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Beat Up

2024

対中大 ザ・1回戦? 『 Peak Handover Control 』

 「 『荒ぶる』まであと4つ。これはただの1試合ではない。プロセスが大事だとみんなに言い続けてはいたんですけど…。そういう意味ではいい反省、いい教訓、いい薬になったと思います…」(主将・権丈太郎)。雪辱の舞台・第44回大学選手権がいよいよ開幕。頭で分かってはいても、何とな~く、半ば惰性で臨んだ末に改めて分かったこと…。やっぱり『権丈組』はハートのチーム。気持ちの部分が、そのまま力、パフォーマンスに直結する―
 この日おおよその構図は、どこかフワッとしていたワセダと、魂を宿しつつ、勤勉さも持ち合わせていた中大。事前の想定とまったく異なる相手の姿(ビデオで見たのとは大違い…)、1回戦では近年稀に見る骨のある男たちを前に、赤黒はそのスイッチを変えることができなかった。ビッシビシ入ってくるタックル、切れることのないディフェンスセット、そして何より向かってくる気持ち…。「今日はワセダの悪いところが全部出た試合。そんな感じです。FWが全然走れてなかったですし、生命線であるブレイクダウンで相手を圧倒できなかったことが1番。相手の方がブレイクダウンの勝負に懸けていたと思います」(No8豊田将万)。「やっぱり、早慶戦、早明戦を終えて気持ちの部分で抜けていたところがあったというか…、そういうところはなくそうと言ってきましたけど、みんなのどこかに少しずつそういうものがあって、それが出てしまった試合。今日は気持ちの部分がすごく大きかったと思います…」(副将・五郎丸歩)。終始低速ギアのままだったFW、相手のディフェンスラインにうまく対応しきれなかったBK、加えてメンタルに穴があったとくれば、理想と程遠くなるのは必然だった。この日のテーマ・『 Peak Handover Control 』(チームとして最高の結果を生み出すような繋ぎを!)も完全に空回り…。これぞザ・1回戦?
 それでもゲームの肝をしっかり抑える強さは見せた。ただ抜くだけではない男・中濱寛造のキラーパス。SO山中亮平のホレボレする仕掛けと天才的な球離れ。まさにお手本、カウンターからの芸術的トライ。終盤にはグダグダから一転、怒涛のモールプッシュ(核は中田英里!成長してます!)も見せ、スコアの体裁もそれなりに整えた。「最初からやらないといけなかったです。最後は中央の激しさに、やるべきことを思い出させてもらったという感じでしたから…」(No8豊田将万)。
 もちろん理想を言えば、もっともっと圧倒的なところを見せたかった。1歩目からロケットスタートをかませれば、覇権奪回を目指すチームとして、それはそれは素晴らしかった。しかし、一方でピーク、テンション、あの爆発力を毎試合続けるのは困難であることもまた事実。この日1番大切だったのは、とにかく勝つこと。要所は抑えた上で、多くの課題、このチームの原点である激しさ、気持ち、熱さに改めて気付かされたという点では、大きな意味を持つゲームだった。次戦12月23日は、歴史上数々のビッグサプライズを起してきた「あの」法政大。「とにかく今一度原点を思い出す。激しさ、気持ち、まさにそういうところ。夏に試合をしたイメージは一切捨てて臨みます」(主将・権丈太郎)…。「やっぱりブレイクダウンのところが1番。ひとりひとりの気持ちを少しずつ変えていけば、いい試合ができると思ってます」(副将・五郎丸歩)…。ワセダよ、まず気持ちと激しさを。これは負けたら終りの選手権。あの日の屈辱を忘れるな。原点に返る。自分に克つ。ここからは、本当の勝負―


<次戦へ向け多くの修正点を口にした中竹監督>
「今日は想像以上の中央のプレッシャー、激しいディフェンスの前に思っていたようなゲームをできなかった。掲げたマッチスローガンはピークコントロール。チームとして最高の結果を出すためのつなぎ、いきすぎないことを意識したけれど、個人のわがままが出てしまったり、逆にコントロールしようとしすぎるあまり、激しさ、強さという部分を出し切れなかった。ここから3試合はそこが重要になってくる。意識したけれどできなかったところ、意識しすぎてできなかったところをしっかりと修正していきたい。リーグ戦のチームは、個々が強くて激しいというイメージ。法政に関してはこれから分析するけど、ワセダとしては原点。これまでやってきたことを今一度しっかりやるだけ。夏合宿の最後に対戦したときより法政は強いと思うし、また気持ちを切り替えてやっていく。前回試合をした、ほぼ完璧なゲームだった印象で臨むのはよくない。いかに直向きになれるか、また集中していかないといけない。反則が多かった点については、オーバーザトップ、ラックはレフリーによって解釈が違うところがある。厳しいと思うところもあったけれど、一方でワセダで寝ていたプレーヤーがいたことも事実。これから(アフターマッチファンクション)でレフリーともしっかり話をして、修正していきたい。今日の本当の反省は、そのペナルティを前半のうちに、自分たちで対応、修正できなかったところ。次に向けてしっかりと準備していく」

<改めて原点、ハートの部分を強調する主将・権丈太郎>
「今日は中竹さんの言われたようにピークコントロールというテーマで試合に臨みました。ブレイクダウン、ボールキャリアが強く、前に出ることは当たり前。その後いかにいい形で次のプレーヤーに繫げるか、いいテンポでいくかを意識してましたけど、うまくやろうとしすぎたというか、少しクールにやりすぎてしまったという感じです…。中央のプレッシャーの前に、それぞれがわがままなプレー、勝手なプレーでボールを取られてしまったり、リズムが出ませんでした。そこが今日1番悪かったところ。自分に克つということをみんなには言っていましたが、体現することができませんでした。いい経験、いい薬になったと思います。この経験を次に繫げていきたいです。ただの1試合ではない、プロセスが大事と言ってきましたけど、そういう意味では、今日はいい反省、いい教訓になったと思います。具体的には、ボールキャリアとスイープ。早く寝てしまったり、逆にガメりすぎてリリースがうまくいかなったり、そういうところです。ハーフタイムでも、みんなでその点を口にしてたんですけど、最後まで修正することができませんでした。久々にみんなイライラしてしまった試合です。イライラして、自分たちのプレーができないことを周りに当たる。今日は1番悪いワセダでした…。コンディションについては、これからまた徐々に上げていく感じです。最後のモールですか?、あそこは意地で取らないといけない場面でしたから。締めという意味では、あそこでいい形で取れたのはよかったと思います。今日は思っていた以上に相手のプレッシャーを感じた試合でした。今日からトーナメント、負けたら終りの戦いですけど、ワセダとして戦い方が変わることはありません。とにかくやってきたことをやる。プレーの選択、ゲームの運び方に関しても、ワセダが守るなんてことはないです。次の法政戦に向けては、とにかく今一度原点を思い出す。激しさ、気持ち、まさにそういうところだと思います。法政のイメージは、まずBKのスピード。そこで振り回されないように、逆に相手のリズムを崩していきたいです。夏に試合をしたイメージは一切捨てます」

<今一度ブレイクダウンを強調する副将・五郎丸歩>
「初戦はこんなもんという感じでしょうか。いいところと、悪いところ…、どちらかというと、悪いところの方が多かったという試合です。やっぱり、早慶戦、早明戦を終えて気持ちの部分で抜けていたところがあったというか…、そういうところはなくそうと言ってきましたけど、みんなのどこかに少しずつそういうものがあって、それが出たという試合です。久々にこういう試合をしてしまいました…。今日は気持ちの部分がすごく大きかったと思います。BKに関しては、攻守ともにいいところもあって、悪くはなかったという感じです。ビデオを見れば、色々とでてくるんでしょうけど、プレーしている感覚としては、そんなに悪いイメージはなかったです。トーナメントでプレー選択が変わるかは…、今年は元々そんなに攻めてないというか、固くいくところは固くいってきたので、特に変わるということはないです。次に向けては、やっぱりブレイクダウンのところが1番。今一度その部分を思い出す。ひとりひとりの気持ちを少しずつ変えていけば、いい試合ができると思ってます」

<兄弟ゲンカに空回り? 試合後反省しきりのNo8豊田将万>
「まぁ…、今日はワセダの悪いところが全部出た試合。そんな感じです。生命線であるブレイクダウンで相手を圧倒できなかったことが1番。それによってこういう展開になったんだと思います。FWが全然走れてなかったです。ラインアウトが多くて、ランニングゲームの要素が大きくなった展開で、そこでワセダのFWが動けなかった。リズムを狂わせた原因です。みんなもちょっとイライラしていたと思います。ブレイクダウンがうまくいかず、人に当たってしまう悪循環…。1番よくないワセダでした…。今日が1回戦で本当によかったという感じです。早慶戦、早明戦の後で緩んでいたんだと思います。後半のモールはよかったかもしれないですけど、最初からやっておかないと…。中央の激しさに気付かされて、ああいうプレーができたという感じでしたから。今日は相手の方がブレイクダウンの勝負に懸けていたと思います。弟とは試合が終わるまで一言もしゃべりませんでした(笑)。試合前は親を通じて、中央の6番がワセダの8番を狙ってるぞって。それだけで。試合中、僕は意識して弟を狙って行ったんですけど…、今日は引き分けです。次に向けては、もう一度自分たちの生命線であるブレイクダウンの激しさを思い出して、圧倒したいです。それができないと『荒ぶる』はないと思ってます」

<久々の『エース』復活! 再びのトライ量産を宣言するWTB田中渉太>
「早慶戦、早明戦に出ることができず、本当に悔しい思いでした…。今日は久々の試合で、その想いをぶつけてやろうと思っていたんですけど、いつもと間合いが違ったというか…、FBだったということもあって、うまくいきませんでした。不完全燃焼、今日はひどかったです…。コンディションはよかったんですけど。自分が入った後半は風下だったので、とにかくキック処理だけはしっかりと思ってたんですけど、ボールがグデグデでファーストでいきなりミスしてしまいました…。自分がいない間の寛造の活躍には、もちろん大きなプレッシャーを感じてます。それで自分の復帰も早くなったところもありますから。早慶戦で山田さんと対峙するのは自分だという想いがあったというか…、ホント対戦したかったです。チームとしては、みんな思っていたようなプレーができずイライラしているような感じでした。試合についてはあまり覚えてないんですけど、外から見ていた感じでは、スイープのところが甘くて、テンポが出なかったと思います。FW、BKとも、もっと激しいプレーをして、スピードをつけてアタックできれば、全然やれるはずですから。もっと強いプレーをすることと、ブレイクダウンです。あと個人的にはWTBをやりたい。それでチームは絶対によくなります。これからガンガントライを取っていこうと思っていますし、とにかくWTBで、それもできれば左で(笑)。ここからが勝負だと思ってます」

<トライを取って自信回復? 感覚を取り戻しつつあるWTB早田健二>
「今日は最初のうちはうまくいかないことが多くて、チームとしてやろうとしたことができていなかったですけど、時間の経過と共に練習してきたことが出せたのかなという感じです。やっぱり選手権という緊張もありましたし、中央も負けたら最後。懸けてくる想いがあって、タックルにガツガツきてましたし、ディフェンスも厚かった(熱かった?)です。そのプレッシャーを感じて、ワセダはいいプレーができなかった。もっと立ってプレーしないといけなかったです。BKも練習から立って繋ぐことを意識してやってきましたし、今日は大外でポイントができたときに、相手をはがせていない、しっかり繫げていかなかったですから…。そこは修正が必要なところです。トライを取る感覚は…、ちょっと戻ったかもしれません(笑)。昨日もミーティングの後に中竹さんと色々と話をした(監督の言葉を借りれば「カウンセリング」)んですけど、もっと気楽にやれって。最近自分でも色々と悩むことがあったんですけど、その話で今日はとにかく楽しくやろうって。トライも取れましたし、個人としても、チームとしても、これが次に繋がっていけばと思います。BKのディフェンスに関しては、余っているような状況が多かったので、内側の人間を使って、最後に外で仕留めようと思ってました。相手のラインも深かったので、回させて最期に仕留める。そういう相手との間合いも掴んできましたし、もう少し精度を高めていけば、もっといいディフェンスができると思います。渉太さんも復帰してWTBはポジション争いが激しくなっているので、とにかく自分のよさ、らしさを出せるようにがんばっていきます」


<本日の『ベストペネトレーター』田邊秀樹 チームに欠かせぬ存在です!>