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2024
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対東海大 そのとき歴史が…


 一皮剥けた!ひとつになった!とんでもない苦境を全員で乗り越えた!シーズンの入りを左右する大きな大きな夏合宿最終戦。ワセダの誇りを胸に戦う『早田組』は、地獄を見ながら、極度に自由を奪われながら、その使命を完遂した。いかなる状況に陥ろうとも勝負には勝つ。「この状況で勝てたのはすごく大きい。これでようやく、このチームのスタートラインに立つことができた」(中竹監督)―
 1月国立の準決勝以来となる東海大との一戦は、とにかく「ハプニング」、「想定外」のオンパレード。まず、メンバーを固定して準備できなかった苦しさ。そして、東海大の思いもよらない劇的な変化、超徹底の表現がピッタリの拘り。半年前の戦いを思い描いて戦ったら、エライ目に遭った。相手は同じ土俵にはいなかった。2回りほど大きくなった超重量FWが愚直に前へ。ひたすらモールと近場のゴリゴリ。これまでのイメージとはかけ離れた戦いぶりに面食らい、またその力強さ、うまさも未体験ゾーンで、前半ワセダはまったく主導権を握ることができなかった。ペナルティ → 22m内ラインアウト → モール or 近場の寄りきり = トライ。ペナルティ → 22m内ラインアウト → モール or 近場の寄りきり = トライ。感覚としては、分かっちゃいるけど止められない。何だ、この迫力は。何だ、この勢いは。前半35分、東海大選手から聞かれた声:「今日歴史を変えるぞ!歴史を!」。一方、ワセダは負けるときのいつものパターン。全員がシュン…。
 そうして迎えたハーフタイム。我に返り、少しだけ頭を冷やしたところで、中竹監督の檄が飛んだ。「これじゃ、春関東と同じじゃないか。このままでいいのか。自分たちで弾けろ。自分たちで変えられるだろ!」。
 ……それでも、後半開始早々、キックオフを瞬ギリされ、またも前述のパターンでトライ。7-26。リアルにやばい…。ズルズルいったらチームは終わる…。この追い込まれた状況、土壇場から『早田組』は底力、進化の跡を見せつけた。リードを広げられた直後の5分、セットアタック一発でCTB村田大志が豪快にトライを挙げると、7分にはテンポのいい継続から魅惑のステップでNo8大島佐利、そして12分にはハーフタイムでFWをまとめあげたロック中田英里がものすごいスピードで相手を吹き飛ばし、ついには逆転。それまでの重苦しさがウソのような怒涛のトライラッシュで、その空気を一変させた。「春関東と似ているということについては、僕もそう思いました。でもあの負けを経験したことで、誰もが変わらなくてはと思えたことはプラスです。それで最後に勝つことができたのはすごく大きい」(副将・田邊秀樹)…。「内容というより、雰囲気が似てましたかね。静かになってしまったり、マイナスの空気がでてしまったり。関東に限らず、ワセダが負けるときの、ダメなゲームをするときの雰囲気。今日はそれを分かっている人間が、しっかりと声を出して乗り越えられたと思います。3年生にしても、2年の昂大にしても、引っ張ってくれる人がたくさんいた。みんな分かってくれていましたね。今日はいい経験、いい成長をしたと思います」(フッカー瀧澤直)…。その後、再びモールに屈した場面が2度あれど、ともにすぐさまFWがランナーとして爆発し、90年間培ってきた歴史を自分たちの手でしっかり守った。俺たちはワセダ。転んでもただでは起きない。絶対に譲れないものがある!
 苦しみながら、もがきながら、最後には何とか笑って、前代未聞の夏合宿を全員でクリア。FWは新たなターゲットができ、大きなモチベーションを手に入れた。BKはその取り組みの正しさを確認できた。スッキリ快勝とはいかなくとも、こういうラストゲームも悪くない。「シーズンが楽しみです。完璧な全勝ではないというこの逆境。よくない試合をした僕たちがどう変わっていくのか、『Dynamic Challenge』です。本当に楽しみですね。今の僕たちは最強ではないですから…」(瀧澤直)。91年目の今シーズン、新たな歴史を創造しよう! 『早田組』、いざ戦いの舞台へ―

<ようやくスタート! 『早田組』の行く末をしっかり見つめる中竹監督>
「今日は苦しい試合だったけれど、この段階で東海大のあの拘ったモールアタックに劣勢のなか勝つことができたのは、ワセダにとってすごく大きい。6本もいかれてしまったのは、初めての経験だけど、そのすべてを完全にモールとショートサイドでやられてしまった。次に当たるとしたら大学選手権。そのときにはワセダが逆にモール、ショートサイドでトライを取りたいと思うし、あのアタックを粉砕したい。チャレンジャーの気持ちをつけることができて、スタートラインに立ったという感じ。ハーフタイムに春関東に似ているぞと学生に言ったけれど、今日は前半と後半では全然違った。大事なことは、それぞれが考えて黙ることではなく、声を出して、気持ちを全員でシェアしていくこと。今日乗り越えることができたのはいい経験になったし、やっとチームとして始まるぞという気持ち。今回は本当に色々なことがあったけれど、そのハプニングを逆に利用して、タフになれて、いい学びをたくさん得られた夏合宿だったと思います。これでやっとスタートが切れます」

<一歩前進! ひとつ大きな課題を乗り越えた主将・早田健二>
「チームとして、入りのところでふわっとしてしまいました…。あの強いFW相手に引いて、受けて、あれだけ自陣でラグビーをしてはやっぱり苦しいですし、もったいないかったです。前半はチームとしてふわっとして、コンセンサスがなくてみんながバラバラ。けど、後半は拘るところを拘って、敵陣にいって、しっかりとゲームを組み立てることができた。アタックでいいテンポがだせれば、トライが取れることが改めて分かりましたし、チームとしてペナルティを減らしていくことが課題です。AもBも今日はそこに尽きる。ペナルティをして、エリアを取られて、モールでトライ。あれだけやれられてしまってはチームとして乗っていけない。ノーペナルティの意識の徹底です。後半は変われたと思いますけど、連続トライの後にもう1本取れていたら、もっと楽な展開になっていたはずなので、まだまだだなと。ブレのないチームになっていかないといけないです。やるべきことは、集中力、ミスを失くすこと、ブレイクダウンを徹底的に鍛えること。そこに重点を置いて、対抗戦の開幕を迎えたいです。メンバーが色々と替わったり、この夏合宿は大変なことがたくさんありましたけど、そのなかでシニアはしっかりと結果を出せましたし、ジュニアも昨日ひとつ見えた部分があるので、ここから更に拘ってやっていきます。今日でターゲットが見えました。ブレイクダウンで大きな相手に引かない。BKは前に出て相手を倒し続ける。アタックはテンポよく継続する。それができれば勝てるということが分かったので、拘ってやっていくだけです。ハーフタイムで中竹さんに、春関東と同じだと言われましたけど、チームとしてもそう感じましたし、周りのメンバーもそう感じただろうと思います。チームとしてまとまるべきところで、ひとりひとりがバラバラになってしまっていたのは課題です。ただ、それを後半乗り越えて勝つことができたのは、一歩前進ということだと思います。苦しんで勝てたのはよかったですし、成果です。これからもすべて勝ちます。絶対に負けません」

<課題と手応え シーズンへ向け更なる決意を口にする副将・田邊秀樹>
「まぁ、勝っただけよかったのかなって。アタックに関しては、この合宿でやってきたことが出ましたし、トライもいい形。BKはディフェンスで1本もいかれてないですし、いかれる気もしませんでした。今日はモールとショートサイド。ときにはFWがいかれる前提を持っておくこともBKとしては必要だと思いますし、いかにゴール前にこさせない戦いをするかのエリアマネジメントも今後は大事になってくると思います。今日は勝負どころの集中をテーマにしていましたけど、前後半とも入りのところで受けてしまいましたし、拘ろうと言っていたところで拘りきれなかったです。ここでこういう反省がでたのはよかったと思います。後半に関しては、まとまったというより、もう取らないと負けてしまうという切り替えでしょうか。春関東と似ているということについては、僕もそう思いました。でもあの負けを経験したことで、誰もが変わらなくてはと思えたことはプラスです。それで最後に勝つことができたのはすごく大きい。この夏取り組んできたアタックは、継続すればトライを取れるという自信を持てましたし、ディフェンスでもしっかり前に出れば止められるということが分かりました。あとはエリアマネジメントとペナルティコントロールと、ショートサイド。それらをひとつひとつクリアしていけば、絶対にいいチームになると思います。とは言え、チームのコアはディフェンスなので、そこは絶対にブレないように。昨年はケガで出遅れて悔しい思いをしたので、ラストイヤーの今シーズンは、早田がいますけど、自分が先頭で引っ張る気持ちでやれればいいと思っています」

<進むべき道見えた! 新たなターゲットを得て笑顔を見せる瀧澤直>
「FWは完敗です。今日はいい経験でしたね、本当に。試合を言葉にすれば、攻めれば取れる。ボールを動かされたとしても、いいディフェンスができる。ただ、ペナルティでラインアウトモール、そこからショートサイドに移行されると取られる。これに尽きます。モールに関しては、他のチームに対してはいい感じでできていて、僕たちはそれなりのレベルにあると思いますけど、今日は完全に東海が上回ってました。強い、うまい、でかい。正直、ゴール前に来られたらやられる可能性が高いと。いかにしてそうさせないか。今日に限ればそういう感じだったと思います。ただ、今日で自分たちのターゲットが見えました。この経験なしにシーズンで東海大とやっていたら大変なことになっていたはずです。今日はすごくいいものを見せてもらいましたし、こんな経験ができて本当によかったと思います。課題は明確、やることは簡単です。FWとしては本当に大きな試合。しかも勝って、そう思えることが大きい。ワセダは負けてはいけないチームですから。スクラムに関しては、ターンオーバーはされてないですし、球出しもよかったですし、相手ボールにも何本かプレッシャーを懸けていましたし、まぁまぁ。決して満足はしていないですけど、とにかく今日はそれ以上にまずいところがあったので。帝京ともやりましたし、関東とも春の最後にやりましたし、法政ともやりましたけど、FWは東海が1番強いです。これを超えることが自分たちの目標。FWが勝てれば、負けるチームがないということですから。前半は春関東に内容というより、雰囲気が似てましたかね。静かになってしまったり、マイナスの空気がでてしまったり。関東に限らず、ワセダが負けるときの、ダメなゲームをするときの雰囲気。今日はそれを分かっている人間が、しっかりと声を出して乗り越えられたと思います。3年生にしても、2年の昂大にしても、引っ張ってくれる人がたくさんいた。みんな分かってくれていましたね。今日はいい経験、いい成長をしたと思います。もう、シーズンが楽しみです。完璧な全勝ではないというこの逆境。よくない試合をした僕たちがどう変わっていくのか、『Dynamic Challenge』的な(笑)。本当に楽しみです。今の僕たちは最強ではないですから」

<FWのキーマン! 勝負どころで輝きを見せたフランカー・山下昂大>
「最初のところで受けてしまって、パニックに陥って、何をすべきかのコンセンサスが取れずに、ああなってしまいました。今日はFWとしてしんどかったですし、東海大が想像以上に強かったです。初めての相手で、あのモールをどう崩せばいいのか今日は分からなかった。東海大はひとりひとりが強かったです。モールであれだけいかれて、ショートサイドも喰い込まれて、FWは完敗です。後半は風上でもありましたし、しっかり地域を取って、敵陣でプレーしようと全員で意思統一ができました。それができれば、BKは全然ワセダの方が上ですし、ディフェンスも悪くなかったですから。FWは今日でいい目標ができました。このままシーズンに入っても、やられっぱなしだったらダメ。東海大を超えるFWになる。モールもショートサイドも強くて、うまくて、いい勉強、経験になりました。夏合宿を終えて、やっぱりまだ波があるなというのが正直な思いです。ハマるとそれが連鎖していきますけど、キッカケがないとイマイチ。これからはひとりひとりがいかに爆発していけるかだと思います。個人的にはまだまだボールキャリアになりきれていないので、もっと意識を高めて、どんどん前にでていきたいです」

<『次代のエース』中靍隆彰4トライ! Bチームも33-21で夏全勝!>