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2024
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vs全明大 レジェンド、ミスターラグビーに感謝


 The早明戦。柔と豪、揺さぶりと前へ。やっぱり理屈抜きでおもしろい! 4月18日、ミスターラグビー・元木由記雄引退試合。赤黒と紫紺が織りなす見事なまでのコントラストは、観衆を魅了した。
 近年の全早明戦にはない緊張感でスタートした試合は、開始からメイジが爆発。外国チームからのご指名を受け出場したフレンチリヴィエラセブンズ・タックルコンテンストで優勝、この日から辻監督がフランカーに抜擢した牛房佑輔が、そのファーストタックルを外される(というより、吹っ飛ばされる)と、そこから立て続けに失点した。自信に満ちた大男たちが、迷いなくまっすぐ前へ。自らの進むべき道を塞ぐものは片っ端から一掃。守っても、鉄壁両CTBによるエグイ一刺し(特に現役副将・衛藤にはタジタジ…)。強く荒々しくディフェンスを切り裂き続けるFWと、一切の侵入を許さないBKの門番たち。これぞ、ワセダが嫌というほど味わってきた最強のライバル・メイジ。「魂の入った、輝かしい時代のラグビー、輝かしい姿を見ていて嬉しくなった」と、敵方・吉田監督も言うほどのパフォーマンスを前に、30分を経った頃には7-24と大きなビハインドを背負わされた。「幼い頃見ていた、黄金期に見ていた鋭いランを見て、これはメイジ復活だなって」(主将・大田尾竜彦)…。しかし、歴戦のOBたちを交えたワセダも黙って引き下がるほどヤワじゃない。この苦しい展開もすべては想定の範囲内。一昔前では考えられない?ゴール前ペナルティのスクラム選択で流れを引き寄せ、前半のうちに2トライを返す(19-24)と、じっくり「そのとき」を待った。
 10分のブレイクがそうさせるのか、迎えた後半も前半と基本は同じような流れ。6分揺さぶりで得たペナルティからモールを組み最後は有田(体の強さ!)、12分キックカウンターからFB井口剛志による胸のすくような60mリターン(この日一番の喝采?)と、随所にらしさをぶつけるも、逆にメイジのアイデンティティ・スクラム&モールトライの倍返しを喰らい、いよいよ土俵際まで追い込まれた。。。ように見えた。「メイジ~、今日は勝てよ~!」の大声援。それでも…、ここからこそが、我慢に我慢を重ね、待ち続けていた「そのとき」。前半から緩急織り交ぜ、至るところに撒き餌を施してきた大田尾竜彦が、ついにギアをチェンジした。
 27分、お互いにミスしたこぼれ球を田邊秀樹がスキルフルに処理→上村康太が渾身のハンドオフで相手を吹き飛ばすと、続くキックオフでは、エリアマネジメントはもういらないと言わんばかりにCTB今村雄太が自陣から豪快にブレイク。そこで得たペナルティから最後はWTB首藤甲子郎が忍者のように、大男たちの間をスルリを抜け出し、ついにメイジの背中を捉えた。その間、僅か120秒。まさしくこれが伝統の機を見るに敏。「逆転に至るところは思っていたとおりのプレーができました。20分、25分まで我慢して、あの時間からいこうと話していたとおりに」(大田尾竜彦)。
 そして、最後の仕上げ、この激闘にピリオドを打ったのは、この日もインサイドCTBで独自色をしっかり出した田邊秀樹。36分、さっきのお返し、この時間帯にはやられない!と、ゴール前でFWが最高のディフェンスを見せ、ボールを下げさせることに成功すると、待ってましたとばかりにビッグヒット!そのままターンオーバー! 直後のラインアタックでも美しいパスで決勝トライを演出し、歓喜のときをもたらした。この日のストーリーをまとめると、現役・OBが一体となり、その間・5年目に懸ける熱き男が輝きを放ち、勝つ…。
 最強のライバル・メイジの『前へ』をこの日は嫌というほど味わった。同時にこれと対峙する喜びも感じた。メイジのすべてを正面から受けきった上で、更にその上をいく、ワセダにとってはこの上ない勝利。「今日はFWもBKも自信を持っていいアタックをし続けてくれたことが収穫。終始落ち着いていたし、みんな自信をつけてくれているかなと」(辻監督)。最後に。メイジのレジェンド、ミスターラグビーに最大の敬意と感謝を。その背中をしっかり追って…。『有田組』もこの一年、燃え尽きるまで―

<レジェンドに感謝! ライバルからの勝利に笑顔笑顔の辻監督>
「本日はありがとうございました。元木さん、お疲れ様でした。元木さんが後悔はないと言っていると聞き、すべてを出しつくした素晴らしいラグビー人生だったのだと思いました。(元木さんに、今日出ると言ってたんじゃないのと振られ)出ようと思った頃にはもう退かれていたので(笑)。下にジャージーは着てたんですけど(笑)。元木さんは味方としても、敵としてもプレーしましたが、味方にすれば信頼できるプレーヤー、相手にすれば嫌なプレーヤーでした。歳を取ると普通は衰えるものですが、元木さんはそんなことはなく、出てくると常にマークしなくてはいけない存在で。U20のヘッドコーチをされますが、ワセダの選手も多いので、ご指導よろしくお願いします。<以上共同記者会見> 現役の視点で言うと、今日はFWもBKも自信を持っていいアタックをし続けてくれたことが収穫です。明治の方にも先ほどそう言われました。終始落ち着いていましたし、みんな自信をつけてきてくれているなと。オールワセダということでは、原点を思い出すという意味でも、これからもどんどんOBの方に来て頂きたいですし、最強ワセダを作れたらと思います」

<本日のMOM! 見事チームを勝利に導いた主将・大田尾竜彦>
「元木さん、お疲れ様でした。今日は元木さんの引退試合ということもありますし、明治が相手ということで、絶対に負けられないという思いで臨みました。前半はどうなるかと思いましたけど、何とか我慢し、ボールを動かし、できた穴を現役がしっかりと走ってくれたと思います。今日は自分が幼い頃見ていた、黄金期に見ていた鋭いランを目の当たりにして、これは明治復活かなと感じました。ワセダと明治が決勝を戦うことを、1プレーヤーとして、1ファンとして願っています。今日は元木さんの引退試合に出場することができ、光栄でした。(元木選手のプレーをどう感じたかの問いに)ラグビー選手は、1つの突破、1つのタックルだけではないと思います。ラインを作ること、コントロール、間合い、周りに掛ける声、それらすべてを含めてラグビー選手。その意味でも、今日の元木さんは素晴らしかったと思います。まだまだやれるのではないかと感じました。僕が言うのもおこがましいですが…。<以上共同記者会見> 今日は内容的には予定どおりでした。最初はいかれて、耐えて、追い上げる、その通りの展開。逆転に至るところは思っていたとおりのプレーができました。20分、25分まで我慢して、あの時間からいこうと話していた通りに。今日はSHの榎本がテンポを作ってくれてよかったです。矢富とはまた違った感じで。ワセダらしいSHですね。井口もプレーが柔らかいですし、それだけでなく、常に周りに声を出していていいプレーヤーだと感じました。今日一緒にプレーした感じでは、有田は恐らく口がうまい感じではないでしょうから(笑)、体で引っ張っていって欲しいです。全早慶、早明と現役のみんなとプレーして期待を感じましたし、これからどうなっていくかなぁと。そんな思いです。オールワセダに関しては、英国遠征を復活させて欲しいと思います(笑)」

<感動をありがとう!引退試合を見事勝利で飾ったフランカー上村康太>
「もう感無量です。15年間ラグビーをやらせて頂いて、最後にこれだけみなさんから激励を頂戴し、花束まで頂いて、本当に感謝しています。ここまでラグビーを続けられたのは、みなさんのおかげです。試合に関しては、最高におもしろかったです。今日は意地でした。元さん、由記雄さんが替わった時点で、自分は80分行くぞと。15年間を思えば、80分なんて一瞬なので。そして、最後に現役のみんなとプレーできて嬉しかったです。プレーで自分の想いを伝えられていたらなと。この赤黒ジャージーは言葉にできないです。赤黒=今日の自分、今までの自分のプレーです。感謝です。本当にみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。今日は現役のみんなから明治という絶対のライバルに勝つという強い気持ちを感じました。このくらいの意地、気持ちを1年間持ち続け戦って欲しいです。熱は十分に伝わりました。トライは珍しいですね(笑)。田邊が最後にいいプレゼントをくれました」

<悪戦苦闘?OBのみなさんに感謝しきりのNo8有田隆平>
「No8、難しいですね…。慣れていないこともありますけど、うまくいかなかったです。今日は勝てて本当によかったと思いますし、やっぱりOBのみなさんはすごいなと。何といっても1:1が強くて。ブレイクダウンに関しては、まあよかったのかなと思います。明治、かなり強かったです。競った試合で、大きくて強い明治に勝てたのは大きいですし、これはもうOBのみなさんのおかげです。今日はすごく引っ張ってもらいました。これから春シーズンの試合が始まるまで一カ月ほどありますが、ブレイクダウンで勝たないと試合に勝てないことは分かっているので、引き続きそこに拘ってやっていきます」

<戦慄の60メートルリターン! 15番取りに本気で挑む井口剛志>
「勝ててよかったです。トライのシーンは、その直前に自分のチャージから失点していたので、何とか取り返そうと、そのことばかり考えてました。あの場面はきれいに抜くというより、多少ぶつかりながらでも自分で行ってやろうと。走っているときは、自分遅いなって思いました(笑)。今日は自分がずっと見ていて、憧れていたOBのみなさんとプレーすることができて、勉強になりました。トライを取られても、みなまったく動揺することなく、自信を持ってプレーしていて。勝負どころを分かっていると感じました。今年は赤黒の15番を着て、グラウンドに立ち続けることが目標です!」

<メイジのレジェンド ミスターラグビー ワセダからも最大の感謝を>


前半

 2分 明大 22m内ペナルティからの速攻で3トライ       G成功 0-7

 6分 明大 22m内スクラムから8・6でトライ           G失敗 0-12

12分 早大 Pから速攻→原田が相手を交わしトライ    G坂井成功 7-12

23分 明大 自陣に攻め込まれたところを15がインターセプト G成功 7-19

30分 明大 カウンターから7がディフェンスを吹き飛ばしトライ G失敗 7-24

36分 早大 5メートルS→8ラック→9-大田尾トライ   G坂井成功 14-24

40分 早大 ハイパントを8キャッチ→9-10-坂井トライ G坂井失敗 19-24


後半
 0分 岩井←星野 土屋←牛房

 6分早大 5mLOからモール→有田がトライ       G坂井失敗 24-24

 9分明大 22mライン上のラックから9の裏キックでトライ  G成功 24-31

12分早大 カウンターから井口が60メートル切り返しトライ G坂井成功 31-31

13分 田邊←坂井、飯田←井口、西田←榎本

17分明大 5mスクラムを押し込みそのままトライ        G成功 31-38

18分 小林←横谷、高家←種本

21分明大 ゴール前のBK展開から最後はモールに移行しトライ G成功31-45

27分早大 上村がハンドオフで相手を吹き飛ばしトライ  G田邊成功38-45

29分早大 13のビッグゲインの後、首藤が速攻でトライ G田邊成功45-45

37分早大 21がギャップを突き、8→岩井がトライ  G田邊成功 52-45