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早稲田スポーツ特集第3弾「NO LIMIT」【第3回】布巻峻介×深津健吾

早稲田スポーツ特集

【第3回】布巻峻介×深津健吾
新たなポジションでの挑戦―

 異例のポジションコンバートで注目を集めた二人の3年生がいる。CTBからフランカーへ転向した布巻峻介(スポ3=東福岡)と、NO・8からWTBでの起用となった深津健吾(スポ3=東京・国学院久我山)。両者に共通するのは、コンバート以降ケガでの欠場を除いて全試合スタメン出場を果たしているという驚きの事実だ。そのポジション変更の経緯から、日常生活、帝京大戦への意気込み、そして『荒ぶる』への思いを聞いた。

※この取材は10月26日に行ったものです。

試行錯誤の日々

――ポジションを変更された経緯を教えてください
布巻 僕は前々からFWをやってみたいという気持ちがあって、チームが始動するときに後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)に一回やってみたいということを伝えたら、「いいぞ」ということで。やるなら世界で通用するFWになりたいし、今後CTBでやっていくにしてもフランカーで学ぶことは必要な要素だと思ったし、いろいろ理由があってポジションを変えました。
 
――日本代表を考えるとフランカーの方が良いのではという声は前々からあったようですが、ご自身でも日本代表を考えてということはありましたか
布巻 世界的に見てもフランカーでは僕の体は小さい方だと思うんですけど、CTBでも小さい方ですし、この低さを生かしたプレーができるのはFWなのかなと思っています。どちらにしてもサイズの面では厳しい部分はありますが、逆にそれを生かせたらなと考えています。
 
――深津選手はどのような経緯でしたか
深津 僕の場合は、ある日突然メンバーボードで8番のところから11番に移動していました。最初はよくわからなかったんですけど後藤さんと話したところ、帝京大戦を見据えて、布巻がフランカーに来たこともあって、僕をNO・8に置いておくとラインアウトのジャンパーの面などのセットプレーで不利になってくるということと、その時のチームの中で外にボールを回していったときに相手ボールになることが多くて、ボールコントロールが僕の方がまだできるという評価をもらっていたので、「そこでお前をWTBで使いたい」ということでした。なかば拒否権はなかったんですけど、「はい」としか言えずに(笑)。でも後藤さんにそう言われるということは、上のチームで残っていくにはそうした方がいいのかなと思って、そのままWTBになりました。
 
――新しいポジションには慣れてきていますか
布巻 そうですね、前よりは。
深津 僕は全然慣れないです(笑)。ディフェンスのところとかで迷うことも多くて、布巻はBKをずっとやっていたので、プレー中とかにいろいろと教えてくれたりして、すごく助かってる部分が多くて感謝しています。
 
――やはりお互いにアドバイスすることは多いのですか
深津 僕がアドバイスすることは全くないです。
布巻 いや、いろいろされていますよ。
深津 嘘つけよ(笑)。
 
――ポジションを変更した選手は他の選手とは違う練習をするのですか
布巻 基本的には一緒にして、その中で慣れていくという感じです。
 
――どちらのポジションがあっていると感じますか
深津 前の方が合ってたかなという気はしなくもないですけど、でも移った以上そこでやるしかないので。
 
――ご自身の強みをNO・8での方が生かせるということですか
深津 FWの中での足の速さというのは武器だったんですけど、WTBになるとそこが普通のレベルになってしまうので、突出することがなくなってしまいました。僕は足で勝負するのが大きかったので、勝負するところが変わってきてしまって、難しくなってきたなと感じるので。
 
――布巻選手はいかがですか
布巻 CTBは昔からずっとやっていたので感覚的にやりやすいですし、もちろんいま戻ればCTBの方がうまくできるんでしょうけど、それは慣れているからであって、2つのポジションは共通する部分が多いし、どっちもあっているというか、あまりどっちがやりやすいとかはないです。
 
――フランカーというポジションの面白さを教えてください
布巻 フランカーの方がボールの近くにいられて、アタックの時はボールにタッチする回数も増えたし、ディフェンスのときも接点に絡む回数が増えたので、フランカーはそういう面が面白いかなと思い始めました。
 
――深津選手はどちらが面白いと感じますか
深津 あまりそういう捉え方をしていないかな。ひとつ感じるのは、体を当てることが少なくなったので、コンタクト面ではだいぶ、楽と言ったら変ですけど。ただ、走ることが増えて、責任のかかる方は結局みんな同じはずなんですけど、WTBでトライを取り切らなきゃいけないことを考えると、まだ前の方が気は楽だったかなという感じはしますね。ミスをしたときのチームにかかる迷惑の大きさも、ディフェンスでタックルミスをするとすぐトライにつながってしまうし、そういった面でしんどいところはあります。
 
――布巻選手はFWに転向してからもアタックでラインに参加することが多いようですが、具体的にCTBのときと変わったところを教えてください
布巻 とにかくボールに絡むようにするということですね。BKのときはボールを供給される側だったので、チャンスをものにする方が大きかったんですけど、FWになってからはボールを次のプレーに託さないといけなかったり、チャンスの起点になることが増えたのかなと思います。
 
――深津選手はまるっきり仕事が変わりましたか
深津 そうですね。まるっきり変わって、布巻がいま言っていたんですけど、チャンスを作る方から、チャンスで取り切らなければいけない方になりました。あとはタックルする機会が減ったんですけど、数少ないコンタクトの中で自分の体が強いという部分が使えるというのは大きいのかなと思います。
 
――FWの経験が生きているということでしょうか
深津 そうですね。FWをやっていたので、ブレイクダウンにはいくらか周りのBKよりは入れるようになっているんじゃないかと、自分では思います。
 
――布巻選手もBKの経験が生きていると感じることはありますか
布巻 ラインに入った時にパスなどが不自由なくできるし、FWってパスとかあまりうまくないと思うんですけど、そういう面ではBKをやっていた分ましかなと思います。
 
 

「タックルはボールを奪うための手段」(布巻)

 
――布巻選手はフランカーになってからむしろキックをすることが増えたように思いますが、いかがですか
布巻 ラックの近くにいるのですぐにボールを取れるということと、いくらか前が見えやすくなったかなという気がします。
 
――お二人はポジションを変えてからもケガの期間を除いてずっとスタメンで出場されていますが、何が評価されて出続けていると思いますか
深津 WTBは外でボールをもらうことが多いので、そこで簡単に相手ボールにならないようにボールコントロールするところが評価されているのではないかと思います。
布巻 ディフェンスに自信を持っているのでそこと、うまくBKとFWの中継役になれるからかなと思っています。
 
――ポジションを変えてから体の鍛え方などは変わりましたか
深津 いやそんなに。やっているメニューはみんなと一緒なので、変わらんよね。
布巻 そうね。お前そんな大きくならんもんね。
深津 うん。
布巻 (深津は)FWのときからこういう締まっている体型なので。僕の場合はFWにいったので体重を増やさなければいけなくて、鍛え方は一緒なんですけど、とにかくいまはキレというよりは重量感、パワーアップの方を意識してやっています。
 
――体重はどのくらい増えていますか
布巻 去年から5キロくらい上がりましたね。
 
――今後もいまのポジションのままやっていく予定ですか
布巻 何かしらない限りはやっていくつもりです。
深津 そうですね。
 
――他に挑戦したいポジションはありますか
深津 いや、もう(笑)。こんがらがっちゃうからな。
布巻 まあプロップ以外ならどこでもやってみたいかなと思います。
深津 ハハハ。怖いよね。
布巻 遊びでやる分には良いですけど、試合ではやりたくないです。
 
――布巻選手の武器としてタックルがあると思いますが、どのような意識でタックルにいっていますか
布巻 常にボールをターゲットにしています。相手を綺麗に倒すというのも良いタックルなんですけど、タックルはボールを奪うための手段だと僕は思っているので、状況に合わせて上にいくタックルだったり下にいくタックルだったりを使い分けて、常に相手からボールを奪えるように、最悪球出しを遅らせられるようにということを意識しています。見た目ですごいタックルもあると思うんですけど、それで結果的にボールを奪えなかったら意味がないこともあるし、ボールを奪うことを最終目標にして、常に動いています。
 
――上にいく、下にいく、というのはどう使い分けるのでしょうか
布巻 相手がボールを見せて当たって来るのに対して、わざわざ下にいく必要はないかなと。もちろん上で当たると負ける相手には下にいきますけど、僕より力が弱くてボールを見せてくる相手には、上にいっても止まりますしボールも取れると思うので、相手の強さと状況を見て使い分けています。
 
――深津選手から見て布巻選手のプレーの印象はいかがですか
深津 本当にこいつが味方で良かったなと常々思います。敵にいたら嫌だろうなと。それぐらい良い働きをしてくれている選手です。BKから見ていて、やはりFWが相手に押されているとしんどい部分があるので、そこをしっかり食い止めてくれています。
 
――逆に布巻選手から見た深津選手のプレーの印象はいかがですか
布巻 FW出身ということもあって体が強いのと、スピードもあって、基本的に一発でやられることがないからサポートにも行きやすいですし、あいつならゲインしてくれるという体で動けます。危ないと思って行くサポートじゃなくて、チャンスだという感じでサポートに行けるので、そういう面では本当にありがたいです。
 
 
充実の大学生活
 
――同じ学部、学年ということで一緒に授業を受けたりはしますか
深津 前は何個かあったよね。
布巻 コースやゼミが分かれてしまったので最近は減りましたね。
 
――どのようなことを勉強されていますか
布巻 あまりしてないんですけど…(笑)。コースがスポーツ文化コースで、人とスポーツのつながりを主に専攻しています。あとは実習で体の使い方や正しいストレッチ、筋肉の使い方などラグビーに生かせるようなことを学んでいます。
深津 僕はスポーツ教育コースで、人にスポーツを教える立場の時にどうすればいいかとか、あとはサプリメントが体にどう働いていくかということも勉強しています。
 
――学校生活は楽しいですか
深津 面倒くさくなることもあるんですけど、行ったら行ったで楽しいです。
布巻 普段は周りがラグビー部の連中ばかりで、学校に行くとスポーツをしていない友達や他の部活生と話したりするので、そういう面が楽しいです。
 
――部活と勉強の両立が大変だと感じることはありますか
深津 課題が莫大な量出るとちょっとね。
布巻 時間的にはできるんですけど体がきつくてやる気が起きないですね(笑)。
 
――3年生全体はどのような学年ですか
布巻 僕らの代はラグビーがうまい選手は少なくて、体も小さいですし。だけどみんなストイックで、大学に入ってから伸びてAチームに絡んでいる人もいますし、4年生や2年生と比べると仲良くはないですけど、そういう面ではお互い高め合っています。
深津 仲が良いという感じではないですけど、決して悪いわけではなくて、それぞれやりたいことをやっている感じです。
 
――以前の取材で、「3年生は布巻を中心に回っている」と光川広之選手(スポ3=神奈川・公文国際)がおっしゃっていたのですが、本当ですか
深津 それは光川の主観で見ているだけかな(笑)。
布巻 3年生じゃなくてあいつだけ(笑)。光川の人生が僕によって回っているんでしょうね。
一同 (笑)。
 
――3年生全体ではやっていることはありますか
深津 パズドラかな。
 
――お2人もやられているんですか
深津 僕はやっていないですけど、みんな結構やっていますね。
布巻 ゲーム多いよね。モンスターハンターとか。
深津 モンハンやってるね。
布巻 基本3年ではやるというより、部全体ではやりますね。
 
――ラグビー以外の趣味や特技はありますか
深津 うーん…。
布巻 筋トレだろ完全に。
深津 それラグビーに付随するじゃん(笑)。あとは料理が好きですね。自分が好きなものしか作らないですけど。
 
――得意料理は何ですか
深津 菓子とか作ります。気が向いた時にタコライスとかも作ります。
布巻 お菓子よく作っていますよ。
 
――お上手なんですか
深津 いや、別にそういうのじゃないんですけど。
布巻 とりあえず甘い。
深津 でも食うじゃん。
布巻 まあおいしいです(笑)。
 
――布巻選手は何かありますか
布巻 やっぱり勉強が好きなので。
一同 (笑)。
布巻 何で笑うんですか(笑)。暇さえあれば勉強しています。
 
――(深津選手に)本当ですか
深津 いろんなことを勉強するよね。新しいものが好きだよね。
 
――ちなみにいまはどんなことを勉強されていますか
布巻 お金の流れについてとか。…というのは嘘やけど(笑)。
深津 ラグビーに結局行き着くことが多いんじゃないの?トレーニングとかもそうだし。
布巻 趣味はほとんどラグビー観賞なので、それも勉強と思ってやっていますけど。いろんな分野で自分のためになるもの探しというか、そんな感じです。
 
――深津選手には前期に同部屋特集をさせて頂きましたが、その時とメンバーは変わりましたか
深津 宮島さん(大地、商4=茨城・茗渓学園)と山口(和慶、スポ1=福岡)と一緒になりました。
 
――いまの部屋はいかがですか
深津 前の部屋は本当に暇さえあれば一緒にテレビを見たり何かしていたんですけど、いまは3人のやることがバラバラで前の部屋よりも干渉しないので、一体感は無いですけど居心地は悪くないです。
 
――布巻選手はどなたと一緒の部屋ですか
布巻 貝塚(隼一郎、政経2=埼玉・早大本庄)と中島(翼、スポ1=千葉・流通経大柏)と一緒です。
 
――どのような雰囲気ですか
布巻 僕は一番上なので居心地良いですけど、他の2人は居心地悪いかなと。
深津 中島がうちの部屋によく来るんだけどどう思う(笑)。
布巻 僕に気を遣っているんじゃないですか。
 
 
「常に全力で戦わなければ勝てるチームではない」(深津)
 
――春シーズン全体を振り返っていかがですか
布巻 ケガでほとんど出てないんですけど、慶大に大差で負けたり、帝京大には負けたけど良いゲームができて、みんな「いけるぞ」という感覚を持ったと思うんですけど、それでも夏にも勝てなかったし、自分たちの力を知ることができた春シーズンになったのかなと思います。
深津 僕はチームどうこうというより、ポジションが途中で変わって、てんやわんやの春シーズンでした。
 
――夏合宿ではどのような練習をされましたか
布巻 チームとしては変わった練習はしていないんですけど、夏で何か自信を得たくて、FWだったらスクラムとか、ここだけはワセダの武器にするぞっていう部分を作りたかったです。1個1個丁寧にして、もう1回基礎に返って武器を作ろうという合宿だったと思います。
 
――個人的に成長したことはありますか
布巻 試合に本格的に出始めたのが夏合宿だったので、経験を積まないとわからないこともあるだろうし、いろんな状況に出会って学ぶことがあったので良かったかなと思います。
深津 夏合宿はポジション変わってすぐでわからないことだらけだったので、コーチに練習が終わった後も付きっきりで見てもらったりしました。個人的には、高麗大戦の時にWTBとしては初めて外でもらってトライできたので、その外でもらってトライできるようになったことが成果かなと思います。
 
――夏合宿を踏まえて関東大学対抗戦(対抗戦)にはどのようなお気持ちで臨まれましたか
布巻 夏合宿でやったことを出せるようにというのと、目標は全国大学選手権優勝なので、そこまでどんどん上げていくつもりで、もっと強くなろうという気持ちで挑んでいます。
深津 まだWTBとして仕事ができているとは思っていなかったので、いままでやってきたことのレベルから下がらないようにしていくのと、帝京大が一番大きいターゲットなのでそこまで負けないようにしていこうと思っていました。WTBとしてなによりトライを取らないといけないというのは、毎試合考えてやっています。
 
――ここまで対抗戦は4戦全勝ですが、振り替えていかがですか
深津 調子が波打ってない?
布巻 そうね。
深津 僕らは常に全力で戦わなければ勝てるチームではないんですけど、4試合を見て常に一定の力が出せていたかというとそうでないところもあります。ここから3試合はかなりハードな試合が続くと思うので、常に100パーセント以上のものを出し切れるように、まずは100パーセントの力を出さないと勝負にならないので、そうできるようにしていきたいと思います。
布巻 うまくやれなかった試合というのもあると思うんですけど、あまり悲観することはなくて、もう一度自分たちの力を知ることができたと思います。僕らは手を抜いてしまえばどんな格下と言われる相手にでも勝てないですし、帝京大戦だから力を入れるとかではなくて、いま深津が言ったようにどのチームにでも100パーセントの力を出し切れるようにならないと、結局大学選手権に入っていつかほころびがでるというか、そういう厳しさが必要かなと実感した4試合でした。
 
――筑波大戦は印象に残っていますが、あの勝利は意味のあるものだったのではないでしょうか
深津 勝てたのは大きいと思うんですけど、最後外していたら引き分けだったので、ラッキーといえばラッキーな勝ちだったのではないかと思います。
布巻 いままで負けていた相手に勝ったというのは大きいし、自信になったと思います。でも、もっとできた試合だったと思うし、逆にあのくらいの相手になると絶対にタイトなゲームになるから、1点差で勝っていようが1点差で負けていようが、最後まで勝負は分からないということが分かったので、最後まで手を抜かずにやり切るということですね。
 
――筑波大戦も含めスクラムの強さが目立ちました。夏に力を入れていた成果でしょうか
布巻 昨年からたくさん組んでいたというのもあって、今年一からやらなくてよいというのがまず大きなポイントだったと思います。春、夏を通して、嫌になるくらい組んだと思うし、組んだ数だけ自信になっているので、その成果が出ていると思います。
 
――完成度はかなり高いですか
布巻 どうですかね、これからの相手に組めるかというのが大きなカギだと思うんですけど、十分強みだと思ってよいと思います。
 
――先日のサントリーサンゴリアスとの合同練習でもスクラムで押している場面があったようですが、手応えはいかがでしたか
布巻 良いスクラムが組めたときは組めたと思うし、非常に手応えはあったのではと思います。ただあれを試合に置き換えると、残り10分のきついときにあの力が出せるのかというところがカギになると思うので、スクラムの力というのは試合をしてみないと分からないですね。
 
――BKから見ていまのスクラムは心強いですか
深津 ディフェンスする上でもずっとひやひやしているので、スクラムターンオーバーしてくれたりしたらもう。セットプレーが安定していると安心ですね。
 
――サントリーサンゴリアスとの合同練習の感想を聞かせてください
布巻 横で練習していたんですけど、まず練習中の声がすごくて、一人一人の声がはっきりと聞こえて、それだけでもう良いチームだなというのがすぐにわかりますね。練習メニューなども横目で見ていたんですけど、非常に考えられていてテンポも良く、一体感もあって、日本一になるにはああいうことをしないといけないんだな、と感じました。
深津 僕はそんな余裕もなく(笑)。よく見てるなと思っていま聞いていたんですけど、コンタクトのレベルも違ったし、僕らはいつも学生同士で練習しているので、腰から上に(タックルに)いっても止まったりするんですけど、それが全部はじかれて、改めて個人の力の強さを感じました。そのうえ組織の力もすごく強くて、いまの僕らでやれる力が見えてきたし、いまのままでは勝てないというのも分かったし、良い練習だったと思います。
 
――ちなみにトップリーグではどこのファンですか
布巻 僕は全試合見るので、どのチームのファンというのはないですけど、地元が福岡なのでコカ・コーラ(ウエストレッドスパークス)やキューデン(九州電力キューデンヴォルテクス)は応援しています。
深津 僕は家が府中にあって、サントリーのすぐそばなんですけど、府中に東芝(ブレイブルーパス)もあるので、どちらも結果くらいは見ておこうかなという感じです。
 
――藤田慶和選手(スポ2=東福岡)が帰ってきているようですが、印象はいかがですか
深津 すごく考えてラグビーしているので、いろいろ教えてもらうことも多く、やりやすいのも少しあったりして、早く帰って来るなら帰って来てほしいなという感じです。
布巻 すごいというのはみんなわかっているし、そういうやつがチームにいるだけで、同じポジションの人であったりAチームの人であったり、すごく刺激になると思います。あまり練習は一緒にできていないんですけど、帰ってきたというだけでチームの雰囲気は変わったかなと思います。
 
――布巻選手は高校の後輩ですが、高校から変わりましたか
布巻 どうですかね、それこそ大学に入ってからほとんど一緒にプレーしていないですし。でも、代表の試合の話や考え方を聞くだけでも、成長しているというのは感じます。
 
――チームの中でいま伸びている選手、注目の選手を教えてください
深津 飯野(恭史、商3=東京・早実)?
布巻 飯野とか頑張るよね。
深津 坪郷さん(勇輝、商4=東京・早実)も。
布巻 両CTBは頑張っていると思います。
 
――2019年には日本でラグビーワールドカップがありますが、知らない人が多いと思います。どうすればラグビーの人気が出ると思いますか
布巻 とにかくまずはラグビーを見てもらうことだと思います。早明戦であったり、今度の日本代表のオールブラックス戦であったり、テレビでもやりますので。それと、僕らラグビーをやっている人間がラグビーを広めることだと思います。とにかく早明戦に呼んだり、僕らが勝つことによって知ってくれる人は多くなるかなと思います。
深津 知ってもらうことが一番大事なので、その手段としてメディアが挙げられると思って、メディアに扱われるためにはいままでと違うことをしなければならないと思います。いま早明戦のプロジェクトというのがあって、応援の方法を変えようとか、新しいファンの人を増やすためにいろいろと企てているので、そういう新しいアクションを起こしていかないと広まっていかないのではと思います。そのためにも自分たちが変わっていかなければいけないので、いま僕たちにできることは早明戦を盛り上げることで、選手としてはやはりたくさんの人が国立に来てもらえるように、毎日一生懸命練習するだけだと思います。
 
――初めてラグビーを見る人がゲームを楽むにはどうすればよいでしょうか
深津 ルールがわかりやすいと良いよね。
布巻 まあでも僕らもすべてのルールを網羅しているわけではないので(笑)。多分初めて来た人は絶対にルールとか難しいと思うので、僕らにできることは簡単なルール説明などもありますが、それよりも男同士が体をぶつけるところであったり、最後まで諦めない姿であったり、そういうところが一番の魅力だと思います。
 
――自分のここを見て欲しい!を教えてください
布巻 タックルを見て欲しいです
深津 僕はボールを持って走っているところですかね。それが仕事だし。
 
 
「全力で『荒ぶる』をつかみに行きたい」(布巻)
 
――いよいよ帝京大戦ですが、やはり他の試合とは気持ちも変わりますか
布巻 チームとしても帝京大をターゲットにしてやってきているので、そういう面では気合が入る試合だと思います。
深津 1週間準備してしっかり戦えるようにしたいと思います。
 
――帝京大戦に向けてどのような練習をされていますか
布巻 いつもと変わらないですよ。戦術的なことは言えませんけど、基本的には何も変わった練習はしていないですし、今年は自分の力をどれだけ出せるかだと思うので、チームとしてはいままでやってきたことをやるつもりです。
 
――帝京大戦の先には早慶戦、早明戦があります。深津選手は今年が初めてですが、どのような気持ちで臨まれますか
深津 いつもの他の大学と同じではいけないと思うんですけど、やはり100パーセント出すという面ではいつもと同じ準備をしなければいけないので、特に気負ったりしないでいこうと思います。
 
――今年の春に慶大に敗れていることで、早慶戦はいつもと違うという意識はありますか
布巻 僕自身、相手どうこうという考えはあまりないんですけど、春からの成長ぶりを見るのに良い試合だとは思います。どれだけ自分たちが成長できたかというのを知りたいという気持ちはありますね。
深津 (慶大が)筑波大に勝ったとか、青学大に負けたとかありますけど、後藤さんは早慶戦や早明戦にはプライドを持ってやれと言っているので、負けることは許されないし、そのための準備を全力でしていくだけですね。
 
――今年の早明戦は、『最後の国立』となります
布巻 学生だから早明戦のような盛り上がりができるし、国立という舞台も使わせてもらえるというのは最高に幸せなことだと思うので、試合ができるということに感謝して、思い切り楽しみたいですね。
深津 国立でできる人数はスタメンで30人しかいないし、その30に立てるというのはとても大事だし、意味のあることなので、立てない部員もたくさんいるということも考えた上で、自分のプレーを全面に出せるようにやっていきたいと思います。
 
――最後に『荒ぶる』への思いを聞かせてください
布巻 『荒ぶる』というのは見たこともないし、それがどんなものかわからないんですけど、必ず優勝した先に『荒ぶる』というものが待っているので、全力でつかみに行きたいと思います。
深津 みんなが絶対につかみたいものであることは間違えないので、まずは一つずつ勝ち続けることが『荒ぶる』への近道なので、負けないようにトライを取り続けたいと思います。
――ありがとうございました!
 
(取材・編集 田中絢、伊藤なつ実)
 
 


◆写真上
布巻峻介(ぬのまき・しゅんすけ)
1992年(平4)7月13日生まれのAB型。178センチ、94キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはフランカー。休日の過ごし方を聞いたところ、「知ってしまうとみんなの身が危ないので」と驚きの答えが。このように真面目な顔で冗談を言って、場を和ませてくださいました。
 
◆写真下
深津健吾(ふかつ・けんご)
1992年(平4)4月23日生まれのB型。175センチ、85キロ。東京・国学院久我山高出身。スポーツ科学部3年。ポジションはWTB。筋肉キャラが確立していることについて、「悪くないです」とはにかむ深津選手。その一方で、趣味はお菓子作りという意外な一面を持っているようです。