「今日は僕たちにとってすごく大事な試合。本当に勝ててよかった…」(SO久木元孝成)。甘さが招いたあの悪夢から2週間。原点に返り、戦う気持ちを取り戻した『佐々木組』セカンドチームは、その思いの丈を80分間ぶつけ続けた。もう負けはいらない、必ず上に這い上がる。メイジを圧倒、そして再び手に入れた宿敵への挑戦権…。「これでまた戦える。とにかく次の関東です」(ゲームキャプテン・小吹和也)―
この日フィールドで躍動した22人は、激熱のBCゲバ(11月22日、31-7)から選りすぐられたセレクトメンバー。あの日の試合には、『早慶戦』リザーブだけでなく、ジュニア選手権のメンバー入りが賭けられていた。「ゲバで出せない奴は絶対に上でも出せない。ここまで来たら結果がすべて。ひとりひとりがどれだけ勝負できるか。あのゲバは自分たちにとって大きかったです…」(小吹)。中4日となる強行軍も承知の上(もっと大事なことがある)。生存競争を勝ち抜いた代表戦士が、無様な試合などするはずがなかった。
さらに、この日チームの結束をより強めたのが、4年生Aチームメンバーの存在。普段は1年生がするアップの補助を、自ら買って出るその姿には、「全員で勝つ」(主将・佐々木隆道)の想いが溢れていた。「チームの力を感じたというか、あれはグッときましたよ。絶対やってやろうって…」(小吹)
何としても勝つ、関東への挑戦権を手に入れる―。強い絆で結ばれた『チームワセダ』は開始からエンジン全開。入りの悪さから敗れた関東戦の反省を心に刻み、ガムシャラに足を動かし続けた。3分、ロック百合洋が相手を豪快に吹き飛ばしインゴールへ雪崩れ込むと、その後も緩急をつけた巧みな戦いぶりで、紫紺相手とは思えないほどのトライラッシュ。ここ数試合改めて重要さを認識させられる接点、セットプレー(ラインアウトはちょっと乱れましたが…)、運動量、すべての局面で相手を凌駕し、付け入る隙を与えなかった。
「おい、ここで終わりじゃねぇだろ。次だ、次。関東!」。試合後、誰かとなく口にした、ここが始まりという想い。そう、本当の戦い、倒すべき相手は、12月30日・関東学院大。「僕たちが目指しているのはここではないですから」(小吹)、「もう、負けはいらないです」(久木元)…。Jr選手権4連覇、そして何よりワセダの威信を懸けたリベンジへ。宿敵・関東を倒すその日まで、セカンドチームの戦いは終わらない―
<4年の意地! 敗戦からチームを立て直したゲームキャプテン・小吹和也>
「関東に負けたことでひとりひとりの意識が変わった。もう絶対に負けられないし、みんながAに上がりたいという気持ちを持ってやっているのがいい結果につながったと思う。これからはリーグ戦と違って負けられないし、ここで勝たないと関東に借りを返せないぞと。みんなでテーマにしていたことは、個人個人の1対1。アタックでもディフェンスでも相手を圧倒する。これから先の早明戦、選手権で上に上がるためにもチャンスはここしかないぞって。今日よかったのは接点。関東戦はそこで前に出られなかったのが負けた原因だし、あとは試合の入り。今日はアタックでもディフェンスでもみんなガンガンいけていてよかったと思う。最初の百合のトライも4年生らしいものだったし、ああいうのが今日のよかったところ。1年生とかがどう思ったかは分からないけれど、隆道を初めとするAチームの4年がアップの手伝いをしてくれたのは、グッと込み上げてくるものがあった。チーム力というものを感じたし、絶対やってやろうって。今日はひとりひとりが勝っていたいい試合。FWもセットで勝ってやりたい放題だったし、それを受けてBKもやりたいことができた(CTB谷口拓郎はこの日もグッドパフォーマンス!)。接点で前に出られたことが、関東戦とのエライ違い。関東の週は練習でもアップでもフワフワしていて、それがそのまま試合の入りで出てしまった。今週はそこを練習からずっと言い続けていたし、今日もアップから声が出ていていい雰囲気だった。この1年副将として何もやっていなかったですけど、やっといい仕事ができたかなと(笑)。でもまだまだこんなものでは満足できないし、僕たちが目指しているのはここではないですから。今日も後半ミスをポロポロして、ちょっとダレたところがあったので、そこは課題です。早慶戦前日にゲバをやったのも自分たちにとって大きかった。ゲバで出せない奴は上でも絶対に出せないし、ここまで来たら結果がすべて。ひとりひとりがどれだけ勝負できるか。昨日のCDゲバもすごい試合で僕自身も気持ちが高まったし、何が起こるか分からない、Cが接点で引いたらDもあれだけ攻めた。今日も抜いたらやられるぞと。でも今日で終わりじゃない。とにかく次の関東。これでリベンジへの挑戦権を得ることができた。春から僕自身も言い続けているように、ワセダはAだけが勝っていればいいチームではない。BもCもDも負けは許されない。とにかく次の関東です。それまでに早明戦、選手権もあるので、目指すはもちろんAチーム。1ヶ月、絶対にチャンスがあると思いますから。個人としては1対1のところをずっとイメージして練習してきた。絶対に倒れない、前に出る。まだ万全ではないですけど、パフォーマンスは徐々に上がってきているかなと。菅野もすごくいいですけど、4年の意地です。もうそれしかない。昨年も準決、決勝は出られなかった。2年の決勝に出られても、今年出て勝たないと意味がない。ここから這い上がります」
<ゲバからの復活 関東リベンジへの挑戦権を掴み取ったSO久木元孝成>
「今日はすごく大事な試合だった。関東戦後最初の試合だし、負けたらここで終わり。4年生でがんばれたと思うし、何より勝ててよかった。今日はアップを4年生がしてくれたけど、ああいうのは心に響く。昨年、一昨年もそういうことがあって、伝統になっているところもあるけれど、実際に自分が4年になるとやっぱり違う。ファーストフェーズで対戦したときには、FWがやられていたので、今日は接点でやってやろう、ディフェンスで前に出ようと話していた。関東にリベンジするまでは絶対に負けられないと。今日は接点で前に出られたのが1番。FW勝負で圧倒できたのは大きい。アタックでもタックルでも、ワセダは受けたらダメですから。シーズンに入った頃は4年が少ないときもあったけれど、和也が戻ってきてくれたし、みんなでがんばれた。それぞれの役割分担がしっかりしているからやりやすいし、心強い。4年の意地で勝てたと思う。今日は冷静でしっかりと判断できる和也がいてくれて、助かったし、いい形で攻めることができた。でも大事なのは次。今日はあくまでも過程。これで関東への挑戦権を得ることができた。もう負けはいらないです。そして早明戦、大学選手権に出られるように。必ずチャンスはある。練習から必死にやっていきます」
<痛いプレー連発でチームに勝利をもたらしたフランカー東条雄介>
「今日はチームとして相手を0点に抑えて、圧倒できたのがよかった。4年生が多かったし、チームを引っ張ってくれた。FWも星野さん、シゲさんがしっかり盛り上げてくれて。4年の力を見せてもらった。今日は4年生のおかげです。早明戦を戦うAチームのためにも圧倒しなければいけなかったし、昨日のゲバで見せてくれた人たちのためにもやらないといけなかった。今日みんなで最後までしっかり戦えたのは、早慶戦の完封と昨日のゲバを見たから。1本でも取られたら負けくらいの気持ちを持って戦えた。そういった気持ちが試合の入りから出たと思う。明治がFWで来ようとしたところを、セットも近場もしっかりと止められた。リズムを作らせず、相手はもう蹴るだけという状態にさせることができた。特にバックローを中心に1発で倒せたのがよかったと思う。考成さんもいいタックルでピンチを救ったし、そこで流れを持ち続けることができた。FW戦で完勝。後半はラインアウトをはじめちょっと乱れてしまったところもあったけど、相手ボールに対してひたむきでよかった。今日は4年と気持ちで相手を上回った。僕自身も早慶戦メンバーに入れなかったことで意識を変えられた。とにかく次の関東。そしてAチーム。できることをしっかりとやっていきたいです」