早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

Beat Up

2024
  • SpoLive

vs天理大『ミスに苦しみ続け、痛恨の黒星』

全国大学選手権セカンドステージ 対天理大 12月13日 東大阪市花園ラグビー場
 
試合終了を告げるホーンが鳴る。ボールが蹴り出された。喜びに沸く黒衣軍団を前に、茫然と立ち尽くすしかなかった赤黒戦士。最終スコアは10-14。全国大学選手権(大学選手権)セカンドステージ第1戦、敵地・花園に乗り込んだ早大は今シーズンを通した課題である精度面で苦しみ続ける。終盤には焦りからミスを連発。自滅に近いかたちで初戦を落とし、セカンドステージ突破に暗雲が立ち込めた。
 

複数の外国人選手を擁し、個々のポテンシャルが高い天理大。開始7分、相手の力強い攻撃に差し込まれ、7点を先制されてしまう。反撃に転じたい早大であったが、落球やパスミスが相次ぎ流れに乗ることができない。それでも、相手のPGの失敗などに助けられ、射程圏内に捉えたまま試合が進んだ。すると、25分に待望の初得点が生まれる。FB藤田慶和副将(スポ4=東福岡)のキックを機に敵陣に入ると、ラインアウトからFWを中心にじわじわ攻め込む。相手を内側に寄せたところでBKに展開すると、パスが乱れながらも空いたスペースを突いた藤田が今季初トライ。ゴールも決まり同点に追いつく。さらに、ロスタイムにはタッチライン際15メートルの場所からSO横山陽介(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がPGを成功。苦しい展開ながらも、何とかリードして折り返す。
 
修正を期して挑んだ後半。しかし、ダイレクトタッチやノットストレートで自陣にくぎ付けにされると、5分に外国人選手に振り切られ、10-14とまたも追う展開となってしまう。その後も、攻めようと試みるも相手の堅守の前にスピード感がない攻撃が続く。手詰まりのなか、横山や藤田のキックでエリアを獲得しようとするも、天理大に上手く処理され、決定機は生み出せない。それでも、度々訪れたゴール前のピンチは気迫のディフェンスで何とか阻止。1トライでひっくり返せる状況で終盤を迎えた。
 
だが、最後まで早大を苦しめたのは、天理大のディフェンス以上に、自分たちのミスや反則であった。連続攻撃でゴール前まで攻め込むも、オーバーザトップでチャンスを逸すると、ペナルティーからタッチインゴールに蹴り出してしまう痛恨のミスも発生。さらには、相手のダイレクトタッチを誤ってクイックスローインしてしまうシーンもあった。「全体的に精度が悪かった。自分たちのミスに尽きます」(藤田)。悪い流れを断ち切れぬまま反撃ならず、10-14でノーサイドを迎えた。
 
これまでの課題であった精度の低さが露呈したこの試合。ミスから焦りが生じ、その焦りがさらなるミスを誘発する。この悪循環を80分間断ち切ることができなかった。アドバンテージポイントがない早大は、セカンドステージ突破が厳しくなったことも事実である。それでも、残り試合がある限り戦い続けるのが早大の使命。「ワセダは弱くない、強いというところを見せ続ける。ワセダであり続けるために戦う」(CTB岡田一平主将、スポ4=大阪・常翔学園)。まずは次週の朝日大戦、課題を修正して勝利を手にしたいところだ。
(早稲田スポーツ新聞会 菅原拓人)
 

CTB岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)
――この試合の敗因というのはどのようなところにあると感じていますか
天理大のプレッシャーを受けて、引いて、逃げた。本当はもっと正面から体を張って戦うのがワセダなのですが…。
――ミスが相次いだのは技術面以上に内面的な要因も大きかったのでしょうか
そうですね。それでも、プレッシャーは想定できていたことですし、大学選手権に入ると負けられない戦いだということはお互い様なのですが、それを分かっていながらも受けに回ってしまいました。場所が花園に変わり、アウェーのなかで経験の浅い僕たちが逃げてしまうと、どんどん悪循環になってしまいます。どんどんぶつかって、正面から正々堂々戦うべきだったと思います。
――早明戦から休みなく迎えた一戦でしたが、難しさはありましたか
周りからも早明戦が終わって大学選手権の出鼻をくじかれることも多いということは言われていまして、しっかり準備もしていました。しかし、その分だけ身構えてしまったところもありますし、慶大、明大と正面から正々堂々と戦えたということを継続していければこの試合も問題なかったと思うのですが、大学選手権になって力が入ってしまったところもあったかと思います。
――天理大は途中から両CTBが外国人選手でしたが、マッチアップした手応えを聞かせてください
僕個人としては、もっと前で止められたと感じます。前半も自分のタックルミスでゲインされたところもあるので。ワセダは練習で外国人選手を相手にできないですが、どんな相手であろうと、僕らがライバル視している帝京大や東海大相手になると自分たちより大きい相手になりますし、やはり真正面からぶつかるのがラグビーだと思います。
――うまく攻撃がかみ合わないなか、岡田選手がタテに当たるシーンが多かったと思うのですが、どのような意図がありましたか
中々サインプレーやエリアマネジメントがうまくいかないなかで、自分がタテに強いプレーで突破することが仕事だと思っているので、タテにいきました。
――タッチインゴールに蹴り出したり、ダイレクトタッチに対し誤ってクイックスローを入れたりするシーンもありました。やはり焦りが強かったのでしょうか
もちろんあったと思いますね。そこはビデオ見ながら反省をするということと、流れに飲み込まれないように戦い続けいないといけないと思います。
――試合後の円陣では何を話しましたか
4年生のみんなが花園に足を運んでくれて、試合の準備や係りなど色々サポートしてくれたので、感謝の気持ちを伝えました。それと、相手のプレッシャーに対し逃げるのは自分たちのラグビーじゃないということ。そして、後藤監督(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)も仰っていたのですが、最後まで諦めない、可能性がどんなであろうと戦い続けようということです。今年のワセダは弱くない、強いというところを見せ続ける、ワセダであり続けるために戦おうということを言いました。
――次戦に向けてはどのように挑みたいですか
朝日大に対していままで準備してきたように、しっかりピーキングして、相手の分析、それと自分たちの反省や練習をしていきます。1週間と少ない時間ですがしっかり積み重ねて、いまの自分たちの最高のパフォーマンスで臨めるようにしたいと思います。
 

NO・8佐藤穣司副将(スポ4=山梨・日川)
――この試合を振り返っていかがでしたか
たくさんの反省点が出たのは間違いないですし、本当にミスが多すぎるということと、1対1での真っ向勝負で戦え切れなかった、我慢し切れなかったということが敗因なのかなと思います。
――試合を終えられてどのような心境ですか
これが現実なんだと、受け入れたくない感じはありますが、後藤さん(後藤監督)も一平(岡田主将)も常々言っているように、ワセダは最後まで諦めないということを、あと2戦残っているので絶対に体現して、残りの可能性に懸けてこれからも頑張っていきたいと思います。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
僕自身ボールを持つ機会や、ディフェンスに絡める機会というのが少なく終わってしまい、その点でもすごい悔しく思っています。
――ハンドリングエラーの多さについてはどのように受け止められていますか
一平もハドルで言っていたのですが、1対1の部分で逃げがあったことや、1人1人がボールセキュリティーをできていなかったのかなと思います。
――早明戦後はコミュニケーションがうまく取れなかったとお話されていましたが、その点についてはいかがですか
みんな緊張などもあったと思うのですが、経験値のある僕がしっかり選手をコントロールして、先陣を切ってやっていかなければならなかった中で、うまくコントロールし切れなかった部分がありました。みんなうまくいかなくて少し焦りが出てしまったことが、うまくリズムを作り出せなかった原因かなと思います。
――最後に集合された時、岡田主将からはどのようなお言葉がありましたか
ワセダは最後まで諦めないということをずっと言っています。ここ最近いいゲームができておらず、周りからの評判も良くなかった中でも、ワセダは最後まで諦めないということを貫き通してやっていこう、可能性はゼロではないと思うから、その可能性を信じてやっていこう、という話がありました。
――今後に向けてどのようなお気持ちですか
きょうのゲームはしっかり反省して、まだ次も2週連続で試合が続くので、そこに向けてチームをうまくコントロールしながら、個人での反省もしつつ次につなげたいと思います。
 

FB藤田慶和副将(スポ4=東福岡)
――どのような点に敗因があったと思いますか
全体的に精度が悪かったですね。自分たちのミスに尽きます。
――天理大の守備については、どのような印象をお持ちですか
自分たちのラグビーができていませんでしたし、ボールも簡単に奪われてしまいました。そういうところがいけなかったですね。
――敗因につながった具体的なミスとは何ですか
本当に全体的な部分です。特にこれがというものはありません。全体的なプレーの精度が低かったです。
――エリアを意識したプレーが印象的でした。ゲームプランはいかがでしたか
後半の残り10分以上ある中で4点ビハインドでしたが、エリアを取って自分たちのかたちのラインアウトなりで攻めれば立て直せると思っていました。ですが、競り負けたこともあったので、そこが良くなかったですね。
――キックを多用するゲームの方向性は間違っていないと振り返りますか
その時の判断なので間違っているかいないのか、判断は難しいところです。そこよりもミスが負けの原因につながったと思います。ブレイクダウンでも、オフロードパスの部分でも全ての部分で良くなかったです。
――残り2試合ありますが、どのように臨みますか
まずしっかり反省をして次に臨みたいですね。自分たちのやるべきことをしっかりとしていきたいです。可能性がなくなったわけではないので、早大としては最後まで諦めずに試合をしたいです。
――次戦に向けてはいかがですか
精度を高めることです。精度が悪いからミスも出てしまいました。自分たちのラグビーがまだ全然できていません。精度を改善していき、次につなげたいです。
 

フッカー貝塚隼一郎(政経4=埼玉・早大本庄)
――試合を振り返っていかがですか
受けに回ってしまったという試合ですね。
――どのような気持ちでこの試合に臨んだのですか
大学選手権が始まってこの試合に勝つことだけを考えていて、試合の入りの部分を意識していたのですが、流れを作れなかったです。あと、要所で自分達のミスがあったり、相手のプレッシャーから逃れることができず、後手に回ってしまいました。
――ラインアウトはどうでしたか
反省ですね。
――大学選手権は続きますが、今後どのようなプレーをしたいですか
一番はセットプレーの安定で、もう一度見つめ直して修正していきたいです。また、球際であったり、モールのこぼれ球への反応だったり、ひとつひとつの精度を上げていきたいです。
 

ロック桑野詠真(スポ3=福岡・筑紫)
――率直な気持ちを教えて下さい
勝てなかったということが、本当に悔しいです。
――試合を振り返ってみていかがでしたか
試合の前から天理大のディフェンスが堅いということは分かっていたのですが、実際にやってみて、さらにディフェンスが堅かったなと感じました。
――ロースコアの戦いとなりましたが、どういった気持ちでプレーしていましたか
僕としてはブレイクダウンなど体を当てる場面では全然負けていなかったと思いますし、いけると思っていました。でも、ゴール前でのモールでトライを取り切れなくて、点数につながらなかったのは良くなかったですね。
――セットプレーについてお聞きします。ラインアウトに関してはいかがでしたか
サイン出しのところで、自分たちのサインを信じ切れなかったと言いますか、少し迷いが生まれてしまいました。
――それでも、相手ボールラインアウトをカットする場面が多くありました
そうですね。かなり研究していたので。でも、もっと取りたかったです。
――スクラムの手ごたえはいかがでしたか
敵陣5メートルでのスクラムがなかったので、スクラムトライのチャンスがなくて残念でした。スクラムトライのチャンスが来て欲しいと思っていたのですけど、なかなか相手はミスやペナルティーをしなかったので、そういうチャンスが生まれなかったです。
――この試合の敗因としてはミスとペナルティーだったのでしょうか
そうですね。
――この後も全国大学選手権は続いていきますが、次戦までの期間をどう過ごしたいですか
これだけ4年生がサポートしてくれて、一平さん(岡田主将)も絶対に諦めないと言っていて、僕も絶対に諦めないですし、1%でも可能性がある限りその可能性を信じて良い準備をしたいです。最後まで早大はあがき続けるし、絶対に諦めないチームなので。そういう姿を周りの人は見ていると思うので、しっかり出していきたいです。
――スタンドには多くの4年生がいましたが、どういった気持ちでプレーしていましたか
本当に4年生が良いサポートをしてくれて、本当にありがたいのですが、負けてしまったということに関しては非常に申し訳なかったです。それしかないですね。
 

SO横山陽介(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――厳しい試合となりましたが、本日のプレーを振り返っていかがですか
BKのミスがやはり勝敗に関わっているのかなと思います。ミスが多くてこの結果になったと思うので、悔しいです。次の試合までにしっかりと修正して絶対に勝っていきたいと思います。
――大学選手権に向けどのように調整をしてきましたか
いつも通り1週間しっかりと準備をするというかたちでした。準備の方向性は間違っていなかったと思うのですが、予想外のプレーなどに対応できていなかったと思います。相手が思ったよりもキックを蹴ってきたり、キック後のディフェンスであったり、そういうところに対応できなければいけないと思いました。分析をしたときには予想をしていなかったプレーであっても、ゲーム中に対応できる柔軟なプレーや、精度、選択肢といった部分をしっかりと調整していかなければいけないと思います。
――キックに関してプレーを振り返っていかがですか
エリアを取るキックは良かったのですが、やはりノータッチの2本が試合の勝敗を決めてしまったところだと思うので、しっかりとやっていかなければいけないと思います。
――今後の試合に向けて、どのように戦っていきたいですか
相手がどこであれ勝つしかないので絶対に勝って、特に東海大は昨年負けた相手なので、今回の試合のようなプレーを絶対にしないように精度を万全にして臨みたいです。