徐々に下がっていく気温とは裏腹に、全国各地で高まるラグビーの熱を感じる季節となった。いよいよ後半戦に差し掛かった関東大学対抗戦(対抗戦)。早大はここまで磐石の強さで全勝を重ね、被トライ数、失点数はともに対抗戦内で最少。赤黒を身に纏った15人が敵陣を蹂躙(じゅうりん)する姿は、今季も早大が優勝候補であると、観衆に知らしめるかのようだ。今週末迎える第5節、好敵手・帝京大との大一番も制し、「強い早稲田」を全国へ見せつけろ。

前節、筑波大に29-5で勝利した早大。前半は、終始勢いに乗る筑波大を相手に苦戦を強いられ、チャンスをものにしきれない時間が続いた。ハンドリングエラーも重なり、筑波大に痛恨のファーストトライを許してしまう。そのまま前半の40分は過ぎ、今大会初めて相手の背を追う形でハーフタイムを迎えた。
流れを変えたい後半、今季1年生ながらに『赤黒』の10番を背負い続けるSO⽵⼭史⼈(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がゴール中央に飛び込み、反撃の狼煙をあげる。ブースターとして投入されたPR前⽥麟太朗(スポ3=神奈川・桐蔭学園)、トップチームで初の15番起用となったFB服部亮太(スポ3=佐賀⼯)らの活躍もあり試合は瞬く間に早大のテンポとなった。後半だけで29点を追加した早大が勝ち点6を獲得し、対抗戦首位の座を守り抜いた。

対する帝京大もまた前節、青学大との一戦を88-0と快勝し勢いに乗る。安定したセットプレー、FWの破壊力とBK陣による得点力の高さは今年も健在だ。上田倭楓がタクトを振る今季の帝京大BK陣はそれだけでも脅威だが、特筆すべきはルーキー林宙だろう。初戦の慶大戦で対抗戦デビューを果たし、これまで全ての試合に先発出場し続けている。181センチの長身を活かしたハイボール争いでは高いボール保持率を誇り、青学大戦でもファーストトライをハイボールキャッチから演出した。昨今のトレンドでもあるグラウンド中盤からのハイボール争いをどちらが制するかで試合の行方は大きく変わるだろう。
そして言わずもがな、森山飛翔主将、カイサ・ダウナカマカマの2人にも最大限の警戒が必要だ。前節の得点源となったモール、さらにはフェーズアタック中の両プレーヤーの破壊力は折り紙つき。仕留め切るディフェンスで帝京大に普段通りのアタックをさせないことが非常に重要となるだろう。

続いては今試合注目の『赤黒』の戦士を紹介する。まずは前節、後半終盤のみの出場で見事にノーサイドを締めくくった清⽔健伸主将(スポ4=東京・國學院久我⼭)が、今試合は満を持してのスタメン出場を果たす。縦に鋭く、そして強靭な帝京大FW陣を、清水率いる鉄壁で跳ね返すことが勝利への絶対条件。今年もあの雄叫びが秩父宮を揺らすことだろう。
そして、頼りになる副将たちの存在も忘れてはいけない。前述した通り、ハイボールに定評のある林を封じるには同じく長身の池本晴⼈(社4=東京・早実)しかいない。「相手の脅威になりたい」と研鑽を積んだ仕事人が、4年間の重みを勢いに乗るルーキーに存分に教えることとなるだろう。
松沼寛治(スポ4=東海⼤⼤阪仰星)はリザーブからのスタートだが、彼以上に相手にとって脅威となるリザーブはいない。輝かしいルーキー時代、過酷なリハビリ期間を乗り越え、スターは大成した。松沼なら戦況をひっくり返してくれる、そんな期待を抱かせてくれる『赤黒』の雄からも目が離せない。

春は1点差、夏は2点差での惜敗。臙脂(えんじ)と真紅のジャージーは今年もまさにしのぎを削る戦いを繰り広げてきた。試合内容、選手のレベル、その他何をとっても両校の間にある差は微々たるものであったと言えるだろう。しかし、今季の勝敗を占う力試しとも言えた両試合は、どちらも帝京大に軍配が上がった。清水が語るには、「いつも通りの力を100%出したチームが優勝する」。隙を見せれば確実に得点に繋げてくる相手を前に求められるものは「一貫性」だ。堅守を鉄壁に、昨年までは「良いアタック」であったものを「いつものアタック」に。そういったスタンダードの底上げは早大の激しいメンバー入れ替えに顕著にあらわれている。
二度もそっぽを向いた勝利の女神を今度こそ振り向かせて見せる。女心と秋の空、ようやくラグビーの季節にふさわしい空模様になってきた。征くぞ帝京大、春夏の借りはラグビーの聖地・秩父宮で返す。まさに総力戦、最後の冬を前に難敵を打ち倒し、『荒ぶる』への大きな一歩を踏み出せ。
記事:堀内遥寿 写真:堀内遥寿、飯塚咲(早稲田スポーツ新聞会)
