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Beat Up

2024

対関東学院大戦(Jr選手権決勝)観戦記

 『熱闘』…。もうひとつのファイナル・Jr選手権決勝。ワセダと関東。ライバル意識ほとばしる、互いのすべてを懸けた熱い戦いは、凍てつく寒さを忘れさせた。
 風上にも関わらず、前半はまさに我慢の連続。幾度となくゲインラインを突破するも、ここ一番で関東のお家芸・ターンオーバーの前に沈黙。終始、攻め込みながらひとつしかトライを奪えず、5-3と最少得点差で前半を折り返した。
 後半に入ると一転して、激しい打ち合い。ワセダが得意の『高速展開』からトライを挙げれば、関東もAチーム顔負けの強力FWと自慢の高速バックスリーが炸裂。それまでとは打って変わるトライ合戦(13分の時点で17-15)に秩父宮は興奮の渦に巻き込まれた。
 しかし、点の取り合いならワセダも臨むところ。ここから自慢のアタック力を見せつけた。15分、22メートルライン上のスクラムからチームの支柱NO8岡本雅史が渾身のサイドアタック。素早いラックから逆サイドへ大きく揺さぶり、一気にインゴールへ。直後の17分にも、「今日のジャガー(松本の愛称)はすごかった」と山下主将に言わしめた、「ポスト羽生」一番手・フランカー松本允のビッグゲインから最後はFB中崎宏がトライ。電光石火の連続トライ(27-15)で勝利を大きく引き寄せた。
 そしてラスト10分こそがこの試合のハイライト、『激闘』たる所以。28分の認定トライ(スクラムでのオフサイドによる)で5点差に詰め寄られると、怒涛の波状攻撃の前にズルズルと後退。これまでの相手とは比べ物にならない圧力に屈し、ゴール前に釘付けにされてしまう。背中に感じるゴールライン、目前に迫り来る恐怖。まさに絶体絶命。ワセダは窮地に追い込まれた。
 しかし、ゴールラインを背負ってからこそがワセダの真骨頂。「ここで死んでもいいから守りきろうと思った」(岡本主将)。代々受け継がれる『荒ぶる魂』、そして『狂気』。次々に相手に襲い掛かる脅威のディフェンス力で、10分近くに渡る攻防を見事に制した。Aチーム顔負けのゴール前での粘り、ここ一番の集中力。ワセダらしさを存分に見せつけ、ついにライバル・関東を王者の座から引きずり下ろした。
 日々ワセダを支えるJrチームからの、最高のクリスマスプレゼントにAチームのメンバーも大感激。「次は自分たちの番」。見据えるは大学選手権との完全制覇。大願成就のその日まで、ワセダはひたすら突き進む。<HP委員 疋田拡>

<清宮監督試合後のコメント>
「決勝戦らしいいいゲームだった。前哨戦ということもあり、お互いに本気で勝ちにいっていた。関東にも1本目のメンバーが何人かいたし。うちにとってはとても意味のあるゲームだった。選手はポイントポイントでいい仕事、いいディフェンスをしていた。スタンドから見ていてAチームよりも判断ミス、あっちに攻めろ、もっとこうしろとかそういった部分が少ないゲームだった。岡本と古庄がよく指示をだしてリードしたと思う。決勝ということもあるから、プレーについて一言でどうだったかは評価できない。ジュニア選手権ではみんなが伸びたと思う」

<キャプテンとしてチームを引っ張った岡本雅史>
「Aチームと同じようにずっと関東を意識してきたので勝てて本当にうれしい。今日はブレイクダウンを制した方が勝つと思っていた。絶対に上回らなくてはいけないと思っていた。イーブンな部分もあったけど、いつも以上にみんな頼もしくプレーしてくれた。自分はキャプテンとしてプレーで引っ張っていこうと思っていたけど、今日は大分助けられた。相手が思った以上に激しくて絡まれてしまったけど、最後は激しくできたと思う。(後半5点差で)ゴールラインを背負っているときは、ここで取られたらこの1年間、4年生の僕等にとっては4年間すべてがなくなると思って死ぬ気で守った。ここで死んでもいいから守りきろうと思った。守りきる自信があったというよりも、絶対に守らないとダメだという気持ちだった。毎試合そういう思いでやっている。これで準決、決勝のいい弾みになったと思う。自分としてもあとは上ででることを考えるだけです」

<岡本とともにチームを引っ張った古庄史和>
「とにかくうれしいです。ホッとしました。今日負けてチームの勢いに水を差すのはまずいと思っていたので。今日は前半から自分が行き過ぎた。最初から展開していればもっとトライが取れたはず。ちょっと自分の選択が中途半端だった。前半風上だったのに5-3で折り返したときは正直焦った。後半はみんなが走ることを意識して、アタックもディフェンスもよく前に出てくれた。そういった意味ではいい試合だったと思う。ブレイクダウンも後半はよかったと思う。最後に攻め込まれたときはちょっとやばいと思ったけど、センター位まで戻したときに大丈夫だと思った。今日は自分が空回り。試合前に自分が抜けるイメージが出来過ぎてしまいました(笑)。これで1月2日、11日に向けていい弾みになると思う。僕等の目標はあくまでも1月11日に勝つことですから。まだまだこのメンバーもみんな上を目指していると思うし、自分もいつ出番が来るか分からないので、気を抜かずに練習します」