5月の終わりとは思えない冷たい雨が降りしきる北海道・札幌月寒ラグビー場で春の早慶戦が行われた。
早大は新鮮な顔ぶれで臨んだ今試合だったが、慶大の守備が整う前に得点を一気に追加し、3本の連続トライを挙げた。重なる反則で1トライを返されたが、巧みなキック戦術でスコアを伸ばすと28ー7で前半を終えた。
後半は開始から中盤での攻防が続き、少しずつ慶大を押し込みつつあった早大だがアタックのミスで一気に陣地を奪われ、そのままトライを奪われる。雨の中でのプレーに苦戦しつつも、流れを渡さなかった早大は前半のリードを守り切り、33-14で春の早慶戦を制した。

早大は2分、ラインアウトのアタックからFL野島信太郎(教3=東海大大阪仰星)がゲインすると、攻撃を加速させて慶大陣内に襲い掛かる。SO田中大斗(教2=東京・早実)からフラットなパスを受け取った野島がインゴールまで走り切り、早くも先制のトライを挙げた。
続く5分、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)の力強い前進から積極的なアタックを仕掛けた早大は田中(大)からの正確なクロスキックを取ったWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がインゴール目前まで走り込み、最後はフォローに走っていたFB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)がグラウンディング。
さらに9分には中盤での慶大ボールラインアウトをNo.8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がプレッシャーをかけてターンオーバーするとボールを繋がれた福島がブレイク。タックラーの裏に出たところでオフロードパスを放り、WTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込んだ。
ここからは雨の影響でボールが落ち着かない場面が続き、セットプレーが多くなっていく。29分、早大は度重なるペナルティーで慶大にゴール前まで侵入を許すと、FWにトライラインを叩き割られてしまい失点した。
しかし32分には転がったボールに素早く反応したPR平山風希(スポ1=大分東明)のナイスセービングから攻撃に転じた早大が巧みなキックでトライを生み出し、26-7と19点のリードで前半を終えた。

後半は開始から中盤での攻防が続く中、少しづつ慶大陣内に攻め入っていた早大。しかし10分、敵陣深い位置でアタックを継続していた早大はミスでボールをこぼしてしまい、そのまま慶大に一気に攻め込まれてしまう。そのままインゴールを明け渡し、スコアは26-14に。
早大はメンバーを入れ替えながら試合の流れを渡さないように緊張感のある試合運びを見せる。19分には慶大ゴール前ラインアウトとチャンスを得るが、慶大の強烈なディフェンスでトライラインを割ることができない。
しかし21分、マイボールスクラムの3次攻撃でSH平塚英一朗(法3=東京・早実)が逆目にパスを展開すると、BKで細かくパスを繋ぎながら最後はWTB池本晴人(社3=東京・早実)がインゴール左隅にグラウンディング。スコアは33-14。
早慶戦らしい激しいコンタクトの応酬で北海道の寒さを忘れるほど熱い戦いを見せた両校。慶大のアグレッシブなアタックでピンチを迎えそうな場面もあったが、連結したディフェンスでタイガージャージーの前進を許さなかった。19点という点差を守り切り、春の早慶戦は早大が制して見せた。

意地と意地がぶつかり合う伝統校同士の一戦は独特な緊張感に包まれる。今試合も歴史ある一戦として北海道の地で行われた。
これまでの春シーズンで様々な相手と戦ってきた早大だが、この早慶戦でしか得られないものもあるだろう。遠征先での試合経験、多くの観客の前でプレーする感覚、そしてタイガージャージーと身体をぶつけ合う記憶。対抗戦でしのぎを削り合う関係であると同時に、大学ラグビーとしての伝統を作ってきた両校。これからも互いを意識し、切磋琢磨しあう関係として早大、慶大両チームの今後の成長に期待せずにはいられない。
記事:村上結太、安藤香穂、伊藤文音 写真:大林祐太、堀内遥寿(早稲田スポーツ新聞会)