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2024
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対大体大 選手権1回戦、揺らぎ、囚われ


 「選手権だからという特別な気持ちの変化はなかったんですけど、やっぱりこのままだとダメだなって…」(主将・有田隆平)。12月19日、第47回大学選手権がついに開幕。覇権奪回を強く誓う『有田組』は、この冬一番の寒さとなった秩父宮で、その第一歩を踏み出した。2週間ぶりの80分で見えたものは、、、揺らぎ、囚われ、そして早明戦後の確かな成長―
 負けたら終わりの一発勝負を制すべく、堂々勝ち取った対抗戦1位の勢いを本物にすべく、ファーストプレーに意識を集中させて臨むも、心と体がリンクしなかったのか、シーズンワーストとも言える入り。最初のラインアウトアタックを受けたところから、誰ひとりしっかり体を当てきれず、10を超えるフェーズの末、あっさりインゴールを明け渡した。これぞ関西(大阪?)のチームと言うべき乗りと勢いに飲まれた赤黒。ディフェンスが命のはずでは? 国立でのあの熱はどこへ…。
 この強烈な先制パンチで目が覚めたのか、残りの75分は、縦横無尽、変幻自在、辻監督率いるいつものワセダ。隙を突いてのクイックスロー、ペナルティからの迷いなきハリー、オールドファンには堪らない?ヘラクレス軍団からのスクラムトライ、ターンオーバーからの切り返しetc 不穏な立ち上がりから一転、しっかり両手でトライを積み重ねた。
 そして、ワセダはディフェンスで勝っていくチーム=低くタックルに入ることを再確認して迎えた後半は、もうひと段階シフトチェンジ。ピンチを一瞬にしてチャンスに変える・FB井口剛志起点の95メートルリターンを皮切りに、自分たちを表現しきった。最後までその足を止めなかったFW。フロントスリーの仕掛けと、バックスリーの仕留めが有機的にリンクしたBK。トライラッシュの要因は多数挙げられるも、そのなかで触れておかなければならないのが、emergencyにおける「SH田邊秀樹」。西橋勇人が負傷交代した残り30分、潤滑油を失う非常事態を何食わぬ顔で、そのハートの強さで乗り切った。「びっくりしましたけど、うまかったですね」(SO山中亮平)。前日、何かに突き動かされるように西橋、榎本を相手にSHのパスを練習(遊び心ではありますが)していた不思議…。早明戦への決起集会で飛んできた、「タナベヒデキは出し切れてないんじゃないか」の声を吹き飛ばすに十分な存在感だった。
 全国の猛者が集う舞台、誰もが頂点を夢見る選手権で、94-7と無難なスタート。それでもやっぱり…、万事に厳しさを欠いたあの5分は気にかかる。ステージが上がるにつれ、命取りになりかねない。今年は揺らがず、囚われず、いつでも、どこでも、秩父宮でも、国立でも、フラットに自分たちの力を出すべく取り組んできたはず。リーダー・山下昂大の言葉は深かった。「早明戦を経験して得たものは、できるという感覚。特にFWはやれると認識できた。あの気持ち、あのテンションを常に持ってやっていけるか。毎回あの感じでできれば、絶対に成長できる。けど、まだそこまではいけてない。それが今日の最初のところです」。
 次戦12月26日、大学選手権2回戦は、今のワセダにとって特別な意味を持つ舞台。終わりと始まり。チームの原点。「昨年を終わらされた、今年の始まりとなった週。これまで以上の緊張感を持ってやっていきます」(主将・有田隆平)。目の前の戦いにすべてを懸ける。ワセダは東京だけで戦うチームじゃない。国立を包み込んだ『ワセダ力』、そのパワーを名古屋でも―


<終わりと始まり… 特別な週へ決意を新たにする主将・有田隆平>
「勝ったことはよかったですが、監督も言ったように最初のところは課題だと思いました。なぜそうなったのかは…、1:1で負けたこと、タックルだと思います。<以上、記者会見> 大学選手権だからと言って、特別な気持ちの変化はありませんでしたが、やっぱりこのままだとダメだなと感じました。やっぱり最初のところ。それが一番ではないでしょうか。ブレイクダウンに関しては、少し受けてしまったかなと。もっとできるというか…、まぁ次に向けて走り出すだけです。大事にしたいと言っていたセットプレーについては、マイボールは安定して出せていましたし、悪くはない。スクラムトライは、狙ってはいたというか、サインで出ていたのでよかったと思います。早明戦を経ては…、どうなんでしょう。しっかりタテを突くプレーができるようになっているかなと。アタックはまぁまぁでしたが、今日はディフェンスが課題だったので、最初の5分、10分のところがすべてだと思います。次に向けては、まず最初のところ、ファーストプレーでのブレを失くすこと。また練習から緊張感を持って。特に来週は昨年を終わらされた、今年の始まりとなった週なので、これまで以上の緊張感を持ってやっていきます」

<数多の反省も… しっかりと次を見据える副将・山中亮平>
「最初の入りのところで少し受けてしまったのが反省です。あとはミスが目立った点。軽いプレーがでてしまったのは気になります。試合にうまく入っていけないということはなかったんですけど、ディフェンスで受けてしまったところが影響しました。アタックに関しては、やってきたことを出せた、いい形のものがあったのでよかったと思います。軽いプレーが出たところは修正点ですが。大学選手権は負けたらその時点で終わりということで、やっぱり意識は変わっています。早明戦を経て、練習からの意識もまた変わって、集中して、雰囲気よくできているのは成長できているところです。次に向けては、ディフェンスで受けた部分を修正していきます。ファーストからしっかり意識高くディフェンスすること、ワセダの形を体現することです。秀樹さんのハーフは急でびっくりしましたけど、うまかったですね(笑)。よかったと思います」

<ファーストへの意識… FWの更なるレベルアップを誓う中村拓樹>
「入りがすごく悪かったです。最初のラインアウトディフェンスで受けたところから始まったんですけど、ファーストタックルしかり、もっとそれぞれ各人のファーストプレーに意識を高く持たなくてはいけないと思いました。トライはたくさん取りましたけど、特に前半は内からのサポートで満足できないところがあったので、そこは僕自身もチームとしても、改善していかなくてはいけないです。ブレイクダウンに関しては…、厳しさが足りなかったなと。結局そこで勝たないといいテンポで球も出てこないですから。後半は意識してできましたけど、前半は受けた部分も多かったです。タックルについても、狙えているところはいいとして、まだまだ曖昧なところが見られるので、ノミネートをしっかりすること、コミュニケーションを今一度確認しなくてはいけません。早明戦を戦って、FWはあれだけやれるんだと自信をつけたと思います。特に若い一列は。ここから更に厳しくやっていけるか。あれだけできるんですから、もっと上を目指なさいといけない。FWはそれに応えられると思いますし、いい雰囲気を保ちながら、より厳しさを追求していきます。次に向けては、やっぱり入りに尽きる。次こそしっかりとした入りをして、ファーストが一番よかったと言えるくらいにします」

<圧倒的な存在感 大外からチームを押し上げたWTB中濱寛造>
「前半最初のところで一本取られたのはいらなかったです。ディフェンスで前に出ようと言っていたんですけど…。入りのところについては、僕自身はうまく入れないということはなかったんですけど、受けているかなと外から見ていて感じました。相手にいいアタックをされてしまったので、そこは修正していかなくてはいけません。アタックに関しては、チャンスフェーズで取りきれてはいましたけど、外が空いているのに内側が突っ込んでしまうところがいくつかあったので、そこのコミュニケーションを外からもっと取っていきたいです。早明戦を経験して、FWは自信をつけたと感じますし、BKもアタックディフェンスとも上がってきて、変われてきていると思います。自分としても、早慶戦でらしい動きが全然できず、迷惑を掛けてしまったので、とにかく結果を出すという思いです。いい形でこれていると思いますし、ここから更に上げていきます。次の試合は、とにかくディフェンスで0に抑えることです」

<あの気持ち… 自分たちの甘さを口にするフランカー山下昂大>
「今日はやっぱり得点より失点のところですね…。あの入りはしっかり反省しなくてはいけません。緩いというか、舐めていたということはないんですけど、うまく切り替えができませんでした。ブレイクダウンに関しては、もっともっと寄りのスピードを上げなくてはいけないですし、意識が低いです。得点は取っても、まだまだです。大事にしようと言っていたセットについては、まぁ悪くはなかったという感じでしょうか。ラインアウトで競られた部分については対応していきます。早明戦を経験して得たものは、できるという感覚です。特にFWはやれると認識できた。あの気持ち、あのテンションを常に持ってやっていけるか。毎回あの感じでできれば、絶対に成長できる。けど、まだそこまではいけてない。それが今日の最初のところです。ただ、それ以外のところでは、FWもいいパターンでできていたと思います。次に向けては、まずディフェンスをしっかり整備すること。ディフェンスを低く、タックルを低く、そしてワセダのラグビーをすることを前提に寄りを早くしなくてはいけません。意識のところです」

<入りは不満も… 選手たちの成長を肌で感じる辻監督>
「ありがとうございました。今日は一番初めのプレー、トライのところ。すべてがそこに凝縮されていると思っています。選手たちもそう感じているはずです。自分たちを見つめ直して、次に向けてしっかり練習していきます。(なぜそうなったのかの問いに)どうしてですかね。選手たちに聞いてみます。早明戦からやってきたことはディフェンスです。初めのトライを除いて、タックルも今日は評価できると思います。(山中のコンバージョン精度はタイトなゲームで気にならないかの問いに)気になりません。大丈夫です。<以上、記者会見> 自分自身、大学選手権だから~という特別の気持ちの変化はないけれど、昨日勝田も言っていたここから1つずつチームが去っていくというのはそのとおりだなと。そういった思いは持ちながらも、ワセダは常にMAXでやってきたので、これまでやってきたことと変わらない。早明戦の後感じる学生たちの変化は…、練習中の判断が抜群によくなったということ。選手間のコミュニケーション、例えば今はここがこうだったという課題、現象を言葉にして、自分たちで修正できる力は上がっているとすごく感じます。次の試合に向けては、ディフェンス。もうそこに尽きます」

<大学選手権川柳 有田隆平の一句>