関東大学対抗戦 対帝京大 11月3日 東京・秩父宮ラグビー場
1トライ遠く…帝京大に惜敗
筑波大に完敗を喫し厳しい現実をつきつけられた早大は、近年最大の敵・帝京大と対戦。前節にあらわとなった課題、ブレイクダウンでは大幅に改善し帝京大のリズムを作らせなかったが、早大も最後に攻め切ることができない。後半序盤にトライを許しリードを奪われると、押し寄せる赤黒の波を跳ね返し続ける『赤いカベ』を崩すことはついにできず、たった1つのトライが足りなかった早大が8-12でまたも帝京大に屈した。
ここまで全勝の帝京大は今季の関東大学対抗戦(対抗戦)優勝候補の筆頭。勢いの違いは前半いきなり点差となって表れる。前半4分、自陣5メートルで反則を犯し決定的なチャンスを相手に与えてしまうと、これを帝京大は逃さない。スクラムからフェーズを重ねられ、トライを奪われた。これで先制した帝京大のペースに持ち込まれるかと思ったが、早大も敵陣に攻めこむ時間を続けると11分、SO小倉順平(スポ1=神奈川・桐蔭)のパスからフランカー山下昂大主将(スポ4=東福岡)がラインブレイク。22メートルライン付近でのPGのチャンスを引き寄せた。これをWTB原田季郎(教3=福岡・筑紫)が確実に決め3-5。さらに早大の攻勢は続き、17分には原田がハーフライン付近からロングゲインしチャンスをつくると20分、敵陣深い所でのターンオーバーから最後は大外にいたWTB中靏隆彰(スポ3=福岡・西南学院)にボールが渡る。素早い寄せで囲まれたが、ディフェンスを引きずりながらインゴールを陥れトライを決めた。その後は帝京大のカウンターから何度かピンチを迎えたが、粘り強い守りで得点を許さず前半は8-5とリードで折り返す。
後半に入っても引き続き帝京大陣内での時間を多く作ったが、9分、一瞬のスキをつかれボールを奪われると裏へのキックで一気に自陣深くまで攻め込まれる。そこからスクラムのピンチを招くと帝京大の森田主将に中央にトライを決められ、ついに逆転を許してしまった。失った点を取り返そうとさらに攻勢に出る早大、しかし肝心なところでパスがつながらない。また「勝負どころのブレイクダウンでは負けてしまった」(ロック土屋鷹一郎=スポ4、東京・国学院久我山)と、チャンスを作っても攻めきれず、後半39分には敵陣5メートルでのスクラムの絶好機もあったが最後までトライを奪えなかった。結局8-12とあと1つのトライが最後まで遠く、帝京大に雪辱を果たすことはできなかった。
敗北はしたが筑波大戦に比べ内容は飛躍的に向上。小倉のキックパスや惜しい展開も多く「まだまだ伸びしろはある」と辻高志監督(平12人卒=NEC所属)も前を向く。次の早慶戦では、いままで以上のワセダラグビーを期待したい。
(記事 早稲田スポーツ新聞会 久保田啓介)
辻高志監督(平12人卒=NEC所属)
――きょうの感想について
きょうの試合は前回の反省を糧にシンプルに、とにかく1対1の勝負で勝ちにいこうということで臨みました。FW戦などで劣勢の部分があるので、まだまだここからワセダは伸びしろがあると思います。次はもちろん帝京大とは大学選手権で当たると思うので、その時はさらに進化したワセダがお見せできればと思います。
――パスミスが多かった印象ですが
そうですね。難しいですね。もちろんなくしたいのですが、選手たちはものすごくミスしないように意識しています。ただそこを取れるか取れないかが勝ちか負けかだと思います。あとは練習でいかにこのような雰囲気のときにしっかりしたプレーができるか、そこにかかっていると思います。
――ペナルティが目立った原因について
ブレイクダウンで負けていたところだと思います。
――布巻選手について
流れを変えてほしかったので、あのタイミングの投入になりました。
フランカー山下昂大主将(スポ4=東福岡)
――きょうの試合の感想について
きょうの試合では帝京大はブレイクダウンが強いということで、そこに絞ってやってきたのですが、自分たちが思っていた以上にプレッシャーが強くて良い球が出なかった、ターンオーバーをされすぎたことがこういう結果になったと思います。前回負けて、自分たちは何をどうすれば良いかは明確なので、そこをしっかり修正して次に臨みたいと思います。
――きょうはどのような気持ちで臨みましたか
試合前からいける自信はありました。練習からすごく良い雰囲気でしたので、きょうはむしろ圧倒しようという気持ちでした。それでもやっぱり勝負の厳しさというかそういう部分が足りなかったです。筑波大戦から修正できたと思います。
――練習ではどんなことをしましたか
単純に前にいこう、というラグビーの根元の部分ができていなかったので、ボールを少しでも前へ運ぶということを意識していました。そしてボールの重要性を再認識して一週間すごしていました。
――今回の課題について
BKのイージーなミスや2対1でのミスなどのつなぎどころでのミスが目立ったので、そこは修正すればもっと継続率も上がりますし、アタックする時間も増えるので、そこはしっかり修正したいです。
――スクラムはいかがですか
組めていたときは、イーブンかそれ以上に組めていました。それでもコラプシングを2、3回繰り返してしまったので、そこをしっかり修正したいと思います。
――ペナルティゴールを狙える場面もありました
距離もありましたし、きょうはFW勝負になるということもあったので、とにかくFWで勝ちたいと思っていました。モールを組むシチュエーションをつくりたいという狙いでした。押せる自信もありましたし、FWでチャレンジをしたかったのでああいう判断になりました。
――帝京大の大型FWに対してモールが押せたということは自信になったのでは
そうですね。コーチもこの一週間、スクラムもモールも組めば絶対に押せると言ってくれていたので、自信はありました。きょうはそれを裏付けすることができたと思います。ただ試合は負けてしまったので、自分は厳しく受け止めたいと思います。
――次節の慶大の印象について
ワセダに対してはどこのチームも違うチームになってくると思います。どっちもディフェンスにこだわっていて、ボールを動かすチームなので、そこで走り負けない、1対1で負けないというテーマにしたいと思います。
――意気込みについて
自分たちは常にチャレンジャーなので、今季はセブンズでも春も負けているので、もうあとがないです。本当にチャレンジャーらしく一生懸命前に出たいと思います。
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