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2024
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対青山学院大 もっと大事なことがある―


 「最初からガンガン飛ばすぞ」―。22人の頭に描かれていたのは、キックオフからの怒涛のラッシュ。佐々木隆道・対抗戦主将デビュー、リカバリーメンバーのカムバック…。心機一転、暦も変わって10月1日。連覇を目指す『リアル赤黒集団』が、スーパーアタッキングラグビーでその潜在能力を見せ付けた。
 まずは、開始1分。ゴール前ラインアウトからの的確な判断(誰も前を抑えてこないところをファーストラインアウトでは敢えて突かず、ゴール前で実行!)で、プロップ畠山健介がインゴールに雪崩れ込むと、そこからの15分は、見る者すべてを魅了する一大スペクタクル。グレートパス、エクセレントタッチ、ファンタスティックラン…。(意外にも?)赤黒初10番の『キング』・曽我部佳憲の軽快なタクトに乗せられて、BK陣が華麗に、力強くフィールドで躍動した。
 5分、スクラムからのビッグゲインを起点に、CTB池上真介がギャップを駆け抜けると、7分、9分、11分と、いずれも(課題の?)BKで美しすぎる3連続ノーホイッスルトライ(公式戦での3連続ノーホイッスルトライは『山下組』の選手権・対流通経済大戦以来!)。上井草でもお目にかかれない非日常の世界に、会場は感嘆の声に包まれた。これぞ『キング』の成せる業。「みんなで話していたとおりに飛ばしていけて、イメージどおりのプレーができた…」(SO曽我部佳憲)。
 そして連続ノーホイッスルトライの残り香が消えやらぬ13分、『音速の翼』首藤甲子郎が、スクラムからディフェンス3人を右手1本で豪快に叩き落すと、ついには清宮監督からペースダウン、BKワイドアタック禁止令が発動。「このまま走り続けたらケガをする。BKもうはいい。FW中心に攻めろ」―。想像を絶するハイペース、前の試合で熱中症が出たことも考慮に入れ、BKはトライをした選手が順番にコンバージョン(県予選の佐賀工ばり?)、キックでゲームをコントロールしながらのFW勝負という、省エネスタイルに移行した。
 しかし、ゲームスピードを意図的に落とすところまではよかったものの、主将・佐々木隆道が「じゃあどうやってFWでいくのかというところを徹底することができなかった。そこで相手に…」と悔やんだように、そのまま流れまでも手放してしまうのはあってはならぬこと。ゲームコントロールが乱れたばかりでなく、ペナルティーの反応の悪さ、ひとりよがりの飛び出しからトライを奪われ、主将の信念「完封」までも一瞬にして消え去った。試合後の二大巨頭のつぶやき―。「トライのペースが落ちても、あそこは取られてはいけない。自分たちの弱さです…」(主将・佐々木隆道)。「若いなぁ…」(清宮監督)。
 狙いどおり遂行された他の追随を許さないスーパーアタック。一方、後半こそしっかりと立て直したものの、ふとした瞬間顔を覗かせた心のスキ、甘さ…。先日、かのロベルト・バッジョが、銀河系軍団・レアルマドリードをこう評してた。「彼らはスペクタクルばかりを追い求め、ディフェンスから逃げている。勝負には勝てない」―。そして我等が主将・佐々木隆道の揺るがぬ信念。「ディフェンスは1番責任の出る部分。だからここは譲れない。抜かれるということは誰かが責任を果たしていないということです」―。ワセダは代々ひたむきさ、泥臭さ、決死のディフェンスで勝ってきたチーム。次戦はいよいよ『佐々木組』の行く末を決めるトップリーグとの真剣勝負。まずはしっかりと自らの責任を。ひたむきに、貪欲に。意図どおりの美しいトライもたしかに大切。しかし、もっと大事なことがある―。


<爆発的大勝にもチームの若さを指摘する清宮監督>

「今日はまぁいい試合だった。ただ、若いなぁ。トライを3本取られてしまったけれど、今後ディフェンスの練習を増やせばとか、そういうのとは関係ないところの問題。若い。曽我部はインターセプトされたところ以外はよかった。まだまだ勉強だね。次の東芝B戦は10月で1番大事な試合。競ったいいゲームがしたい。そういう経験をしないと、チームは強くなっていかないから」


<対抗戦主将デビュー モード切替の不徹底さを悔やむ佐々木隆道>
「今日はきつかったです。BKが抜けたところをフォローして、FWも走り続けてましたから。僕も珍しく最後は足がつってしまいました(それでも最後には大外でトライ!)。サントリーとの練習で少しハリがあるなと思ってはいたんですけど…。先週から言っていた3ケタ、完封は惜しかったですね…。チームとしては修正すべきところで、できたこと、できないことがハッキリしてきた。今日で言うと、ディフェンスでのコミュニケーションと、プロップ、フランカーの意識をもっと変えていきたい。これからはもうちょっとタイトなゲームになるけれど、うまいこといかなくても自分たちで何かを得て終われる試合ができればと。先週の試合では無理にボールをつなごうとしているところがあったので、今日はしっかりとしたサポート、的確なコールを意識していた。いいトライがいくつもあったし、その点はよかった。ディフェンスに関しては、組織で崩されたものはなくて、個人の責任だったり、コミュニケーション不足。そこはしっかりと修正して、よりよいアタック、ディフェンスをしていきたい。今日は最初の連続トライでバテました。あのペースでずっといくのは無理。それで清宮さんからもFWでいけと言われたんですけど、じゃあどうやってFWでいくのかというのをリーダーが徹底することができなかった…。そのどうするかを言っているときに、流れを相手にあげてしまった。自分たちのトライのペースが落ちても、あそこは取られてはいけないです。自分たちの弱さが出てしまいました。反省してます。ただ後半に関しては、その点も修正できたのでよかったかなと。曽我部は流れのいいときはあれですけど、悪くなるとまだまだですね。これからだと思います。水曜日、今年初めてサントリーへ練習(主にBチームが相手)へ行きましたけど、1年生のときに感じたような威圧感だとかはまったく感じませんでした。スクラム、ラインアウトは相手が1枚上でしたけど、アタック&ディフェンスは思っていたよりもいけてましたし、全然対等な感じで。まぁ相手が本気だったかは分からないですけど…。次(東芝B)は、自分たちよりも強い相手。いかに低いひたむきなプレーで前に出られるかと、セットプレー。やるからには勝ちたいし、もちろん勝ちにいく。相当手強い相手なのは分かってますけど、やらなくてはいけないですから」


<反省しきりも初赤黒10番でその存在感を見せ付けた曽我部佳憲>
「実は赤黒の10番って着たことがなかったんですけど、昨日清宮さんからはじめてもらって本当に嬉しかったです。ミッチー(三井)もメンバーに入ってましたし。あわよくば一緒に出たかったです(笑)。今日の試合に関しては、もっともっと勉強しないとダメだなと。4年生の孝成さん、銀さんのプレーをもっと勉強して、いいところを盗んで、自分のプラスにしていきたいです。最初はみんなで話していたとおりに飛ばしていけて、イメージどおりのプレーができたんですけど、ちょっと中だるみして、それを引きずってしまいました…。あのペースでずっといくのはさすがにきついです。ただ、そこの切り替えがうまくいかなかったのは僕の勉強不足。あそこはSOがしっかりとコントロールしなくてはいけなかったです。インターセプトは僕のよくあるプレーのひとつ。さすがに試合で喰らうと凹みます…。みんなに必死に謝りました…。ディフェンスに関しては、相手が自分のところにきていないのでまだまだですけど、もっと気合を入れてやらないと、このままでは試合に出られないです。抜かれて、インターセプトされて、最悪でした…。復帰して2ヶ月くらいになるけれど、想像していたよりもかなり動けてます。僕の膝に関わってくれたすべての人に感謝したいです。こんなこと言ったら怒られそうですけど、いつかドロップゴールを決めてみたい。それができたら万全とか、そういうのではないですけど、ドロップゴールが決められたら自分自身波に乗っていけるかなと(笑)。今シーズンの目標は、まずはケガをしないこと。SO争いは激しいので、常に緊張感を持って、4年生のいいところを吸収してがんばっていきたいです」


<激しいプレーで80分間奮闘したフランカー東条雄介>
「今日は前半外へ展開していい形で取れたし、後半FWでいこうと言っていたところで、入ってきた奴がいいボールキャリアでいってくれて悪くはなかったです。フランカーはめちゃくちゃきつかったですけど…。セットに関しても、メンバーが替わってからもスクラムでターンオーバーできてよかった。ただ、ラインアウトはまだまだ合っていないところもあったし、ミスへの反応も遅かった。ディフェンスは、コミュニケーションというか、自分たちフランカーがボールを取りにいこうと内に寄ってしまって、プロップが外に立ったところをうまく突かれてしまった。相手のSOがしっかり前を見て勝負してきていたので、清宮さんからもバックローがそこを埋めろと。後半は取れると思ったところ以外は広がって、チャレンジするところではターンオーバーして、しっかりと修正できた。ただ、ラックを作りにくるような相手で、早い球出しをされると、まだまだセットができていないので、そこは意識して練習していきたい。今年は自分にとってもチャンスだと思っている。開幕から2試合出ることができたので、この調子で赤黒を着続けて、最後国立の舞台にも立っていたい。仕事量、ディフェンスだったら負けていない。自分のよさを出して、セットにも手を抜かずにやっていきたいです」


<100m10秒7!ついに赤黒まで辿り着いた部内最速男・高津雄矢>
「昨日の夜は緊張しました…。初めての赤黒でしかも15番。まさか着られるとは思っていなかったので、ほんと夢みたいでした。でも試合に関しては全然ダメ…。FBをほとんどやったことがないというのもありましたし、Aのプレーについていくのが精一杯でした。ついていけてたかも分からないですけど…。もっと足で勝負したかったです。トライすることもできましたけど、後半のは足がつりながらだったので奇跡です(笑)。最初にBKでガンガンいって、かなり消耗してしまいました。慣れないFBで、無駄な動きも多かったですし。全体としては自分もチームもミスが多かったし、その後の反応がよくなかった。今はケガをしているだけで、シニアにはライバルがたくさんいるので、スピードで勝負して何とか喰らいついていきたいです。中学のときは陸上部だったんですけど、全然練習しない部活で、大会にも出たことがないんです…(笑)。陸上と水泳はやってましたけど。高校も弱小チームでしたし、小学校の頃から足が速かったのは、住んでいるところが山だったからだと思います(笑)」

<足を上げて豪快に 今村雄太スーパートライ!>