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2024

対法大戦観戦記

 「今日の試合は見ていて楽しかったですよ」(前年度主将・山下大悟)。もはや伝説。『ULTIMATE CRUSH』を旗印に無類の強さを誇った2002年度大学日本一メンバー、CTB山下大悟、フランカー上村康太、SH田原耕太郎(すべてサントリー)が熱い視線を送るなか(3人は貴重なオフを利用し、現役を激励するため前日から菅平を訪問)、『大田尾組』が強さの一端を覗かせた。
 まずは14分。この日連発したターンオーバーからのチャンスに、大外の『スペシャル飛び道具』・WTB首藤甲子郎(1年)が炸裂。ライン際でボールをもらうと、襲い掛かる相手ディフェンス3人を次々となぎ倒し、いとも簡単にインゴールを陥れた。一瞬の加速、タックルを物ともしない強靭な体の強さ。これまで見られなかった形でのトライに首脳陣も感嘆の声をあげた。
 このスーパープレーで勢いに乗ると、らしさを随所に発揮しゲームを支配。川上力也(4年)、松本允(2年)の両フランカー(松本は佐々木交替後NO8)がこの夏一番の激しいタックルをバシバシ決めれば、久々のAチーム、『ポスト大悟』を誓うCTB内藤晴児(4年)も攻守に渡りチームを牽引。常に前へ。御前試合に、あの頃の強さがダブって見えた。
 悪コンディションもあり、点差こそ思うように開かなかったものの、残り5分からは文字通りの『ULTIMATE CRUSH』。WTB今村雄太(1年)の弾丸トライ(CTB曽我部佳憲の逆目へのパスから驚愕のスピードで相手防御網を一閃)を皮切りに3トライを挙げ、45-14と力の差を見せ付けた。
 「まだまだ満足できない」(大田尾主将)と言うものの、沈みかけたチームに明るい光が差し込んだことは事実。「これからもっともっとよくなっていくと思うよ」(清宮監督)。確かに掴んだ浮上のきっかけ。ワセダの逆襲が今、始まる。<HP委員 疋田拡>

<夏合宿最後の対外試合を全勝で終えた清宮監督>
「今日はやろうとしたことがいくつも見えたし、内容的にもよかったと思う。こんなグラウンド状態(午前中からの激しい雨でコンディションは最悪)のなか、点数もそれなりに取れたし。ブレイクダウンのできもまあまあ。1年生も(計4人起用)期待通りの仕事をしてくれた。チームが上昇している感じもある。これからもっともっとよくなっていくと思うよ」

<完勝にも不満気な表情を浮かべた主将・大田尾竜彦>
「今日のデキではまだまだ満足できない。トライを取りきれない部分がある。完璧を求めているにせよ、まだまだそこが足りない。ディフェンスは相手のチャンスをつぶすこともできたし、学習したところもあったけれど、やっぱりもう少し点数を取りたかった。いいところもあったけれど、全体としては今イチ。ターンオーバーの意識とセット、関東戦とあまり変わっていない感じです。(首藤)甲子郎はよかったと思いますよ。大悟さんとはこれから色々と話します」

<攻守にチームを引っ張ったCTB内藤晴児>
「春の関東戦以来久々のAチームで、僕自身は昨年の経験もあるし、それほど意識することはなかったけれど、周りは気を遣ったみたいです(笑)。最近は俺が俺がという自己満プレーではなく、チームに必要なプレーを心掛けていて、今日はそれがうまく出せたかなと思います。1年生はアタックがすごいので、それを生かすような起点になることや、逆にディフェンスをカバーしてあげることで、チーム力も上がると思うので。6月の最後に関東に負けて悔しい思いをしたけれど、Aに上がろうとかではなく、とにかく自分のいるところで一生懸命やろうと思っていた。CTBはいい選手がたくさんいるし、1試合ずつ結果を出していかないとすぐに落とされてしまうので。最後に後悔だけはしたくないので、これからもひとつひとつ大切にがんばっていきたいです。FBは弟(慎平)じゃなくても別にいいですよ(笑)」

<最後の年に懸けるプロップ東野憲照>
「今日もFWのセットがあまり安定せず、チームに迷惑をかけた。スクラムはマイボールはキープできたけれど、相手ボールでいいヒットした時に引かれて、逃げられてしまった。そこでしっかりと掴まえて、仕留めないといけない。このムラをなくさないと、完璧なスクラムとは言えない。最初の帝京大戦、関東戦と悪いムードだったけれど、今日は練習で取り組んだことができたし、よくなってきているとは思う。ここ2試合は開始の10分で悪いプレーがでてしまっていたけれど、今日は最初からいこうという意識があってよかった。アタックでもう少し取りたかったという面はありますけど。チームの状況はまだまだ苦しいけれど、ひとつひとつよくなってきていると思う。自分としてはスタメンで出て、スクラム押して、チームを鼓舞していけるようになっていきたい。1番の感じも大分掴めてきましたし、スクラム練習が毎日あるのもありがたい。練習でやとうとしたことができたし、修正点も見えた。今日の試合をチームが浮上するいいきっかけにしたいです」

<サントリー3人衆も大絶賛!フランカー/NO8松本允>
「抜けた時、ターンオーバーされた後の反応を意識したことで今日はいいプレーができたのだと思う。オフロードパスもいいタイミングでもらうことができた。チームとしてやろうとしたことができたと思う。法政はとにかく接点のところが勝負。タックルで前に出てくるので、接点で激しくスイープして、FWで前にでることを意識した。自分としては2,3本スイープミスしてしまったし、芯に入りきれなかった点がまだまだ。ラインアウトはダメでしたけど、FW全体としてはまあまあいい動きだったと思います。ディフェンスで練習の成果も出ましたし。池上(真介、2年)がいきなりフランカーに来たことで、練習に対する意識が変わりました。走れてないと言われて、池上をもってくることになったので、もっともっと走れないといけないんだなと。僕より池上が優れている点がそこだと思いましたし。1回Bに落ちてよかったかもしれません。NO8をやったのは(佐々木隆道交代後の前半20分からNO8)高校3年の時以来。お恥ずかしいプレーをしてしまいました(笑)。関東戦もまた隆道が出なくて負けたし、帝京戦も隆道が抜けてからFWがダメになったとか言われてすごく悔しかった。隆道の存在は確かに大きいですけど、頼ってばかりもいられない。これからは自分たちでもっとチームを引っ張っていきたいです。法政戦はいつも調子がいいんですよね(笑)」

<戦慄の2トライ 圧巻の走りで勝利を呼び込んだWTB首藤甲子郎>
「今日は今までなかなかなかったいいイメージでトライを取ることができてよかった。トライは2本とも自分のイメージ通り。ずっとこんなトライがしたかった。NZU戦の後はなかなかうまくいかない感じがあって、今もそんなに状態はよくはないけれど、とにかくAチームの試合でトライを取ることを目標としていた。Aチームは雰囲気もやっていることも全然違う。とにかくここでトライが取りたいと思っていた。Aで試合に出て、今日みたいな形で自分のよさを出せれば、関東のバックスリーにも対抗できると思う。チームとしてはツメが甘い部分もあったけれど、グラウンドの割にはいいプレーができた。(前後半で交替した)今村(雄太、1年)とは仲がいいので、本当はひとつのポジションを争うのは嫌です。あいつがどう思っているのかは分からないですけど(笑)。切磋琢磨してお互いのレベルが上がるのはいいですけど、やっぱり一緒に出たいと言うのが本音です。あいつはとにかくすごい。スピードに乗ったら手がつけられないですから。とにかくケガをしないことと、課題のディフェンスを克服して、がんばっていきたいです」