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Beat Up

2024

対東海大戦観戦記

 「今日は大阪のワセダファンに生まれ変わった、進化したワセダを見てもらうことができた」(清宮監督)。ぬかるむグラウンド、すべるボール、慣れない関西の地。すべての悪条件を吹き飛ばし、ワセダが『進化』の跡を披露した。
 「ちょっとフワーっとしていた。ああいうのはよくない」。試合後山下主将が反省したように、この日のワセダはアップからどこかしっくりこない雰囲気。いつもとは違う環境に集中力が奪われた。不安は的中。開始から思うように体が動かず、1分にカウンターからいきなり失点。出足の鋭い相手ディフェンスの前にミスも重なり、苛立ちの募る最悪のスタートとなってしまう。
 しかし17分にFB内藤慎平(2年)が見事なステップで40メートルを走り切り、リードを広げると(21-12)ここからはFWのパワーが爆発。力強いドライブに激しいスイープ。これに学生では群を抜くスピードも加わり、瞬く間に流れをワセダに引き寄せた。
 そして33-12で迎えた後半はまさに『ULTIMATE CRUSH in 花園』。「ラック周辺が空いているから、FW、BK関係なくそこを突き破れ」。清宮監督の指示を忠実に実行し、密集サイドを豪快に突破し続けた。ここでグラウンドを我が物としたのが、高校時代花園とは無縁の男・ロック高森雅和。2分、5分と力技でインゴールを陥れると、8分にはラックからボールを持ち出し、40メートルを激走。追いすがる相手を叩き落とし、そのままゴールへ飛び込んでみせた。とてもロックとは思えない神出鬼没の働き振りに花園はやんやの喝采。相手のタックルをものともしないパワー、相手を振りきるスピード。ラグビーの聖地で見事な「高森ワールド」が展開された。
 この高森こそが今季のワセダFWの象徴、『進化』の証。スピード、パワー、テクニック。すべての局面で相手を凌駕する力をワセダFWは身につけた。この日挙げた悪条件での12トライもFWの力があってこそ。「ベリーグッドです」(山下主将)。ついに手に入れた『最高』のFW。次戦はいよいよセミファイナル、新春の国立を熱くするのはもちろん、『ULTIMATE CRUSHER』赤黒ワセダです!<HP委員 疋田拡>

<故郷に錦 大阪茨田高出身清宮監督>
「昨日の社会人の試合を見て、今日グラウンドを見たらかなり水が溜まっていた。近場を攻めてパスを少なくと言っていたなかで、スイープなどミスが相当あったのは反省点。こういうコンディションでの試合は今シーズン4試合目位だけど、だんだんうまくなってきたと思うし、点も取れるようになってきた。FWで取れるようになったのがいい点。全天候対応だね(笑)。昨年のチームではこんなに取れなかったと思う。(5トライの)高森は夏にBに落ちたりして、スランプも経験したけど、うまく乗り越えて成長してくれた。今日は激しくということを選手には言っていた。ミスがなければもっとよかった。目標は大学日本一、決勝で次は通過点だけど、力が出せるようにうまくコントロールしていきたい。あと2試合しかないのだから、緩み様もないし、そういうチームを作ってきたつもり。ケガ人も戻ってきて計算できるようになったし、いい試合ができると思う。法大とは1回やってその時は4トライ取られて0-24から逆転できたけど、選手権で同じことやったらしんどい。あと2試合、2年間の集大成を見せる」

<花園第一グラウンドで初勝利 山下大悟>
「昨日のミーティングでは雨のなかの戦い方を指示されたけど、それができたかと言われるとまだまだ。今日はとにかくFWがよくがんばった。感謝している。外は平気だったけれど、真中の方はグチャグチャでした。でもいいグラウンドです(笑)。本当はもっと外に展開したかったけど、空いているところを攻めるのがラグビーだから。空いていたから近場を攻めた。練習ではないし。初めは動きがよくなかった。足が動いていなかった。ピッチより自分たちの意識の問題。試合前のアップがよくなかった。フワーっとしていた。モチベーションが高ければあんな風にはならないし、ああいうのはよくない。とにかく今日はFWががんばった。ベリーグッドです。(後半15分過ぎから相手ゴール前で)スクラム選択に拘ったのはFWが組みたそうだったから。相手のディフェンスが思いきり前に出てきたけど、浅いラインだとうまくいかないことが多い。初めは極端なくらい深くした方がいい。それでラインを深くしろとBKに言っていた。栄次もいい選手だからあまり気にしていなかったけど、竜彦はやっぱりいい。やりやすい。頼りにしてますよ。リーダーですから彼は。次に向けては明後日の練習から勝負だと思っている。この2試合とは違うモチベーションでいって勝ちたい、というより勝ちます。もっと力を出したい。実は花園の第一グラウンドで勝つの初めてなんですよ。高校2年の国体では大阪に負けたし、3年の時も抽選勝ちの後準決勝で負けましたから。大学1年では同志社に負けたし。そういう意味では今日の勝ちはうれしいですね」

<久々の復帰のなったSO大田尾竜彦>
「ケガで出られない間は自分のチームのよさ、どこが強いのかを考えながら見ていた。今日はあまり生かせなかったですね。相手のディフェンスが前に出てきたけど、法政とかも出てくるし、特に焦りとかなかった。うまく崩せたと思う。自分のプレーはあんなもんです。ケガはもう大丈夫。今日も初めから交替する予定だった。(相手に高校時代負けた東海大仰星のメンバーがたくさんいたけど)その辺はあまり意識しなかった。比べる対象ではないし。花園でもお客さんがたくさんいて楽しかった。ミスが多かったのはある程度はしょうがない。砂がついてボールが滑ったし、足元もかなり緩かった。そんななかこれだけ取れたのはよかったと思う。次の法政も相当手強いと思うけど、気合入れまくってがんばります。次は9月にやった時みたいなことは絶対にない。目指すところは一番上。手応えありますよ」

<大阪啓光学園出身・佐々木隆道>
「花園ということはあまり意識していなかったけど、やっぱりこっちの方が楽しいですね。この雰囲気が好きです。僕は大阪大好きですから(笑)。今日はミスが多くてあまりよくなかった。納得できないです。ピッチの状態が悪くてプレーしにくいというのもあったけど、ミスするのは自分のせいでもあるから。今日は親戚や友達がたくさん来てました。聞いていなかった奴もかなり来ていてビックリした(笑)。次の法政は勢いがあるチームだから受けずに前に出て、自分たちのリズムにして、開始から流れを掴んでいきたいです。意識を高く。(昨年は花園で全国制覇)今年も優勝できたらいいですね」

<大阪茨木高出身・桑江崇行>
「ノックオンしたので家に帰れない(清宮監督とノックオンしたら里帰りしないと約束)。ノックオンしたけど、トライも取ったのでプラマイゼロにしてほしい(笑)。第二はあるけど、第一グラウンドで試合をするのは初めてです。今日はグラウンドがグチャグチャでしたね。近場を攻めろという指示だったけど、近場は苦手です。SOからもらう方がいい。親とか友達とか見に来ていたけど、今日の自分のプレーは今イチ。ずっとレギュラーで使ってもらっているけど、ますますデキが悪くなってきていると思う。とにかくサポートだけ、これからはがんばります」

<お隣奈良天理高出身・山岡正典>
「もう秩父宮に慣れてしまったので、今日は遠征に来たって感じ。地元に戻ってきたという感じはまったくないです。知り合いがたくさん来ていたというのはあるけど。もう僕は東京に染まってしまいました(笑)。高校3年の時、準々決勝で東海大仰星に負けているので軽くリベンジですね。あの時はフランカーだったし、今と状況も立場も違いますけど。僕はあの時より大人になりました。今日はボールを持ったらみんなタッチに出されることが多かったので、それだけはやめようと敢えて内側内側に行くように心掛けた。相手が前に出てきても全然問題ないと竜彦とも話していた。法政や明治で慣れているし、そこまで精度も高くなかった。とにかくあと2つ。昨年はひとつしか勝てなかったので、今年は2つ勝ちます。トライも取っていい仕事もして優勝します」