早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

WASEDA FIRST

2023

対京産大戦・観戦記

 「今日の試合は70~80点。まあまあ、よかったと思う」(清宮監督)。大学選手権プール第一節。ケガ人続出、苦境に立たされる『清宮ワセダ』が、清めの純白ジャージーを身に纏い(この日はファーストジャージーが似ているため双方ともセカンドジャージーを着用)、無難な一歩を踏み出した。
 まさに電光石火。開始僅か53秒、日々進化を遂げるスーパールーキー・今村雄太(CTB)のロングゲインを起点に、ロック桑江崇行(3年)がインゴールへ雪崩れ込むと、師走の喧騒をよそに粛々とトライを量産。テンポあるアタックで終始ゲームを支配した。
 FB小吹和也(2年)の華麗なカウンターアタック、要所を占めるWTB吉永将宏(4年)の堅実な仕事はもちろんのこと、この日チームを引っ張ったのは気合充実、4年生・東野憲照、川上力也を中心に前へと出続けたFW陣。スクラムターンオーバーに、モールドライブからのトライ…。過去、嫌と言うほど苦しめられた京産大FWを完全に制圧し、「あの」忌まわしき記憶を払拭した。
 点差が離れた後半、トライのペースこそ落ちたものの、「ゴール前で指示したことをやろうとする意図が感じられた」(清宮監督)と言う様に、課題のディフェンスでは僅かながら成長の跡をしっかりと披露。「精度はまだまだだけど、やろうとしたことができたのは収穫」(川上)。「あとはファーストヒットでどれだけいけるか」(フランカー松本允)。ゾンビ、ビッグヒット、渾身のジャッカル…。受け継がれる伝統、鉄壁のディフェンスを身につけたとき、ワセダは本物の強さを手に入れる。
 『必勝不敗』…。制度変更に伴いノックダウン方式の戦いではなくなったものの、「ひとつでも負けたらそこで終わりのつもりでやっている」と、清宮監督はあくまでも一戦必勝の姿勢を強調。「このチームはまだまだいける」(川上)。無限に広がる可能性。ワセダの成長はまだまだ終わらない。<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>

<試合のデキは70~80点 清宮監督試合後のコメント>
「今日はアタックとディフェンスでそれぞれ2つほどテーマを与えていたけれど、まあまあ、よかったと思う。70~80点のデキ。もちろん細部の判断ミスなどはあったけれど、後半ゴール前に攻め込まれた時など、指示したことをやろうとしている意図を感じることができた。それで70~80点といったところ。アタックはあんなもん。ブレイクダウンで4つ、5つ、技術が足りなくてターンオーバーされるところがあった。そこはお仕置きですね。スクラムはちょっと甘かった。矢富はCTBとしても可能性を感じさせる選手。ここからはひとつ負けたらもう後がないという気持ちでやっているので、リーグ戦になったことは特に意識はしていない。ただ、ケガ人が多くなって、経験する時間ができたのはよかった。孝成もこの間よりはちょっと良くなったし、ワセダにとってはいいことだと思う。関東はあんなもん。色々と大変だと言っているみたいだけど、そんなこと言わなくてもいいくらいしっかりしていると思う。選手権も終盤になるにつれてハートを感じられる試合が増えてくると思うので、生でそれを感じて欲しい」

<先週に引き続きスタンドからゲームを見つめた主将・大田尾竜彦>
「今日はいい試合だったと思う。ただ、アタックにもっと『こだわり』、意思統一が欲しい。ディフェンスはまぁまぁ。相手のオフロードパスがうまい部分もあった。1,2本取られるのは仕方がない面もあるけど、BKのタックルが少し甘かったと思う。とにかく『こだわり』が必要。自分が入ればもっとWTBにボールを回せると思う。インサイドCTBもそろそろ固定していきたいですね」

<ゲームキャプテンを務めた副将・川上力也>
「今日はアタックでもディフェンスでも言われたことをやろうという意識がでてきたと思う。その点で収穫はあった。ブレイクダウンはもっとやらないとダメ。今日は相手が捨ててきた時、ボールを守りにいくかの判断が難しかった。その見極めが技術ということになるのだと思う。タックルにいく意識はでてきたけれど、まだまだ精度が足りない。モールディフェンスはやっと形になってきたというレベル。あとはもっと下のボールへの反応、体を張るという部分が必要だと思う。そこはフランカーが率先してやらなければいけないところ。だいぶアップから気持ちが入るようになってきたけれど、まだまだ集中できる。もっともっと上を見てやらないとダメ。こんなレベルでは満足できない。このチームはまだまだいける」

<最前線で体を張ったプロップ東野憲照>
「今日は今週練習してきたことを出そうという意識、姿勢は出たけれど、完璧にこなすというところまではいかなかった。ブレイクダウンのところで『ULTIMATE CRUSH』できなかったことが課題。京産大は昔からの伝統でスクラムにこだわっているということをすごく感じた。ヒットはしてこないけれど、まとまっていてうまい。ワセダは自分たちのいい形が出せたときはよかったけれど、少しムラがあった。そんなに悪いデキではなかったけれど、そのムラをなくしていかないと関東相手には厳しいと思う。やっぱり1番だとアップから試合にスッと入っていけるので、やりやすい。自分のデキはまぁまぁ。竜彦、力也、晴児、吉永ばかりに任せるのもキツイと思うので、何とか自分もチームを引っ張っていきたい。特にFWは力也しかいないので。まだまだできていない部分も多いけれど、よくなってきているとは思う。もっともっと意識を高く持って、反省を生かして成長していきたいし、個人的には1試合1試合がワセダでの最後の試合だと思って全力ですべてを出し切っていきたい」

<充実の時を送るWTB吉永将宏>
「トライはあり得ないところを抜けたという感じ。みんなからはダサイとかうざいとか散々な言われ様だったので、もうあんなトライの仕方はしません(笑)。これからは慎ましく、謙虚にいきます。今日はボールが回ってこなくてとにかくストレスが溜まった。トライもその鬱憤を晴らした感じ。(久木元)孝成とCTBのパスが遅くてなかなかボールが回らなかった。余っていて、コールも出していたんですけど、こなかった。そういう場面でもらえないのが課題なんだと思います。もっとフリーの状態で走りたかったし、走れた。この先どんどん走りたい。こんなんじゃ消化不良。今日よかったのはキック処理からのアタック。練習からやってきたように、うまくコミュニケーションが取れた。今日のような形でできれば、関東ともやれると思う。ディフェンスはシステムとしては機能しているんだろうけど、ひとりひとりが相手を殺せているかと言われれば、まだまだできていない。もっと練習から意識していかないと。4年だしとにかくチームを引っ張っていかなければと思っている。心の中では俺がキャプテンだくらいの気持ちで」

<命懸けを誓うSH後藤翔太>
「今日の試合は先週に比べてリズムも出たし、だいぶよくなったと思う。アタックでは意識したことができれば取れるということが改めて分かった。ディフェンスはまだまだのところもあるけれど、意識を高く持てるようになってきたのはいいことだと思う。ただ、こぼれ球への反応や体を張るという、命を懸けてやらなければいけない部分が欠けている。そこは修正というよりも、できて当然のこととしてやらなければいけないと思う。命を懸けてボールを確保する。それがないと最後は勝てないだろうし、差がつくのはその部分。SHとしてはFW,BKをしっかり動かして流れのあるアタックを作っていきたい」

<スクラムで奮闘したプロップ伊藤雄大>
「京産大のスクラムはまぁまぁ強かった。自分としては全然ダメ。相手に殺されてしまった。今日意識したのはとにかくヒットだけ。正統派のスクラムに対してはだいぶ上がってきたと思うけど、今日みたいに相手が変則的な組み方をしてくると、対応するのに少し時間が掛かってしまう。今日は相手がこうだからこうしようとかではなく、常に自分たちの形で崩すのがベスト。それができればどんな相手でも平気だと思うので、そういうスクラムを意識していきたい。それができるのは俺だけでしょう。フィールドプレーのことは僕に聞かないでください」

<3トライにも不満気な表情を浮かべたフランカー松本允>
「トライはいいとして、やろうと思っていたことができず不満。ブレイクダウンもまだまだだし、タックルとジャッカルも全然できなかった。ハーフタイムに竜彦さんに言われてやっと2つできたくらい。最初からやろうとしたことできないとダメだと思う。最近はアタックよりもディフェンスのことばかり考えているので、それができなかったのが悔しい。フランカーとしてもっと仕事をしないといけないと思っている。チームとしてもまだまだファーストヒットが弱いので、もっとバックローでガツガツいけるようにしたい。関東まで数少ないので、毎日の練習をとにかく大切にしていきたい」