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Beat Up

2024

【大学選手権/明治大学戦観戦記】

 

トライを取り切れず明大に敗戦 『年越し』ならず

 

早大が17-7で明大を下してから3週間。早大は全国大学選手権(大学選手権)の初戦を迎えた。相手は3週間前と同様に明大。会場も同じく東京・秩父宮ラグビー場。全く同じ状況下で、今季2度目となる宿敵対決が実現した。前半開始直後に早大は先制を許したものの、主導権は渡さない。着実に得点を重ね、15−8と7点リードで試合を折り返す。後半はアタックがかみ合わず、自陣でプレーする時間が長くなった。ゴールライン前で押し込まれ、続けて2トライを奪われる。反撃を試みたが、ミスが重なりノーサイド。15−20で明大に敗北し、大学選手権準々決勝敗退という結果で今シーズンを終えた。

 

突破を図る長田主将

 

前半2分、フリーとなっていた左サイドの選手にパスを通され、明大に先制される。しかし早大はそこから流れを渡すことなく、互いにキックを蹴り合う展開に。迎えた前半20分、SO伊藤大祐(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がスピードを生かして相手を振り切り、左サイドを独走トライ。前半32分にPGでさらに得点を重ねると、前半37分には左サイドでボールを受けたプロップ小林賢太(スポ4=東福岡)がフィールドで持ち前のスキルを生かし、自らボールをグラウンディング。15−8と1トライ1ゴールの差をつけて前半を終えた。

 

前半にトライを挙げた小林副将

 

後半は、明大に序盤から押し込まれる。後半10分、ゴール前でフェーズを重ねられ粘りきれずにトライを許した。後半14分には自陣22メートルでボールを持った伊藤が一気にスピードを上げて内側にゲインし、ボールは左を走っていたWTB小泉怜史(文構3=東京・早実)へ。しかし、トライ目前のところで、サポートで走っていたSH宮尾昌典(スポ1=京都成章)にうまくパスが渡らずノックオン。後半最大のチャンスを逃した。後半24分、互いにスペースの取り合いになりスクラムが何度も組み直しとなる。そのスクラムでペナルティを重ねた早大は、後半30分にまたも明大のFW陣に押し込まれトライを献上。15−20と逆転を許す。その後も、刻一刻と時は進み反撃はかなわず、わずか5点の差を埋めきれないまま、秩父宮に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。CTB長田智希主将(スポ4=大阪・東海大仰星)が率いた早大の『荒ぶる』への挑戦もここで幕を下ろした。

 

試合後、観客に挨拶をする選手たち

 

大学選手権は、負ければ終わりのトーナメント方式。この1年チームを率いた長田主将をはじめとする4年生は、この試合をもって引退となる。「もう5点のところでスコアを動かす、取り切るというのが明治の方が上だった」(長田)。たった5点の差で『年越し』はかなわなかった。「ただただ悔しい」(小林)。しかし、この悔しさが早大を強くするのだろう。これからはこの試合で涙を流した後輩たちが『荒ぶる』を目指す。こうしてバトンは次の世代へとつながれていくのだ。

 

記事:内海日和 写真:塩塚梨子(早稲田スポーツ新聞会)

コメント

大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)※記者会見より抜粋

 

――今日の試合を振り返って

今日の試合は早明戦の再戦ということで、厳しい勝負になることはわかっていたのですが、これまで練習をしてきて、自分たちの現在地として日本一を狙えるところまできていること、その中のひとつのチームであることは間違いないです。その中で自分たちのやってきたことがどれだけできるかという話をしてゲームに臨みました。早明戦と変わったところ、変わらないところがあったと思うのですが、トライを取り切るときに取り切ったチームが勝った、ただそれだけだと思います。

 

――対抗戦が終わってからどんな準備をしてきたのですか

まずリカバリーをしっかりして、レビューをして、それからあまりいろいろなことを足すことなく、自分たちが今までやってきたことをシンプルに頭の中でクリアにして。このゲームで自分たちが出し切れることを出し切るように進めてきましたね。あとはセットプレーのところの再確認というところに時間を費やしました。

 

――小林選手を3番に戻した意図は

小林を3番に戻したというのは、選択肢としてはずっとあったのですが、いろいろなところで、次のステップに向かう準備と言いましょうか、小林に頼り切りではなかなかしんどいところがあるので、対抗戦が終わって、そこが一番劇的に変えられる自分たちのウィークポイントというところで、そういう話を小林として、3番に戻すというところに至りました。

 

――小林選手のトライで外側に立たせたのはどういうイメージだったのですか

小林の走力とスキルでいうと3列並みのものがありますので、ボールキープ、得点というところです。

 

――吉村選手を入れた理由や狙い、PGを選択しなかった意図は何ですか

5点差だったので、結果論なんですけど風下でしたし、スコアを取って、得点したいというのは考えたところでした。吉村を入れたポイントとしては、外側にスペースがあるのはわかっていたので、外側にストクチャーを組んでポゼッションができるのは彼の特徴でもあるので、そういうところに期待して投入しました。

CTB長田智希主将(スポ4=大阪・東海大仰星)

 

――今日の試合を振り返って

対抗戦からの再戦だったのですが、勝ったあの試合は関係なくて、この選手権の1戦目が明治、この試合にこれまでのすべてをかけて戦うという風にこの試合に臨みました。みんなよく戦ってくれたと思いますし、最後もう5点のところで、やっぱり僕を含めてスコアを動かす、取り切るというのが明治のほうが上だったなと思います。

 

――SO吉村紘(スポ3=東福岡)のキックミスなどがあったが、焦りはなかったのですか

あのスコアで負けていて、選手権は負けたら終わりでおそらくそういうプレッシャーというか緊張感はあったと思いますし、そういうのに対して、僕だったり小林がいい声かけができなかったのはあるかなと。でも思い切りやってくれて、キックも悪くなかったですし、チャレンジした結果だと思うので、気にはしなかったです。

プロップ小林賢太副将(スポ4=東福岡)

 

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日の試合は前回セットプレーでプレッシャーを受けたということで、そこに力を入れて練習してきました。その分は多少改善が見られ、スクラムに対しては自分達のスクラムを組めたのかなと思います。しかし、そこで時間を使い過ぎてしまって、自分たちの攻撃の時間が少なくなってしまいました。また、簡単なミスでボールをロストしてしまい、接点の部分では明治さんが上回っていたと思います。最後まで自分達のやりたいラグビーができませんでした。

 

――前の早明戦の1番ではなく今日は3番でしたが、ここの違いはいかがでしたか

1番は今年の新チームが始まってからチャレンジしたという部分はあって、毎試合いろんな試行錯誤を重ねて成長していけるようにやっていました。3番に関しては高校3年間と大学3年間の合わせて6年間やっていたという部分もあって、急にポジション変わったから戸惑ったみたいな部分は本当になくて、早明戦が終わってから3週間しかなかったですけど、コミットできたのかなと思います。

 

――終わった瞬間はどんなことを考えましたか

ただただ悔しいという気持ちですね。

 

――後半のスクラムはどういうところで時間がかかったのでしょうか

早稲田のフロントローと、明治のフロントローと、自分たちの組みたいポジションのスペースの取り合いになってしまって、何本も組み直しがあったので、どこがどうというのはいくらでも挙げられるのですが、フロントローのお互いの兼ね合いがありました。明治のスクラムが距離を離してヒットしたいというところで、自分たちはヘッドオンした状態でヒットしたいというのがあって、その中でスペースの取り合いになりました。

 

――前半のスクラムは良い形でしたが、後半の後半は苦しかったと思います。どのように考えていましたか

やろうとする形は変えずに、自分たちのセットをしていました。

 

――明大は強かったですか

対抗戦の早明戦と比較すると、僕たちも選手権の明治戦に向けて準備してきたので、そういう意味では明治に対して自分たちは戦えるという思いはありました。

SO伊藤大祐(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

 

――今日の試合を振り返っていかがですか

前半は風上で、僕のPG含めコンバージョンキック含め、あともう1トライ取れたら勝てたのではないかと思います。後半も1本抜けてサポートについて、トライが取れたらという試合でした。FWに関係なく勝てた試合だったのですごく悔しいですが、やっぱり4年生と一緒にできたラグビーは楽しかったです。自分たちが次は上級生になるので、頑張っていきたいと思います。

 

――今季終盤から10番で出るようになり、自分が成長した部分、そして今日勝ちきれなかったことに関して教えてください

今シーズンは慶應戦からスタメンの10番で出させてもらって、とにかくいろいろな失敗はあったのですが、試合を重ねるにつれて少しずつ成長できたなという部分はあります。自分はケガがあって夏先まで全然試合ができなかったので、そういったところも含めて来シーズンは頑張っていきたいと思います。今日の試合に関しては、取り切れなかったというところで、前半の僕のPGだったり、最後のラインアウトでミスしてボールをキープできずに終わらせたり、後半も抜けて難なくパスすればいいところをキャッチミスしたり、そういった早稲田が絶対やってはいけないことをやってしまったので、原因というよりはやってはいけないことをやってしまったというイメージが強いです。

 

――早大のやっていたアタックと、明大のやっていたアタック、それぞれどのように映りましたか

明治は大きいFWを前に出して、例えばコリジョンのシーンで早稲田がノットロールアウェイを取られて、そういったシーンから早稲田が前に出れず、オフサイドなどでペナルティをもらって、そこからスクラムかラインアウトのチョイスというところでやられてしまったと思います。そこに関しては、早稲田はもっとディフェンスの圧を、この前の早明戦のようなディフェンスができれば結果は違っていたのかなと思います。早稲田のアタックについては、スペースの共有と中のえぐりというのをテーマにやってきて、そこの場面に関しては何回か良いシーンはあったと思うので、SOの自分としてはもっとアタックの時間を増やせるような、敵陣でプレーできるようなゲームメークをできれば、勝機はあったのかなと思います。ただそれができなかったので、結局完敗だったのかなと思います。