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対NTTドコモ 有田隆平の涙、魂の叫び


 すべての終わりを告げる笛が鳴り響くと、有田隆平はその場から動くことができなかった。溢れる涙をどうしても抑えることができなかった。先頭に立ち、体を張り続けてきた男が初めて見せた姿。そして、この一年の想いをすべて吐き出したかのような魂の叫びは、誰しもの心に響いた。「ワセダは負けてはいけない。勝負の世界は勝たなくてはダメなんだ。俺たちのリベンジでなく、自分たちのために勝て。ここにいる人間がリーダーになって、来年は勝つんだ」―
 あの悪夢でしかなかった敗戦から一ヶ月。気持ちを切り替えて臨んだはずの日本選手権は、『有田組』にとって歓喜と悲哀の同居する複雑なものだった。再出発を告げるキックオフから信念を貫き、いつ、何時、どこからでも仕掛ける「2010・ワセダスタイル」を何の迷いもなく敢行。とにかく出し切る。自分たちの正しさを証明する。この一年の進化を見せつけるようにCTB村田大志が、坂井克行が、WTB中濱寛造が、トップリーグのどこに出しても恥ずかしくないスキル(伝統工芸!)と推進力で相手を翻弄し続けた。それらを引き出したSO山中亮平の仕掛け、見事にリンクしたFWの献身的なフォロー。ボールを手にし、前を向いたときのあの歓声。ここにしかないスリル。「今できることを精一杯やって、後輩に、同期に、何かを感じてもらえたら嬉しい。そう思い、とにかく精一杯プレーしました。BKで行こうという意思統一もありましたし、自分としてももしかしたら最後の試合になるかもしれないということで、最高のプレーをしたつもりです」(CTB村田大志)。懸命に喰らいついた前半の3つ、勝利を予感させた後半の4つ。奪ったトライはそのどれもが美しく、いつまでも見ていたいと思わせるステキなものだった。
 しかし、アタックが通用するのは完全に想定内。惜しむらくは相手を崩しかけながら次の一手でミスの続発したキックオフレシーブからの仕掛け(その度ピンチ…)と、厳しさと固さに欠けたディフェンス。1月9日、一度折れた心が体を動かなくさせるのか、純粋にトップリーグ入りする大人たちとの差なのか、まったくと言っていいほど体を当てられず、ズルズルと後退した。ノーガードの殴り合いは、絶対に避けたかった、避けなくてはいけなかった展開。考えさせられた勝つために成すべきこと。知恵を絞りきり準備すること。いくらファンタスティックなアタックでトライを重ねようとも、66失点はワセダとして断じて受け入れてはいけなかった。
 それでも…、まったくラグビーをさせてもらえなかった決勝の反動もあり、とことんまでボールを動かし、見ている人の心も揺さぶった80分に幾ばくかの充足感も漂った。相手がイングラウンド代表であろうとも、トップリーグ最上位チームであろうとも、すべての戦いで本気で勝利だけを追及してきたワセダの矜持、哲学、文化からすれば決して許されることではないかもしれないが、『有田組』らしさは最後まで堂々と貫いた。
 鳴り止まぬ拍手のなか、有田隆平の叫びを聞いた山下昂大は、その想いを感じ、ワセダとは…に改めて思いを馳せた。「4年間あれだけやってきた人たちが最後に負けて終わると、一生後悔することになるんだって。あそこまで言葉にする人ではないので、あの姿、あの言葉にはものすごい重みがありました」…。そしてこの一年、すべての規範であり続けた男は、汚れを洗い落とし、ネクタイを締めながら、キャプテンとして最後の言葉を発した。「最高です。最強ではなかったですけど、最高のチームであったと思います。ワセダでの4年間は、他では絶対に味わえない貴重なものでした。伝統であったり、文化であったり、ラグビー以外のところでも力を感じましたし、ワセダだからこそ~というものをたくさん得ることができました。4年間、この上ない充実です」。心からの感謝を。『有田組』、涙のノーサイド―


<試合後の涙… 後輩たちにしっかりと想いを伝えた主将・有田隆平>
「本日はありがとうございました。結果は変わらないですし、負けてしまって悔しいですけど、しっかりと受け止めたいと思います。今日の試合は、この一年間を出そうと言って臨みました。思いっきり80分楽しむだけだとみんなにも伝えていましたし、たくさんボールを振って展開して、ディフェンスはよくない面もありましたけど体を張っていて、見ている方が楽しんで頂けたのであれば、ひとつの成果ではあると思います。本当にありがとうございました。(勝負を分けた部分について)相手は社会人なのでパワー、勝負所での力を感じました。ただ、僕たちも一年間しっかりとやってきましたし、1:1でいいシーンもあったかなと。箕内さんはいるだけで存在感がありました。ボールを持てば必ずゲイン、オフロード、ブレイクダウンの絡みを見てさすが箕内さんだなと感じました<以上、記者会見> ノーサイドの瞬間、もう終わってしまったんだなって。大学選手権決勝のときの笛とは全然違う感覚でした。今日はすごく楽しかったです。負けてしまいましたけど、ラグビーをやったという気がしますし。でも、やっぱり悔しい。これで本当に終わってしまったんだ、引退だと思うと、悲しくなりました。試合内容的には、近場のところというか…、まぁ色々と負けた要因はあるんですけど、悪くはなかったと思います。今日は常にポジティブで、すごく楽しかったです。試合後は…、何かしゃべってしまいましたね(笑)。後輩たちには自分たちのようになって欲しくないので、勝負の世界は勝たなくてはダメだとしっかり伝えました。ワセダとして、僕たちのリベンジとかではなく、自分たちのために、辻さんを男にするために勝てって。『有田組』は、、、何でしょう。すごく辻さんっぽいチームだったなと。最高でした。最強ではなかったですけど、最高のチームであったと思います。ワセダでの4年間は、他では絶対に味わえない貴重なものでした。伝統であったり、文化であったり、ラグビー以外のところでも力を感じましたし、ワセダだからこそ~というものをたくさん得ることができました。この上なく充実した4年間でした」

<少しの後悔… 最後まで中枢であり続けた副将・山中亮平>
「負けてはしまいましたけど、今までワセダでラグビーをしてきて1番楽しい試合だったかもしれません。ワセダのラグビー、今年のラグビーができたというか、この1年を出せたかなと。やっていて楽しかったです。でも、ノーサイドの瞬間は悔しさがこみ上げてきました。勝てる試合でしたし、もうちょっとできたと思って…。誤算はディフェンスでした。サイドをあそこまでいかれてしまうと苦しい。もう少しできていればと思います。日本選手権に向けての準備期間で、そこのディフェンスを徹底できませんでした。今日の試合のダメなところです。後輩たちに伝えたいのは、ワセダは負けてはいけないということ。後輩たちも分かっていると思いますけど、ワセダは勝たなくてはいけないという意識をもう一度持って欲しいです。ワセダでのこの4年間で、すごく大きく成長できたと思いますし、ラグビーの面だけではなく、人間としても多くのものを得て、成長させてもらえたと思っています」

<ワセダ魂! この日も圧倒的なパフォーマンスを見せたCTB村田大志>
「今日は大学選手権の決勝とは違い、これで終わったんだと感じるノーサイドの笛でした。僕自身、今できることを精一杯やって、後輩に、同期に、何かを感じてもらえたら嬉しい。そう思い、とにかく精一杯プレーしました。この試合に関しては、BKで行こうという意思統一もありましたし、自分としてももしかしたら最後の試合になるかもしれないということで、最高のプレーをしたつもりです。点の取り合いになってしまったのは、不本意で嬉しくなかったですけど、BKで崩して取ったいいトライもありましたし、FWのサポートが湧いてきて取ったトライもありましたし、アタックに関してはいいプレーができたと思います。後輩たちに対しては、僕は口ではうまく言えないんですけど…。分かる奴には~という言い方はよくないんですけど、何かを感じてくれているとは思うので、残された少しの時間で、言える人間には自分たちに伝えていこうと思っています。ワセダでの4年間、悔いがないといえばウソになります。ただ、ワセダに来たことに対する後悔は少しもありません。ワセダで、このメンバーで、最高のラグビーができたと思います」

<取り戻した輝き! ワセダのWTBとして走りに走った中濱寛造>
「あぁ、これでワセダでラグビーができるのは、このメンバーでラグビーができるのは最後だと思うと、ノーサイドの瞬間泣きそうになりました。決勝の敗戦を引きずるところもあったんですけど、負けは負け、落ち込んでいても一緒だと思って、この準備期間はとにかく勝つことだけを考えていました。内容的には、アタックしたらトライも取れましたし、1:1でも勝っていましたけど、ディフェンスで簡単に抜かれてしまって、敗因はそこだと思います。体を当てにいけなかったということはなかったんですけど、相手もうまくて、コンタクトが強かったです。近場のところにFWがたくさんいってしまって、ピラーがいなくなり~という感じでした。春は調子が出なかったんですけど、夏合宿から上向いてきて、シーズンは自分を出せて、そういう意味では、いい1年だったと思います。後輩たちは誰が赤黒を着るのか分かりませんけど、みんなで競って勝ち取って、強いワセダを作って欲しいです。同期にも恵まれて、最高の4年間でした」

<再認識… 有田隆平の想いを受け取ったフランカー山下昂大>
「ノーサイドの瞬間、もう『有田組』はこれで終わりなんだって…。本当に最後、もうこのメンバーでラグビーができないという想いが一番強かったです。今日はとにかく自分たちのラグビーをしようと考えてました。選手権の決勝でできなかった分をやる。そして、しっかり勝つという気持ちで。アタックに関しては、ワセダのやってきた形、やるべき形が出せたと思います。あのテンポ、リズムでボールを動かす。あれがワセダのアタックです。ただ、ディフェンス、特にFWで大きくゲインされてしまったことが、この結果だと思います。決勝の負けで一度心が折れたとか、そういったことは影響してないと思いますし、いく気持ちはあったんですけど、うまくいかなかったというか…。試合後隆平さんが、とにかく勝て、負けるなと。僕たちに向かって負けるな、ここにいる人間がリーダーになって来年は勝つんだと。それを聞いて、4年間あれだけやってきた人たちが最後に負けて終わると、一生後悔することになるんだって。そのことがすごく伝わってきました。特に隆平さんとは高校からずっと一緒で、あそこまで言葉にする人ではないので、あの姿、あの言葉にはものすごい重みがありました」

<最高の4年生 選手たちへの感謝を口にする辻監督>
「本日はありがとうございました。結果こういう形になってしまいましたが、1年間やってきたことを出そうと臨んだなか、最後のノーサイドまで体を張った選手たちを誇りに思いますし、そういうチームを作ってくれた有田に感謝しています。取ったトライはどれがというものではなく、全部ステキだと思いました。このリズム、このトライがワセダだって。監督という立場でありながら、見ていて楽しめるものでした。取られたトライに関して、一番痛かったのは、後半2点差に迫ったところでの箕内さんのトライです。あの場面、3回ピックゴー。ああいった局面で必ず出てくる。ゲームを知っている人だなと。(今シーズンの総括はと問われ)パッと思い浮かぶのは、最高の4年生だったということです。色々あると思いますけど、一年間素晴らしい男たちで幸せでした。今日はもう失うものはなかったので、この1年やってきたことを思い切り出そうって。自陣からでもボールを動かす。大きく自由に。今日は選手たちが楽しんでいるなと感じました。取られてもポジティブに次行こうぜ。取ったら全員で喜びを分かち合う。ラグビーの本質だと思いました」

<1年間熱きご声援ありがとうございました>

※2010年度予餞会は2月15日(火)、4年生追い出し試合は2月16日(水)11時からの開催を予定しております。