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2024

対明大B戦(Jr選手権準決勝)・観戦記

 紆余曲折を経たJr選手権もいよいよセミファイナル。この日はホーム・上井草で宿敵・明大と対峙した。
 降りしきる雨に、田んぼのようにぬかるむグラウンド。ワセダお得意の『揺さぶり』も覚束ない。「雨の日のメイジはやっぱり強い…」(フランカー・紀昌宏、4年)。
 開始2分、ラインアウトからの計画的な仕掛けでFB小吹和也(2年)が幸先よくトライを挙げたものの、その後は相手FWのゴリゴリに手を焼き、我慢の展開。『高速アタック』を掲げるワセダも、この日ばかりはひたすらキックに終始した。
 そして28分、相手のミスからチャンスを作り、CTB今村雄太(1年)がディフェンス4人を吹き飛ばして40メートルを走りきると、一気にスパート。ペナルティーからの速攻、裏へのキック(セービングで相手に競り勝ったWTB山田智久が、インゴールまでそのまま5メートル滑りトライ。これには「偏差値高いねー」と清宮監督も大絶賛)と効率的にトライを挙げ、瞬く間に均衡を打ち破った(29-12)。
 ところが、これで気が緩んだのか、ここからカウンターに次々とゲインを許し、自陣に釘付け。一発で決まらないタックルに、不発のジャッカル。「相手の圧力を感じた」(SO久木元孝成、2年)と言う様に、モールもまったく止められず、後半9分には逆転を許してしまう。
 一気に引き離せないもどかしさ。頭をよぎる2度の悪夢。夕闇迫る上井草は嫌な雰囲気に包まれた。
 しかし、この流れをスーパールーキー、現代ラグビーの穴を突く男・矢富勇毅が吹き飛ばす。逆転を許した直後の後半10分、ピッチに入ると、まるで曲芸かのような身のこなしで次々とゲインラインを突破。それまでの停滞がウソかのように、チームに勢いをもたらした。13分、ドンピシャのパスで逆転となるトライを演出すると、31分には密集サイドを自ら抜け出し、ダメ押し(43-31)。「矢富が入って助かった」(久木元)。この日も『矢富イリュージョン』。最後は再び息を吹き返し、チーム一丸虎の子のリードを守り抜いた(チームを鼓舞するプロップ東野憲照の激しいディフェンスは秀逸!)。
 苦しみながらも、これでついに決勝進出。2度の敗戦を乗り越え、消えかけた連覇を再び手の届くところまで引き寄せた。勝つことを宿命づけられた決勝戦はどちらが来ても(帝京大、法大の勝者)リベンジマッチ。地獄を見たワセダJrに失うものは何もない。<HP委員 疋田拡>

<メイジFWの圧力に苦心したフランカー紀昌宏>
「今日は攻守ともにあまりいいプレーができなかった。雨と言うこともあって、今週練習してきたことがあまり生かせなかった。本当はもっとボールを動かしたかったんですけどね。やっぱり雨の日のメイジは強い。モールは特に苦しかった。自陣で相手にボールを持たれるともう、危ないという感じで…。ワセダも雨用の戦いをしたけれど、キックでしか敵陣に入れないのはやっぱり苦しい。自分ももっと突破しなくてはいけなかった。課題はとにかくモールディフェンス。今日はデキが悪かったので、次の決勝では自分たちのらしさをだしてすっきりと勝ちたいです」

<激しい雨、ぬかるむグラウンドに苦心した久木元孝成>
「今日はとにかく苦しかった。ワセダのペースになる前にミスでリズムを崩してしまった。雨になるとやっぱりメイジは強い。前に出てくる相手の圧力を感じた。自陣に入ると危なかった。こういう日はどうしてもキックが多くなってしまうし、うちはFWだけでいけるチームではないので苦しい。回せないから組み立てにも苦労した。トライも2,3本はいい形で取れたけれど、あとは矢富の個人技。後半はゴール前でプレッシャーを感じていたけれど、矢富のトライで楽になった。矢富の持ち味がでたという感じ。アタックでも仕掛けられるようになってきて、自信もついてきたけれど、まだまだ竜彦さんの域には遠く及ばない。自分と竜彦さんの一番の違いはミスとか安定感。竜彦さんがいるとチームが安定するけど、自分はまだミスが多い。あとは何といってもディフェンス。自分の課題をしっかりと意識して上を目指していきたい」