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Beat Up

2024

対日体大戦観戦記


 対抗戦もちょうど折り返し地点。この日は透き通るような青空の下、日体大と秩父宮ラグビー場で対戦した。<HP委員 疋田拡>


  試合開始のキックオフでSO大田尾竜彦(3年)がいきなりノット10m。3分にはあっさりと先制PGを許してしまい、先週同様すっきりしない立ち上がりとなってしまった。
 ミスも続き、嫌な流れになりかけたが、やはりチームを引き締めるのは山下大悟。8分、ゴール前ペナルティーからの素早い仕掛けでボールをもらうと、ステップ1発で相手を翻弄。1人別次元とも言えるアタックで、あっさりとリードを奪って見せた。
 1本取れば勢いに乗るのが今季のワセダ。その後は見違えるような動きでグラウンド目一杯に相手を揺さぶり、次々とインゴールを陥れた。いつものごとくひたすら繰り返される『継続』アタックにアクセントをつけたのが、豊山寛(2年)、山下大悟のCTBコンビ。豊山は愚直に前に出る力強いランニングで、また、山下は抜群の切れで相手防御網を幾度となく切り裂いた。相手ディフェンスの甘さを差し引いてもこの日の2人は出色のでき。CTBでの突破は今季の大きな武器と言えそうだ。
 先週の筑波大戦では散々だった『ブレイクダウン』もしっかりと改善。山下主将は「まだまだ全然」と反省したが、フランカー上村康太(4年)らの激しいスイープがアタックにリズムを生んだ。
 40-8と大量リードで迎えた後半はまさに豊山のワンマンショー。5分、12分、16分と怒涛の3連続トライを挙げると、26分にもSO大田尾との見事な合わせからトライ。一人で5トライを奪う大活躍で、「前に出る思い切りのよさ」を買って起用した清宮監督の期待に十分過ぎる位に応えてみせた。そして豊山と入替えで出場した安藤栄次(2年)もその活躍に刺激されたのか短い時間ながら持ち味を発揮。ここ数試合なりを潜めていた外への展開力でトライを演出するなど、豊山とは違う形でその存在をアピールした。このふたりは日頃からライバル意識剥き出し。同期ふたりによるポジション争いはますますヒートアップしていきそうだ。
 35分、37分と終了間際にミスから2トライを奪われたものの、ロスタイムにFB内藤慎平(2年)がしっかりとお返し。結局、90-27と圧倒的なスコアで日体大を一蹴した。
 次戦はいよいよ対抗戦最初のターゲット・対帝京大戦。これまで封印してきたサインプレーもついに解禁する予定。大観衆の目の前で強いワセダをお見せします!

<ワセダの歴史を変える男・東野が再赤黒デビュー>
後半23分、この日一番の歓声に迎えられ、ついに東野憲照(3年)が秩父宮に帰ってきた。東野が赤黒を身をまとうのは、ちょうど2年前の日体大戦以来2度目。そのときのフランカーからプロップにポジションを変え、ついに赤黒再デビューを果たした。バックローとしてU19日本代表でも活躍した東野の転機は清宮新監督の就任。その身体的強さに目をつけた(ちなみに部内ではカブレラばりの腕を持つと言われることも…)首脳陣の意向で、手薄であったフッカーへコンバートされた。『救世主』としてレギュラーとしての期待も大きかったが、ケガに泣かされ戦線離脱。ほとんどラグビーができないまま、1年間スタンドで声援を送り続けた。そして「勝負の年」と位置付けた今年5月にはプロップへ転向。夏には再びケガに見舞われたものの、それを乗り越え、ついにAチームにまで這い上がってきた。
 東野の魅力は何と言ってもラグビーに対する真摯な姿勢。高校時代オール神奈川で指導した監督が「プレーはもちろん、ラグビーに対する姿勢、キャプテンシー、あんなに素晴らしいプレーヤーは今まで見たことがない」と清宮監督に熱く語りかけたほどだ。もちろんワセダでの評価、期待度も抜群。「ワセダの歴史を変える男」とまで言われる東野の活躍にご期待ください。

<清宮監督試合後のコメント>
「今日はお互いに反則が少なくていい試合だった。先週のこともあったし、今日はプレーに集中しようと言っていて、いいゲームができた。声をかけて注意して、レフリーの反則をさせないという意識の高さが見えた。今日は両チーム合わせての対抗戦反則最小記録じゃないですか(笑)。前半はミスが多かった。起こしてはいけないミスからトライを取られてしまった。難しいことをやろうとしているので、ある程度は仕方ない部分もある。個人で反省練習やらせます。ディフェンスをする機会が少ないが、フランカー陣はいいタックルができるし、上井草で練習していますから。サントリーとやっても部分的には止められるようにはなってきている。選手は自信がついてきていると思う。部内でコンタクトありで練習しているので、ケガ人も出てしまい、万全のコンディションではなかった。豊山は思いきりのいいプレーを期待して使った。同じ位前に出るとしても間合いとタイミングが栄次より早いので、後ろがプレーしやすいと思って使った。意図したとおりのプレーをしてくれた。下から上げて活躍できる人とできない人がいるけれど、彼のように力出せる選手はチームにとって財産になる。(帝京大戦に向けては)今までと練習は変わらず、特別なこともしないとは思うけど、練習してきて封印しているサインプレーは使うつもり」

<山下主将試合後のコメント>
「前半の最初が悪かった。先週の筑波戦と同じ。ここの部分は反省点。来週は最初からしっかりやりたい。ブレイクダウンはまだまだ。自分たちのやらなければならないことができていない。何度か絡まれた場面もあったし。自分たちは完璧を目指しているのでまだまだ満足はできない。来週以降はブレイクダウンのところをもっとしっかりとしていきたい。役割分担もこれまでよりしっかりしていくと思うので、いいラグビーができると思う。今日の自分のプレーは全然ダメでした」

<赤黒再デビューを果たしたプロップ東野>
「今日はものすごく緊張しました。スクラムでセットの後姿勢が高くなり抑えられてしまったところとスイープが甘かったのところが反省点です。昨年はケガでほとんど何もしていなかったし、今年5月にプロップやれと言われた時は信じられない気分でした。まさか自分がやるとは思ってもいませんでした。プロップをやってみてフロントの偉大さが分かりました。スクラムを組んだ後は走れないですから。徐々に慣れてはきましたけど、まだまだです。大江さんのカベは厚いですけど、最後まであきらめずにレギュラー目指してがんばりたい。スクラムも組めて走れるプロップになりたいです。バックローとしての走力、フィットネス、フィールドプレーは捨てたくないですから。同期が上に上がっていくのを見ると自分も負けられない。今はまだまだですけど、大きな試合に出て勝てるところまでレベルアップできるようにがんばりたい」

<初スタメンとなったプロップ屋比久健(3年)>
「今日はフィットネスが不安でした。もたずに途中で足がつってしまい、スクラムで押されみんなに申し訳ないです。スタメンと聞いたときはとてもうれしかった。ワセダのスタメンなんてとても名誉なことですから。80分間楽しめました。足がつらない間はスクラムはよかったと思います。80分できたことは自信になりました。監督、コーチの期待を裏切らないようにがんばりたいです。僕はポジション争いがどうこうより自分との戦いです。そういったことを気にせずにガツガツ練習して、経験を積んでいくことが大切だと思います。大学生活はとても充実しています(笑)。3番はとにかくスクラムでマイボールをキープすることが大切なので、そこをがんばっていきたいです」

<5トライと大暴れの豊山>
「今日は大悟さん、竜彦さんのところにプレッシャーが集中して自分の前が空いていた。とにかく思いきり前に出ることを意識した。自分はパスもキックもできないので、それしかないですから。大悟さんにも思いきり行けと言われましたし。とにかく空いたら前にでました。5トライも取ったのは初めてです。竜彦さんのおかげです。Aチームはまだ緊張します。試合はやるしかないんで平気ですけど、練習ではいつもミスして怒られているので、緊張します。ここからが本番。まずは試合に出るのが目標。そこで結果がだせればその先も使ってもらえると思う。高校時代の同級生もがんばっているので、早慶戦、早明戦に出たいです」