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2024

関東大学対抗戦/慶應義塾大学戦観戦記

関東大学対抗戦(対抗戦)第6節、早大は宿敵・慶大との伝統の一戦に臨んだ。第100回早慶戦となる11月23日、東京・国立競技場に3万人近くのラグビーファンが足を運び、試合は大きな盛り上がりを見せた。

早大は、立ち上がりから20分までにモールや持ち前の展開力で3トライを挙げる。しかし慶大も意地を見せ、前半を28-14で折り返す。後半は先制トライを獲得したが、ミスや慶大のキックにエリアを取られ、自陣でのプレーが続く。約30分停滞した展開の末、試合終了間際にNO8松沼寛治(スポ1=東海大大阪仰星) がインゴールへ飛び込み勝利を決定づけるトライ。歴史あるこの戦いを43-19で勝利を収めた。

序盤から早大は果敢に敵陣へ攻め込む。開始3分、BKとFWが一体となった早大の展開ラグビーで試合は動いた。ハーフ10メートルラインからWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がオフロードでLO池本大喜(文構4=東京・早実)につなぎ、大きくゲイン。そして、最後はフォローに来ていたSH島本陽太(スポ4=神奈川・桐蔭学園)に渡り、先制トライを獲得した。ここから早大が流れを引き寄せる。前半9分、ゴール5メートル前のラインアウトからモールで勢いそのままに押し込み、FL安恒直人(スポ3=福岡)がグラウンディング。続く20分にも、スクラムからの一次攻撃でFB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園) がトライを取り切り、19-0とリードした。しかし、23分から慶大の反撃が始まり、早大は勢いを失う。SO山田響の個人技に加え、慶大FWの意地の19フェーズアタックに耐えきれず、2トライを返された。このまま終われない早大は、42分に渾身のモールでトライを取り返し、28-14と後半へ弾みをつけた。

気迫あるランを見せ、会場を沸かすFB伊藤

迎えた後半、またしても早大が試合を動かす。後半3分、相手のハイパントキックをフェアキャッチした伊藤がすぐさま仕掛ける。伊藤の意表を突いた速攻に慶大は守備を整えることができない。その後、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園) がボールを受け取り、「最近、力を入れている」(佐藤)ランで、約40メートルの圧巻のゲインを見せ、矢崎までつなぎトライ。ここから早大は、さらに差をつけたいところであったが、14分に慶大の伝統のモールに押されトライを奪われた。その後は、両校の洗練された組織ディフェンスが光り、スコア38-19のまま約30分間停滞する苦しい展開となった。

ロスタイムを含めた試合終了時間が過ぎてもなお、早大は最後の一秒まで攻め続ける。45分、相手のラインアウトからボールを奪い、対抗戦初出場を果たしたSH清水翔大(文3=東京・早実)の素早いテンポを起点にアグレッシブかつ立体的なアタックを展開。15人全員で徐々にラインを押し上げ、最後は松沼がステップで相手を見事にかわしてインゴールへ飛び込んだ。最終スコアを43-19とし、第100回早慶戦の軍配は早大に上がった。

力強いキャリーで大きくゲインするHO佐藤

途中ミスやキックプレッシャーで自陣でのプレーを強いられる場面も見られたが、チームとしての強みを生かし、宿敵相手にスコア差をつけることができたことは大きな収穫だろう。両校の攻防が白熱した本試合。プレイヤーオブザマッチ(POM)に選出された伊藤主将は「今後も慶應義塾大学さんと切磋琢磨していきたい」と語った。伝統の試合を戦い抜いた両校の選手に敬意を表するとともに、今後の活躍に期待したい。

記事:長野恵治 写真:川上璃々、西川龍佑(早稲田スポーツ新聞会)