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2024
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対筑波大 空気を変えたふたりの男とセービング


 個の『Explosion』!コンセンサス! カベ乗り越えた。一皮剥けた。10月17日、すっかり秋の気配漂う聖地・熊谷第2ラウンド。次々襲いかかる苦境をはね返し、『早田組』はあの夏手に入れたタフさを見せつけた。「今日はその本当の力がついたのかを見るいい機会。ケガ人4人、体調不良2人のなか、その場で対応し、ジタバタせず落ち着いてやれたのは大きな成果だね」(中竹監督)―
 前半最初の20分は過去2戦のロケットスタートから一転、スタンドから「大丈夫?ワセダ…」の空気をひしひしと感じる超まったりゲーム。ハイパントに競り負けピンチ、キック処理にもたつきピンチ、蹴り合いに負けピンチ、攻めてもミス、ターンオーバーしてもミス、モールはズルズル…。生命線・ブレイクダウンでも筑波の素早い寄り、用意周到な絡み(網)に苦しめられ、まったく主導権を握ることができなかった。前半25分を過ぎても0-0。まさしく、帝京を倒した筑波の思うツボ…。もしかして…。
 しかし、ここで崩壊に向かわず、流れを引き寄せるのが、危機感からスタートした『早田組』の真骨頂。ついにきた個の『Explosion』! 27分、「日本一のCTBになる。自分がラインを押し上げる。勝利のために体を張る」を固く誓う村田大志のセット一発キレキレラン!37分、「トライを取るのが自分の仕事。トライ、絶対に取るんです」と言い切る中濱寛造、問答無用の一発回答! 春から追い求め続けてきた個の『Explosion』がようやくここで、この上ないシチュエーションで炸裂し、会場の空気を一変させた。
 さらにこの3年生が起こした爆発に連鎖し、ゲームを決定的なものにしたのが、4年フランカー・村木俊貴のスーパーセービング。「そこにいて、そんな仕事してくれるのか!」のプロップ瀧澤直のタックルからボールがこぼれてきたところに、少しのためらいもなく瞬間反射<Reflection>。ここからインゴールまでの美しい流れは、『中竹ワセダ』の志向そのものだった。この日のテーマ:『チームコンセンサス』も全員でしっかり遂行。「後半は敵陣でプレーすることを意識しようと。地域を取って、しっかりとアタックすることができましたし、春から取り組んできたターンオーバーからのトライがいくつもあって、よかったと思います」(主将・早田健二)。そして、それを導き出した地味だけど、素晴らしい下働き。ラグビーの教科書何ページ目かに出てくるであろうお手本のようなセービング。「今日はラストチャンス、ここでやらなきゃ先はないと思ってました。4年の意地。最後までやりきります」(村木俊貴)…。
 再三ターンオーバーを喰らったブレイクダウン、その都度流れをぶった切ったミス、ちょっと緩かったモールディフェンス…と聖地に誓ったベストゲームには遠くとも、慌てず、騒がず、心は熱く、頭はクールに、到達すべきところに着実にまた一歩前進。そして…、ついに来たこのとき。次戦10月31日は、ちょうど1年前、地獄に落とされた、すべてを失いかけた帝京大戦。「チャレンジャーとして戦う。チーム全体、しっかり勝つために最高の準備をします」(主将・早田健二)。あの屈辱は忘れていない。この戦いを制することこそが、本当のスタートライン。あのとき止まった時計の針を動かすために…。『早田組』、最後に歴史を動かすための大一番!


<思惑通り?苦境を乗り越えた学生のタフさに手応えを感じる中竹監督>
「帝京に勝った筑波、春から強く勢いのある筑波との対戦ということで、今日は心して試合に臨みました。テーマは『チームコンセンサス』。どうやってゲーム中に戦術を修正、チームとして話し合って変えていくか。そういう意味では、前半は停滞しましたけど、後半はよかったと思います。けど、今日はその前にボールリリースをはじめとした基本的なところ、これまで重視して取り組んできたにも関わらず、全然ダメでした。今日はケガ人、体調不良者が出て、まったく合わせていないメンバーでの試合。チームには未だ手をつけていないので、問題ないと思っていたんですけど…。そういったなかでも、最終的にしっかりと勝つことができたのはよかったと思います。ブレイクダウンについては、キャリアの寝方が悪かったです。今年のチームは合宿から色々なハプニング、想定外、不都合があったなかでタフネスを身につけてきた。今日のゲームはその本当の力がついたのかを試すいい機会。先週からケガ人で4人抜け、体調不良者で2人抜けたなか、その場で対応、ジタバタせず落ち着いてできたのは、大きな成果だと感じています。村田、中濱のふたりについては、チームが苦しい状況で自分の1番得意なプレーを洗濯して、ゲームをブレイクしてくれた。そういう意味では、個の『Explosion』と言えるかなと。今日はベストゲームとは言えないけれど、確実な成果があったし、例えば村木のような、少ないチャンスのなかで、地味だけど、セービング、チャージ、常にプレッシャーをかけて流れを変えたことは評価したい。次に向けては、まず来週のジュニア選手権。うちが負けた明治Bにも勝ったし、関東はAもBも非常に高いレベルを保っている。真のライバルとして絶対に負けられない。ケガ人、体調不良者がいるなかで、逆境のなかでのタフネスさをしっかりと見たい。そして帝京戦、ワセダはチャレンジャー。あのときの悔しさを忘れずに戦います。チャレンジャー、それがテーマです」

<課題の克服へ 帝京戦へ向け最高の準備を誓う主将・早田健二>
「前半は筑波の鋭いディフェンスに苦しみましたが、後半はしっかりコンセンサスを取ってプレーできました。敵陣にいけば、トライを取れるメンバーが揃っていますから。前半よりいいテンポで、雰囲気もよく、流れもよくトライを取れたと思います。その点はチームとして収穫でした。メンバーが替わってうまくいかなかったところや、最後のモールはコミュニケーションの問題。プレーは遜色ないので、今日の反省を次の帝京戦に繫がられるように、ひとりひとりしっかりと意識を持ってやっていきます。ブレイクダウンに関しては、チームとして意識していたファーストキャリアが倒れていましたし、相手の2人目の早い寄りに後手を踏んでしまいました。そこは修正しなくてはいけません。試合中も、修正の意識はありましたし、声は出していたんですけど、キャリアが行けるところまで行って、寝れるところで寝ず、ガメてよくないリリースをして、結局は絡まれる。そこの意識、ラックでの集中はもっと考えていきます。テーマであったチームコンセンサスについては、前半自陣でやる時間が長かったけれど、敵陣に行けばトライが取れた。後半は風上だし、敵陣でプレーすることを意識しようと。地域を取って、しっかりとアタックすることができましたし、春から取り組んできたターンオーバーからのトライがいくつもあって、よかったと思います。前半ゲームは拮抗しましたけど、筑波という力のあるチームに単純に軽く受けてしまったという感じです。あの展開でも、浮き足立ったということはなかったですし、焦りもなかったです。強いチームとやると、はじめはうまくいかないこともありますけど、この先の戦いでは受けない意識を徹底していきます。後半はターンオーバーからのトライはよかったですし、一発で取るところは取って、という拘りは見せられましたけど、それでもランナーのコールが足りなかったり、リリースもまだまだ甘い。もっと意識高くやっていきます。次の帝京は筑波に負けはしましたけど、力は絶対にある相手。受けることなく、チャレンジャーとして臨むことができるか。チーム全体を引き締めて、しっかりと勝つように最高の準備をします」

<本日の『ベストエクスプロージャー』!4年の意地全開の村木俊貴>
「いやぁ、ビックリしました(笑)。久々のAチーム、楽しかったです。今日はラストチャンス、ここでやらなきゃ先はないと思ってました。そのなかで、気負いすぎることなく、楽しんでプレーできてよかったです。ブレイクダウンでターンオーバーを喰らっていたところは、相手の2人目が被り気味にきていたところにうまく対応できませんでした。後半は修正できて、いい球も出るようになってよかったと思います。セービングについては…、それが仕事ですから。うまく反応できました。来週はジュニア関東、明治に負けた自分たちはもうひとつも落とせない。1つにまとまって勝ちます。そして、帝京大戦は昨年自分が出て負けたのでリベンジしたいです。4年の意地。最後までやりきります」

<爆発のとき? 帝京大戦での『Explosion』を宣言する有田隆平>
「前半はボールキャリアのミス、ジャッカルのスピードの前にテンポがでず、相手のペースでしたけど、途中から、後半からは上手く対応して、よくなったと思います。リリースのところ、2人目の寄りの早さをみんなで話をして、そこが改善されたことでトライを取ることができました。ボールキャリアのところは全部自分たちのミスでしたから。入りはよくなかったですけど、途中からしっかりコミュニケーションを取れたので、テーマであったチームコンセンサスは、まぁまぁ…という感じです。でも、まだまだベストゲームとは言えません。ブレイクダウンに関しては、僕もそうでしたけど、キャリアのミス、寝方の問題。寄りがどうこうの前にまずキャリアだと思ってます。寝方が悪かったので、そこは修正しないといけないです。セットプレーは…、筑波強かったです。何本か平一(1番伊藤平一郎)でターンオーバーすることはできましたけど、今日はすごく勉強になりました。フィットネス期間の成果という面では、FWの動き出しはよくなっているかなという感じです。今日は僕もボールに絡めましたし。これからはどんどんボールをもらっていきたいと思ってます。まだ全然うまくいっていないので、もっともっと絡めるように。次の帝京戦は、向こうもかなり気持ちを変えてくると思いますし、FWの勝負になる。そこでしっかり対抗していきます。個人としては、まずセットの安定。そしてボールをたくさんもらうこと。個の『Explosion』を見せたいと思います。最近ずっと不発なので」

<リーダーとしてまた成長?チームをしっかり勝利に導いた山中亮平>
「これまで僕と(田邊)秀樹さんがゲームリーダーとしてやってきたなかで、今日は僕1人。まず周りとのコミュニケーションを第一に意識しました。WTB、CTBのコールをもらうことで視野を広く持てる。そのコミュニケーションを大事にして。試合内容的には僕のキック精度の悪さもあって、前半はずっと自陣でしたけど、そこで取られず、ディフェンスできたのは大きかったと思います。前半はとにかくボールキャリアのリリース、1人目が悪かった印象です。後半に関しては、敵陣でラグビーをしたらいけるとみんなで話してましたし、1次のセットから抜ける場面も多くて、よかったと思います。トライの形もよかった。それでも、前半に引き続いてリリースでまだ悪いところがあったので、そこは改善しないといけないです。最初の20分は…、何て言うんでしょう、蹴ってもミス、攻めてもミス、ターンオーバーしてもミス、という状態でしたけど、みんな落ち着いていたと思いますし、視野を広くプレーできました。テーマであったチームコンセンサスについても、前後半でしっかり対応できたという点ではよかったのではないかと思います。BKは1次から前に出て、FWもしっかりと立つべきところに立つ、コールもくるという感じで。リリースについては、もっともっと意識が必要です。次の帝京はブレイクダウンが強いですし、絶対に絡んでくる。今日みたいなプレーをしていたら負けるので、そこはもっともっと意識してやっていきます。」

<抜群の決定力! ボールタッチの多さで存在感際立つWTB中濱寛造>
「相手のタックルがよくて、前半は自陣に釘付けになってしまいましたけど、試合中にみんなでしっかりとコミュニケーションを取って、いい形でトライを重ねられたのはよかったと思います。前半はちょっとバタバタしてペナルティ、キック処理のミスでボールを渡してしまって、相手のペース。あのトライが大きかった?、そうですね(笑)。中村が早めに渡してくれたので。トライを取るのが自分の仕事ですから。前半は何人かフラストレーションが溜まっていたかもしれないですけど、コミュニケーションをしっかり取って、落ち着いて、ペースを持ってこようと話してました。前半は相手に合わせてラグビーをしてしまいましたけど、後半は自分たちの形。いいラグビーができたのではないかと思います。前半と変わったのは、ボールキャリアのところ、あとは僕も含めたバックスリーのキック処理。前半はそこでFWを下げてしまっていたので。1次の攻防は意識してますし、拘りもありますし、アタックに関してもよかったと思います。アウトサイドセンターでのプレー(後半27分~)は…、練習であまりやっていない状態で焦りましたけど、村田(賢史)さんとコミュニケーションを取って、ちょっとはできたんじゃないかなという感じです。次の帝京戦は大事な試合、大一番。今日出た課題をしっかり克服して、ベストゲームをします」