5月7日から開幕した関東大学春季大会も終盤戦に入り、残りは2試合となった。早大はここまで2勝1敗と、勝ち越した状態で折り返す。前回の招待試合・早慶戦でも勝利し、2連勝と勢いに乗る早大だが、「全体的に物足りない」(大田尾竜彦監督、平16人卒=佐賀工)と慶大との一戦に不満を残す。『物足りなさ』を払拭し、最終節に控える帝京大戦に弾みをつけることができるか。
岐阜の地で開催された宿敵・慶大との一戦。拮抗した試合展開をみせる両者だったが、先に試合を動かしたのは早大。スクラムで優位に立った早大は、敵陣ゴール前相手スクラムをターンオーバー。最後はCTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)がゴールラインに走り込み、先制トライを挙げた。その後もSO伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の個人技によるトライなど追加点を重ね、後半20分には26-3までリードを広げた。このリードを守れるかと思われた早大だったが、後半終盤に立て続けに2トライを奪われた。26-17で勝利するものの、「受け手に回った時間が長かった」(伊藤)と課題が浮き彫りになる一戦となった。
次節の対戦相手である流経大は明大、東海大、帝京大の強豪に3連敗と調子が上がっていない。しかし、4月に行われた東日本大学セブンズ大会では1回戦で早大を破り、CHAMPIONSHIP準優勝に輝くなど個人の強さが垣間見える。スキルとスピードを兼ね揃えたFBステファーナス・ドゥトイ(流経大)をはじめとした、個人で局面を打開できる選手を有するのが流経大の特徴だ。また、東海大戦ではスクラム、モールでそれぞれトライを挙げるなどFWのセットプレーも脅威。早大BK陣の縦と裏を組み合わせる多彩な組織アタックで流通経大ディフェンスを翻弄(ほんろう)できるかが、勝敗のカギとなるだろう。
「とにかく体を当てる」と伊藤主将が強調するように、流経大戦では接点に注目したい。今期からフルコンタクトの練習時間を大幅に増やした早大。これまでの試合テーマも『ゲインラインバトル』や『ブレイクダウン』などコンタクトの局面にフォーカスしてきた。高い強度の接点を繰り広げることが予想されるFWは、特にNO8村田陣悟(スポ4=京都成章)に注目だ。村田の持ち味である力強いボールキャリーは早大のアタックに勢いをもたらすに違いない。また、春先に実施したセブンズでの敗戦に悔しさを抱くCTB岡本大輝(スポ4=東京・本郷)、WTB細矢聖樹(スポ3=國學院栃木)の奮闘にも目が離せない。リベンジを果たし、最終節帝京大戦に向け、弾みをつけたい早大。試合開始直後から闘志のこもったプレーを見せてくれることだろう。コンタクトで圧倒し『WASEDA FIRST』を体現するチーム伊藤に期待したい。
記事:村上結太 写真:濵嶋彩加(早稲田スポーツ新聞会)