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2024

対明大B(Jr選手権) カラ破る!が空回り…


 「勝つことが正義、敗北は悪、それがワセダ。どんなことがあっても絶対に前を向こう。俺たちが目指しているのはここじゃない。赤黒着て、国立に立つんだろ!最後まで走り続けろ!」(フッカー塚原一喜)。11月最終週、聖地で迎えたもうひとつの『早明戦』。テーマ:カラを破る。勢いでライバルを捻じ伏せる。ここで弾みをつけて12月の第一週へ! しかし…、そこに待ち受けていたのは空回り、Bチームマインド溢れるクロスゲームだった。
 試合の入りは、その燃え上がる気持ちに比例するように「充実」。WTB早田健二の華麗なるカウンター。軽快なテンポで連取し続けるブレイクダウン。思いのほか?安定したスクラム。ボールをガンガン動かしながら12分、15分と立て続けにトライを挙げ、完全にゲームを支配した。特に2本目のそれは、自陣でのターンオーバーを起点に攻め立て、最後は大外を完璧に走り勝った理想の形。「個人個人が自分のいいところを生かそう、強みを出そうって。それがよく表れたのが、あの序盤です」(CTB田邊秀樹)。まさに思惑通りのゲーム運びで、勝利は簡単に手に入るものと思われた。
 ところが、ホッとしたのも束の間、ここからはキック合戦での劣勢が顕著になり、ゲームは拮抗。正面に受けた太陽がよほど眩しかったのか、いつになく強い風を読みきれなかったのか、キック処理でミス連発。蹴ろうにも、超大型FBに豪快に蹴り返される。俄然『前へ』のメイジが盛り上がる。絶対にやってはいけない『早明戦』でのタブーを犯し、常に自陣での戦いを強いられた。しかも、この日のエリア負けは、「ここで蹴ったら陣形がこうなる、だから次は~」というせめぎ合いだった先の『早慶戦』とは異なり、相手のいるところに正直に蹴って、ことごとく倍返しを喰らうというもの。いかにして地域を取るか。どの種類のキックを使うか。セカンドチームに限らない、ワセダ全体としての課題が、改めて浮き彫りになった。
 攻めてるのに取れない(特に前半。風で倒れたPGが象徴?)、ソフトなタックルでジリジリとゲインを許す(除・中村拓樹、相当なエグさ!)、加えて「オレが!オレが!」の空回り…。そうこうしているうち、いつしか往年の『早明戦』モード。いきいきとプレー、怒涛の突進を見せるメイジ。ゴールを背にただひたすらに耐えるワセダ。我慢、我慢、我慢の連続。危うく紫紺の波に飲まれかけ、ゲームは完全にメイジのものだった。これがもし八幡山だったら、12月第一週の国立だったらと思うとゾッとする…。「今日は相手の方が走っていたと思いますし、BKもうまくて、メイジ強かったです…」(ロック・土屋鷹一郎)。「相手はやっぱり一度前に出すと、デカイのがどんどん来る。今日は1人目が外されたり、受ける場面が多かった。にも関わらず、ワセダには2人目が勝つ、寄せるという意識も低く、反省です…」(フランカー中村拓樹)。
 それでも、一歩間違えば~の危機に追い込まれながらも、正義=勝利をしっかり掴み取ることができたのは、これまた「オレがやる!」の意識があればこそ。空回りも招いたけれど、最後の執着心もこの意識。ここで負けたら先はない!何が何でも生き残る!ワセダでラグビーをしている意味!「僕たちはジュニア選手権で優勝するためにワセダでラグビーしているわけじゃない。『早明戦』に出る、赤黒を着るためにワセダでラグビーをしている。そういう意味でもこの試合は絶対に負けられない。最後はその想いで勝ったんだと思います」(CTB田邊秀樹)…。凌ぎに凌いで迎えた残り4分、試合を決めたWTB大島佐利のトライには、全部員の想いがぎっしりと詰まっていた。
 20-7。理想には程遠い内容ながらも、これで何とか次に繫がる道は残した。シーズンを全員で戦い抜く土台は残った。ここから先、赤黒、『荒ぶる』への扉を開けるかは自分次第。己に克った者だけが生き残る。カラを破れ。ワセダ、ここからが本当の『Dynamic Challenge』―


<意志あるところに道は拓ける!冷静な判断を見せたCTB田邊秀樹>
「まぁ内容が悪いなりに勝つことができてよかったです。入りはよかったんですけど、テーマが『カラを破る』だったこともあって、来週のためにがんばろう、チームよりまず自分という意識がカラ回りしてしまいました…。悪かったところは、FWで言えばセット、BKはエリア。特にBKはキックの使い方にちょっと問題がありました。相手のFBがキックに強いということは最初の段階で分かったのに、そこに真っ向から挑み続けて。試合中にもっと修正できないとダメだなと…。前半あれだけ攻めていてトライを取れなかったのは…、ブレイクダウンに人数がかかってしまったというのもありますし、ボールキャリアが中途半端にペタペタ寝てしまった。キャリアに対して2人目、3人目の人間がどうして欲しいのか、その指示もなかったです。やっぱり自陣、自陣の戦いになってしまうとしんどいですね。僕自身はディフェンスをしていて楽しかったですけど。でもやっぱりチームとしては敵陣でラグビーをすること。今日もミスをしてみんなイライラしてくる。そうなると苦しいですから。そんな内容でも勝つことができたのは、個人個人が自分のいいところを生かそうと意識して、強みを出そうとしたからだと思います。それが最初のいいところに繫がっていた。僕たちはジュニア選手権で優勝するためにワセダでラグビーしてるわけではなくて、『早明戦』に出る、赤黒を着るためにワセダでラグビーをしている。そういう意味でもこの試合は絶対に負けられない。その想いで勝ったんだと思います。自分がアピールできたかは…、タックル何本か外されてしまってましたし、苦しいところで流れを変えられなかったので、微妙です…。この先も毎日が挑戦。リアルに日にちが少ないので、1日1日が勝負。最後まで絶対に諦めません。ここで諦めたら何のために無理して復帰したのかってなりますから。最後まで挑戦です」


<意地全開!初スタメンにも明治と堂々と渡り合ったプロップ和田卓也>
「今日の試合を迎えるにあたっては色々な想いがありました。関東戦のあとに上がって2週間シニア。弱気になったときもあったんですけど、井上、秀樹、山岸ら3年生が励ましてくれて、すごく支えられました。試合の前はもう、瀧澤さんと組んできたんだから、それより強いってことはないだろうって。毎スクラム毎に塚原さんとコミュニケーションを取りながら、しっかりできたと思います。マイボールもすべて出すことができましたし、よかったです。あわよくば押してやろうと思ってたんですけど、明治は重かったですし、無理して押しにいくと割れてしまうので。週明けから毎日毎日、スクラムは劣勢だからと今田さんにも中竹さんにも言われて、見返してやろうと思ってました。そんなことは関係ないって。あれだけ重い明治相手にやれたのは、自分としても大きかったです。今のチームにはフロントがいないと言われていて、自分も1番やったり、3番もやったり。中竹さんにもそうして足りないところをやっていって、上を目指せって。人が少ないからこそ、1,3両方経験できているので、これからそれを生かしていければと思います。今日はずっと自陣ということもあって苦しい展開でしたけど、みんなで声を出して、最終的にはFWフェーズで取られなかったのが大きかったです。チームとしてはいい試合ではなかったですし、相手はキックが多いなかワセダはうまく戦えず、みんなイライラしてしまいましたけど、何より勝つことが大事なので、その点ではよかったです。これから毎日瀧澤さんへの挑戦。内田さんが今はケガをしていますけど、戻ってきてもそのポジションを渡さないように、上を目指してがんばります」


<激熱! 猛タックル連発で勝利をもたらしたフランカー中村拓樹>
「今日はスクラムで前3人ががんばってくれてたので、8単、相手のFWサイドを前で止めてやろうと思ってました。あまり自分のところにはこなかったので、入れませんでしたが…。前半はいいテンポでアタックできていたんですけど、反則があってスコアできず、こういうしんどいゲームになってしまいました。特にFWはムダなペナルティが多いので、そこはもっとコントロールしないといけないです。ハンドとオフサイド。レフリーのコールを聞けば防げるものがほとんどなので、プレーに集中することはもちろん大事ですけど、もっと冷静に、聞く耳を持つ必要があると思いました。相手はやっぱり一度前に出すと、デカイのがどんどん来る。1人目が外されたり、受ける場面が多かったです。にも関わらず、2人目が勝つ、寄せる、そういった意識も低く、反省しないといけないです。FWが受けさえしなければ、怖くないので、そこは突き詰めていく必要があると感じました。今日は近場もイマイチ。ゴールを背負った場面では意識が変わってゲインを切らせないですけど、敵陣、中盤では気が抜けるのか、やられてしまった。もっとFWがしっかり前に出ないと、BKに迷惑をかけるだけなので…。タックル回数多かったですか?、それはディフェンスの枚数が少ない場面が多くて、遅れてダブルで行くとか、空いているところを埋めるという形で、狙ってという感じではなかったです。SHからの直とか、そういうところも自分から狙って入れていたら、もっとターンオーバーできたのかなと思います。もうアピールできる機会も少ないですけど、絶対上に上がってやろうと思ってます」


<試合後は安堵… プレー回数の多さが際立ったロック土屋鷹一郎>
「今日は勝ててよかったです、本当に…。明治は強かったです。FWで来るということは練習の段階から分かっていたんですけど、特に後半ゴリゴリやられて、BKに申し訳ないことをしてしまいました。ラインアウトに関しても、これもやっぱり練習の段階からミスがあって、結局試合でも取れず、反省です…。プレー回数多かったですか?、それはまぁ、途中から8に入ったことで、今まで以上に動くことを求められたので。前半残りすぎのところもありましたけど、意識は強く持ってやれたかなとは思います。ブレイクダウンについては…、近場のところはFWが届いてスイープにいけてたんですけど、大外のところは遅れてしまっていたなと。それでテンポが出ず、こういう試合になってしまいました。そのブレイクダウンが出れば、BKには決定力がありますから。明治は走れないというイメージでしたけど、今日は明治の方が走っていたと思いますし、BKもうまくて、強いチームでした。ずっとシニアでプレーさせてもらっていて、入ったときに比べたらコンタクトも上がってきたと思いますけど、ロックとしてのフィジカルはまだまだ全然なので、そこはこれからの課題です」


<強風に苛まれたPG、2回目は大丈夫!>


※ジュニア選手権決勝(12月13日、於:秩父宮、12:00キックオフ)の対戦相手は、慶大に決定致しました