時折雨が降りしきる中、帝京大Cとの一戦が帝京大・百草グラウンドで行われた。早大は先週の関東大学対抗戦で帝京大に惜敗し、この日行われたジュニア選手権、D戦でも黒星を喫している。なんとしても1勝をつかみとりたい早大Cは、立ち上がりから果敢に攻め込み、2トライを先取。試合の主導権を握りかけたと思われたが、地力で勝る帝京大Cのフィジカルに押され始め、徐々に主導権を奪われてしまう。立て続けに失点を許し、最終スコア17-43でノーサイド。早大は帝京大相手に4連敗を喫することとなった。

早大Cのキックオフで始まった今試合。立ち上がりからCTB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)が鋭いプレッシャーをかけてボールを奪うと、1分には早大Cが敵陣ゴール前に迫る。ボールを継続し、SO池山昂佑(商3=東京・早実)のフラットなパスを受けたCTB森田倫太朗(スポ3=兵庫・報徳)がギャップを突いて中央にトライ。池山のコンバージョンも決まり、7-0と幸先よく先制した。続く5分、No.8龍康之助(文構2=東京・早大学院)のスティールから敵陣へ攻め込み、島田、池山、森田とテンポよくボールをつなぐ。池山のオフロードパスを起点に再び島田が仕掛け、最後は池山のパスを受けたWTB小澤アンディ(法4=千葉・流経大柏)がトライラインを叩き割った。序盤から池山、島田、森田のインサイドBKが躍動し、アタックラインを巧みに操る。
しかし、帝京大Cが反撃の狼煙をあげる。9分、早大Cの連続ペナルティーで自陣深くまで攻め込まれると、FWの連続攻撃を止めきれず失点。このトライをきっかけに流れが変わった。以降、接点で押し込まれる場面が増え、17分、23分には逆転を許してしまう。それでも早大Cは島田のタックルからボールを奪い返し、LO駒井良(スポ1=東海大大阪仰星)や森田の力強いキャリーで再び攻め込むが、得点には結びつかない。前半終了間際には帝京大Cに連続フェーズからトライを奪われ、スコアは12-24。出だしの勢いとは裏腹に、終盤は帝京大Cに主導権を握られる展開となった。

迎えたセカンドハーフ、先に得点を返したい早大Cだったが、開始直後に2トライを奪われ、苦しい展開となる。反撃の機会が訪れたのは21分。龍の力強いゲインから起点をつくり、池山を軸に左右へとボールを展開。フェーズを重ね、最後は小澤(アンディ)がライン際で押し込み、トライラインに手をかけた。その後は帝京大Cに何度も自陣ゴール前まで攻め込まれるが、15人が繋がり続けてゴールを守る。しかし、無情にもノーサイド。スコアは17-43。後半も帝京大Cの地力を前に、差を広げられる結果となった。

早大Cは立ち上がりから連続トライを挙げ、幸先の良いスタートを切ったかに見えた。しかし、帝京大Cの圧倒的なフィジカルと激しいプレッシャーに押され、徐々に主導権を奪われていく。反撃の糸口をつかめぬまま、失点を重ねての敗戦となった。
それでも、劣勢の中で光を放った選手たちを紹介したい。まずは司令塔の池山だ。今試合では鋭い長短のパスを巧みに使い分け、試合をコントロールした。両CTBの島田と森田も存在感を示した。島田は持ち味のアタックに加え、ディフェンス面での貢献をみせた。キックオフでのチェイスからボールを奪取し、接点では鋭い出足で相手の勢いを止め続けた。森田はアタックで輝いた。アンストラクチャーの場面では小刻みなステップでディフェンスラインを突破し、外のスペースがあれば正確なロングパスで展開した。さらに、ルーキーの駒井も忘れてはならない。落ち着いた判断と力強いプレーで攻守にわたりチームを支えた。
彼らの存在がチームにエナジーをもたらし、確かな成長へと繋がったのは間違いないだろう。試合後、両チームは円陣を組んだ。歓喜に包まれる帝京大の輪とは対照的に、早大の円陣は長く、そして静かだった。その静かな闘志を胸に、すべては最後に『荒ぶる』を歌うため。シーズンも終盤にさしかかり残された時間はわずかだ。「決勝までの2ヶ月、最後まで足掻き続ける」とLO紀伊が語るように、早大Cの歩みは決して止まらない。
記事:大林祐太 写真:村上結太(早稲田スポーツ新聞会)
