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2024
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対ヤマハ 自信と課題 届かなかった3点…


 本当にあと一歩、3点分だけ届かなかった…。激しく、厳しく、しっかりと気持ちを持って。常に勝ちに拘る、ワセダらしさ命の『権丈組』は、トップリーグ4位・ヤマハジュビロと堂々と渡り合った。自信と課題、様々な想いが交錯した特別な80分。「今日は本気で勝ちにいった試合。ホント僕のミスというか…、めちゃめちゃ悔しいです」(主将・権丈太郎)―
 中竹監督がこの試合で掲げたテーマは、とにかく勝ちに拘ること。あれは通用した、これだけは勝っていた、というレベルで満足するのではなく、目の前の相手を本気で倒す。それが培ってきたワセダの伝統。レジェンド『佐々木組』が本物になったのもあの雨中の東芝Bから。「相手は関係ないからな。こっちから仕掛けて絶対に勝つぞ」(主将・権丈太郎)。「対面勝負。自分と同じポジションの奴にはそれぞれが勝って来い」(前田コーチ)。熱を帯びた前日のミーティングは、選手たちの心と体を突き動かした。
 拘りのFWは、スクラム、モール、ショートサイドディフェンス、「ほぼ」すべての局面で相手を凌駕。トップリーグのなかでも勤勉さで鳴らすヤマハを向こうに回し(入るべき人が入ればまた違うとは思いますが…)、ガッチリと主導権を手繰り寄せた。スクラムでプレッシャーをかけ、モールで固め、思惑通りテンポよくボールを動かす。流れはワセダ。しかし…、14分、ノックオン(状況は4:3…)から一気に切り返されたのを皮切りに、前半3つのトライを許したのはあまりにも痛かった。ゲームを支配していたにも関わらず、スコアは0-19。外国人選手&モール。「チャンスはたくさんあったのに、仕留めきれないところがあった。そこはもちろん戦術的に考えないといけないところだし、選手たちにも感じて欲しい。でも逆にそこは今年のチームの伸びシロだから…」(中竹監督)。『権丈組』も青二才、まだまだまだまだナイーブだった。
 「おい、全然いけるやろ!」。迎えた後半、10分のインターバルで戦い方をしっかりと確認し合ったワセダは、ズルズルいくことなく、自分たちの形を迷わず貫く(『Penetrate』)。FWは前半にも増して激しくタイトに。BKもリーダー五郎丸を中心に果敢なアタック。そして6分、FWが渾身のモールでついにインゴールを陥れると、機を見るに敏、一気のラッシュに打って出た。11分、BKのディフェンスミスから痛恨の失点(ヤマハの11番徐吉嶺は矢富勇毅の証言どおりビッグサプライズ!すごい選手です…)も、24分、22mスクラムから会心の一撃でFB五郎丸、35分には激熱のスクラムターンオーバーからWTB田中渉太のビッグゲイン、最後は逆オープンの早田健二。驚きと歓声。ジュビロ(歓喜)の本拠地は、最高の興奮に包まれた。
 そしてジリジリと敵陣に入り込んだワセダラストアタック。畠山のチャージ&ターンオーバー → 間髪をいれずに大外展開、いくつかのブレイクダウンを重ねた後、そこに生まれたたしかなギャップ。首尾よく持ち出したのはSH三井大祐。「いっただろ!」、「これ繋がれば逆転トライ!」。誰もがそう思った瞬間、後ろから手が伸びボールはポロリ…。残り5メートル…。『権丈組』打倒トップリーグの想いは、この瞬間儚く消えた。届かなかった3点。たかが3点、されど3点…。「この足りなかった3点は若さだったり、日々の練習からくるもの。もっともっとひとつひとつのプレーに集中しないといけないことが今日はよく分かりました…」(副将・五郎丸歩)。
 本気で勝ちに行った末の惜敗。流れ、展開。FW、ブレイクダウンの優劣からして、勝たなくてはいけないゲームだった。「勝つということが1番のテーマだったので、得るものは何もなかったです」。五郎丸が試合後発したこの言葉もまた事実。しかし、接点でのファイト以上に、確かな収穫がこの試合にはあった。それは、SO山中亮平。この日のデキは間違いなく、春シーズンベスト。速く、長く、ランナーの胸にドンピシャで収まるパス、60メートルの超ロングタッチ、自在なアイディア。ゲームコントロールの点では、トイメンの大先輩・大田尾竜彦(さすがでした。ふたりはATQで仲良くなったとか…)に劣ったかもしれないものの、ワセダの躍動感を生んでいたのは、紛れもなくこの男だった。1年春の赤黒デビュー、しかもトップリーガーを相手に「楽しかった」と言ってのけるスケールの大きさ。「Aチーム、やっぱりいいですね。赤黒、着られて嬉しかったです。今日は自信になりました」(SO山中亮平)。Bでプレーするときより何倍も輝く男。未来のジャパン戦士、ついに目を覚ましたか。
 トップリーグ4位を相手に繰り広げた熱く、激しく、悔いの残る80分。試合前には本降りだった雨も、気付けば途中で止んでいた。ノーサイドの頃には、雲ひとつない透き通るような青空が。「いやぁ、ワセダ強かったです。FWはいいし、モールは強いし。最後はホントきつかったです。どんどん強い相手と練習、試合を積んでいけばもっともっとよくなると思いますよ」(ヤマハ・大田尾竜彦)。自信と課題、届かなかった3点…。この日の天気に思う。『権丈組』の行く末も、きっと道は拓かれる―



<3点差の惜敗に悔しさをあらわにする中竹監督>

「悔しいね…。3点…、届かなかった。選手たちも勝つためにああすれば、あのときこうしてれば、という思いにかられていると思う。チャンスはたくさんあったのに、仕留めきれないところがある。そこはもちろん戦術的に考えないといけないところだし、選手たちにも感じて欲しい。でも逆にそこは今年のチームの伸びシロ。今日はFW真っ向勝負。モール、スクラム、ショートサイドディフェンス、それらの点は成果だし、自信になったと思う。ブレイクダウンに関してもしっかりとファイトできてた。あとはペナルティをなくすこと。選手たちはちょっと混乱するところがあったと思うけど、そこは課題。BKに関しては…、やっぱり1次ディフェンス、1次アタックかな。特にスターターディフェンス。そこはちょっと修正しないといけない。全部が全部集中してできるわけではないけど、春残り2試合、やることを絞ってしっかりやっていきたい。FWはまだまだもっとスクラムでいける。最後の場面、無理な体勢ではオフロードでなくしっかりリリースと言い続けていたけれど、ああなってしまった。先週の反省を踏まえて、今週はみんなしっかりと意識していたし、試合を通して改善されてはいたけれど、基本が1番分かっているはずの三井がやってしまったというのは、まだまだチームに浸透しきっていないということ。そこもしっかり言い続けていきたい。次の帝京は強いみたいだけど、まずはFW真っ向勝負。そしてBKがチャンスフェーズをいかに仕留めるか。チームとしての方向性は間違っていないし、いい形できていると思う」



<悔しい敗戦にもこれからの手応えを口にする主将・権丈太郎>
「ホント僕のミスというか…、今は色々な思いがあるんですけど…、めちゃめちゃ悔しいです。前半いい感じで攻めていたのに、ターンオーバーから、1発のロングゲインで簡単に取られてしまった。あの2本だったと思います。後半いい形でやれたのは、敵陣でラグビーをできたことに尽きる。セットは安定してましたし、ディフェンスでも前に出てダブルでしっかりと止めていた。特に近場は前に出られていたと思います。相手もFWに拘ってきてくれて助かりましたし、怖くなかったです。BKラインも浅かったですし。モールでトライを取れたのは自信になりますけど、そのあともチャンスがありながら取れず、そこの力のなさを感じました。でも、チームとして徐々に形になってきていると思います。それと今日は接点でのファイト。そこがトップリーグを相手にこういうゲームをできた1番の要因です。スクラムは練習ではうまくいかないところもありましたけど、みんなでしっかりと話をして、今日はそれぞれが納得のできるデキだったと思います。立ってプレーして繋ぐ、ハンマーで接点を前に運ぶ、ブレイクダウンを動かす、やろうとしていることがチームにだいぶ浸透してきたなと。トップリーグ相手にも十分通用することが分かりましたし、これからもっともっと突き詰めていきたいです。これからの帝京、関東もFWが強くて、バックスリーに決定力があるというヤマハと同じようなチーム、FWで圧力を掛けて、セットをしっかりして、今日のように安定したゲームをします。プラスBKの1次の精度。FW、BKとも精度をしっかり高めていきたいです。今日は本気で勝ちにいった試合。結果としては負けてしまいましたけど、勝っているところはたくさんありましたし、個人個人それぞれが得たものがたくさんあった。ワセダのこれからに繋がる試合だったと思います」



<磐田でも大フィーバー 試合の節目を悔やむ副将・五郎丸歩>
「いやぁ、勝てた試合でした…。足りなかった3点は若さだったり、日々の練習からくるもの。もっともっとひとつひとつのプレーに集中しないといけないことが今日はよく分かりました。勝つということが1番のテーマだったのでその点では…、得るものはありませんでした。コンタクトの部分については、トップリーグのチームともやってますし、日頃から激しくやっているので、自分が2年、3年のときに感じていた感覚とは違う感じです。課題であったBKのディフェンスに関しては、後半1発で取られてしまいましたし、まだまだ修正が足りないなと。試合を分けたのは、試合の節目、節目のところ。相手がタッチに出した後のラインアウトとか、しんどいところでBKが1発で取られてしまうとか、そういったところです。ただ、試合には負けてしまいましたけど、チームとして前進できる内容だったと思います。春あと2試合、チームをしっかりと締めて。帝京戦は圧倒的に勝ちたいです。ポイントはラグビーの本質。接点のところで圧倒します。食事会(木曜の練習後、Aチームメンバーと中竹さんとで決起?集会!)、効果アリアリでしたね(笑)。特にラグビーの話をしたというのではないんですけど、ああやってみんなでご飯を食べたりするのもチームを作っていく上ではいいかなと。中竹さんも乗り気でしたし(笑)。進路も決まって(卒業後はヤマハへ入団!)、あとは『荒ぶる』に集中するだけです」



<スクラム猛プッシュ! この日も抜群の存在感を見せた副将・畠山健介>
「まだまだ課題がたくさんありますね…。FWで言えば、近場のアタック。まだまだ拘れる。ディフェンスもよかったですけど、トライは取られてしまったし、正直今日のヤマハのFWはそこまで強くなかったですから。あれ以上のチームにがんばれるようにならないと。モールについては、前半仕掛けながら取ることができなかったですけど、絶対にいけるとみんなで狙ってました。後半はなかなかそういうシチュエーションに持っていけなかったですけど、トライを取ることができてよかったです。あとはそこに至る過程が問題。もっと敵陣に入って拘れるように。まだまだ取りきれているとは言えないので、そこは帰ってからまた練習です。スクラムは…、相手が真っ直ぐタイトな勝負でこなかったので、みんなでアングルを決めて、いいスクラムが組めたと思います。ブレイクダウンに関しては、人はいますけど、どこかで仕掛けていかないと結局はズルズル下がることになってしまうので、いくときいかないときの見極めですね。もっと自分たちから仕掛けられるようになりたいです。今日も前半の最後ゴリゴリこられたことで消耗したところがあったので。最後の方でミスをしてしまい、今日は勝てずに本当に悔しいです。ただ、明治戦より内容はよかったですし、得るものはたくさんあったので、次につなげます。FWはBKラインに入ったときにペネトレイトできていないので、そこは要修正です。帝京戦は、今までやってきたことを出すだけ。FWはモール、近場のディフェンス、ランニングコース、ペネトレイト。今日のようなラグビーができれば勝てます」

<日々前進! 試合毎にパフォーマンスを向上させるロック・橋本樹>
「やっぱり最後のところ…、勝ちたかったです。FWはモールでトライを取ることができましたし、BKもいい形で取ってくれて、いい感じではありましたけど、前半の0点、これが敗因のひとつ。最初から自分たちの形をもっと出せれば…。ただ、今日はみんなしっかり声が出てましたし、リムーブして、ノミネートもできていて、よかったと思います。反応もよかった。スクラムについては、先週の課題であったマイボールをみんなしっかりと意識していましたし、ターンオーバーからトライ、よかったです。それとセットはもちろん、コンタクトの強い相手に対して、接点で負けなかったのは収穫です。ロックは…、ハハハッ(笑)。そろそろ忘れかけているので、プロップのことも忘れないように。すべての試合に出られているのは、自分にとってはプラスですし、何よりやっていて楽しいです。今年はどんな形であれ試合に出たい。昨年はリザーブでも試合には出られなかった。まずは試合に出ることが目標。そこからポジションはどうあれ、自分のプレーを高めていければと思ってます」



<あまりに刺激的! ついに本領を発揮し始めたSO山中亮平>
「今日は本当に楽しかったです。昨日急に合わせたので、とにかくAのアタックを覚えるだけ覚えて、あとは先輩たちが自分のプレーを思い切りやれと言ってくれました。ノビノビできたと思います(笑)。試合の内容的には、ブレイクダウンのところでFWの数が多くなってしまって、ラインにいないことがあった。そこでもっと自分が寄って早くボールを出せていればよかったかなと思います。そこが反省点です。あとはゴール前で取りきれなかったこと。最後の最後、チャンスで取りきれるようにならないといけないです。赤黒、いいですね。このジャージーを着ることができて本当に嬉しかったです。五郎丸さんは試合中も常にリードして引っ張ってくれて、すごく頼りがいがありますし、権丈さん、畠山さんもFWをグイグイ引っ張ってくれて、チームに一体感があります。Aに入ってみて、これがワセダなんだと思いました。まだチームとは全然合わせてなかったので、次の帝京戦Aで出ることができたら、練習からしっかりとみんなと合わせて、もっと自分からFWに指示を出せたらと思います。しっかりとコミュニケーションを取っていきたいです。今日はこうしてトップリーグのチーム相手にできて、自信になりました」

<磐田への移動は『クマバス』で!『クマバス』と言えば佑ちゃんフィーバー!>