今年のワセダはタックルで勝つ! …そのための大前提、1vs1。組織どうこうの前に、まず自分。目の前にいる敵との勝負。『早田組』セカンドチーム第2戦、赤黒を目指し戦う男たちは、改めてラグビーの真理、チームマスト、大切なことに気づかされた。「もっと1人1人がしっかりしなくてはいけないです。逆にそれができれば何の問題もない」(CTB宮澤正利)…。
この日はキックオフから軽快なアタックを見せ、ポポポーンとトライを挙げる最高の立ち上がりも、しばし時が経つと、まさかの乱打戦。観衆を魅了するビューティフルアタックを見せたかと思えば、直後にイージーな失トライ。突き放しにかかれども、気づけばまたインゴール。最初の40分はその繰り返し。爆発しそうでしきれない、何とももどかしい、意に反する展開で、スコアは拮抗した。
その最大の要因は、意を決することができなかった近場での攻防と些細なミス、セットの不安定さ。内側で喰い込まれ、喰い込まれ、下げられる。ディフェンスセットがままならず、常に後手後手。「相手のランナーがはっきりしていたにも関わらず、一歩がでなかったのは課題」(ロック・土屋鷹一郎)と言うように、強化ポイントが改めて浮き彫りになった。やっぱりラグビーはFW。すべての始まり。とにかく今は鍛える時期!
一方で大きな収穫は、7日前宮崎で屈辱を味わった男たちによる小爆発。持ち味全開、あらゆる局面に顔を出し続けたロック・土屋鷹一郎。およそ2年ぶりのB戦出場、先頭に立ち体を張ったSO山中亮平。新境地開拓、華麗なアウトでアタックでも核になったCTB宮澤正利。魅せて欲しい人間が、その期待にしっかり応える。すべては赤黒のために。下を向くことなく、すぐさま見せた一発回答は、チームに適正な競争原理が働いていることを証明していた。「AからBに落ちたことはすごく悔しかったですけど、逆にこれは自分を鍛えるチャンスだと思っています」(土屋)。「チームとしての勝ち負けうんぬんではなく、個人のアピールの場。見せ場をいかに作るか。(村田)大志とは立場が逆転したので、ここからもう一度自分らしさをアピールしていきます」(宮澤)。
この日はベースとなる個の大切さが改めて身に沁みた。もっともっと個の力を上げなくてはならないと痛感させられた。小さくまとまらずシンプルに、己を鍛え、目の前の相手と真っ向勝負。ファーストターゲット・個の『Explosion』。『早田組』、そのカラを破れ!
<新境地開拓? 攻守に抜群の存在感を見せたCTB宮澤正利>
「今日はチーム全体として、これは自分も含めてですけど、走れてなかったなと。ディフェンスをしていて人がいなくなったり…、それはタックルの甘さが原因だと思います。トライもいらないものばかりでした。まず前提として、1人1人が相手にいかれてしまって、結果人がいなくなる。もっと1人1人がしっかりしないといけないですし、逆にそれができれば何の問題もないと思います。個人的なところでも、あまりよくなかったです。タックルもそんなに入ってなかったですし。今日はチームとしての勝ち負けうんぬんではなく、個人のアピールの場だと思って試合に臨みました。これはB以下の試合すべてに当てはまることですけど、見せ場をいかに作るか。その意味では、今年のCTBに求められているディフェンスができなかったので、まだまだです…。先週の早慶戦では、相手が12番しか使ってこないなか、それを僕が止められなくて、デキとしては最悪でした。先週も今週も、個々で行かれたところから始まっているので、組織どうこうの前に、まず個々がしっかりと仕留めていくところからだと思います。(村田)大志とは立場が逆転したので、ここからもう一度自分らしさをアピールしていきます」
<一念発起! あらゆるところに顔を出し続けたロック土屋鷹一郎>
「今週はずっとブレイクダウンとタックルに焦点を絞ってやってきたので、タックルからミスを誘ってのターンオーバー、そこからのトライがあったのはよかったと思います。個人的には、FWのメンバーにあまりランナーがいなかったので、自分がドンドン山中さんからもらっていこうと意識してました。あとはアップディフェンスの裏を埋めることだったり、自分の持ち味を出していこうと。いいタックルもいくつかあって、よかったと思います。ただ自分も含め、チーム全体として、相手のランナーがはっきりしていたにも関わらず、一歩がでなかったのは課題です…。セットに関しては、テンポを上げようとしすぎて、慌ててしまって、まだ自分たちでもセットしきれていないのに始めてミスしたり、よくなかったです。スクラムについても、相手に対応できなかったというか、ヒットが早いのは分かっていたんですけど、それに合わせてしまったり…。そこは大きな反省です。先週の試合でAからBに落ちたことはすごく悔しかったですけど、逆にこれは自分を鍛えるチャンスだと思っています。早慶戦ではまったく動けず、タックルできず、何もできなかったのが本当に悔しかったので、ここで変わるように。今年は物怖じせず、遠慮もせず、がんばっていこうと思います」
<期待度MAX! この日も随所に光るところを見せたWTB中靍隆彰>
「今日もまずディフェンスからと言ってたんですけど、相手の体の強さの前に、取り合いの展開になってしまいました。試合中もずっと修正しよう、修正しようと言ってはいたんですけど…。BKとしては、下げられて、下げられて、枚数が足りないというシチュエーションが多くて、なかなか前に出ることができませんでした。アタックに関しては、余っている状況で取るのは当たり前で、余っていなくても取り切れるようにと思っているので、今日もまだまだ納得できません。シニアの練習は常に激しくて、学ぶことがたくさんあって、今は毎日楽しんでやっています。原田とはタイプは違うと思いますけど、同じポジションのライバルですし、これからお互いを高めあって、争っていきたいです。自分はスワーブだったり、総合的な力でチームに貢献していけたらと思っています。1年1年『荒ぶる』を目指すのは当然として、1日1日悔いのない日々を過ごしていきます」