「今日は相手がしっかりと勝ちに拘ってきて、ワセダとしてはいいチャレンジ。ここで勝てば自信がつくという用意された舞台。そのなかで、しっかりと力を発揮して勝てたことは大きい」(中竹監督)…。10月25日、何かが起こる敵地・釜利谷での大一番。ここで躓いたら先はない。やるか、やられるか。今後を見据え、絶対モノにしなければならないマストウィンゲームで、『早田組』セカンドチームはしっかりとその拘りを貫き通した。たとえ万事がうまくいかなくとも…、今年もワセダはディフェンスで勝つ!
関東戦独特の雰囲気で始まった試合は、毎度お馴染み?互いの意地とプライドが真っ向からぶつかり合う出入りの激しい展開。敵陣に居座り続けながら、ここぞでターンオーバー、ミス、ペナルティ(最初の12分で6つ!)を重ねるワセダ。最後の一線は死守しながら、常にお家芸・ターンオーバー → 反転攻勢の恐怖をチラつかせる関東。強烈な風上を考えると、ある程度先行したい…。このままズルズル行ったらまたしても…。34分、前半最大のチャンス・ゴール前5対3も、それまでを象徴するかのようなミスで喪失。結局40分間ゲームを動かすことができず、どんより曇り空の釜利谷は重苦しい空気に包まれた。
風上でほとんどの時間敵陣で過ごしながら0-0。その現象だけを捉えたら土俵際。相手は俄然勝つ気マンマン。しかし…、そんな苦しい状況で不敵に笑い、虎視眈々と「そのとき」を狙う男がワセダにいた。強いハートでミッドフィールドを支配する「12番」宮澤正利。「ずっと敵陣にいながら点数を取れませんでしたけど、関東相手にはこうもなるかなと。そのなかでしっかりと継続はできていましたし、後半風下で蹴らずに攻めていけばおもしろい試合になるなって…」。3分、ハーフタイムに勝田コーチがこっそりと教えてくれたというディフェンスのギャップに猛然と走り込むと、それまでの拙攻がウソかのように一瞬で相手を置き去り。サイズなど関係なし!やっぱりこの男も頼りになる!先日筑波大戦の村田大志に劣らぬ『個のExplosion』で、試合の流れを激変させた。
この胸のつかえの取れるトライでついに均衡を破ると、ここからは信念の試合運び。5分、関東が中盤から果敢に攻めてきたところを一発で仕留め、大外でターンオーバー、無人のブラインドサイドをフランカー清登明が独走。再びペナルティを重ねた後の25分、ピンチにも臆せず前に出てミスを誘発 → 宮澤から牛房佑輔で70メートルリターン。「今日はディフェンスからしっかりと組み立てて、勝つことができたいいゲームだったね」(中竹監督)。「基本的にやられるイメージはなかったですから」(宮澤正利)。前半スコアできずとも、動じず冷静に戦えたのは、チームの柱・ディフェンスの確かさがあったから。勝ちに拘ってきた関東を上回れたのは、春からの取り組み、「ここで勝つ!」のコンセンサスがあったから。苦しいとき拠りどころとなるもの、立ち返られるものをしっかり持つ。両CTBがピンチをチャンスに変えるビッグヒット。中竹監督が常々口にしてきた「ブレないチーム」が、大一番でその真価を発揮した。
終わってみれば、危なげなく17-5。超強力メンバーの関東相手に価値なる勝利。それでも…、ミス、ペナルティの多さ、まだまだ緩いモールディフェンス等々、課題、やるべきことはドンと山積み。そして何より、目指すべきはここではなく、もうひとつ上のステージで戦い、勝つこと。「自信にはなりますけど、自分たちは調子に乗ったらまた明治のときのように負けてしまうので。僕たちはあくまでもセカンドチームですから。あのスタンドにいる人間にいかに脅威を与えられるかです。Aで使って欲しいです!」(宮澤正利)…。勝利の余韻に浸るのは、ノーサイドからの数分間。まだ何も成し遂げてはいない。アップのサポートを買って出たAメンバーに対して何を思う。赤黒、そして『荒ぶる』へ。ワセダの戦いはまだまだ終わらない―
<ブレないチーム! ディフェンスの勝利に手応えを感じる中竹監督>
「今日はしっかりと相手が勝ちに拘ってきて、ワセダとしてはいいチャレンジ。ここで勝てば自信がつくという用意されたステージで、力を発揮できたのは大きい。すごくよかった。内容的には、関東が関東らしくカウンターでアタックしてきたところ、自陣からアタックしてきたところに、前に出るディフェンス、これまで取り組んできたディフェンスをして勝つことができた。ミスは多かったけれど、しっかりとディフェンスから組み立てて、勝つことができたいいゲーム。今日の試合の持つ意味は…、この緊張感、ギリギリの設定で力を発揮することができたのはいい経験だなと。試合後学生たちに強調したのは、ジュニアでまとまるなということ。目指すべきは、あくまでもAで戦うこと。今日のこの勢いを継続させて、来週からまた出し切れ、がんばっていこうと言いました」
<大きな勝利! 宿敵撃破で自信を手に入れたゲームキャプテン・和田卓也>
「今日はずっと練習でやってきた、テーマであったボールセキュリティを意識してました。それと前提としては、相手は関東、ワセダとしては絶対に負けられない。ここを落としたらセカンドフェーズはない。絶対に勝つと。勝った瞬間はちょっとホッとした気持ちもありましたけど、みんなで集まったときに話したのは、自分たちで首を絞めているよねと。ペナルティの多さ、ミスの多さ。ペナルティに関しては、ルールも少し変わったということでジャッカルを意識してたんですけど、ワセダは立ってない、どいてない、ノットロールアウェーだと。試合中の修正は…、どうなんでしょう…。結局最後にはペナルティ、ペナルティでトライを取られてしまった(後半34分)ので。疲れたところでまた増えてしまったという感じです。ボール継続については、関東はジャッカルがうまいというコンセンサスもしっかりありましたし、まぁ最低限はできたかなと。前半は攻めきれず戻されるという展開。ほとんど敵陣にいたので危機感みたいなものはなかったですけど、後半どう戦うかという感じでした。そのなかで、うまくターンオーバー、前半取られていたところを反則せずターンオーバーして、そこからトライを取れたのはよかったと思います。けど、冷静に考えると、勝ちはしながら反省、課題は多いです。やるべきことがたくさんあって、そこがAとの差だと思います。スクラムは最後関東の意地にフロント3人が引いてしまったというか…、明治戦も大事なところでターンオーバーをされて負けたので、修正しないといけないです。次の帝京はまた強い相手。今日の反省を踏まえてまたしっかりと勝って、その次の法政にも勝って、1位通過できるようがんばります。課題も多かったとはいえ、今日勝ったのは自信になる。相手は半分がリーグ戦に出ていたようなメンバー。そのメンバーを相手に、絶対に負けられない状況で勝つことができたのは自信になります。アップからいい雰囲気で試合に入ることができました」
<目指すはAの12番! 攻守に輝きを放ったCTB宮澤正利>
「今日は自分のなかでは、対関東ということはそこまで強く意識してなくて、それよりもずっとうまくいっていなかったBチームで、いかにいい試合をするか、このBチームで楽しいラグビーができたらと考えてました。特に前半スコアが緊迫したなかでしっかりとプレーして、後半粘って、ドドッとトライを取れたのはよかったと思います。ただ、ペナルティをはじめ課題は多かったですし、ディフェンスも目指しているものではなかったので、その辺りはまだまだです…。自分のディフェンスも…、実際は結構いかれています。牛房はやばかったですけど。とはいえ、基本的にディフェンスでやられるイメージはありませんでした。何本か行かれた大外のところだけで。そこはFWが吸い込まれて、内側からのディフェンスになってしまったことが要因だと思うので、しっかり修正していきたいです。あのトライですか?、あれは勝田さんのおかげですね。ハーフタイムにあそこが空いてるからって教えてくれたんですよ、こっそり(笑)。おいしく頂きました。前半はずっと敵陣にいながら点数を取れませんでしたけど、関東相手にはこうもなるかなと。そのなかでしっかりと継続はできていましたし、後半風下で蹴らずに攻めていけばおもしろい試合になるなって。今日の勝利は自信になるとは思いますけど…、自分たちは調子に乗ったらまた明治のときのように負けてしまうので。それに、僕たちはあくまでもセカンドチームですから。あのスタンドにいる人間にいかに脅威を与えられるかです。Aの12番、調子いいですからね(笑)。なかなかすごいですけど、1月10日には自分が出られるように、そこを目指してしっかりとやれることをやっていきます。中竹さんがどう考えているのか分かりませんけど…、12番としてのゲームコントロールがもっとうまくなれば使ってもらえると思うので。と、いうより是非自分を使って欲しいです!ディフェンス、がんばります」
<抜群の存在感! 要所でビッグヒットを連発したCTB牛房佑輔>
「ずっとケガをしていて、この間の立正大戦からCで復帰することができましたけど、自分としては上で勝負したい、そのために今自分に何ができるかを考えてやってきました。自分にはとにかく強いプレー。久々のシニア、久々の上でのゲーム、ここで見せないとまたすぐに落とされる、今日は100%出し切ろうと。ディフェンスに関しては、ここ数試合で一番いいデキであったと思います。ただ、まだバインドが甘くて外してしまったり、高かったりと課題も多いので、もっと強気でプレーしていきたいです。今日は個人でというよりも、宮澤との両CTBで守れたという感じでした。あの内側からの圧力、宮澤は攻守の軸ですから。信頼してます。今日も思い切りいっていいよと声を掛けてくれたので、抜かれてもいいやと。それで相手を仰向けにすることができたんだと思います。前半は風上にも関わらず、ミスとペナルティの多さでスコアできず0対0。よくなかったですけど、後半は意識を変えて、風下でも強気で前に行こうとみんなで話をして、しっかりと変えられてよかったです。トライは…、珍しかったですね(笑)。アタックでも見せなくては思っていたので。立正戦でもトライができましたし、最近感覚を掴んだというか、ランニングの意識が向上してるかなと。近くに寛造といういいお手本がいるので、参考にしながら、倒れない強さを意識してます。BK対BKのシチュエーションに関しても、抜かれたところはほとんどなかったですし、よかったです。あとはFWの内側、FWとBKの境目、そこのコミュニケーションが大事になると思います。今日はいいゲームではありましたけど、課題はたくさんあるので、今日をベースにまたステップアップしていかないといけません。個人としては、ケガや病気に負けずに常にグラウンドでプレーし続ける。そして、いつでもチャンスを物にできるようにやっていきます」
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