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2024
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vs慶應大『ブレイクダウンで圧倒し、5戦ぶりの白星』

招待試合 対慶大 6月28日 北海道・月寒屋外競技場
 
春シーズンもついに最終戦。ラストを飾る試合は伝統の一戦・早慶戦となった。東海大、帝京大、高麗大、明大とここ4戦黒星が続いていた早大。是が非でも勝利という結果が欲しい試合は序盤からブレイクダウンで圧倒し、試合を優位に進める。前半だけで4つのトライで26得点を奪った。後半も勢いそのままに追加点を挙げて、さらにリードを広げる。終わってみれば48―12での快勝。春最後の試合を白星で飾り、目指す理想的なラグビーのかたちが見えた試合となった。
 
 明大戦では全くというほど機能しなかったセットプレー。しかし、この試合は試合開始早々に訪れた相手ボールスクラムから試合の流れを引き寄せた。スクラムターンオーバーでチャンスメークすると、続くラインアウトもこの日は冴えわたる。試合を通して正確なスローを見せたフッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)のラインアウトからモールを形成し、先制点が生まれた。前節不安視されたセットプレーからの得点で、リズムをつかんだ早大。虚を突かれ一時逆転を許すものの、直後の16分にSH杉本峻(商3=東京・早実)がラックから素早く抜け出すと、最後はプロップ千葉太一(教3=東京・早実)がインゴールへ飛び込みすかさず逆転。さらに精度の高いラインアウトを起点に2つのトライを奪い、リードを大きく広げる。終盤攻め込まれるも、WTB門田成朗(法4=埼玉・早大本庄)のビックタックルなどで失点は許さず、26―7で前半を折り返した。
 
 後半開始早々からPGでさらに突き放しにかかる早大。ブレイクダウンで優位に立ち、速いテンポでボールが回る。接点でも負けることなく、取り組んできたフィジカルアップの成果が現れてきた。FWが近場をねじ込み追加点を挙げると、さらにはラインアウトモールから再び得点に結び付けた。とどめは15分にSO杉本頼亮(スポ2=京都・桂)の裏へのゴロパントを抜け出したCTB久富悠介(文構4=福岡・小倉)が抑え7本目のトライ。48―7と試合を完全に決めた。その後はペナルティーも増え、慶大の時間帯が続く。しかしゴール前での集中力が光り、最小限の失点に抑えノーサイド。試合を通して常に主導権を握り、久しぶりの勝利をつかんだ。
 
 「ブレイクダウンで優位に立てれば自分たちのやりたいラグビーができる」とWTB本田宗詩(スポ3=福岡)が語るように、接点で相手に勝ることでボールの展開が速くなり、テンポのいいラグビーが見られた。「いい内容で勝てたということがよかった」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)と振り返るように、春はなかなか勝利という結果が出なかった早大にとっては、この勝利は今後への大きな自信につながるだろう。本格的に始まる秋のシーズンに向けて、この夏にさらなる進化を遂げていきたい。
(早稲田スポーツ新聞会 東哲也)
 
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――完勝となりましたが、後藤監督の目にはどう映りましたか
帝京大戦以降にチームで今年の闘い方の方向性を決めていて、それが高麗大戦と明大戦で体現できなかった部分があったのですが、この試合にかんしてはやろうとしているラグビーを学生たちがやってくれて、その結果だと思います。
――具体的にはどのような方向性を持っていましたか
キックを使って敵陣でプレーする時間を長くしようとしていて、この試合でもキックを多く感じられましたし、結果としてはいい方向にいったかなと思います。
――春に力を入れてきたフィジカルでは、慶大相手に優位に立っていましたね
まぁ見てそう思うならそうなんではないでしょうか(笑)。
――選手たちも手応えを感じていられましたか
そうですね。あと、ラグビーというのは前に出ているときは、仮に同じ力量だったとしてもある程度いける反面、後ろに下げられると受けてしまうことになるので、その意味でもきょうは前に出られたことがよかったです。
――ファーストスクラムでスクラムホイールを奪うなど、スクラムも制圧したように見えました
まぁこんなものかなと思います。
――春先からの課題として挙げられていましたが、評価としてはいかがですか
僕の中ではスクラムにかんしては順調に強化が進んでいますね。
――成績としては白星に恵まれなかった春だっただけに、この試合の勝利が持つ意味は大きいのではないでしょうか
ただ勝つだけではなくて、ある程度点差も開いて、いい内容で勝てたということがよかったですね。
――ここから夏シーズンが始まりますが、一番力を入れたいのはどのようなところですか
春はある程度は目をつむって体を大きくすることに注力してきたので、夏合宿に向けては、ワセダは絶対に走り勝たないといけないので、まずはフィットネスです。
――この試合でU-20日本代表遠征から復帰したロック加藤広人選手(スポ2=秋田工)のプレーはいかがでしたか
ちょっと強くなったかなと思います(笑)。
 

フッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)
――まずは試合について振り返っていただきたいのですが、数字上は快勝ですが、プレーヤーから見ていかがでしたか
今週フォーカスしてきたディフェンスでのいくつかのテーマを遂行して、FWではいままで通り『Go Forward』ということを目標にやってきたのですが、それがある程度はできたという結果だと思います。
――具体的にはどんなテーマを掲げていたのでしょうか
ディフェンスでは順目へのセットとテイクスペースとノーインサイドブレイクがマストで、敵を仕留めるというところを目標にしていました。
――一方できょうはラインアウトも良かったですが、その点はいかがでしたか
サインの出し方をちょっと変え、それがすごいやりやすかったというのはあるのですが、まだミスが何本かあったのでそこは突き詰めていきたいです。
――まだご自身でも100点満点ではないということでしょうか
そうですね。80点ですね。
――ここで春の試合は一段落となりましたが、春季を振り返っていかがでしょうか
まずFWのセットプレーがダメだと、やっぱり試合が崩壊すると身にしみて分かったので、ここから夏の帝京大戦に向けて修正していきたいです。
――スクラムにまだ波があるように見えますが、いかがでしょうか
いま僕たちがやろうとしていることは出せているので、それを突き詰めていくことが重要です。できている時もあればできていないときもあるので。
――いま出来ている部分としてはどのような点が挙げられますか
まずヒットから差し込めないといいかたちでは組めないので、そこにフォーカスしてきょうはやってみました。
――理想としてはどのようなスタイルを目指しているのですか
8人が低くまとまって、8人で組むというところですね。
――夏に控える帝京大戦に向けて、夏場に向けていま必要なのは何だと思いますか
これまでやってこなかったフィットネスの部分と、できているところを80分継続できるようにしたいです。
 

ロック加藤広人(スポ2=秋田工)
――今季の早大での出場はこの試合が初めてでした。どのようなテーマを持って臨みましたか
僕にとっては復帰戦のようなものでした。まだまだ早大のラグビーに馴染めていない部分はあると思います。自分が海外遠征で学んだことをどれだけ出せるか、持っているものをどれだけ出せるかということについてフォーカスして、この試合に臨みました。
――試合内容ではフィジカルで圧倒するプレーも見られました。ご自身ではどのように評価していますか
U-20日本代表遠征で得てきたことが試合に生かせた部分もありました。この結果に満足せずに春シーズン後の夏合宿や秋に向けて、これからも努力していきたいと思います。
――U-20日本代表遠征に参加してみて、収穫は何でしょうか
僕自身がFWリーダーに任命されて、周りを見渡すことが多くなりました。チームについて、ラグビーについて、ただプレーするだけではなくて考える部分が大きくなりました。そのことが自分にとっては一番の収穫だったと思います。
――他大学の選手と交流し、刺激されたことはありましたか
代表として選ばれているので、どの選手もレベルは高く学ぶところはいろいろありました。自分に足りないところはコンタクトプレーでの激しさであったり、練習の段階から妥協せずに取り組んだりしていることですね。今まで以上に練習の段階から思い切ったプレーをしていきたいと思いました。
――体を大きくすることに関して、どのような取り組みをしていますか
サイズアップをしたいと思っていたのですが、海外遠征で熱などもあり逆に2、3キロ昨シーズンよりも痩せてしまいました。これからのオフの期間はウエイトなどで、今のうちに体の面などの遅れを取り戻したいです。
――スクラムでの感触について教えて下さい
僕は昨シーズンまで、フランカーで出場していました。U-20日本代表ではロックをやっていましたが、早大の方では合わせる時間が少なかったのでフロントローの方に迷惑を掛けてしまった部分はあったかなと思っています。これからですね。
――今後もロックとして出場していく予定ですか
それは後藤さん(禎和監督)が決めることなので。僕は与えれたポジションで全力を尽くして、チームの勝利に貢献したいです。
――今後に向けて抱負をお願いします
チームに戻ってきて日も浅いので、まずはチームの戦術を理解することから始めたいです。早くチームに慣れて個人としてもチームとしても、日本一、打倒・帝京大に向けて努力していきたいと思います。
 

ロック桑野詠真(スポ3=福岡・筑紫)
――この試合を振り返ってみていかがでしたか
春シーズン最後の試合でしたし、相手も慶大ということで、週ごとに決まったテーマとかをみんながすごく意識していて、その意識していたことを試合の入りからある程度できたのではないかなと思います。
――具体的に、その意識していたことというのはどういったことだったのでしょうか
ディフェンスのセットと、一次攻撃、セットプレーなどです。
――そのセットプレーについて、この試合をどのように評価していますか
スクラムに関しては、慶大に対してではあるのですけど、ある程度組めていました。ラインアウトも、先週、先々週に比べたら修正できていたので良かったと思います。
――このシーズン初めて加藤選手とロックでメンバー入りされましたが、違和感などはありましたか
違和感とかは特になかったですね。フィールドのプレーで加藤は良いので。加藤もUー20から帰ってきて余裕も出てきましたし、すごく成長しているというのが今週の練習やきょうの試合でわかったので、すごく頼もしい存在です。
――これまで取り組んできた接点の部分について、この試合ではいかがでしたか
前に出るということを春シーズンずっとやってきていたので、その点が(春シーズンの)最終戦でできたというのは大きな収穫だと思います。
――このシーズン久しぶりの勝利となりましたが、いまの率直な気持ちを教えてください
本当に勝つということがどれだけ難しいかということが分かりましたし、自分たちの弱さというのが露呈した春シーズンだったと思います。その点で最終戦で勝ちをとれた、勝ち切れたというのは、いまのワセダにとって大きかったと思います。
――この試合で春シーズン予定されていた試合をすべて終えられましたが、それを通じてなにか収穫や課題はありましたか
やっぱりまだセットプレーやFWサイドの部分で、帝京大や東海大、明大に対して自分たちの思うようなプレーができるかということや、(体の)大きいFWに対してひとりひとりが強くタックルするという部分はまだまだ上げていかなければいけないところだと思いました。
――これから始まる夏の期間に向けてやっていきたいことはありますか
自分たちからいろんなことを貪欲に求めていって、秋はまだまだなので、帝京大を見据えてやっていくだけです。
 

SO横山陽介(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――48ー12というスコアでの大勝となりましたが、本日のプレーを振り返って感想をお願いします
いいときは良くて、悪い時は悪いというのが本日のゲームでも顕著に現れたような気がします。いい流れでアタックできているときはいいプレーが続くし、攻め込まれたら相手にやられてしまうという感じでした。ただ、いつもと違ったのは攻め込まれても粘り強くディフェンスできたことだと思います。
――キックを多く用いたプレーが見られましたが、ゲームプラン通りだったのでしょうか
そうですね。相手の敵陣に入っていこうというのが本日のプランでした。できたこととできなかったことがあります。
――キックの精度に関してはいかがですか
ミスキックも何本かありましたし、毎試合ノータッチゼロというのを決めているのですが1本あったので、そこはもっと集中しなければいけないと感じました。
――天候の影響はありましたか
芝が長かったりもしたのですが、グラウンドや天候に言い訳するのはなしで、関係なくやっていかなければいけないと思っています。
――前回の明大戦のインタビューの際に、「流れを常に一定にし、常に戦えるような雰囲気を作っていければいい」というお話をされていましたが、1週間でどのように意識して調整されましたか
ムラはあったのですが、悪い状況で切り替えるプレーが随所にあったので、そこが成長だと思います。
――この1週間で粘り強いプレーにつながった要因はありますか
ディフェンスでとられることなく粘り続けて、守ってターンオーバーしたりする場面があったので、そこが具体的に良かったと思います。
――春の最終戦を終えて、どのようなシーズンでしたか
個人的には成長できたかなと思います。チームとしては敗戦が続いたのですが、個人としては秋に向けたイメージづくりができて、「秋にこういうプレーをしていけば良い」というイメージをきちんと作ることができました。
――成長できたと感じる部分は、具体的にはどのようなところですか
コンバージョンの精度が上がってきたと思います。
――夏に向けてどのような部分を調整していきたいですか
次の合宿での帝京大戦までに身体を大きくしてスキルやディフェンス力、体力を上げるなどいまよりも全部レベルアップしていく状態にしていかなければいけないと思いました。
 

WTB本田宗詩(スポ3=福岡)
――この試合を振り返っていかがですか
帝京大、東海大、高麗大と負けが続いてチームとしても低迷していて、きょうは勝ちにこだわろうということで、テーマは『Go Forward』ということで1週間やってきました。特にFWが前に出られたというのは勝因だったと思います。
――ブレイクダウンで優位に立って、ボールの展開が速い印象を受けましたがオフェンスの手応えはいかがですか
やりたいラグビーはそういうところだと思うので、ブレイクダウンに特にこだわろうということでした。それができてなくてここ最近は負けが続いていたので、ブレイクダウンに優位に立てれば自分たちのやりたいラグビーができるというのを証明できたと思います。
――カウンターアタックでいいランが出ていましたがランを振り返っていかがですか
カウンターアタックというのは自分の強みなので、その中でもしっかりエリアというのを最近重視しています。ハイパントだったりロングキックだったり。でもあのシーンはキックダミーから前が空いていたので思い切って勝負しました。
――前半ハイパントキックを蹴る場面もありましたが、何か意識してのことでしょうか
キックについてバックスリーは全体的に蹴っていなかったんですけど、FWを前に出してあげるということで、これから夏にかけてキックカウンターでのキックオプションが増えていくと思います。
――内でボールをもらいたいという話もありましたが、今回はそれが実現できたのでしょうか
それでもやっぱり外とのコミュニケーションや内とのコミュニケーションで、相手のBKに余っている状況なのにもらったところで詰められてしまったりしたので、そこの浅さとか深さとかをもっと周りとのコミュニケーションを取っていければもっと良くなると思います。
――ディフェンスは攻められる時間帯もありましたが、最後の最後で守れていた印象を受けましたがいかがでしたか
前半のメンバーはしっかり声も出ていたんですけど、最後の方なんかは攻められたらメンバーが若いっていうこともありますし、苦しい時に声を出す人間がいなかったこともあって、僕もいいタックルはあったんですけど、周りを動かすような声がなかったのでもっと周りを動かせるプレイヤーになりたいです。
――春シーズンを振り返っていかがですか
ほとんど14番としてフルで出たんですけど、圧倒的にトライ数が少ないというのが反省点で、内容というよりも結果にこだわりたいので、夏合宿はトライ数という一点だけにこだわっていきたいです。
――今後への課題は何かありますか
チームとしての課題は接点で負けてしまうと東海大、帝京大のような試合になってしまうので、きょうみたいに勝ってブレイクダウンで圧倒すれば自分たちのやりたいラグビーができると思います。ブレイクダウンが一番の課題だと思います。個人の課題としては自分の勝負できる間合いになったらこの春シーズンも裏を取れていたので、最後自分だけではなくて周りとコミュニケーション取って、トライという決定力が課題です。
 

FB黒木健人(教2=宮崎・高鍋)
――この試合結果に関してどのように考えていますか
春シーズン最後の試合で絶対に負けられないと思って、みんなで絶対勝ちにいこうと思って挑んだのが、結果的に勝利につながったのかなと思います。
――どのような点をポイントにして試合に臨みましたか
自分としてはバックスリーなので後ろの方からしっかりと声をかけて、BKだったらノーインサイドブレイクで、FWだったら順目へ回るよう常に声かけるようにしていました。アタック面ではディフェンス網を切りに行くようなイメージで、スピードに乗りボールを貰うようにしていくようにしていました。
――ランでのゲインが多く、ボールタッチが多かったですね
基本的には一番外に回してWTBの門田さん(門田成朗、法4=埼玉・早大本庄)とか本田さんでトライを取って欲しいのですが、相手が流してきたので自分で強く行こうと行った結果、結果的に抜けて良い形になったのかなと思います。
――春シーズンの手ごたえはどのようなものでしたか
中々結果的には自分の物にできなかったですけど、色んな所と試合できて得られた部分も多かったので、しっかりと夏合宿で見つめ直して、秋につなげていきたいと思います。
――関東大学対抗戦に向けての意気込み等はありますか
最後まで15番を着て、優勝できるように頑張っていきたいと思います。