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Beat Up

2024

対関西学院大戦・観戦記


 計13トライ、85得点。連覇へ向けたファーストラウンドでの大勝劇にも、笑顔を見せる者などいなかった。
 「CTBがどのくらいプレーできるかがポイントだったけれど、今日の展開では全然見られなかったね」(清宮監督)。激闘の『早明戦』からメンバーを入替えて臨んだこの日のカギは、ズバリCTB。前年度優勝メンバー、豊富な経験、タテへの強さと堅実なディフェンスが持ち味の豊山寛(3年)に、驚愕のスーパールーキー、抜群のアタックセンスで幾度となくチームの危機を救ってきた矢富勇毅。『2003年度版ワセダ高速アタック』の中枢を担ってきた『キング』・曽我部佳憲(1年)の後釜争いが最大の焦点だった。
 しかし、勢い良く飛び出してくる関学大の的を絞ったディフェンスの前に、準備されたプランは完全に空回り。「今日のワセダのやろうとしていたことにはまるディフェンスだった…」(清宮監督)。この日はあくまでも通過点。先を見据え、相手に合わせたアタックを封印した結果、フラストレーションの溜まる展開となってしまった。
 そして、大黒柱・大田尾竜彦を欠いた精度の低いアタック以上に、課題として浮き彫りになったのが、チームとしてのターンオーバーの少なさ。「相手のミスとかではなく、きちんとした形でのターンオーバーがほとんどできていない」(清宮監督)。継続=トライ。現代ラグビーの必然を打ち破るには、タックルスキル、ブレイクダウンの更なるレベルアップが必要と言えそうだ。
 消化不良に終わったアタック、まだまだ課題山積のディフェンスと、決して満足できる内容ではなかったものの、「絶対に負けないんだという強い気持ち、気迫がひしひしと伝わってきた。いいものを見せてもらった」と、主将・大田尾竜彦はチームワセダ最大のターゲット・関東学院大に果敢に挑んだ、ライバル・慶大の戦いぶりに何かを掴んだ様子(試合後には盟友・廣瀬を労い、言葉を交わす場面も)。「ジャージーの喪章は『ULTIMATE CRUSH』して連覇するまで外さない」(清宮監督)。幾多の壁を乗り越えて、ワセダは連覇へ突っ走る。<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>

<消化不良の内容に浮かない表情を見せた清宮監督>
「今日はメンバーも何人か入れ替え、新しいポジションの選手もいたので、それぞれ個人がどのくらいのパフォーマンスを出せるかを見たかった。関学のディフェンスは見ての通りいびつというか、変則的な形で、スキルなど見たいと思っていた部分が見られなくて残念だった。10あったらそのすべてを抑えようとディフェンスではなくて、1から5だけを止めようというものだったので…。ワセダとしたらその1から5までの練習もしたかった。ウラに蹴っていればチャンスもたくさん作れただろうし、FWで崩しにいっていればもっとトライも取れただろうけど、今日やりたかったのはそこではなかったから、ああいう戦い方をした。CTBがどのくらいプレーできるか見たかったので、FWにはいくなと指示をした。豊山も矢富も全然見れなかったね。関学のディフェンスは今日のワセダがやりたいことにはまるディフェンスだった。今日不満だったのはターンオーバーができなかったこと。トライを取られたことがどうこうではなく、きちんとターンオーバーできたのが1回しかなかったのが不満。上井草に帰ったらビデオを見ながらダメだった選手ひとりひとりをお仕置きするつもり。今村はだいぶよくなってきた。何より言われたことをきちんとできるのがいい。大悟みたいなプレーヤーになる片鱗を見せたね。1試合目の慶應は後半よくタックルしていたと思う。関東はディフェンスのいいチームとやると正攻法でしか崩せない。確かに強くていいチームだけれど、決して器用なチームではないからワセダとしてはそこを突きたい。実際の力関係はやってみないと分からない。まぁ本心は秘密ということで。ご想像にお任せします(笑)」

<主将・大田尾竜彦に代わりゲームキャプテンを務めた川上力也>
「今日はケガ人も何人か出て、苦しいメンバー構成だった。みんなにはひとつひとつのプレーに責任を持って激しくプレーしようと話していたけれど、あまりいいプレーができなかった。経験不足と意識の低さからターンオーバーされ、トライを取られてしまったことは反省している。もっと練習から意識を高く持たないといけないと改めて感じた。とにかくディフェンスが不満。春、夏と関東に取られたのと同じ形で取られたのが悔しいというか情けない。アタックの精度もよくないし、ブレイクダウンに入る人数が少なかった。今日はそれでもボールが出たけれど、強い相手になると苦しくなってくる。後半はあまりなかったけれど、前半はゲインした後に孤立する場面があった。後半はフィットネスで上回ったということもあるのだろうけど、何よりもっと意識を高く持つことが必要だと思う。相手が元気な前半からそれができるようにならなければダメ。今日はいい試合とは言えないけれど、新しく入ったメンバーはがんばっていたと思う。もう、キャプテンはやりたくないですね(笑)」

<試合後反省しきりのSH後藤翔太>
「今日は自分のプレーにも、チームにもイライラした。情けない。清宮さんにも怒られました。いい訳はできないので、後で清宮さんとゆっくり話します。とにかくしょうもないミスが多過ぎる。チームとして意思統一ができていないことが悔しい。ちょっとチームとしてバラバラだった。ここではこうするとか、こいつがボールを持ったらこうするとか、そういうチームとしての意思統一がもっと必要だと思う。あとはラストパスをしっかりするとか、ノックオンをなくすとか細かいところをしっかりすること。これからはそういったところが勝負を分けると思うので。まずは自分のプレーをしっかりしないとダメですね」

<久々に12番を背負った前年度優勝メンバー・豊山寛>
「今日は本当に久々の12番をつけることができて、本当に嬉しかった。やっぱりスタメンは気持ちいいです。今日はとにかく自分のやるべきこと、責任を果たそうと思っていた。ボールを持ったときのドライブは何とかできたと思うけど、ディフェンスがイマイチだった。若いメンバーなので自分が引っ張らないといけなかったのに、それができなかった。U21から帰ってきて、夏にチームが落ちてからは、いつか上がってやるぞとずっと思っていた。とにかくそれだけ。昨年の優勝メンバーだという意地もありますし。自分と曽我部はタイプが全然違うし、期待されていることも違うと思うので、とにかく自分のいいところを出していきたい。これからもスタメンで出続けたい」

<安定したパフォーマンスを続けるロック内橋徹>
「今日は相手が相手なので何とも。トライを取られたのもミスからだし、トライを取り損ねたのもミス。メンバーが違ったということもあるけど、満足できる試合ではなかった。ただ、新しく入ったメンバーがそれぞれ自分のプレーを出そうとしたところはよかったと思う。今日はBKで攻めようという感じで、FWとしては余りボールタッチできなかった。もっとガンガンいきたかったですけど。トライはきちんとセットができていれば何の問題もなかったのにうまくできなかった。後半のトライもセットしていれば止まったはず。これからはチームとしてもっともっと激しくプレーすることが必要だと思う。とにかく激しく。スキを見せたらやられると思うので、攻守ともスキのなくできるようにしたい。自分の仕事、通用するところも分かってきたのでそれを出していきたい。個人的にはいい感じできていると思う」

<初めて赤黒の15番を背負った小吹和也>
「ずっと15番を着たいと思っていた。今日は久々の80分で疲れたけれど、とにかく自分に求められたプレーをしようと考えていた。全部はできなかったけれど、間合いを詰めて外のプレーヤーを生かすことはある程度できたかなと思う。何本かいい形でできた。Aチームで出るのももう慣れました。早慶戦の時みたいな失態はもう二度と犯しません。やっと巡ってきたチャンス。慎平さんとは違うところで勝負して、このチャンスを生かしたい。もうケガはしません」

<後半からインサイドCTBを務めた矢富勇毅>
「今日は最悪でした。昨日も曽我部のビデオを見て、イメージを膨らませていたんですけど、全然ダメでした。やっぱり難しいですね。練習とはタックルの入り方も全然違う。CTBは高校時代にやっていたことがあるけれど、ほとんどアウトサイドだったので…。どこでもいけるのが自分の持ち味でもあるので、とにかくがんばりたい。今日は横井(章)さん(1960年代のジャパンを支えた伝説的CTB、現・関学大コーチ)に赤黒を着ている姿を見てもらうことができてよかった。高校時代、横井さんに出会って、教えを受けてなければ今の自分はない。ラグビーのおもしろさ、すばらしさを教えてくれたのは横井さんだし、ワセダを勧めてくれたのも横井さん。もっとも影響を受けた横井さんが教えているチームと試合ができて本当に幸せだった。僕に求められているのはギャップを突くことと相手を抜くことだと思うので、その部分に力を入れていきたい。もちろんパスも放れるように。曽我部の代わり以上の存在になれるように練習して、スキのないCTBを目指します」


※明日、12月15日、20:00よりJスポーツ1でバーシティーマッチが放送されます。清宮監督が解説を務め、オックスフォード大でも愛された奥さんの秘蔵映像も紹介される予定です。是非、ご覧ください。