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2024
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対明大 きっかけは…『キング』のタックル!


 「早明戦、楽しかったです」(主将・東条雄介)…。『伝説』越えに挑む『極』ワセダと、原点回帰のシンプル・メイジ。緊張の一戦。新生ワセダは真骨頂・早さ(速さ)で上回りながら、激しさ、接点でも相手をねじ伏せ、必然の勝利を掴み取った。
 開始10分で圧倒し勝負を決める―。そんな思惑とは裏腹に、強烈な風下、相次ぐミスで開始から自陣に釘付け。あろうことかペナルティーもこれに重なり、メイジの拘り・重さのモールにこれでもかとさらされ続けた。まだ走れる『重戦車』と鋭さ命の『赤黒』との緊張の駆け引き…。傍から見れば完全なるメイジの時間…。この重苦しい雰囲気を打開したのは、驚くなかれ、『キング』曽我部佳憲が見せたハードタックルだった。
 執拗なゴリゴリから一変、メイジがCTBのタテできたところ(明らかに曽我部を突くためかと…)を狙いすまして、逃げずに迎撃。押し込まれることなく相手の自由を奪い、起死回生のターンオーバーをゲットした。「絶対にできるようになる」―。まさに監督との二人三脚が生んだ改心の(会心の?)ハードヒット。「周りのみんなが助けてくれているおかげです…」。本人は申し訳なさそうに話したものの、これまでなかったプレーは明らかにチームを乗せた。「宣言していたとおり。曽我部のタックル、よかったですね」(主将・東条雄介)…。
 この最高のターンオーバーでようやく自陣から抜け出すと、すっかり風格漂う『爆撃機』臼井陽亮(キレ、強さとも抜群!)、開花しつつあるロック関卓真(激しさ、力強さで攻守の核に!)らが『前へ』を体現し相手を圧倒。『キング』のタックルから数分後、WTB早田健二のトライを皮切りに完全にゲームを掌握した。この日はグランディングするだけだったとは言え、ルーキー早田健二はこれで2試合連続のファーストトライ。言葉で表現するならば、「のらりくらり」。見た目は普通?…、でも人に強く、走りもシャープ。評価も上々、久木元孝成の秘蔵っ子はこのまま一気にいく可能性、アリアリ―。
 前半は『キング』曽我部のDG(春にしては珍しい…)、CTB佐藤晴紀(ただ今売り出し中です!)の豪快なランで15-0。その後もブレイクダウン、近場のディフェンスと、試合開始から僅か15分で足の止まった相手を完全に上回っていたものの、雨、強風にも遮られ(キックが飛びすぎることしばしば…)、100%満足のいく展開とはいかなかった。「まだ自分たちのよさを出せていない。その原因はいいプレーが続かないことと、ミスが続いてしまうこと。学生たちには今日の試合で、波に乗れないゲームの苦しさを感じてもらえればね」(中竹監督)。セットはもちろん、課題は主導権を握り続けながら、まだまだ上げ切れていないゲームスピードと積極性。ボールを動かしてこそワセダ。後半10分過ぎから見せた『スターバックス』の爆発が、今後は継続的に求められる。
 ブレイクダウン、激しさ◎ ラインアウト、スクラム??? トータルで見れば、課題も出しながら普通に、そして当たり前のようにライバルに勝ったという試合。「だいぶチームの全体像が見えてきたかな」(中竹監督)。「みんな自分のやるべきことが分かってきている」(主将・東条雄介)…。ガムシャラな春シーズンも、これでちょうど折り返し地点。時に笑い、時に泣き、自分たちを見つめながら、ワセダはこれからも成長し続けます―



<まだまだ発展途上 チームとしてのまとまりを訴える中竹監督>

「まだまだうちのいいところが出せていないね。もっとワセダのいいところを出して戦わないといけない。今日は自分たちのよさを出せていなかった。その原因はいいプレーが続かないことと、ミスが続いてしまうこと。まぁミスはこの雨だからしょうがないところもある。学生たちには今日の試合で、波に乗れないゲームの苦しさを感じてもらえればいいかなと。力を出せないままゲームが進んでいくといい結果は出せないから。80分という時間をどう使うか。これからの課題だね。先週課題に挙げたテンポチェンジもまだまだできていない。もっと早くボールを動かして、きちっと出していかないと。今はひとつリズムが崩れると、崩れっぱなしだから。どこかで立て直す意識を植え付けていきたい。スクラムに関しては、相手のコールが変則で(明治はレフリーのクラウチ&ホールドの声の後、「セット、1,2,3」と自分たちでコールをかけています)惑わされたし、組んだ本人たちに1番フラストレーションが溜まっていたと思う。そういう相手に対してまだまだ思うように組めないのは課題。ディフェンスはサイドをよく止めていたし、激しさの点では完全に上回っていた。ただ、モールで1個取られたのはいただけない。あれはあっちゃダメ。あの場面は間が空いてしまった。他ではいいディフェンスしていたのに、あのミスで…。これで春も半分が終り、だいぶチームの全体像が見えてきた。まだ波のあるチームなので(監督はシーズン1発目のミーティングで「波の少ないチームにする」と宣言!)、その波をどんどん縮めていきたい。今取り組んでいるのはチームとして戦う意識。それができるようになれば1人が崩れても、チームは大崩れせずに戦える。今は東条を中心にそのドリルをやっているけれど(様々な取り組みを実践中!詳細は後日気が向いたら…)、それができるようになったら、他の奴で。まとまり方をみんな覚えてくれると思うから。今日も東条の目の覚めるようなスイープ、タックルがあったね(またまたまたまたすごかったです!)。今はチームの鏡だよ」


<この日も抜群の存在感 早明戦を満喫した主将・東条雄介>
「早明戦、楽しかったです。明治はFWでシンプルに来てくれたので、ワセダもそこでは絶対に負けないって。3列の僕らとしてはよかったんですけど、スクラムが…。モールはそこそこ。アタックは組む機会がなかったので何とも言えないですけど、ディフェンスに関してはまぁよかったかなと。1本取られてしまったのはミスです。前半のFWのゴリゴリ一辺倒から、SHも絡めるように変えてきたところで受けてしまった。途中からそれにも対応できましたけど、あの1本はいらなかったです。ブレイクダウンのところは、明治は結構捨ててくるという話だったんですけど、ワセダが相手だからか熱くなってガンガンきていた。ワセダはそこで引かずに激しく、上回れたと思う。明治は大きくなっているし、スクラムもうまく組ませてもらえなかった。次に対戦するときにはFWのセットにもっともっと拘っていかないと。後半は晴れてきたこともあったし、FWは負けてはいなかったけど、外に振っていこうと。外に振ってサポートしてオフロードとか。FWは負けていなかったけど、BKの差により大きなものがあったので、そこで崩してサポート、スイープ。FWはそういう違った部分で見せようと。後半はしっかりとそれができた。ここ数試合メンバーがたくさん入れ替わっているけど、新しく入ってくる奴も自分のすべきことを分かってくれている。まだまだ課題もあるけれど、覺來にしても須藤にしても自分のよさを出してくれてよかった。ラインアウトがよくないと見たら矢富がペナルティーからガンガン仕掛けてくれたし、それにFWもしっかりとついていくことができた。ミスも多々あったけれど、矢富、曽我部にみんなついていってたし、槻木などがミスに対してもしっかり反応してカバーしてくれた。ピンチをピンチにしない。チームとしてのいい方向性が見えてきたと思う。曽我部ですか?いいタックルしてくれましたね(上記のターンオーバー以外にも数回…)。昨日8単止めると宣言していたとおりにしっかりとダブルタックルに入ってくれて。よかったです」


<精度の低さにガックリと肩を落とす副将・後藤彰友>
「今日は僕自身も体調が悪すぎてまったく動けませんでした…。ラインアウトのことを言えば、(相手ボールを)同じところでずっと取られていて、どう対応すればいいのかを言っているのに、最後まで直すことができなかった。理解できているのが一部の人間だけで、全体としてはまったく。そこが今日納得できなかったところです。マイボールはもっとイージーに取れるのに、ノットストレート、キャッチミスがあって試合以前の問題。昨年のチームは途中で修正する能力があったけれど、中竹さんも言っているように今年のチームにはまだその力はない。FWはリーダーとなる4年にもっとそういったスキルが必要です。明治はタテしかないのに、まだ狙えている奴が一部の奴しかいなくて、チームとして狙いきれてないです。ダブルタックルも最後はありましたけど、途中までは全然できていなくて、そこは相変わらずの課題というか、昨年できていたのにできていないところ。ダブルタックルがしっかりとできないと、今日の前半みたいに拮抗してしまうので。モールのトライはいらなかった。あれはコミュニケーションミス。あの場面は前の奴が後ろに帰ってくるサインが出ていたんですが、帰ってこずに…。入るべき人間がいなくて押されてしまった。今の自分たちはそんな低いレベルだということです。FWは課題だらけ。昨年のFWに追いつくことを目指してやっていますけど、まだ強さとか言う前にそれ以前のところができてない。春の残りに向けて、もっともっとみんなで話をする時間が必要だと思います。まずその前に自分のコンディションを戻します」

<相手は世界の本物! ジャパンでの更なる飛躍を誓うCTB今村雄太>
「今日はずーっとイライラしてました…。雨ということもありますけど、ここぞのチャンスでミスをしてしまって。それでまたイライラ。全然ダメでした。ただ、後半は天気もよくなってきたので、BKでドンドン外にいこうと。ああいう形で、いいテンポでボールを動かすのがワセダの形(BK陣すごかったです…)。それができたと思います。ただ、チャンスフェーズのところはまだまだ課題。特にラインの深さ、コミュニケーションといったところが足りないです。余裕?、そんなのは全然ないですよ(笑)。ここ最近はずっとワセダで練習していますけど、みんなから遅れているというか、自分だけチームに馴染めていない感じです。でもそこは春が終わってから、夏にかけてじっくりやっていきたいと思ってます。今はジャパンで学べることを学んで、夏からまたみんなと一緒に。強い相手と試合をするのはなかなかできる経験ではないので、この1ヶ月いろいろなことを吸収して、また一回り大きくなってワセダに帰ってこれるようがんばってきます」


<抜群のフィールドプレーでこの日の『極』賞を獲得したロック・関卓真>
「まだFWの中でのコミュニケーションがしっかりと取れていないです。特に僕と健介のところ。それがセットの乱れにつながってしまいました…。特にスクラム。前は前で、後ろは後ろでという感じになってしまって、ついていくことができませんでした。8人のパックが課題です。モールに関しても、この春やってきたことがしっかりできていれば止められたのにそれができずに…。近場のディフェンスは内側にしっかり返せていてよかったと思うけど、あの1本はダメです。個人としてもフィールドプレーはよかったですけど、目標はさらに高いところにあるので、もっともっとボールに絡んで仕事をしないといけないです。ブレイクダウンに関してはハンマー、スイープ、チームとしてよくできていたかなと。今年はここまでロックに定着して動きも分かってきたし、だんだんと動けるようになってはきたけど、まだまだディフェンス、セットの安定には貢献できていない。そこを高めてもっと周りから信頼されるプレーヤーになりたいです。まずは昨年のFWに追いつくところからです」

※その試合でのMVPとも言える『極』賞は、受賞者に中竹監督からピンバッチが贈呈されます。このピンバッチをブレザー着用の際つけることが一種のステータスです。試合前のミーティングでそれぞれが『極』めることを発表し合い、それをしっかりと達成できたか否か。シーズン終了後『極』バッチを一番多くつけているのは一体…。ちなみに第一回の同大戦は主将・東条雄介、第二回の高麗大戦は、WTB早田健二が獲得しています。

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