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2025
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関東大学対抗戦 慶應義塾大学戦/観戦記

赤と黄、二色の紅葉に彩られた神宮外苑の景色を背に、秩父宮ラグビー場で赤黒と黒黄を身にまとった戦士たちが102回目を迎える伝統の一戦に臨んだ。前節で接戦の末に敗北している者同士、今節は絶対に負けられない。前半から主導権を握る早大は豊富な引き出しから多彩な攻撃を繰り出す。FWがスクラムでプレッシャーをかけ、ボールを有利に支配したかと思えばキックパスを織り交ぜながらBKが慶大のディフェンスを翻弄。先に2トライを挙げる。対する慶大も突き刺さるディフェンスやSH橋本弾介(慶大)の持ち出しでチャンスを作り反撃し、14-7。しかし勢いの衰えない早大は連続で3トライを奪い、35-7で試合を折り返した。
変わって後半、息を吹き返した慶大が19分にはモール、26分には劇的なインターセプトから好機をものにし、35-21と追い上げる。これ以上差を縮められるわけにはいかない早大は途中出場の選手らが躍動し、2本を返すとスコアは49-21。試合終盤にゴール前まで攻め込まれるも、ディフェンスでプライドを見せた早大がゴールを守り切り、ノーサイド。早慶戦は早大に軍配が上がった。

コンバージョンキックを蹴るCTB野中

天高く蹴り上げられたキックオフのボールは慶大の胸に収まらず、いきなりファーストスクラムとなる。ここでフリーキックを得た早大はクイックスタートでチャンスを演出するが、ボールを失ってしまう。しかし5分、慶大ゴール前での相手ボールスクラムで組まれたと同時にFWが押し切ってペナルティーを獲得。早大の選手たちの咆哮が響き渡る。再度チャンスを得た早大はラインアウトからモールで押し込み、最後はHO清水健伸(スポ3=東京・國學院久我山)がグラウンディング。今試合初の得点を挙げる。
10分には慶大に攻め込まれるもWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)がチームを救うスティール。相手のノットリリースザボールを誘う。マイボールラインアウトを獲得した早大は外に展開。CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)が芸術的なオフロードでボールをつなぐとFB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がゲインする。すると一気に逆サイドへとSO服部亮太(スポ2=佐賀工)がロングパス。福島とNo.8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)でパスをつなぎ大外にトライした。

対する慶大は14分に早大陣内でラインアウトを獲得するとモールで前進。そこから左に展開していき、最後は橋本が持ち込み、No.8中野誠章(慶大)に早大ゴールをこじ開けられた。それでも攻撃の手を緩めない早大はマイボールラインアウトからフェーズを重ね、魂のタックルをはねのけながら前進。服部が一つステップを挟み、走りこんできたLO栗田文介(スポ4=愛知・千種)がインゴールに飛び込んだ。
勢いに乗る早大は25分にはモールから、37分にはラインアウトのサインプレーから清水がトライを奪い、ハットトリック。35-7で前半を折り返す。

スクラムでペナルティーを獲得し、雄叫びを上げるHO清水

後半に入り、流れを渡したくない早大だったがキックオフ直後、自陣深くでノックフォワードをしてしまう。いきなりピンチを迎えてしまうが、ここは矢崎のスティールが光った。その後は互いに好機を生み出しながらもミスやディフェンスの圧で得点につながらない時間が続く。13分には交代で入ったPR平山風希(スポ1=大分東明) が力強いキャリーで突破し、敵陣深くまで攻め込むも決定機を作れない。この膠着状態に終止符を打ったのは慶大だった。19分に敵陣22mライン上でラインアウトを獲得するとモールを形成。早大を後退させると、大きくボールを展開して左隅にトライを挙げた。ここから慶大がギアを上げると、26分にはCTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)が放ったロングパスをインターセプト。独走トライを奪われてしまい、後半無得点の早大は35-21と慶大の猛追を受ける。

突き放したい早大はすぐさま平山などの突破を重ね、ゴール前まで攻め込む。力と力のぶつかり合いとなるが、この裏を突いたSH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)が持ち込んでゴールをたたき割った。続く36分にも得点し、点差を戻した。負けられない慶大は獲得したペナルティーからクイックで仕掛け、じりじりと早大インゴールへと攻め込む。乱れ打ちのようなアタックから再度ペナルティーを誘うとゴール前でのラインアウトを得てラストワンプレー。BKも入ったモールで執念のトライを狙うも早大が守り切り、49-21でノーサイドの笛。拍手が鳴り響く秩父宮には勝利した早大サイドから真っ赤な夕陽が降り注いだ。

ディフェンスに仕掛けるPR平山

対抗戦優勝に向けて手堅い勝利をつかんだ早大。お互いの早慶戦にかける想いが伝わり、長所を前面に出し合う試合となった。次戦はついに宿敵・明大との一戦。対抗戦優勝が決まる事実上の決勝戦だ。FW・BKの完成度の高さを見せつけた早大が紫紺の壁を突破できるのか。全国大学選手権に向けた大きな一戦は、ついに目前に迫っている。

記事:髙木颯人 写真:安藤香穂、植村晧大、伊藤文音、吉田さとみ(早稲田スポーツ新聞会)