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2024

対関東学院大 ワセダ、一時代の終焉…


 その笛の音は歴史の終りを告げていた。26-33。次々に崩れ落ち、ピッチにひれ伏す赤黒…。それは一時代の終焉を意味していた。まるで5年間築いてきたもの、そのすべてが奪い取られたような気さえした。誰よりも激しく、どこよりも勝負強く、夢と希望に満ち溢れたワセダは、もうそこにはいなかった―
 この1年のすべてを懸けた一戦。2006年3月19日から始まった『東条組』、その営みの正しさを証明するための舞台。しかし、出てきた答えは、あまりに辛く悲しいものだった。
  気は今季1番入ってはいても、開始からガンガン来る関東に接点で圧倒され、1歩、2歩、3歩と後退。それを受け、BKも果てしなく下がりながらのディフェンスを強いられ、まったく相手の勢いを削ぐことができなかった。関東がここに懸けてくるのは分かっていたのに、ファイトでひるんだら終りだと分かっていたのに…。それでも、関東に対抗する力強さ、激しさ、精度に欠けたワセダ(他のチームにはやれても…)が、苦しむのは当然だった。絶対的な力が足りなかった。「接点のところで関東が激しかった。そこをBKが助けてあげられなかった。常に相手のプレッシャーを感じていた。しんどかったです」(SO曽我部佳憲)…。
 そしてもうひとつ、あまりに痛かったのが未体験・ラインアウトの完全崩壊。4番西の1枚上げの高さ(これができるのは関東だけ?)、プレッシャーは想定を遥かに超え、それを避けるべく、この日のために取っておいたニューサインも、まったく意味をなさなくなっていた。最初の数本でプレッシャーを感じ、その後ドツボにはまっていく悪循環(空いてるところに投げても…)。サントリー練の際の清宮監督の言葉が頭をよぎる…。「あとはラインアウトだけやっておきなよ。そこでプレッシャーを懸けてくるのは分かってることでしょ」。準備は十分にしたつもりだった。たしかに、あそこまでの乱れは想定を遥かに超えていた。しかし、それでも試合中に対応できなかった、修正してあげられなかったのは、余りにも痛すぎた。ワセダらしさはそこにはなかった。
 ブレイクダウンで負け、下がりながらのディフェンスでタックルを外されまくる。試合の途中からは自陣であろうが、相手が網を張っていようがPからGO。周到に準備してきたアタックをひとつも出すことができなくては、この結果は必然だった。戦う前は自信があった。やり残したことはないと思えた。しかし、結果はぐうの音もでないほどの完敗。チームとして関東学院に明らかに負けていた。勝負の世界は厳しいと言ってしまえば、それまで。そもそもの前提を見誤ったか。ワセダは持てるすべてを出し切ったのか。見ている側に伝わるものはあったのか。この試合、ワセダに残ったものは…。
 体制が変わり、すべてが変わり、この1年、今年のやり方で精一杯走ってきた。信じた道をひたすら突き進んできた。しかし…、唯一無二の尺度・結果はついてこなかった。今年の営みは否定されたも同然だった。これだけの才能を抱えながら、勝てなかった事実は重い。輝きを放ち続けた『最強』ワセダ、『レジェンド』ワセダ、その一時代の終焉…。悔しい。できることなら頭の中から消し去ってしまいたい。けど、そんな消しゴムが存在するはずもない。4年生だけではなく、ワセダにも今日というこの日はもう二度と返ってはこない。この日がワセダ一大転換点(…にしなくてはいけない)。過去の栄光などすべて忘れ、生まれ変わらなければならない。苦しくて、困難を極めても、これが新たなスタート。お通夜のような試合後のロッカールーム、多くの者が口にした。「今はまだ何も考えられない」「言葉が何も浮かんでこない」…。でも時計の針は進んでいく。どうするワセダ。これから先、ワセダはどこに向かうのか―


<指導者として自らの責任を口にする中竹監督>
「今日は監督である自分の責任です。ラインアウト、ブレイクダウン、劣勢になったときにどうするのか、準備できていなかった自分の責任。学生たち、4年生には本当に申し訳ない。負けるべくして負けてしまった。完敗。ラインアウト、ブレイクダウン、最後まで修正することができなかった。関東が本当に乗ったときにはああいうパターンになるとは思っていたけど、対応できなかった。0-21になっても、まだいけると思っていたけど…。我慢することができなかった。セットアタックラグビーを柱に掲げていながら、その根本のラインアウトを取ることができなかった時点で厳しかった。そこの準備不足は完全に監督である自分の責任。このチームは本当にいいチームになった。すごい成長を見せてくれた。日本一成長したチームだと思ってる。けれど、今日は負けてしまった。勝てるチームにできなかったのは、自分の責任。サントリー練のときもラインアウトの精度の低さはあったのに、残された時間でそれを完璧に修正してあげることができなかった。そこは指導者の責任。学生は本当にがんばってくれた。学生たちには申し訳ないということ、そしてありがとうと言いたい。今日のこのモチベーションで日本選手権を戦えるかで、このチームは問われる。頭を切り替えないといけないし、まだ成長して、勝てるチームにしていきたい」


<『荒ぶる』は逃すもこの1年の営みに胸を張る主将・東条雄介>
「すべて終わってしまいました…。何というか、いい言葉が浮かびません。本当に悔しいですけど、もうこの時間は取り戻すことはできない。4年生はいつまでもメソメソしていても意味がないので、しっかりと気を切り替えて、明日からまた責任を果たしていきたい。試合に関しては、ラインアウトのところでプレッシャーを受けて浮き足立ったのがまずいけなかったことだったし、イーブンボールも支配することができなかった。この1年間やってきたことが出せなかったのは、それがまだ自分たちの力になっていなかったということだと思う。いつまでも悔やんでいても意味がないので、しっかりとこの経験を消化して、ワセダをいい方向に導けるようにしたい。それは明日からどう生活していくのかで決まると思う。4年間精一杯やって、最高の仲間と最後までこれたのは本当に幸せなことでした。『荒ぶる』を取ることはできませんでしたけど、この同期で本当によかったと思っています。4年目にケガばかりして、今日も最後までピッチに立っていることができなくて、チームには迷惑を掛けてしまって申し訳ない…。まだ残されている日本選手権もそうですし、来年勝てるチームになるためには、これからが重要。自分たちがワセダで4年間教わってきたもの、学んだものを後輩たちにしっかりと伝えて、もうこんな思いはしないようにしてあげたい。中竹さんと出会うことができて、1年間指導を受けることができて本当によかったです。『荒ぶる』は手に入れることはできませんでしたが、ひょっとしたら『荒ぶる』以上のものを得たかもしれません。まだ形にはなってはいないですが。中竹さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この1年、自分たちのやってきたことは間違ってなかったと思います」


<意地は見せるも敗戦に呆然と立ち尽くす副将・首藤甲子郎>
「今は先が見えないです…。明日からどういう生活が始まるのか…。最初に立て続けに3本取られたのが痛かったです。足りなかったものは…、どうなんでしょうね、ひとりひとりの力でしょうか。4年生には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。自分は仲間、スタッフ、応援してくださる方々の支えがあってこの舞台に立つことができました。みなさんには感謝の気持ちでいっぱいです」


<受け入れがたい敗戦にガックリと肩を落とすフッカー種本直人>

「今はまだ気持ちの整理がつかないです…。勝負は勝つか負けるかのどちらか。今はよく考えられないですけど、ワセダは関東に負けたということです。うまく言葉にできないです。先のことは今は考えられないですけど、まだ日本選手権があるので、取り返せればいいかなと思っています。しっかりと責任を果たしていきたいです」


<あの時と同じ過ちに後悔の念を抱くSH矢富勇毅>
「今はいい言葉が浮かびません…。色々と…、今思うことは4年生として、同期、応援してくれた方、支えてくれた方々に謝りたい。試合については、もうちょっとラインアウト、セットを安定させて、そこからBKに振っていきたかったですけど、相手のプレッシャーが強かった。そこが正直なところです。崩せそうな局面、トライを取れそうな局面はたくさんありましたけど、あと1歩のところで…。逆に関東は取るべきところでしっかりと取った。そこの差だったと思います。今日はこれまで経験したことのないような試合、展開でした…。もう僕たちには失うものは何もないし、ワセダのミッションである夢と希望と感動を与えるラグビーを最後まで全力でやりきるだけ。それが来年のチームにもつながっていくことだと思う。ワセダには負けたら何も残らない。自分たちはあの負けを知っている唯一の代なのに、また同じ過ちを犯してしまった。でも、僕はワセダが大好きです。後輩たちにはもう同じ過ちを犯して欲しくない」


<悔しさを滲ませるも中竹監督への感謝を口にするSO曽我部佳憲>
「何でしょう…、今は何も頭に浮かびません。言葉は何も出てこないです。接点のところで関東が激しかった。そこをBKが助けてあげられなかった。相手のプレッシャーを感じてましたし、前半に取られすぎました。せっかく取り返してもなかなか届かない点差で、しんどかったです。僕らがどうこうより、今日の負けをいつか財産と言えるように後輩たちには勝って欲しい。中竹さんは自分の責任だと言いましたけど、そんなことはない。中竹さんと出会えたことで、自分でもこんなに変われるかというくらい変わることができた。後輩たちはしっかりと中竹さんについていって欲しいです。ちょっとの間休みます」


<強みを出せぬままの完敗に言葉を失うCTB今村雄太>

「いやぁ…、言葉が出てこないです…。今は何も考えられません。ひとりひとりの強さが関東の方が上だった。そこで負けてしまってました。自分自身もまったくいいプレーができなかったです。今は何も考えられないですけど、後輩たちにしっかりとしたものが残せるように、1日1日大切に、また勝負していきます」


<セット、ブレイクダウン、自らの無力さを痛感するロック権丈太郎>
「FWのセットプレーを安定させることができなくて、アタックをしてもテンポを出すことができなかった。ブレイクダウンもプレッシャーを掛けられて、人数を多く掛けてしまった。常にプレッシャーを感じていた。自分の無力さと、4年生の何もしてあげることができなかった、今はそういう思いです。勝つことができずに本当に申し訳ない…。まだまだチームも自分も甘かった。これ以上の屈辱はない。また明日から、1日1日出し切ってやっていくしかないです」


<全メンバーに意識改革を訴えるFB五郎丸歩>
「まず4年生のみなさん、申し訳ないです。自分はこの4年生には本当にお世話になりました。それをこんな形で返してしまってすいません…。ワセダには4年で『荒ぶる』を歌えればいいという考えがあるけれど、1、2、3年生にはこの考えを捨てて欲しい。学年に関係なく、勝たなければ意味がない。4年生にはもうこの時間は返ってこない。僕たちにできることは、1日1日常に勝負していくこと。誰もが1日も負けることなく、来年『荒ぶる』を歌えるようにやっていきます」

<この日の1番星 菅野朋幸、責任感、意地でスーパートライ連発>