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2024
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1年早明戦 一生に一度の価値ある勝利も…


 「あのメンバーに勝てたのは自信になります」(ゲームキャプテン・豊田将万)…。男として、ワセダとして絶対に負けてはいけないメイジ戦。まだまだ未熟なベイビーワセダが、「余りに普通に」ガリバーたちを制圧した。不完全燃焼、まったく冴えないデキにも関わらず―。
 開始早々の4分、5mスクラムからFWのサイドアタック→SO長尾岳人のタテであっさり先手を取ると、耐えに耐えた(基本気合いです)21分には、ラインアウトからCTB佐藤晴紀が相手ディフェンスを一閃。29分にもペナルティーからの速攻でインゴールを攻略し、聖地・上井草は勝利を確信したかのような、歓喜の拍手に包まれた。
 大きな相手に耐えて勝つ。試合の流れだけを見れば、それはワセダアイデンティティそのもの。ゴール前のディフェンスは粘り強く長時間(フッカー堀内がサイドアタックを止めまくり!)、取る時はスキを逃さず一瞬で(とりあえずは長尾岳人or佐藤晴紀!)。まさに機を見るに敏。表面上の戦いぶりは、ワセダらしさに溢れていた。「あそこで体を張らないと勝てないということは、みんな分かってましたから…」(ゲームキャプテン・豊田将万)。
 ところが一転、後半に入るとチャンピオンチーム・ベイビーとは思えない超ユルユルな試合展開。セット、タックル、ブレイクダウン。それぞれが己の役割を全うできず、取られて取ってのイタチごっこが始まった。7分、22分、メイジトライ。26-17―。
 基礎体力に劣る未来の赤黒戦士アップアップ…。しかし、追い詰められてこそ力を発揮するのもまた、美しきワセダの伝統。ここで稀代の勝負師・清宮克幸が、その眼力でチームを一気に甦らせる。
 ディフェンス網破綻の要因がBK、殊ミッドフィールドにあると見るや、瞬時の判断でフランカー・上田一貴を未経験のCTBに配置転換(25分、フランカー奥野耕輔を投入し、上田をCTBのポジションへ)。獲物を逃さない的確なタックルに、必ずボールを生かす意識の高いブレイクダウン。今風に言えば、「すべて想定の範囲内」。上田一貴だからこそのプレーが次々に飛び出し、失った流れを再びワセダへと手繰り寄せた。限りある資源の有効活用。これぞまさにコーチングラグビー。参謀・山岡正典も思わず感嘆。「あの決断力は、ほんとにすごい…」。
 40-24。一昔前までは、想像すらできなかった1年早明での勝利にも、その内容の希薄さ、やるべきことをやらなかった選手たちに、清宮監督はお怒りモード。「今日の試合は全然ダメ。情けない…」。こんな試合で満足するのはワセダにあらず―。「メイジのあのメンバーに勝ったから自信がどうとかそんなことはなくて、ワセダとして、どんな相手にでも常に勝つんだという気持ちを持って、ひとつずつ」。啓光学園4連覇主将・上田一貴のこの気持ちを全員に。6月9日、1年早慶こそはすっきりと、意識高く、『ULTIMATE CRUSH』―。


<超不完全燃焼にため息交じりのゲームキャプテン・豊田将万>
「今日は何か全然ダメでした。自分は何もしてないですし、もっと納得できる試合がしたかったです…。ただ、相手がメイジということもあってみんな意識は高くできたかなとは思います。FWのサイド、ゴール前で体を張らないと負けると分かっていたので、そこは何とか。メイジもFWで勝負してきてくれましたし。昨日の練習後、1年で集まったときに松田さん、健介さんがメイジについて色々教えてくれたんです。ワセダとしてメイジには絶対負けてはいけない。男として絶対に勝たなければいけない試合がある。それがメイジ戦だって。松田さんは体が小さいのに、あんなに激しくてすごいじゃないですか。松田さんを見ていると、今日の自分とか恥ずかしくなるんです、ほんと…。今週は1年生だけのチームを作って練習して、正直最初はどうなることかと思いましたけど、だんだんコミュニケーションも取れるようになって、これは勝てると自信を持って臨めました。ただ前半はよかったのに、後半は自分が切れてしまって、チームを引っ張れず、迷惑を掛けてしまったのは反省です。あそこはキャプテンとしてもっとチームを引っ張らないといけなかった。このメンバーでメイジのあのメンツに勝てたのは自信にはなります。FWは大きいと言われてますけど、BKは細いですし、大きなメイジ相手にゴール前で耐えて勝つというワセダらしさをちょっとは見せられたかなと。次の早慶も勝って、3年後も自信を持って勝ちたいです。昨日清宮さんには、順目って、ただそれだけを言われました。たった一言でしたけど、みんなそれさえやれば負けない、それができれば勝てるんだと、安心できたと思います。次こそは納得できる試合をしたいです」


<この日が19歳のバースデー 最前列で奮闘したプロップ橋本樹>
「今日は誕生日ですし、勝ててよかったです。メイジはFWが強いので、そこで絶対やられないようにと思ってました。前に出て止めてましたし、FWの近場で勝てたのがよかったです。後半は反省ばかりですけど…。みんながんばってくれて、スクラムは思っていたよりも押せました。コンタクト、オーバー、タックル、球出し。ワセダの方が早かったのがよかったと思います。ただ、コミュニケーションがまだまだ足りないので、チームでもっとやって、次の早慶戦までに修正したいです。まだまだ合わせていないので、次は大丈夫だと思います。2ヶ月経って感じることは、ワセダはやっぱり早くてコンタクトが強いということ。スクラムもヒットが全然違いますし、首の取り合いもすごいです。今はまだ畠山さんに敵いませんけど、これからたくさん練習して、誰からも信頼されるプレーヤーになりたいです。今日はいい誕生日になりました」


<司令塔として気合いでチームを引っ張ったSO長尾岳人>
「今日はみんな気合入ってました。メイジとの試合は特別で、絶対に負けられないんだって。前半はよかったですけど、セットプレー、スクラム、ラインアウトが安定しなくなって、リズムを崩されてしまいました。ゴール前でFWががんばってくれたおかげです。自分はメイジのメンバーのことをあまり知らなかったんですけど、こいつはジャパンだとかみんなが言っているのを聞いて、すごいんだなぁって思ってました。最近よく言われているのが、前を見ること。サインにも表裏があって、自分でいくのもあるよと言われているので、今日もそれを意識していました。トライを取った場面はそれがうまくできたのかなと思います。1年生だけで試合をするのはいい経験です。次の慶應もメイジと同じくらいの気合いで勝ちたいです」


<ビッグゲインを連発 BKの核としてチームを勝利に導いたCTB佐藤晴紀>
「今日はアタック面ではいいプレーができたと思いますけど、ディフェンスではチームに迷惑を懸けてしまいました…。ただ、相手がFWで勝負してくれたので、助かりました。アタックは試合前からとにかく自分がいってやろうと。味方が相手をきちんと釣ってくれるので、その空いたスペースに思い切りいって、タックルが来ても足を上げる。最近清宮さんに言われていることが少しはできたかなと思います。ワセダと言えばライバルはやっぱりメイジなので、絶対に負けられないと気合入ってました。メイジに勝てたのは自信になります。ただ後半は走れなくなって、ディフェンスしきれずあっさりいかれてしまいましたし、チームとしてちょっとバラバラなところがあったので、みんなでまとまって、次の慶應にもいい内容で勝ちたいです。トライは狙い通りに取れました」


<突然のCTB指令にも、きっちりと期待に応え、流れを変えた上田一貴>
「CTBやるのは初めてで、ドキドキでした。晴紀と渉太がプッシュとかしっかりとコールをしてくれて、自分はその言うとおりにやっただけです。今日は大事な試合で気持ちは入ってましたけど、後半相手に強いところを出されてしまいましたし、まだまだ修正しなくてはいけないことがたくさんある。メイジのあのメンバーに勝ったから自信がどうとかそんなことはなくて、ワセダとして、どんな相手にでも常に勝つんだという気持ちを持って、1試合1試合慢心することなくやっていきたいです。組織、チームプレーが高度で、難しいことが一杯あって、あぁこれがワセダだなと日々感じています。とにかく抜かれない。大きな相手を倒したいです」