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【監督コメント】帝京大学戦を終えて

2016.11.16
 
【監督コメント】帝京大学戦を終えて
 
秋のシーズンが始まり、開幕4連勝で迎えた11月6日(日)の帝京大学戦。新体制発足時から大学日本一の為に、越えなければならない相手と位置付けた帝京大学との一戦。前人未到の大学選手権7連覇を達成した帝京大学相手に、昨年は15対92と大敗を喫したが、山下大悟新監督の下、新スローガン『Be the Chain』を掲げてスタートした今季は、夏合宿での初対戦で22対47と敗退するものの、前半は10対12と王者に肉薄。
秋の対抗戦でも筑波大学に完勝するなど、大きな期待感に包まれながら始まった試合で、開始早々ペナルティーゴールを成功させて先制する試合展開。
ただ、結果的には一度も相手のゴールラインを超えることが出来ずに、3対75で敗退。王者相手にグラウンドでは何が起きていたのか、またこれからのチームはどう進んでいくのか、山下監督に直接聞きました。

【11月5日(土)帝京大学戦前日のジャージ渡しの際に、塩でジャージを清める山下監督】
 
Q:単刀直入に、3対75という結果について、どうしてそのような点差になったのか、試合を終えて、どのように分析していますか。
A:この試合に向けては、次の三点に大きく分けて準備しました。一つ目は、今季、早稲田が強みにしていく部分を前面に出すこと、二つ目は、相手の強みを出させないこと、三つ目は、新しく更新したものを自分たちのものにして試合で発揮すること。この三点を大きな軸として臨みました。ただ、新しく更新したものを自分たちのものにして試合で発揮する部分で、アタックの精度と出口の部分が悪く、逆に相手の強みを出させてしまい、早稲田が強みにしていかなくてはならない部分で後手を踏んでしまったということです。
 
Q:ペナルティーゴールで先制するなど、スタートは良かったと思うのですが。
A:今思えば、試合の入りで、少し気合を入れ過ぎてしまったのも原因かなと思っています。あまりにも興奮状態になり、当初練習していたチームのルールから逸脱するプレーが散見されました。そのルールを無視したプレーをした際に、それが全て向こうの得点に繋がってしまった。そこをしっかりと取りきるのは、チャンピオンチームとしての帝京大学さんの実力なので、プレーの精度も含めてこれからまた鍛錬していくしかないですね。
ただ、拘っている部分は全くブレていませんし、全ては帝京大学さんに勝つために準備してきたものなので、チームディフェンスとブレイクダウンとスクラムの三点の精度を上げていくことしかないと思っています。
そんな中で、ブレイクダウンの攻防に於いては、向こうの執念と厳しさを感じました。そこは早稲田が夏合宿を通じて意識させたものだと思いますが、彼らが背負っているものの重さを体現されてしまった。
ただ、本気の帝京大学さんを感じることが出来たのを、我々は糧にしていかなければならないと思っています。
我々はチャレンジャーの立場ですから、何も失っていないですし、これを良い経験、良い薬、良い糧にして、これからやって行くしかないですね。
 
Q:夏合宿の時の対戦で、前半10対12と接戦に持ち込み、ある程度手応えを感じながら、この試合に向けて準備をしてきたと思うのですが、実際にどのような準備をしてきたのですか。
A:以前の監督コメントでも申し上げて来たように、今季、早稲田が強みにしていこうとする部分を前面に出すこと、相手の強みを出させないこと、新しく更新したものを自分たちのものにして試合で発揮すること、この三点に尽きます。
 

【8月21日(日)菅平での帝京大学戦 前半にスクラムトライを決め歓喜する選手たち】
 
Q:実際、ルーズボールへの反応など、本来は早稲田が強みにしなければならない部分で、帝京大学に取られていた印象がありますが。
A:帝京大学さんは大学選手権を7連覇していますが、4年生を中心に、非常に良い執念を感じました。そこは彼らが背負っているもの、手放したくないもの、守らなければならないもの、そういうものがプレーに表れていたんではないかと思います。本来は、そういうところで、絶対に早稲田が上回らなければならないと思っていますが、今回はそういう部分でも向こうに上回れてしまいましたね。
 
Q:今年強みにして行くという部分で、スクラムに関しては戦えていたのではないかと思うのですが、どのように感じられましたか。
A:戦えていたというよりは、早稲田が勝ってましたね。相手の3番が3回もコラプシング(スクラムを故意に崩す反則)を取られていたので、勝っていたと思いますよ。ただ、ゲームマネジメントの中で、スクラムを選択した位置については、試合後の記者会見でもお伝えしましたが、ミスだったかなと感じています。
 
Q:具体的にそれは、前半最後の敵陣22m付近でのペナルティからのスクラムのことでしょうか?
A:はい。あそこでは、スクラムが崩れて相手がペナライズされても、またスクラムを組み直すしかないので、あそこは、当然タッチに蹴り出して、ラインアウトにしたかった。ラインアウトモールという出口をもう一つ持っていたので、そこをやりたかったですね。

【11月6日(日)帝京大学戦 スクラムでは優位に立つが、支配するまでには至らなかった】
 
Q:逆に帝京大学戦を通じて収穫や、通用したなという部分はどこかありますか。
A:精度の問題はまだまだありますが、間違いなく言えるのは戦法の部分ですね。自分たちの強みを出すこと、相手の強みを出させないこと、新しく更新したものを自分たちの強みとして発揮すること、その三つに紐づいた戦法という意味では間違っていなかったと感じています。実際にボールポゼッションは早稲田57%、帝京43%、タックル総数も早稲田110回帝京140回と早稲田がボールを持っていました。ただその攻撃の精度と出口がまだまだでした。
 
Q:ある程度中盤では、自分たちのペースでボールをキープ出来ていたと思うのですが、トライを取りきるまでには至りませんでした。どう感じましたか。
A:スコアゾーンでの出口のところ精度が低かったですね。中盤でも、もう少しバックスがゲインを獲れるだろう局面がたくさんあったのですが、ラインの上げ下げが上手く行っていなかった。そういうところでも精度が低かったと思います。
 
Q:次戦は、伝統の一戦・慶應義塾大学戦となります。帝京大学、明治大学との試合も、敗れはしましたが、最後まで勝敗がもつれる良い試合をしています。どのように準備していきますか。
A:今季の慶應義塾大学さんに関して、フォワードは真面目に仕事をするし、痛いことを厭わずやるという印象を持っています。そういう意味では、非常に尊敬できる良いチームなので、早稲田も一番痛いところで負けないようにしっかりと準備をしたいと思います。基本的な部分はもう変わらないですよ。この帝京大学、慶應義塾大学、明治大学との三試合は、自分たちの強みを前面に出すこと、相手の強みを出させないこと、更新したものを自分たちのものにして試合で発揮すること。その三点だと思っています。
 
Q:早慶戦までの間に、ヤマハ戦(11月12日実施)を組みました。どのような意味合いで、この試合をセッティングしたのですか。
A:本当は帝京大学戦の試合前週末にも、トップリーグのチームとの試合形式での練習を入れたかったんです。ただ、怪我人が復帰してきた週だったこともあり、自分たちの中でハードな練習をするということで、トップリーグのチームとの合同練習は差し控えました。
今振り返ってみて、もしスケジュール的にミスがあるとすればそこで、帝京大学さんの本気の接点に対して、それと同等以上のものを経験しておけば、試合中の落ち着きというものは変わってきたのかなと思っています。
今回、開始直後で自分たちが落ち着いてない時に、相手に点数を取られてしまった部分が非常に大きかったので、事前にそういうハイプレッシャーの中のアタックとディフェンスというものを体験しておけば、多少は対応出来たのかなと思います。
そうした反省も踏まえて、早慶戦、早明戦を見据えて、ヤマハさんのご厚意で試合を組ませていただきました。もちろん、選手たちにもこうした意味合いというものは伝えています。
清宮さんはじめヤマハの皆様には本当にお世話になっておりますので、試合だけではなく、諸々ご教授いただきたいです。
 
Q:早稲田と同じく、慶戦も今季からアシックスの提供を受けていますが、早慶両校で何か共同で取り組むことなどありますか。
A:慶應さんも、早稲田も、今年からアシックスのサプライを使用しているので、そういう意味では、アシックスダービーと言えるのではないでしょうか(笑)。カレッジスポーツを盛り上げていきたい、しっかりと産業化していきたいというアシックスさんの中でも、もちろん大きなイベントして位置づけられていますので、会場を盛り上げる企画をアシックスさん、慶應さんと共にやって行こうと思っています。
是非、皆さんも早慶戦を楽しむとともに、そういうイベントを楽しんでいただければと思います。
Q:最後に、早慶戦に向けてファンの皆さまにメッセージをお願いします。
A:まずは、帝京大学戦で皆さまのご期待に応えることが出来ずに申し訳ありませんでした。ただ、今年のチームはまだまだ成長過程ですし、シーズンが深まった今の段階でさえ、先日の敗戦を糧にして、さらに成長しています。
また、早稲田と慶應さんというのは、いろいろなところで、良き友であり、ライバルでもあるので、伝統の一戦の名に恥じないように、お互いいいゲームが出来るように頑張りたいですね。もちろん、最後は早稲田が勝ちますので、是非秩父宮ラグビー場に足を運んでいただき、応援のほど、よろしくお願いします。
(終了)