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2024

大体大戦・観戦記

大体大戦・観戦記

雲ひとつない青空の下、秩父宮ラグビー場にて大学選手権2回戦が行われた。この日の相手は久々の対戦となる大体大。早慶戦時に負けないほどの観衆が詰めかけるなか、ワセダは3年ぶりの正月超えに挑んだ。


唖然、呆然…。試合終了後の光景は明らかにいつものそれとは違っていた。今シーズン最悪の試合内容に笑顔を見せる選手などいるはずもなかった。
この日もスタートは快調だった。試合開始早々の3分に鮮やかなオープン攻撃からトライを挙げるとアタック全開。もはや恒例となりつつあるキックオフからのノーホイッスルトライも見せるなど、相手ディフェンスをいとも簡単に切り裂き、前半だけで7つものトライを奪った。後半に入っても1分にあっさりとトライ。50-12と38点もの差を付け、楽勝ムードが漂った。
しかしここから完全にエンジンストップ。単調なアタックにミスが重なる悪循環で流れが相手に傾くと防戦一方の展開となってしまう。足も止まりまったくといっていいほど前に出ることができずディフェンスが崩壊。FW、BKともことごとくゲインを許し次々にインゴールに飛び込まれた。
残り5分のところで11点差。それまで静かだった秩父宮は異様な雰囲気に包まれた。攻め続けられた早大は反撃の糸口すら掴めず、もはや時間の経過を待つばかりのグロッキー状態。ラストプレーでも相手WTBに自陣から簡単に振り切られついには4点差。「もし、もう1プレーあったら…」。何とか逃げ切ったものの、そう感じさせるほどの際どい試合となってしまった。
課題山積みの内容に選手たちは当然ながら反省しきり。ロッカールームでもいつもの活気は失われた。「悲観しても始まらない。とにかくあと2つ」(左京主将)。対抗戦で見せたあの強さを取り戻すことはできるのか。ライバル慶大との再戦の日まで残された時間は少ない。

<スクラムマシーン屋比久登場>
プロップ屋比久健(2年)がついに赤黒デビューを果たした。実はこの選手、沖縄・球陽高卒業後2年間職に就き、更にはその後1年の受験生生活を経て入学したという異色の経歴の持ち主。しかもラグビーを本格的に始めたのは大学に入ってからという過去ワセダに例を見ないような存在だ。
最大の武器は何と言っても強力なスクラム。その強さは間違いなくワセダ1で、夏合宿では清宮監督が「屋比久はスクラムマシーンだな」と言ったほど。今日は「緊張して全然当たれなかった」と言うが、これからの戦いで大きな武器になることは間違いなし。屋比久が本来の強さを爆発させた時、ワセダの勝利が見えてくる。

<清宮監督試合後のコメント>
「前半が終わった時にこのままいけば大量得点になると思い、全員出そうと思った。試すという意味もあってメンバーを替えたけれどダメ過ぎだった。反省してる。ただ修正するところも分かったしポジティブに考えている。今日の後半のメンバーから次は10人くらい変わると思う。ケガ人もほぼ万全。足の速いWTBとFB、懐の深いNO8と大体大のイメージは想像通りだった。相手どうこうよりも自分たちがよくなかった。ディフェンスが全部よくなかった。勝ち負けということでは問題ない。今日のことは前向きに考える。キックを使ってこないダメもとの相手のアタックにどう対応するかが見えた」

<左京主将試合後のコメント>
「前半はいいリズムでできた。相手の時間帯になった時にどう凌ぐかというのが問題。その時に自分たちのよくないプレーが続いてズルズルとああいう結果になってしまった。悪循環でそれが続くと集中力も切れてしまう。メンバーが変わったというのもあるけれど、みんなワセダなのだからしっかりできないといけない。接点のところとタックルが悪かった。相手というより自分たちの問題。あそこまで詰まるとは思わなかった。取られすぎ。次で大丈夫だろうと思っていたら、ここというところでミスがでてしまった。別に気が緩んでいたということはない。いい反省になったと思う。次に行けたというよりあと2つという感覚。プレーの精度を高くしてしっかりとやりたい。そうすれば今日みたいにはならない」

<初出場のロック桑江崇行(1年)>
「それなりに緊張した。あまり走れなかったし、ランナーに入れなかった。いい勝ち方することが目標だったので、それができなくて残念。周りの1年というよりも先輩たちを意識している。自分の課題はまだまだたくさんあります」

<副将・安藤敬介>
「しんどかった。今日はフィットネスがなかった。走れなくなったのとミスの多かった。なりふりかまわない相手のアタックに受けてしまった。FWは悪かった。軽いプレーをしてしまった。いい反省になった。これからは精度を上げることを考えていきたい」

<CTB沼田一樹(4年)>
「今日は何とも言えない。体大ペースになって辛かった。外のスペースを走られてしまった。前に出ることができなかった。自分としてはもっと大悟(山下、3年)みたいなCTBらしいプレーをしないといけない。これからは1戦1戦戦っていかないと。決勝だとか言ってられない。ディフェンススキルとシャロー対策やっていきたい」

<1時はCチーム落ちを経験したものの、久々にスタメンの座を掴んだWTB山田智久(2年)>
「今日はディフェンスがよくなかった。実際ちょっとあせった。途中から走れなくなってしまった。フリーでもらった時継続はできたけれどもトライまで持っていけなかった。Cチームに落ちた時もあったけれど、ちゃんとやっていればチャンスが来ると思っていた。気持ち切らずによかった。同じ2年生には負けたくないというのもあるし。今日は新しいメンバーでこうなってしまって残念」