ!ちょっとは目が覚めたかぁ…。誰もがそう感じた一本芯の通った80分。奈落の底に落ちかけた『豊田組』は、ラグビー熱狂の地・秋田で新たな一歩を踏み出した。ここがスタート。あんなダッサイ赤黒とはもうオサラバ―
 試合前日、中竹監督が学生たちに伝えたかったことはたったひとつ。ファーストプレー。とにかく『前へ』を体現すること。マッチスローガンに始まり、アタック・ディフェンスでの留意点、ユニットテーマ、果てはタブーetc、数多の確認がなされる通常の前日ミーティングとは異なり、中竹監督は学生たちに多くを求めることはしなかった。「俺が今日みんなに言いたいのはそれだけだ。覚悟を決めてくれ。俺はみんなのことを心から信じたい」…。そう伝えると、中竹監督は学生だけを残し部屋の外へ。そこから恐らくワセダ史上初、選手たちだけの時間がもたれた。選ばれし23人だけの世界…。「自分たちだけの10分間は、まず4年生がドンドン話して、それに3年生もしっかりついてきてくれた。ホントに短い時間ではありましたけど、そこでみんなしっかり想いをぶつけあえた思います。あれで試合にむけてやるべきことをしっかりと共有することができました」(副将・瀧澤直)。中竹監督が部屋に戻ると、男たちの目は鋭さを増し、戦闘モードへと豹変していた。「明日の自分のテーマは乾坤一擲です。命を懸けて戦ってきます」(ロック・丹下聡)…。
 おい、ワセダ、ファースト!!!超気合いのアップ、赤黒の責任を思いだした男たちは、約束どおり、キックオフから前へ前へと出続ける。丹下、小峰が頭からブッ刺さりマイボールラインアウト。モールを押し、FWがピックを2回、最初の仕掛けでBKが美しく相手のウラへ。「今日はチームとしても、個人としても、とにかく積極的にいってやろうって。あれこれ考えずに迷いなくプレーできたのがよかったんだと思います」(CTB宮澤正利)。トライまで僅か60秒。見事なまでの一発回答で、ワセダはその想いを結実させた。これぞまさしく有言実行!
 この全員が同じ方向を向いた最高の入りで機先を制すると、その後は勢いに乗って怒涛のラッシュ。FWはお株を奪うモール&ピックの嵐。BKは胸のすくようなビッグゲイン。ちょうど半年前、12月2日を髣髴とさせる展開で、みるみる点差を広げていった。小峰、丹下、安福、飯田…、全員が持ち味を存分に発揮したなか、特に讃えられるべきは、羽生憲久の秘蔵っ子・村木俊貴の万事に渡る速さと、悩める?CTB宮澤正利のキレっぷり。村木は死に体のFWをこれでもかと甦らせ、宮澤はBKに前に出る活力をもたらした。「自分の持ち味はアタックでもディフェンスでも前にでること。ミスはしょうがない。僕には失うものなんてありませんから…」(村木)。「今日はボールにもたくさん絡めて、楽しくプレーすることができました」(宮澤)。村木俊貴、初スタメンでやるじゃねーかよ!そうそう、こんな宮澤正利が見たかった!彗星のように現れた新戦力、悩める男の活躍は、大きな大きな意味があった。
 もちろん、FWのまとまり、BKの精度、チームとしての大人指数…、課題を掘り出していけば尽きることのないものの、この日は戦う姿勢を見せたこと、赤黒を背負うに恥じないプレーで自分に克てたことが何より。試合前夜、あの内藤兄弟の父・徳男様(早法時代、法政黄金期の名フッカーです…)がこんなことを話してくれた。「みんな強いからワセダが好きなんじゃないんだ。ものすごくがんばるからワセダが好きなんだ。それがアマチュアリズムの頂点、ワセダだと僕は思うんですよ」…。この言葉、みんなの胸にしまっておこう。これからもっともっと直向きに。そしてついに、我等がスキッパー・豊田将万も近日中に復帰予定(今週はリハビリ集中のため遠征には帯同せず)。「嬉しかったですけど、これはまだ当たり前のことを、当たり前にできるようになっただけの話。今日がスタートラインです…」(副将・瀧澤直)。「練習でもとにかく入り。来週も頭からしっかりと意識を高めて、やっていきます…」(副将・長尾岳人)。さぁ『豊田組』、帝京にもいってやろうぜ『Dynamic Challenge』で!


<学生への信頼! 一発回答に大満足の中竹監督>
「昨日のミーティングでは学生たちに俺は信じてるからって。スローガンとか一切言わず、とにかくファーストプレー、連続ミスはなし、前へ前へ、ということだけ伝えた。あとは自分たちで考えて準備してくれと。それに応えてくれた学生たちにはもう大満足。まだまだスキルだったり、判断ミスはあるけど、そこはこれからキチッと成長すると思うし、そう考えると楽しみ。チームが今日くらいまとまってくれると嬉しいですよ。今日でようやくチームがスタートしたという感じです。瀧澤も終った後ホッとしてたし、あれがリーダーだと思う。昨日のミーティングでは学生たちだけの時間を作ったけど、そこでやっぱりもう一度チャレンジャーになろう、力はまだまだ低くてミスも出るだろけど積極的にやろう、そんな話したんじゃないかな。部屋に戻ったとき彼らからそういうものが伝わってきたし、今日ロッカールームで会ったときもいい緊張感があった。それぞれがいいプレーをしようという思いが伝わってきた。今日の敵は明治ではない。自分たちに克ってこいと。チームとしてこういう風に持っていかなければ、力が出ないと改めてみんなも感じてくれたと思う。これからもブレない力を発揮するために、個のタックルの精度、ボールキャリアの強さ、反応、動き出し、根幹となる部分を春はもっともっとやっていく。高望みはせず、ルール変更に惑わされず、ルールが変わっても大事になる部分を徹底してやっていきます。今日は反応の部分はだいぶよくなっていて、それがいいプレーに繋がっていた。FWフェーズ、連続スイープ、タックルしてまた起きる。なかでも村木が一番よかったんじゃないかな。一昨年あいつと話してフランカーにコンバートして、この日を迎えられたのは指導者としてはすごく嬉しい。けど、ずっと上にいられるかは別だし、そんな甘い関係ではないからね。次の帝京戦も本当にシンプルに。帝京を倒すというよりまずは自分たちに克つ。このカベを乗り越えられるか。練習からまた大事になってくる」

<赤黒の責任 見事にチームをまとめあげた副将・瀧澤直>
「今日一番に考えていたのは、赤黒を着ているのがワセダ、その責任を果たさなければならないということでした。ファーストゲームもいい内容ではなくて、先週は負け。豊田、U20組がいないというのは関係ない。ワセダとしてやらなければいけないことは何なのか。それを考えていったら重いなって。みんなにもそこを考えて欲しかった。今日は試合に勝つということよりも、Aチームとして赤黒を着て、明治とやるに際して生まれる責任。そこをもう一度全員が果たそうって。それができれば、ワセダとしてやるべきことができますし、いい試合になりますから。ミスもありましたけど、みんな声を出して、しっかり責任を果たせていたと思います。昨日のミーティングでの自分たちだけの10分間は、まず4年生がドンドン話して、それに3年生もしっかりついてきてくれました。ホントに短い時間ではありましたけど、そこでみんなしっかり想いをぶつけあえた思います。プレーに関して学年、ポジションに関係なく名指しで言うことができましたし、試合にむけてやるべきことをしっかりと共有することができました。今日はピンチもありましたし、相手のミスに助けられたところもあるんでしょうけど、0に抑えられたことが一番です。話していたとおり、ファーストでしっかり入ってプレッシャーを掛けるということもできましたし、いいゲームだったと思います。スクラムに関しては…、ファーストがよくなかったです。前半チームとしての修正点はもうすべてスクラム。ペナルティもありましたし、慶應戦と同じ流れもありましたけど、ひとりひとり最低限の責任は果たせて、まぁよかったと思います。先週の試合を受けて、今日こうして結果を出せたことは、まずよかった。もちろん嬉しかったですけど、これはまだ当たり前のことを、当たり前にできるようになっただけの話。今日がスタートラインです。いやぁ、豊田が戻ってくるのは本当に助かりますね(笑)。プレーヤーとしてもキャプテンとしても、あれほど頼れる人間はいないので。これで自分のことに集中できます。チームに安心感も出るでしょうし、正直どうなるのか楽しみです」

<ファースト命! その強さでチームを勢いづけた副将・長尾岳人>
「一言で言うと、安心したというかホッとしました。今日はそれぞれ色々な想いがあったと思いますけど、1番意識したのは、ワセダとして、赤黒を着る以上そこには果たさなければならないものがあるということです。まずはそこを意識しました。今日はセットも安定(ラインアウト100%!)して、やっぱりそうなると試合が楽になるなと。すべてにおいて、先週より断然よくなったと思います。けど、ここで止まってしまったらまたズルズルいってしまう。常にこの気持ちを持っていけるように。それができれば、これからもいい試合ができると思います。アタックでよく前に出れていましたけど、今日は村田がよく仕掛けてくれましたし、ミッシェル(宮澤くんのことです)もいいペネトレイトを見せてたので、自分もがんばらないと思っていきました。僕自身に関して言えば、タックルで飛びこんでしまっていたので、今日は飛び込まないことを一番に考えて。上に入ってもいいから強くいってドライブしようと。そればっかり考えていたら、昨日は眠れませんでした…(笑)。今日はファーストをしっかり意識して、前半からいい形で進めることができた。そうなるとやっぱり後半楽になる。練習でもとにかく入り。来週も頭からしっかりと意識を高めて、やっていく必要があると思います」

<本日の『Dynamic Challenger』!抜群の存在感を見せた村木俊貴>
「今日は初めてのスタメンでめちゃくちゃ緊張しました…(笑)。先週負けたこともあって雰囲気もピリピリしてましたし、大丈夫だろうかって。けど、自分の持ち味はアタックでもディフェンスでも前にでること。今日はもうそれだけを考えてました。ミスはしょうがない。僕には失うものなんてないのでとにかく思い切って。パフォーマンスに関しては…、いや、どうでしょう。ディフェンスで内に切られたりしていたので、全然です。先週と比べてはもちろん気持ちもそうですけど、今日は声もしっかり出てたと思います。プレーの合間合間での声もしっかりあったのがよかった。練習でやってきたことを出そう、激しく行こうって。初めてのスタメンで、今はとりあえずホッとしています。持ってるものが出せたかは…、半分くらいでしょうか。羽生さんのフィットネスのおかげで最後まで走りきることができました(周りからは「そんなこと言ってるともっと走らされちゃうよ」の声が…)。羽生さんには順目順目に走れ、ボールのあるところに絡み続けろと言われてます。僕は今年結果を残さないと来年はない。日々勝負して、赤黒を狙います!」

<持ち味発揮! 気持ちで先週の悪夢を振り払ったSO村田賢史>
「先週の慶應戦で自信を失くして、どうしたらいいんだろうって、正直今日は怖かったです…。個人的には今日もいい内容ではなかったですけど、チームとしては0に抑えられましたし、次に生きてくると思います。個人としての反省点は、やっぱり仕掛けとゲームメイクの部分。ディフェンスを見てから仕掛けたかったんですけど、今日もまた単調になってしまいました。慶應戦でああいう結果になったのは、自分が全然仕掛けられなくて、単調に同じテンポでやってしまったから。そこを一番反省しましたし、SOとして一番やってはいけないことです。これからはしっかりゲームを作って、自分を出していけるようになっていきます。今日はみんなの意識が高かった。内側の圧力、動き出し、向いている方向が同じだったのが1番。アタックに関しても、それぞれが言ったことに反応してましたし、試合中に修正していけたのはよかったです。U20で山中が抜けた今は自分にとって大きなチャンス。そう思っていた矢先の慶應戦で、どうしていいのか分からなくもなりましたけど、絶対に諦めたくはないですし、10番は渡したくない。これから自分のプレーを見せていくだけです。田邊とは昨年の逆の立場?、そうですね。この前退院してきて、あいつは表には出さないですけど、絶対に悔しい想いをしてるはずです。あいつが戻ってくるまで自分が10番を着続けて、最後は一緒に国立に立ちたいと思ってます」


<これで吹っ切れた? 攻守に強烈なインパクトを残したCTB宮澤正利>
「ホント先週は全然『Dynamic Challenge』できなかったので、今日はチームとしても、個人としても、とにかく積極的にいってやろうと思ってました。BK対BKでもよくゲインできましたけど、練習でいつもやっているように切っていった結果だと思います。アウトサイドCTBをやって、正直少し悩んでいるところはありました…。12と13では視野、見方がすごく変わってくるので、ボールのもらい方を含め、どうなんだろうって。今日は雨ということもあって、もうあれこれ考えずに思い切り切っていこうと、迷いなくプレーできたのがよかったんだと思います。ディフェンスに関しては、よく前に出れたとは思いますけど、タックルを外してる場面がありましたし、ツメるのはいいとして、そこで仕留めきれないのが自分の課題です。チームとしては、先週よりテンポがよかったんだと思います。テンポがよければFWもBKも機能する。そこが一番の違いです。これは結果論かもしれないですけど、今日はボールにもたくさん絡めて、楽しくプレーすることができました。昨年はただ周りについていっただけ。今年は1年間の経験を生かして、もっと外から周りに指示していける、周りを動かしていける選手になりたいと思ってます。U20組とは…、特に連絡は取ってません。無視です(笑)。彼らが無事帰ってくることだけを祈っています(笑)」

<秋田といえばなまはげとタッキー 黄色い声援お願いします!>