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2024

対長崎ドリームチーム 『東条組』、らしさ全開!


 最後の最後は、ワセダらしく―。2007年3月4日、異国情緒溢れる地・長崎での『東条組』ラストマッチ。とてつもない才能と本物の雑草が融合した男たちの最後は、すべてを出し切るかのように、その「らしさ」全開だった。
 目まぐるしくアップダウンを繰り返した激動の1年。伝説『佐々木組』の勢いそのままに快勝発信した春、初めて本気でぶつかり合った夏、成功体験との戦い、そして「らしさ」の消えたあのファイナル…。坂の多い街・長崎で最後の試合を迎えたことは、ある意味では象徴的、もしかしたらもっともふさわしい舞台だったかもしれない。
 ラストマッチ前夜、このメンバーで迎える最後のミーティング。形式的に赤黒を渡し、ただ「明日はがんばろう」で終わるのではなく、『東条組』全員で「ワセダらしさ」とは何たるかを語り合った。そこで出た言葉の数々…。「想いの強さ」、「ひたむきに泥臭く」、「ひたすらトツ(リムーブ)し続ける」、「どんな苦境にも折れない心」…。思えば、それらすべては勝つためにワセダが追い求め、培い、受け継いできたものだった。『東条組』の出した答え、ワセダらしさ=勝つこと―
 気合十分、強い意志を持って臨んだ試合は、前半こそ久々の実戦にもたつき、バタついたものの、みんなで出し合った「らしさ」は全開。ひとたびペナルティをもらえば果敢にハリー(矢富すごすぎです!)、効果的に内を見せての『高速展開』(スパイスは須藤です!)、そして何よりディフェンスセットで目を見張るような動きを見せ(乱れる場面は皆無!)、「ワセダの時間」をひたすら続けた。
 圧巻だったのは、体もフィットしてきた後半に見せた怒涛のトライラッシュ。2分、ゴール前スクラムプッシュで崩しきったところでCTB須藤。17分、キレッキレ『菅野エクスプレス』からFB矢富。27分、『矢富イリュージョン』から今度は菅野。中でもこの遠征での1番人気・矢富勇毅のイリュージョンぶりはすさまじく、キック処理のカウンターから歩いて相手を交わす(しかもディフェンダーはバランスを崩しその場にバタリ…)というスーパープレーまで披露した。改めてホレボレさせられた『東条組』の漲る才…。「今日はメチャメチャ楽しかったです。そういえば僕、公式戦終わってから一度もSHでプレーしてませんね。ジャパンスコッドにもSHで選んで頂いてるのに(笑)」(矢富)。
 そしてそしてこの1年、4年間の最後は、「あのケガがなかったら…」とどうしても思ってしまうCTB平野進也の華麗なトライでフィニッシュ。『東条組』でもっともスキルフルで、もっともバランスのよかったかもしれない男のトライは、仲間に笑顔を勇気と充足感をもたらした。
 これで『東条組』は本当の区切りを迎え、正真正銘『権丈組』にバトンタッチ。2007年シーズンこそは、歩を休めることなく坂を登り続け必ずや頂に。いち早く異国のエキスを取り入れ、独自の文化、豊かな個性を磨いてきた長崎のごとく。頂への道のりは険しいが、そこから見える景色はきっとすばらしい。長崎のそれがこの上なく美しかったように…。『東条組』、本当にありがとう―


<これでラスト 永遠の仲間との絆をしみじみ語る主将・東条雄介>
「すごく楽しい遠征でしたし、後半どんどんよくなっていって、試合もいい内容だったと思います。4年生それぞれが持ち味を出して、自分たちのできるプレーができたかなと。みんなで話したワセダらしさが出せたかは分からないけれど、いいプレーはできたと思います。最後の最後にこういった舞台を用意してくださった協会、関係者の皆様には本当に感謝していますし、4年生を全員連れてきてくださったOBの方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、しっかりと結果を残すことができてよかったです。これで本当に終りですね。今日でラグビーを止める奴もいれば、続けていく奴もいる。進む道はそれぞれですけど、この仲間は永遠のものなので、これからも色々なところで助け合って、絆を大切にしていきたいと思います。僕たちはこれからどう生きていくのかです。後輩たちが『荒ぶる』を取れるように、最大のサポートをしていきます」


<最高の団結 感慨深げに遠征を振り返る副将・首藤甲子郎>
「何かもう…。今回の遠征はいい思い出になりました。招待してくださった長崎県協会の方には本当に感謝しています。試合に関しても、球際の強さをはじめ、4年間やってきたことが出せたかなと。みんないい反応を見せてくれましたし、ミスにしてもいい意味で自分たちらしさが出ていたと思います(笑)。変にみんなで卒業旅行に行くより、こうして試合をして、最後の最後までみんなで団結する方が特別でいいですよね。本当にいい遠征になりました。これで『東条組』も一区切りです」


<見事な凱旋! 地元ファンから大声援を受け躍動したCTB伊崎翼>
「今日はすごく緊張しましたけど、温かい声援が嬉しかったです。プレースキックは蹴る予定はなかったんですけど、あそこで蹴っておかないと何もしないまま終わってしまうと思ったので(笑)。試合は…、僕は来年も残るんですけど、課題が見えてよかったです。このままでは死んでも死にきれないと思い残ることにしました。チャンスはもらっていたけれど、それを生かすことができなかった。ラグビーがやりたくてワセダに入ったのに、このまま終わってしまってはダメだろと。でも、今日は『東条組』最後の試合を本当に楽しむことができました。矢富のすごいところ、進也のうまいところ。みんなが持っている色々なものを見せてもらってよかったです。ずっと一緒にいた仲間、これで終わってしまうのは本当に寂しいですけど、また明日からは気持ちを切り替えて勝負です。今回は本当にいい遠征になりました」

<同じく凱旋! 4年間体を張り続けたフランカー中島京>
「最後に長崎で奇跡的に試合があって、初めて赤黒を着て出ることができた。本当に感謝の気持ちと…、幸せです。自分にとっては本当に特別な遠征で、試合に出るときはこれまでで1番緊張しました。ま、僕のプレーは緊張とか関係ないんですけど(笑)。みんなで話していたワセダらしさがでていたかは…、自分のことで精一杯だったので分かりません。けど、そういったものがワセダらしさなんだと思います。4年間本当にアッという間で、毎日が戦いの日々でした。周りにはうまい奴ばっかりで、自分は小さいし、遅い。その中でよくワセダでラグビーやっていたなって。後輩たちには、先輩たちから受け継いできたワセダらしさを自分たちでしっかりと解釈して、練習、試合でそれらを体現して、赤黒、荒ぶるを勝ち取って欲しいと思ってます」


<将来はみんなでワセダへ!ラグビー教室は大盛況!>
 試合前日の3月3日には、遠征メンバー50人全員でラグビー教室を開催。小学生から高校生まで、300人近い子供たちをどう向き合えるか、未体験のシチュエーションに多少の不安はありましたが、優秀な生徒さんたちのおかげで、それはそれは楽しい時間を過ごすことができました。「あいつが子供と戯れてるよ」、「やっぱり先生向きだよなぁ」等々、自分たちにも新たな発見があり、みなラグビー教室にハマッたという感じです。「ただ試合をして帰るのではなく、こうして地域の方とも触れ合いの場を持つことは、本来のあるべき姿」と中竹監督も言うように、ワセダとしてはこれから先こういった形が広まればと思っています。
 それにしても長崎の子供たちは驚くほどスキルフル…。地域を挙げての取り組み、強さの源をひしひしと感じることができました。長崎の子供たち、将来は是非是非ワセダに来てください!!!

<平野進也『東条組』最後の『極賞』!本命・矢富はちょっぴりざんねん?>