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Beat Up

2024

対フランス大学選抜 悔い残る、チャレンジなき敗戦… 


 完敗…。やっぱりフランスのエリートたちは強かった。ここ数年戦ってきた相手とはレベルが違った。でも…、一番悔いが残るのは、格好の舞台、この上ない相手に対しチャレンジできずに、普通にやって、ごく当たり前のように負けたこと。そんなんじゃ、歴史に名は残せない。春シーズン最終戦、『豊田組』は改めて大切なことを痛感させられた。ワセダとして…。「狂いまくって戦おうと言ってたんですけど、それが出せなかった。中竹さんにも、そこをチャレンジできるようになっていこうって…」(主将・豊田将万)。
 この日はもう、あまりに普通に、淡々と試合を進めてしまったファーストハーフの40分がすべて。たしかに相手のブレイクダウンは強く、至るところでボコボコにされた。ラインアウトは高かった。スクラムではブリ押しされた(エンゲージからまったく止まらないのは、テストマッチスタンダード?)。けど…、それらはすべて試合前に想像していた範囲内、むしろ「やれる!」の手応えアリ。それでも、やっぱり怖かったのか、ダメージがあったのか、そもそも勝ち続けてきた今のワセダは、そのDNAが薄れているのか。まったくテンポを上げようとせずスローペースのまま、みんなで誓い合ったチャレンジをすることのないまま、ただ変化のない時間だけが過ぎていった。真っ向から戦えていたのは、ハードヒットを連発し、下のボールに絡みまくり、あらゆるところでやり返された(ホンモノたちに認められた証拠)有田隆平と、最後まで堂々と先頭に立ち続けた我等がスキッパー・豊田将万くらい。「個の力、1:1のタックルの面ではそこまで差は感じなかったですけど…。入りのところで意外と普通にやれてしまって、そこからコミュニケーションミス、いつもどおりにやったことで隙を見せて、やられてしまったという感じです。チャレンジすることなく、普通にやってしまったのが一番の反省点です」(主将・豊田将万)。今一度…、今シーズンのスローガンは『Dynamic Challenge』。結果はともかく、もう二度とやってこないようなビッグチャンスに、それを遂行できなかったのは、大きかった。
 そして、何より考えさせられたのは、あのスクラムでのディープインパクト。手も足もでないとはこのことか。強烈なヒット、そのままの勢いで獰猛極まりないレッグドライブ。「もう技術がどうとかではなく、相手のパワーの前に何もできずに完敗でした…」(フッカー・有田隆平)。そういえば、ワールドカップ期間フランスに遠征したサントリー(2部のチームにも敗戦)も同じようなことを言ってたような…。近年最強の相手だったとはいえ、有田隆平を筆頭にその悔しさから試合後涙が止まらなかった。「これから本気でやっていく必要があると、今日改めて痛感させられました。スクラムであれだけいかれてしまったら、他のプレーがどうなっても、この相手には勝つことはできない。あのスクラムを組んでいたら、いつまでも今のまま。とにかくスクラム。夏に向けても、もうそこだけです」(副将・瀧澤直)。やっぱりラグビー=スクラム。0-20で迎えた後半、少しばかり開き直り、攻める!チャレンジする!の気概は見せたものの、スクラムに加えて、出足の鋭さ、反応の早さ、勤勉さ(どれもすごかった…)で上回れては、ガリバー攻略などできるはずもなかった。その涙、絶対に忘れるな。
 歴史に名を残そうと臨んだ一大決戦で、チャレンジしきれずに後悔を残したものの、昨年のチームがこの想いを持てたのは、最後の最後、今からたった4ヶ月前の東芝戦。『豊田組』にはまだまだ先がある。この時期、このレベルに勝ちたちと身を持って感じられたことは、実に実に大きなこと。ワセダがドデカイことを成し遂げる前には、いつも一見不可能と思えるカベにぶち当たってきた。「もうとにかく悔しくて…。これからはこのレベルに勝つことを目標に。夏もまだまだ変わっていける時間があるので、チームも個人もレベルアップしていきたいです」(フッカー・有田隆平)。この悔しさをぶつける最初の舞台、更なる飛躍へのファーストステップは、8月17日対関東学院大(@サニアパーク)。立ち止まってる暇はない。これを糧にまた全員で突っ走ろう。変われるチャンス。今年のワセダは、チャレンジして勝つ!

<これぞ国際試合!ギロッポンネタ?でファンクションは大盛況!>
 激闘の後のファンクションは、日仏のカベを越え、みな和気藹々と国際交流。ワセダの選手が箸の使い方を教えてあげたり、フランスラグビーの話(と、いうよりシャバルのすごさ?)で盛り上がったり、鉄板?ギロッポンの話をしたり…。1時間のファンクションは、あっと言う間に終わり、最後は花道を作ってフランスチームをお見送りしました。試合中は英語に苦心?した豊田将万も、ファンクションではしっかりと仏語で挨拶し、拍手喝さい。「みなさんこんにちは。トヨタマサカズです。今日はありがとうございました」―。ちなみに中竹監督も仏語での挨拶に準備万端でしたが…。

<週明けから南アへ! 完敗にもしっかりと前を見据える中竹監督>
「フランス学生選抜、こんな格上と対戦できるチャンスはもう二度とないだろうと、今日はワクワクして試合に臨みました。0で終ってしまったことは悔しいですけど、よくやったところを評価してあげたいです。とはいえ…、ハーフタイムでもいけると学生たちは話していましたし、実際チャンスもたくさんありながら、流れを変えることができず、点数も取ることができなかった。そこは今の時点での実力なんだろうと。今の時期にこのチームと対戦できたことは、非常に意味のあること。夏に向けていい反省、課題を得ることができた。フランスは個が強かったし、セットプレー、あの個のボールを奪い取る腕力は体験したことのないものだった。腕っ節の強さは、格上と対戦する際の勉強になった。先ほど言った評価できるところは、体を当てる部分、特にディフェンス。ドライブ力、ヒットの力、オフロードをどうするかが課題だったけれど、それらに対応する能力があることが分かった。オフロードを軸にやってくる大学はないので、そういった対策をやったのはこの一週間だけだったけれど、ある程度は対応できて、これからどうするかはともかく、新しいことにチャレンジする力があることを学生たちは見せてくれた。フランスの印象は…、テンポよくボールを動かせばチャンスもあったけれど、ワセダがハリーでいきたいところをうまく止めたり、ペナルティ覚悟で外に蹴り出したり、痛がって倒れたりということを当たり前にやる。これは本当にすごいと思った。そこを乗り越えられればワセダにもチャンスがあったけれど、あまりに普通に戦ってしまったという感じ。後半は変わったけど、点数を取ることができなかったのは、今の力。ただアタックはまだ全体の一割くらいしかやってないし、これから手をつけていく。(記者からの、今日を踏まえてこれからチャレンジしていくことはの問いに)まだ春ですし、これからすべてがチャレンジ。今は答えられません。夏までは外から見た変化はないと思います。今日もコーチ陣でミーティングをしましたし、細かいところは相当あるけれど、時間も掛かりますし、ここでは言えません。今はベースを作っている段階。今日の試合が持つ意味は、チャレンジすることの大切さと難しさということ。例えば、レフリーとのコミュニケーションにしてもそうだし、あのスクラムへの対応もそう。それらをいかに乗り越えて、自分たちで障害をコントロールして、チャレンジできるか。これからつきつめていきたい。今日の試合で、イエロー、レッドカードが出てしまったことについては、この先チームとしてしっかりと指導していきます」

<ある意味で想定外?チャレンジなき敗戦に悔いを残す主将・豊田将万>
「0で終ってしまったことが悔しいです。スクラム、ブレイクダウンで終始圧倒され続けて、チャレンジできなかったことに悔いが残ります。個の力、1:1のタックルの面ではそこまで差は感じなかったですけど、倒され方とその後の執着心で向こうが上でした。ワセダはことごとく上を向いて倒されてしまい、継続することができなかった。そこが悔しいです。ワセダとしては、常に局面を変えていこうと考えていました。ブレイクダウンも相手が上だろうということで、局面を変えることで、人のいないところで勝負する。そう思っていたんですけど、入りのところで意外と普通にやれてしまって、そこからコミュニケーションミス、いつもどおりにやったことで隙を見せて、やられてしまったという感じです。チャレンジすることなく、普通にやってしまったのが一番の反省点です。トップリーグ上位チームと比べると、個の力はフランスの方が上で、選抜チームということもあってか、モールとディフェンスのコミュニケーションはとれていなくて、そこはトップリーグの方が上回っていると感じました。それと今日はレフリーとのコミュニケーション。今日のレフリーの方は英語で話されていて、フランスはできていたみたいなんですけど、コミュニケーションが取れませんでした…。僕たちが日本語でコミュニケーションにいっても、すべて英語で答えられて、それが何を言っているのか分からず、カードを出されてしまった。なので、これからは英語力をつけたいと思います。勝負の分かれ目は、やっぱりセットプレー。チャンスはありましたけど、マイボールを確実に取ることができず、いいアタックができませんでした。ラインアウトはプレッシャーかかっていて。ボールが滑ったこともありますし、リフトのタイミングが遅れたところで大きな相手に飛ばれてしまう。そういう場面が多かったです。試合後フロントには…、ここで落ち込んでも意味ないと思ったので、前向きにいこう。これだけやられたらもう上がるしかない。お前たちでワセダのスクラムはいかようにも変わっていける。もう1回いこうと話をしました。これからまたチーム内での競争も激しくなりますし、夏は試合もたくさんあるので、自分たちの形を明確にして、次のステップに行ければと思っています。きょうのこのレベルのチームに勝てるようになることが、当面のターゲット。後半0-7だったとかより、0で終ってしまったことが悔しいので、このレベルの相手を崩せるように。そして次はいよいよ関東戦、僕は2年間このチームに勝つためにやってきた。春は試合ができなかったですけど、この夏やって、冬には絶対に上がってくる相手だと思うので、自分たちのラグビーをやって、夏の段階から叩いておきたいです」

<衝撃の体験… スクラムへの想いを新たにする副将・瀧澤直>
「今日は歴史を作ろうと話してたんですけど、そんなに甘いものではなかったですね…。全然でした…。僕の立場から言うと、もうスクラムで完敗。他のプレーも色々とあったんでしょうけど、とにかく今日はスクラムです。敵ボールでも、マイボールでも、相手が落としていてもプレッシャーをかけられず、ノビノビと組まれる。もう小手先どうこうではなくて、ホントに力と力で完全に負けました。そこは認めるしかありません。僕がこれまで経験してきたなかでは1番。チームとして、8人の固まりとして1番強い相手でした。元々ワセダはそうですし、この春もスクラムに力を入れるとずーっと言ってはいたんですけど、結局はダメだった。これから本気でやっていく必要があると、今日改めて痛感させられました。自分も今日の試合は見えていなかったというか、いっぱいいっぱいで、ビデオを見ないと分かりませんけど、スクラムであれだけいかれてしまったら、他のプレーがどうなっても、この相手には勝つことはできない。あのスクラムを組んでいたら、いつまでも今のまま。とにかくスクラム。夏に向けても、もうそこだけです」


<ディフェンスに収穫アリ! 夏合宿での飛躍を誓う副将・長尾岳人>
「強烈でした…。下に入られることはなかったですけど、普段の相手であれば来ないところ、上に来られて腕力に負けたところが何度もあった。腕力にやられてブレイクダウンで球が出ない。腕の力がすごかったです。アタックしている分には、相手は流してきていてそんなにプレッシャー自体は感じなかったんですけど、普段であれば抜ける間合いでも相手が来て…、守備範囲の広さにやられてしまったという感じです。ディフェンスに関しては、イーブンボールなど崩れたところからやられてしまいましたけど、悪いイメージはないです。それよりも点が取りたかった。エリアマネジメント、キックでFWを前に出してあげていれば、また変わっていたのかなと…。今日負けても沈むことなく、夏最初の相手関東に向かってまた進んでいきます。ディフェンスを強化して、今日よりいい形を夏に見せられるように。そしてこのレベルに勝つことがターゲット。通用している部分もあったので、このレベルを上回れるようにがんばっていきます」


<ワセダのSHは潜って捌く! 自らの至らなさを痛感する櫻井朋広>

「今日は相手のFWがすごく強くて、自分の足りないところを実感させられました…。ブレイクダウンでプレッシャーがかかっていましたし、絡みも相当強かったですけど、それでもFWはがんばってくれていたと思います。これはいつも前田さんに言われているんですけど、そういうシチュエーションでも自分が潜って、ボールを取ってきて捌かなくてはいけない。それがまったくできませんでした。そこで自分が捌けていれば、もっと違った展開になっていたと思います。自分の足りないところを改めて痛感させられた試合でした。BKに関しては、自分が捌くときにしっかりと声を掛けてくれたことで迷わず投げられましたし、そこはやりやすかったです。ディフェンスについては、隆平、豊田さんはボールに絡んでましたし、チームとしてやれている部分もありましたけど、僕自身は8サイドを飛ばされてしまったり、まったくだったので、もう一度やらないといけないです。いつも正面から当たり合うなと言われているんですけど、今日はそれをやって負けた。タックルの技術を覚えるように。春の最初に比べたら余裕も出てきましたけど、プレー自体はまだまだ雑なので、これからひとつひとつ直していきたいです」


<試合後には涙… この悔しさをバネに更なる成長を誓うフッカー有田隆平>
「もう、悔しいですね…。それだけです。FWのセットが不安定、スクラムでいかれてしまいテンポを作ることができませんでした。スクラムはもう技術がどうとかではなく、相手のパワーの前に何もできずに完敗。フランスは当たった後、ボールが入る前にまったく止まってなかったんですけど…。まぁ、そんなこと言ってもしょうがないです。ラインアウトに関しても、最初はよかったんですけど、相手もしっかり考えているというか、途中からは張ってきて、高さに引っ掛けられてしまいました。関東もこういうイメージだと思うので、ここは考えていかないといけないです。試合後は…、もうとにかく悔しかったんで…。フランスに、このレベルに勝ちたいです。フィールドプレーについては、タックルは自分のなかで何本かいいのがありましたし、オフロードをさせないようにコースにも入れて、まぁまぁという感じでした。ただ、シンビンになってしまったのが残念です。これからはこのレベルに勝つことを目標に。これに勝てたら日本一に近くなる。夏もまだまだ変わっていける時間があるので、チームも個人もレベルアップしていきたいです」


<超ナイスガイ!フランスのキャプテンはオバマそっくり?!>


※7月8日~24日は、試験期間と並行し、ウェート&ポジ練期間となります。また9日より21日まで、中竹監督が井上隼一、清水直志とともに、南アフリカ・シャークスアカデミーへ留学します。夏合宿(8月9日~9月1日)の試合予定につきましては、別途掲載致しますので、そちらでご確認ください